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江戸時代。彼らと共に歩む捜査道

鬼火 真相

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「さて、居なくなったな!神社にでも行くぞ。」
「え、ちょっと!!ちょっと待って!?いくらなんでも切り替えはやすぎない!?」
一郎さんが見えなくなったとたん、くるりと背を向け、宿へと歩いていく玉藻前。
「というか、玉藻前は…」
「おい、この村で本名か?」
「……旦那さま!!あの神社は、貴方でも危ないって感じるほど恐ろしい場所ではなかったの!?神様が怒っているから!!」
(だから、わたしはあなたを、心配して…。)
はぁ?と、心底意味がわからないという顔をされる。そしてわたしの額に青筋が立った。
「いつわたしがそんなことを言った?」
「え、それは…」
あのとき、たしかに彼は……
「なにも言ってなかったわね…!?で、でも私がヤバイところなのか聞いたときに否定しなかったじゃない!」
「それは、ただ考えていただけだ。あの場所は鬼火と関係なさそうだからな。そもそも、あの神社に神などおらん。大方、娯楽か頼るところがほしかったなどの理由で、神社でも作ったのだろう。そんな人口的なものに神など来ないし、生まれるとしても、あと千年は必要だな。」
「ええっ!?」
じゃあ、なんであんな噂が…と思っていると、心でも読んだかのように、不気味だからというのもあるのだろう。と返された。
「まぁ、作っておいて手入れをしないのはどうかとは思うが。」
「それは…そうね。」
「あれでは、あからさまに隠れ蓑と言っているようなものだ。」
「そうね…隠れ蓑よね……隠れ蓑……隠れ蓑!?えっ!?神様以外が住み憑いてるってこと!?」
それはそれで危ないじゃない!?と訴えると、憑いてはいないぞと言われる。
「あの神社に住み着くバカがいるわけなかろう。だが、あの噂が出るのは、不思議だと思わないか?」
「不気味だからってさっき言ってたじゃない。」
「不気味だからというのも、あると言ったんだ。そもそも、神社が呪われている、はまだわかるぞ。不気味だから、そんな噂が出るのも仕方なかろう。だがな、神社の神様のせいと言われているが、発生してるのは鬼火……あの神社は鬼が奉られていたか?いや、そんなことどこにも書かれていない。男どもにも聞いてみたが、首をかしげるものばかりだった。
ならば、なぜあの神社が鬼火を出したと言われるのか……?
さて、問題が起きたぞ、女。お前はどう思う?」
「えっ!?ど、どうって…」
「不正解だ。」
(制限時間短すぎでしょう!?)
混迷していると、玉藻前は、扇子を広げ、小馬鹿にしたようにこちらを見据えた。
「おおかた、誰かが噂を流したのだろう。」
「えっ、ええ!?
そんなことして、なんのメリットがあるのよ…!?」
「いくつもあるぞ。.神社を壊したい、逆に神社を崇めてほしい、林を調べられたくない、商人を何らかの理由で通らせたくない……まだあるが、聞くか?」
「容疑者すごく増えるじゃない!?」
「神社を壊したいのは、神など信じない奴らか、あの神社が邪魔だと思う村の重役どもだろうな。
神社を祟めてほしいのは、神社を作ったものか、神主だろう。林を調べられたくないのは…」
「もういいわ…!わかったから!そもそも、そんなことを言って、私たちはどうすればいいのよ!?」
「これからがいいところだと言うのに。
まぁ、気になるのは当たり前か。
わたしの知り合いに鬼がいてな。たまたま現代に帰るときに、そいつから、風評被害だ、解決しろとよくせっつかれるたのだ。報酬はやつの手下の貸し出し。」
「鬼のほうリスクとリターンが合ってないわよ!?鬼火な噂を消すだけなのに、手下を貸してくれるの……えっ、そんなに危険なの!?」
「まぁな。一歩間違えれば人間は死ぬかもな。安心しろ、借りる鬼はかわいい姿のちまっこいやつにしてやる。」
「というか、今さらだけど、やっぱり鬼っていたのね!?」
「……口が滑った。」
口元を手でおさえ、目をそらしたわね?
「……まぁ、大丈夫だ。奴らには、わたしのそばにいる女に害を与えないように、と伝えている。いたずらをされたり、襲われることはあっても、怪我などはないだろう。」
「襲われている時点でだいぶ害があるわよ…!」
「まぁまぁ。落ち着け。今はこんなことをしている場合ではないだろう。林に行くぞ。」
「えっ!?」
普通事情聴取では?という思っていると、顔に出ていたのか、めんどくさいだろうと言われる。
「どう考えても、林を調べられたくない、というのが根拠として強いだろう。……と言っても、わからぬか。説明してやる。きちんと聞いておけ。」
彼は、どこからか取り出した黒板を宙に浮かせ、チョークで文字を書いていく。


神社を祟られたいのか?
    →神社をあそこまで不衛生にするくせにそんなやつがいる可能性は低い。

神社を壊したいのか?
    →酒場で不気味という言葉は聞いたが、酔っていたというのに壊したい、な くなってほしいという奴らは見なかった。

商人を通らせたくないのか?
      →ならば、暗殺するか、木を倒したりすることで通れなくすればいい。しかし、商人は馬が止まりはするし不気味だが、道を難なく通れている。




「……ということで、この三つの可能性は潰えた。残るのは、これだけだ。」
そう言い、一番下に
  
  林を調べられたくない誰かのせいで
      噂が流れている

と書き、大きく円で囲った。
「ま、待って!じゃあ、その誰かは誰なのよ!?」
「覚えてないか?それは……。」
一瞬顔をしかめ、すぐさま玉藻前は黒板を、白い煙のぼわん、という音と共に消し、振りかえる。
「早すぎやしないか?ここから屋敷まで、片道二時間だろう。」
「にじかん…?よくわからないが…。運がいいことに、近くに知り合いがいてな。そいつに手紙を渡したんじゃ。すぐに帰ってこれてよかったぞ。店主殿、玉、なんの話をしておるのだ?」
「……もう少し帰ってくるのが遅くてもよかったんだぞ?」
「ふむ、邪魔ができたならよかった。それよりも、事件についてわかったか?」
そういう一郎さんに、見間違えってことじゃないんですかと聞くと、わしはそうは思っておらん。そう伝えたほうが、後々楽だからそう報告しただけだ。……と言った。
「やはり、犬もそう思うか。ただの阿呆ではなかったようだ。」
「まあな。前のように玉に偽装されるのは困る。気づいたら、爆薬をおき、暗殺を図った黒幕がいる、とわしから報告された、なんていわれたわしの気持ちがわかるか?気づいたらことが終わっていたんだからな。」
どういうこと!?と驚き玉藻前に小声で訴える。
「……ふむ。術が効きづらい人間だったか。これは誤算だな。」
「?なにかいったか、玉。」
「いや、本当にめんどくさい男だ、といっただけだ。……女、ここからはボロを出すなよ。完全なフォローができない。やつに妖怪のことがばれたら色々と不味いんだ。」
「わ、わかったわ。」
小声でこそこそと話すと、まだ秘め事か?と呆れられた。
「いい加減話せ。どうせ、事件についてなにかわかったのだろう?」
「……簡単に言えば、あの林になにかある、ということだ。」
そして、鬼などファンタジーなことなどは抜いて、ざっと今までのことを一郎さんに伝えた。
「さて、誰か、ということだが。
これは簡単だ、お前が話を聞いていた二人の女。それが犯人だ。」
二人の女…?
誰のことかしら、と記憶を呼び覚ます。
「酒場のか…?どういうことだ、玉。」
「おかしいと思わないか?宿に泊まってるんだ、観光だと思うだろう?しかし、観光にしてはこの村のことを詳しく知っていたな?ならば女中か?いや、子を抱いて仕事場にきやしないだろう。それに、あの宿にいた女中らと服がちがう。さて、知りすぎているという話だったな。たとえば…神社のこともそうだが、鬼火についても。まるで、鬼火は神社と繋がっている、そう印象を操作するような話し方をしていた。」
「……ふむ。」
顎をさすり、一郎さんは考え込んでいる。
「だが、村の人間ならばなぜ村の宿に泊まる?見たところ、あの女どもは肉付きが良い。抱かれた赤ん坊も、血色はよかった。家はあるだろう。そして、金もある。しかし、店主。お前は各地に旅をする商人の妻と思ったか?」
「えっ…。私は、村の人だと思ったわ…。なんというか、村に合った格好っていうのもあるけれど、違和感がなかったの。すごく、住み慣れた感じがあったわ。」
「そうか。だが、理由のいえないがちがう、という勘は大切だぞ。説明はできなくとも、村に観光にきてるのではない、という違和感を脳が感じ取っているのだからな。」
そのとき、一郎さんはまて玉、と声をあげた。
「ならば林に何があるというのだ?」
「それを確かめに神社に行くのではないか。」
一郎さんと二人揃って首をかしげた。
神社にはなにも住み着いていないのではなかったか。
 
 玉藻前に一郎さんと問い詰めながら話していると、いつのまにか神社についた。
「おい、犬。」
そう一郎さんにいい、ご神体の祭られているであろう社を指差す。一郎さんは、ため息をつきながら社の扉を開き…
「……どういうことだ?」
驚きの声をあげた。覗き込めば、そこにはなにもない。
「やはりな。おい、店主。ご神体は、大抵どんなものだ?」
「……神様が宿ってるもの?」
「刀や勾玉だな。だが、鏡も多いだろう。」
「そうだ、犬。店主は正解だがわたしの欲した答えとはちがったな。さて、ここには何が祭られていたと思う?」
そういわれ私は社を観察する。
蝋燭があって、なんか縄があって、花柄だろうか、そんな柄のついた固い欠片があって、……社の木の壁に、少し焦げたあとがあった。
「鏡だ。」
「まて、なぜ鏡だとわかる。」
「焦げあとがついているだろう?それに……。」
ちらり、と焦げあとを見て、一郎さんの首に手刀をした。どさり、と一郎さんが倒れ、小さく悲鳴がでてしまった。
「どうやらこの鏡の作り手は、この時代の人間ではないらしいな。ネットで調べてみたのだが、青銅を祭るのだ、通常は。だが、これはガラスなどでできた、凹凸のある、つまり、人の顔を少し拡大させる鏡だ。だから日光が反射して、ここが焦げている。そして、この花柄の欠片。この時代にあると思うか?」
ポップでおしゃれな柄……ないわね、現代っぽい。
「なら、なぜあるんだ?」
「そうよ、どうしてあるのよ……えっ?」
先程まで倒れていたはずの一郎さんが、立ち上がりこちらを見ていた。
「惜しかったな、玉。一般人には効いたかもしれんが、わしには少ししか効かんぞ。」
「そうよね、お坊ちゃんだものね……そんな訓練をするのね?暗殺回避訓練みたいな?」
「ヴンンンっ、ソウダッ!」
「声が裏返ってるぞ??」
あきれた顔をする玉藻前。というか、どこから聞かれていたのかしら。
「話しは聞かせて貰った。途中、ねっとだとか意味のわからない言葉があったが。
あいにく、わしはそういう魔物の類いを信じないのだが……店主が納得しているのなら、信じよう。胃袋を捕まれてしまったからな。」
「いいのか?鬼というあだ名がついている男がそんなので。」
「げっほげっほ!せきが……」
よほど病弱なのね、一郎さん。そんなことを思っていると、続きを話すぞといわれる。
「さて、ならば選択は二つ。ちがう時代から来た人間か」
ちらり、とこちらを見ていわれる。暗に、お前と似たような人間か、と言ってるのだ。一郎さんがいなければ、直接そういわれているだろう。
「時代を行き来できる魔物だ。まぁ、わたしはその線を押すがな。」
「なっ!?まて、なぜ人間の方と考えないのだ?いや、人間でも意味がわからん話だが…」
「人間の香りがせん。わたしは嗅覚もよいからな。どうせ、ここの神主がその魔物で、人間のフリをしていたということだろう。そして、何らかの理由で連れ去られた、または殺された。それを隠蔽するため社のものを、林にでも捨てたのであろう。」
「な、なら神社の噂は?」
「神社のご神体がなくなったことに気づかれないためだろう。まぁ、そもそもご神体ではなく、神主のコレクションボックスだったかもしれんがな。」
「これ…?なんだ、それは」
「要するに貯めたものをいれる箱だ。そして、どうやら……この事件が起きたのは、鬼火が最初にでた日だな。」
そこで、私は首をかしげる。鬼火と、このことは関係はあったのかしら、と。
「不思議そうだな。おおかた、鬼火と関係が、あるのか不思議なのだろうが。犬、お前はどう思う?」
「ふむ……なぜか。玉の性格からして、それは林にあるとでもいうのか?」
「正解だ。行くぞ。」

訳のわからぬまま、林につれてこられる。
「足元に気を付けろ、店主。蛇がでたら厄介だ。わしが守るつもりだが…。」
「つくづくこの女を口説かねば生きていけんのか犬は!うるさいことこの上ない、少しは黙っていろ!」
道中散々、一郎さんに守る、だとか玉よりもわしを頼れ、だとか言われた私は、どんな反応をすればいいのかわからなかった。
「今夜は月が綺麗だな。」
「犬、貴様本当にこの時代の人間だろうな??それは明治の夏目漱石だぞ?」
「メイジノナツメソウセキ?なんだそれは?ただ感想を言っただけだろう。店主殿をみていたら、なんだかそう言いたくなったんだ。それに、知り合いに伝言を頼んだ際に、店主殿について話したら、女にはこう言うのがいいと言われてな。それをふと思い出したんだ。」
「なぜ今っっ!?」
つい突っ込みをいれると、なぜと言われてもと言われてしまった。
「さて、林の中に入ったわけだが。奥になにか見えないか?」
玉藻前が、どこから出したのか松明を燃やし、林を照らす。
すると、なにかが奥で光った。
「っっ!?」 
一郎さんが、わたしをかばうように前にでた。
「わしが守る、命に変えてもな。だから、安心……」
「犬は親不孝ものだなぁ?そもそも、命に関わると思うか?」
そう言われ目を凝らしてよく見ると、それは反射の光のようだった。
「……あっ!鏡!」
そう、それは社の中にあったのだろう、花柄の丸い鏡だった。
「美しい……たしかに今の世にはない鏡だな。
……まて、ならば馬が立ち止まっていたのは、人間が恐怖で顔を歪ませたからか?わしの持つ馬も、人間の心情をよく理解しているような行動をするしな。」
「そうだ。」
そんな話をしていると、がさ、と音がした。そして、玉藻前と一郎さんが、いつのまにか私の目の前で刀を構えていた。
「っ!どういうことだ、玉!」
どこからか、槍が飛んでくる。
「もう一つこの林を隠している理由があったのだ。あれを見ろ!」
玉藻前の目線の先には、黒い宝石のような石があった。
「輝安石だ!!明治初期に初めて市之川鉱山で発見され、爪で簡単に傷がつくが、毒性をもち食中毒などで幾人も殺してきた石だ!!この弓矢の持ち手は、あの石をわたしたちにとられないためか、神社の秘密に気づいたからか、はたまた両方の理由で殺そうとしてきている!」
「だからメイジとはなんだ!!??」
そんなこといまはどうでもいい、と玉藻前は叫び、やはりあったか、ネットで調べて正解だったと言った。
そして、懐から丸い白い塊を5つ?6つ?たくさんもち、火をつけ、それをいろんな方向の地面へと投げた。
「けほっ!?」
思わず咳き込む。周囲が白い煙でおおわれたのだ。
「おい、捕まれ。」
そういわれ思わずなにかに捕まると、大きくはねあがる。そして、林の外へ降り立った。
「玉藻前!一郎さんは…!?」
「わたしたちがいると本領発揮できんからな。あとは任せて宿に戻るぞ。」
「ちょ、ちょちょ!!お坊ちゃんを置いてきぼりはダメでしょ!」
「やつは訓練している。あー、ナンダッタカ…?。そうだ、暗殺回避?訓練をな。そもそもお前が行っても足手まといだ。あとで恨み言は言われるかもしれんがな。先に宿に戻ることは煙幕の中伝えておいた。」
「いや、そもそもなんでそんなものもってたのよ!?」
「必要になるかと思ってな。安心しろ、作り方は簡単で、殺傷能力はない。三センチくらいの穴の空いたピンポン玉のなかに、ピンポン玉を刻んだものをいれ、アルミホイルを巻き、ストローを穴にさしたら完成だ。ストローの部分に火をつければ煙がでる。」
「いや科学的っ!!」
ついそう突っ込んでしまう。ふつうそこは妖術ではないのか。
玉藻前は小さいことはきにするな、作るのは楽しかったといい、宿へと向かっていく。私は、置いていかれないように小走りでついていった。
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