桃姫に捧げる帝の恋綴り

マカロン

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美男と野獣

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先ず、作戦の打ち合わせをすませた私たちは部屋を出て、騎士を探します。饅頭を食べさせるためには、不意を突いて口に詰め込む必要があるためです。

「くっ……なんだ……?噂されているのか?」

案外簡単に見つかりました。
くしゃみをしておりました。
不思議そうに首をかしげたあと、まわりに侍らせている狼立ちとともに廊下を進んでいきます。

「……佩芳、狼に彼守られてますよ。」
「大丈夫、狼だろうと犬っころの扱いは慣れてるから。」

彼はどこからか木の枝を取り出し、外へと投げます。狼は、主人などいなかったかのように夢中で追いかけていきました。

「⁉お、おいお前たち……⁉どこへ……⁉」

騎士は唖然とし、突然のこと過ぎて動けなかったようで、狼たちを静かに見送りました。

「……いまだよ!」

作戦通り、私は彼に麻酔銃を打ちます。体が大きいため、一部にしか麻酔は聞きませんが、四肢に打ち込めば、意識はあるのに腕も足も動かせなくなり、こちらのものです。

「っ……!!?」
「さぁ、おいしいおいしいお饅頭だよ~?」

倒れた彼は、本能で悟ったのか、口を断固として開こうとしません。なので、作戦B、
道中見つけた、掃除用のふさふさのモップで彼を擽ります。

「っ、ふ、はは!!くっ、やめ、はっはっは、やめろ……っ!!」

結構効く体質らしく、笑う彼の口に饅頭を詰め込みます。

「これがお前らのやり方かーーっっ!!」

その絶叫を最後に、彼の体はキラキラと光り、消えていきました。


「おわった……?」
「私もまだ食べていなかった桃饅頭ぅ……!!」

反応は、千差万別でした。佩芳はほっとし、私は悔いていたのです。

「華嵐!これで無事帰れるね!」
「……はぁ?」

晴れやかな笑みの彼に、さっきを飛ばし睨みます。

「え、だって倒したし……。」
「いや、私の目的の獲物は海の悪霊です。美男と野獣の鬼ではなく。それを倒さない限り、帰れないんですよっ!それと、なぜかいた桃姫を無事に保護しませんと!」
「あっ……そういえばそうじゃん。でも俺やっぱ命惜しくなってきたし、あんなホラーっぽいのにこれからも遭遇するなんて無理。俺は帰らせてもらおうか、な……。」
「帰らせませんよ。そもそも穴に落ちましたし帰り道は不明。森を進むしか選択肢はありません。少し、私も桃饅頭に過剰反応しましたが、たしかに帰ったときに出来立てをつくって貰えばいいことです。なかなか貴方も機転がきくではありませんか、海の悪霊退治して、彼女を捕獲しいる理由を聞き出すまで逃がしませんよ……!」
「いやぁぁぁ!!!?保護から捕獲になってるぅぅ!!」

佩芳は、未来を想像したのか、真っ青になりました。
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