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第三章:言葉が判らなくて感じる想いを。
初めて知る事のみ、でも考える事は一つのみ。
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もう私は全てに驚く。
チテア国の都市に入った瞬間から…
人の多さも驚いたけれど。
これが…
街!!
帝国でもない国…
更に他国の街に行った事すら…
それに今の私は…
もう見つめるだけだった。
「ユ、ユアナ?
ずっと…
ただ、見つめてるが…
一応…
俺も?
その、ユアナ?
多分?
気持ちは…
そうな、判らんでもない?
だが、流石に…
いや…
ユアナ?
おぉい、聞こえてるかぁ?」
ルドの声は聞こえてたけれど…
どうしても私は目が離せない。
可愛い!!
あんなに!!
これが本物の子狐!?
本で知ってる!!
でも…
動いてるだけでも…
凄く可愛い!!
ルドと街を見渡しながら歩いてた時。
なぜかガラス越しに居たのを見つけてから。
どうしても私は目が離せない…
「ルド…
本では知ってるの。
でも…
本物!!
あんなに可愛いの!?
どうして!?
ここに居るの?」
私は子狐を見ながら言う。
「そりゃ…
一応かぁ?
ユアナに判り易く言うならだが。
この家で住んでるっつうか…
単純に言うと…
家の住人と?
一緒に暮らしてんだろ。
だから、まぁ…
売り物でもねぇし?
いや、もし…
売られても俺すら困る?
ユアナにだと…
その子狐をかぁ?
養えねぇだろ?
勝手にと駄目だろ?」
私は驚いてルドを見ると。
少し複雑な顔をしてる?
それに…
一緒に暮らしてると!?
でも…
また子狐を見る。
確かに、あの子を…
「それは…
ルドの言う通りだと思う…
あの子も…
安心してる?
それに家族も一緒に居るなら…
あの子にも一番…
良いよね。」
私は子狐を見ながら言う。
どうにか首を横に振ってから…
ルドの方を見ると…
すぐにルドが笑い出した。
「もう…
はははははっ。
ヤベェ!?
ははははははは!!
どんだけ…
確かに?
そうなぁ…
まぁ、でも…
ははははははは!!
判り易いが…
街に入ってから…
ずっと…
ははははははっ。
めっちゃ笑う…
全部?
驚いてばっかなのにかぁ?
でも…
急にユアナが?
いきなり…
初めて走り出したからなぁ。
何事かと思えば…
子狐かよ!!
可愛いのは判るが…
一応かぁ?
俺すら驚いたし?
はははは…
俺が死ぬかも…
苦し…」
私はルドを見るけれど…
笑ってるのも確かに判る。
でも…
普段とも全く違う服装…
更にある薄い色付きのサングラス?
どうしても少し…
「ルドは…
街では必ずなの?
理由も聞いたけれど…」
私は思い出す。
ルドは一緒にチテア国の街に…
入ってから本当にだった。
すぐ真っ先に衣服店へ。
「ん、あぁ。
サングラスの事かぁ?
街っつうか…
場所でだなぁ?
服装だのは簡単だが。
俺の場合は瞳の色でかぁ?
目立つのを避ける時だけなぁ。
ユアナの場合は…
真っ先に髪がだろ。
だが、まぁ…
ユアナも判るっしょ?
単純に美貌だの、外見のみ?
そんなん、くだらねぇ理由でかぁ?
多くの人が集まってと?
もう正直に言えば…
邪魔!!
だったら、もう最初からだ。
めっちゃ面倒いし?
無駄な事に時間を使う?
クソつまんねぇ…」
微妙な顔でと…
ルドは頷きながら言ってくる。
それには私も納得しながら頷いた。
私は帽子をと、しっかりと被る。
今の私は…
チテア国の民族衣装とも全く違う…
普段着る様な服でもない。
ルドに渡された服を着たけれど。
周りの人を見ると…
少し私とルドを見る程度で…
確かに誰も集まったりしない。
でも…
「ねぇ、ルド?
民族衣装はチテア国の?
本でもあったけれど…
他の服装もと?
全員ではないの?」
「そりゃ簡単だぞぉ。
ユアナもだが。
本に記載されてる事。
そんなん大抵、過去の記録が多い。
今の民族衣装を着てる者達もだがな。
半数程度かぁ?
その半数も仕事用のみだろ。
普段着にと民族衣装を?
んなの、着てる奴も居ねぇよ。
ユアナに着て貰ってんのもかぁ?
充分、似合ってんぞぉ!!」
また私はルドを見ると…
いつもと同じで笑ってた。
「ルドは本当に凄いね!!
何でも知ってるの!?
この服は…
また少し…
不思議な感じに思うけれど?」
私は普段とも違う?
随分、厚手の生地は判る。
不思議に思いながら…
首を傾げてしまう。
シンプルな紺色のワンピースの様で…
でもベストも同じ紺色。
腰には銀色のベルトも?
白のレースも多い。
スカートも普通より長めで膝下。
また靴もブーツを?
花の刺繍すら多いけれど…
複雑な刺繍模様も。
胸元にある白いリボンも?
フサフサしてる?
肌の露出部分すらない…
更に大きめな赤いストール?
それに白い帽子もしてるけれど…
やっぱり…
白くてフサフサ?
また私はルドを見る。
ルドの服装も…
やっぱり黒でと統一感すら…
白いシャツに黒いベスト。
普通のスーツとも違う?
ベストには白の刺繍も多い…
更に赤い複雑な刺繍模様すらある。
使ってるボタンも多い?
普段よりも?
スッキリした印象すら受ける。
でも…
やっぱり…
明らかに違うサングラス…
それにルドは…
私が疑問に思う事にと。
街に来てからも、ずっと同じで…
すぐにルドがだった。
笑いながら教えてくれる。
また私が気になる部分。
どうしても触れてしまうけれど。
フサフサ…
首を傾げながら私が触ってると。
ルドが笑って言ってきた。
「ははは。
どうしても…
気になるのかぁ?
ユアナは本当に判り易い…
ははははっ。
だが、このチテア国はなぁ?
肌の露出は避けるべき事が普通だ。
気候の関係もあるが。
天候が崩れる時は一気にとだ!!
その上で地形の関係もあっかぁ?
肌を長時間となぁ?
特に白い肌のユアナなら…
単純に言えば…
露出してる部分は肌荒れするだけだし?
チテア国では黒や白でと。
落ち着いた印象の服が好まれる。
今の俺が着てるのも、そうだがなぁ。
この格好だったら、俺にはサングラス程度。
ユアナなら帽子と大きめなストールで充分!!
隠せるだけで誰も?
なんも?
思わねぇだけってなぁ!!
ユアナが気にしてるのは…
ウールで編まれてるからなぁ。
本程度でもユアナは知ってそうだが…
羊の毛だなぁ。
加工してと編まれて作ってんだ。
羊のウールも定期的にと。
だからチテア国では良く使う素材かぁ?」
笑いながらもルドは、私にと。
説明してくれるのもある。
私はルドの説明で…
本でもあった羊を思い浮かべる。
首を傾げながら私は想像もする。
「羊をと?
だったら…
羊も…
触れば…
こんなフサフサと?」
ルドは僅かにサングラスをズラして…
でも笑いながら言う。
「ははははは!!
似てるだろうなぁ?
一応、加工してるから…
全く同じではないだろうが?
触れば、まぁ…
そんな感じだろ!!
ははははははっ!!
ユアナは動物すらもか。
なるほど。
他の動物でも触れれば判る。
でも今日は先に宿の方だな。
それなりに大きな宿屋なら…
帝国の品もあっから。
ユアナの方が慣れてっかもなぁ!!
気楽に使えるぞぉ!!」
そんな様子のルドにと私も笑う。
帝国の…
物流でと?
でも…
それは…
私も考えれば判る事もある。
それに、ずっと…
私は気になってる事もあった。
更に宿…
しかも帝国からのと?
ルドを私は少し見て首を横に振ると…
急にルドは不思議そうな顔になった。
でも…
きっと…
私はルドを見れなくて下を向いた。
「ねぇ…
ルド?
私は…
お金を持ってないのにと…
服も、食事もと。
この街に来てからも…
全部ルドが…
お金を支払ってるのでしょう?
だから…
野宿で…」
言ってる途中でだった。
いきなり額にと。
軽い痛みと衝撃がきた。
思わず手で額を当てながら…
咄嗟に私はルドを見るけれど。
「ユアナ?
最初っから言ったぞぉ?
金なら問題ねぇって事をだ。」
ルドは微妙な顔でと言う。
それから片手の指を動かす仕草をした。
手で額を当てながら私は困惑する。
でも少しルドは笑う。
片手の人差し指だけを…
動かしながら言ってきた。
「俺はユアナにだぞぉ?
もう言ってたし?
たかが金?
俺には余裕ってなぁ?
大丈夫だって事もだが。
んな事を気にするぐれぇならかぁ?
先にユアナは学ぶ事、楽しむ事。
そっから考えてとだろ?
既にユアナが頑張ってのにとなぁ。
俺も知ってっし?
なんも?
気にすんなってぇの?
ちっとだけかぁ?
お仕置きのデコピンなぁ…」
先に学ぶ事と?
楽しむ事と?
それに…
お仕置き!?
ルドは人差し指を動かして笑う。
「かぁるく、俺が指でだが?
俺がユアナの額にだ!!
次にかぁ?
したら、まぁた。
お仕置きのデコピンだなぁ?
ちっと俺は甘くねぇぞぉ?
俺は娯楽好きだっつぅの。
楽しい時は徹底的にかぁ?
好きに楽しめ!!
でも、そん中でもだ!!
もうユアナは充分、今日!!
いや?
今すらだろ?
初めて知った事すら多い筈。
だったら、そうやって学んでんだよ!!
ただ、本を読んで学ぶだけ?
めっちゃ、つまんねぇし?
学ぶなら楽しい方がだ!!
すぐに覚えられんだろ?」
私は意味に気付いた。
さっきのは…
ルドからの!?
お仕置き!?
しかも…
あれすら指のみ!?
それに…
ルドの言う通り…
意味にと判って私も笑った。
「あははっ!!
ルドは優しいのにと?
楽しく覚える意味は判ったよ!!
それに…
あははっ。
楽しく学ぶと?
そう言う意味でと!?
考えた事もなかった!!」
「よっしゃ!!
ユアナは馬鹿じゃねぇし?
今だけでも学べたなぁ?
笑ってる方が良いってだ!!
俺は何度も言ってんだぞぉ?
今は楽しむ時間だし?
余計な心配すら必要ねぇよ!!」
ルドも嬉しそうに笑うのを見た。
私も嬉しくなる。
学んでると?
こんな学び方は…
また初めてだ!!
それからルドは宿の場所へと。
もう知ってる様に…
簡単に街を歩きながら笑う。
そして…
また私は驚く。
こんな…
えぇっ!?
宿って…
こんな大きい建物が!?
私は村みたいな…
家を想像してたけれど!?
全く違う!?
私が驚くとルドは…
また凄く笑った。
そのまま建物にと。
一緒に入るけれど…
もう私は…
何にも判らない感覚だった。
**************************
ルドの側にと私も着いて行く。
でも…
既に広い…
村なら広場ぐらいある場所でと…
働いてる人も多分?
他の人達も居る?
多く居る中でと何やら数人…
同じ服を着て働いてる?
そんな人達の居る場所にも…
カウンターみたいに?
こちら側からは入れない?
一応、国際語もあって読むと…
受付と?
ここで何を?
そこで私は更に驚いた。
ルドが口調も態度すら…
全く変えて話しかけるのも見てた。
「すまないが…
部屋は空いてるだろうか?
急に来る事になって探してる。
出来れば一番のが望ましい。」
私は何も言えず、見てると…
声をかけられた人がルドを。
更に私も僅かに見て、すぐに笑った。
「はい。
勿論、ご用意させて頂けます。
スイートとデラックスがございます。
広さのみでしたらスイートですが。
デラックスでも充分。
ご満足される事と思います。」
私は全く判らない…
でも…
「こちらとしては帝国式の方が望ましい。
同じならば女性向きをだろう?」
そうルドが言うと…
また私を数人が見てきた。
驚いて私は咄嗟にルドの背に隠れた。
ルドは僅かに動いたけれど…
「あぁ、申し訳ない。
人馴れをして居ない事もあってな。
私が全て対応しよう。」
私は動揺しかない。
ルドが!?
謝ってるの?
「いいえ、不躾にと失礼いたしました。
それでしたらスイートが…
ご満足して頂けると思います。
滞在期間も含めて予定はございますか?
本日からでも既に準備も整えております。」
「本日から頼もう。
滞在期間は未定だが…
こちらとしては全て問題すらない。」
「承知いたしました。
今から、ご案内も出来ます。」
「では、そのまま頼もう。」
また私は驚く。
何を?
ルドが頼むのにと?
相手の意味すら判らない?
ルドも周りの人も?
動き出す気配がすると…
凄く小さい声でだった。
「ユアナ。
もう少し…
何も心配すらないぞ?」
私は何も言えず…
どうにか…
もうルドの服すら…
掴みながらと…
着いて行くけれど。
部屋らしい場所に入った。
ルドの服は離して部屋の中を見る。
これは!!
明らかに!?
この部屋は…
広い!!
それに…
ベッドが一つしか!?
完全に私は困惑して動けなくなる。
でもルドが急に笑い出した。
「くっ…
もう…
はははははははっ!!
俺は限界!!
無理!!
もう笑う!!
駄目だ!!
ははははははっ!!
ヤベェ…
もう…
マジで…
我慢すら無理だろ!?
はははははははははっ!!
ユアナが…
スゲェ…
はははははははっ!!
めっちゃ…
判り易い!!
くっ…
はははははは…
腹が…
笑うだけ?
くっ…
俺が死にそう…
はははは…
苦し…」
そう言いながら…
すぐに大きいソファに倒れ込んだ。
私は僅かにしか言えない…
「ル、ルド?
あの…
えっと…
何が…」
先にルドはサングラスを外した。
それでも笑いを堪えてる様子でだった。
「もうなぁ?
ユアナが…
あんな…
完全にだろ?
スゲェ警戒してっし!?
はははははっ!!
俺が対応をかぁ?
変える前から…
すぐ判った…
受付のだろ?
やり取りすら既に…
まぁ、しゃあねえかぁ?
後、先に言うがなぁ?
ユアナはベッドだ。
俺はソファで充分だし?
判らん場所にゃ。
ユアナ一人に出来ねぇだろ?」
一応、私は…
同じ部屋な事は理解した。
でも…
「えっと…
ルド?
理由は多分…」
もう私は…
そこで急にルドが立ち上がった。
私を見てからルドは…
普通に笑って言ってきた。
「心配すんなぁ?
ゼスには言ってあんぞぉ?
ユアナも誤解は嫌だろ?
俺もかぁ?
されたかねぇしなぁ…
これは事前にだ。
俺は手を出す気も?
全くねぇし?
ちゃんと説明済みだ!!」
私は驚く。
「えぇっ!?
ゼスにと!?
もう?
でも…」
どうにか私も考えるけれど…
無理だった。
それにとルドが…
私に断言する様にだった。
急にハッキリと大きく言った。
「俺はユアナには一切だ!!
恋愛感情だけは全くねぇ!!
心配すら皆無!!」
「えっと…
うん?
心配すら皆無と?」
どうにか言う私にとルドは笑う。
それから私の前に来ると…
「悪りぃが、ユアナ?
俺が今からハッキリ。
更にキッパリ言う。
それはユアナ…
微妙になるかもだがなぁ?
先に言わせて貰うぞぉ?」
今からと?
私が微妙にと?
一応、私が頷くと…
ルドは目を閉じた。
そのままで大きくだった。
「俺はだ!!
子供相手には無理!!
正直、俺は年上が好み!!
更にユアナなら尚更!!
全く恋愛対象外!!」
そう言って目を開けたルドは…
微妙な顔で…
「悪りぃが…
ユアナ?
俺はなぁ…
お子ちゃまは?
抱けねぇ…」
私も意味には気付いた。
「な…
ルド!?
まさか…
私が子供だからと!?
そう見えるからと!?」
驚きながら私が言うと…
微妙な顔のままルドは…
ゆっくりと首を横に振りながら…
更にだった。
「そう…
ユアナ?
悪りぃがなぁ…
俺は8歳ぐれぇの子供に?
手を出せと?
どう頑張っても無理なぁ…」
もう私は完全に理解した。
だから首を横に振った。
「ルド!!
私を8歳にと!!
だがら恋愛対象外と!?
そんなに子供扱いだったの!!」
すぐにルドは笑い出した。
「はははははははっ!!
そうかも?
10歳でもねぇ?
でも…
くっ、はははははは!!
そりゃぁ、そうなる?
ちっこいし?
更にと?
そうなぁ…
豆料理すら?
苦手だからと?
んで…
コッソリと?
はははははははっ!!
バレバレで?
あんなん…
思い出すだけで笑える。
めっちゃ…
スゲェ…
もう完全にかぁ?
ははははははははっ!!
食べたくねぇと?
どんだけ?
はははははっ!!
お子ちゃま?
だっつうの…
くっ…
あれが、もう…
決定的だったなぁ…
はははははははっ!!」
私は最初も思い出す。
「あれからは食べてたよ!!
そう…
ルドが最初にと!?
だからゼスが毎日に!!
全部、ルドのせいでだよ!!」
あれだって全部!!
ルドなのに!?
もう私は微妙どころでもなかった。
すぐに近くのクッションを投げ付ける。
ルドは簡単に避けても笑ってた。
「ルド!!
私を子供扱いにと!?
ちゃんと勉強もしてた!!
それなのに…
8歳は酷い!!」
「悪りぃ…
ユアナ?
だから安心しろぉ?
俺は無理だ。
子守唄は判んねぇが。
ははははははははっ!!
そうなぁ…
俺が覚えなきゃ…
これは駄目かぁ?
くっ…
ははははっ!!
もう…
ユアナにと?
俺はなぁ…
年上好みだし?
尚更?
全く無理?
はははははははっ!!
だからユアナ?
落ち付けぇ?」
それから私とルドの攻防戦は…
結局…
私が疲れて負けた…
その後。
私も完全にルドは…
恋愛対象外の効果で!!
全く警戒すら止めた。
**************************
3日後の夜
相変わらず私は街で驚くばかり。
常にルドは笑いながら教えてくれた。
少し落ち着いたから…
判らないけれど。
ふとゼスが浮かぶ。
今頃…
ゼスは何をしてるの?
昼間は楽しく学ぶ事を。
夜は考える事を。
今は考える時間だからと。
私も考える。
ゼスからは動かないと…
でも…
私が考えた時。
ゼスに捨てられる事も浮かんだ。
それは!?
恐いのが…
ゼスの目より…
愛されなくなる事になってしまう。
ゼスは…
まだ怒ってる?
判らない…
今頃は、もう…
僅かに涙が浮かんだ。
すぐに拭う。
どうすれば判る?
どうにも判らず…
ベッドの上でと転がる。
ふと私は他の皆を考えた。
それから私が覚えてる人をと…
全部!!
思い出した時。
お兄様達は?
もっと会ってない?
でも…
私から帝国に行けない。
きっと迷惑にしか…
また考える。
もっと!!
私は目を閉じて転がる。
それでもゼスが浮かんでくる。
私は振り払おうとした時。
そのままベッドから落ちて頭を打った。
痛い…
「うぉい、ユアナ!?
どうやったら落ちんだ!!
こんだけデケェのにかぁ?」
慌てた様子の…
ルドの声だけは聞こえてた。
「ルド…
それは…
私にも?
判らないかも?」
少しクラクラするけれど…
どうにか私も起きる。
「一応、怪我はねぇよなぁ?
全く…
マジでかよ!?
どんだけ予想外すんだ?」
私は目を閉じたまま…
もう判らないと首を横に振る。
だったら…
「ルド?
判らないから…」
そのまま全部をと!!
私は…
「もう今から…
考える事すら全部を!!
言う事にする!!
私は判らないと?
何も判らないと?
やっぱり…
ただの馬鹿かも?
良くゼスも言うけれど?
私も馬鹿かも?
でもゼスは…
まだ怒ってるの?
今だって…
ルドが居なければ!!
私は何も出来てないのに?
だったら仕事を?
料理すら出来ない?
林檎の皮剥きも!?
あんなにゼスは簡単と!?
それすらと!?
皆は何をしてる?
全部、判らないのに?
あんなに私は…
早くも走れないのに!?
私はゼスの役に立ってない?
何も出来ないと?
最初にも!!
仮入団の時も!!
ゼスは言ってた!!
使えねぇと思う奴は要らねぇと!!
だから頑張ってるけれど?
何にも出来てない?
結局いつも?
皆が優しいからと?
ゼスも!!
今すらルドの優しさでと!!
お兄様達すら…
あんなに痛そうな顔を…
私のせいなのに!!
帝国にも戻れない!?
お兄様達が…
無事かも判らない!!
社交場に居ても何もない?
言われた様にと?
挨拶するだけで?
それに言われる言葉も?
全部が同じ?
だったら…
あんな社交場に?
行く意味も判らない?
それなのに?
今は…
どんなに私が頑張っても!!
ゼスを愛しても…
ゼスが怒って…
そのまま捨てられたら…
今は…
ルドが居るからと!?
もし…
ルドが居なかったら…」
もう涙が零れたけれど。
それでも私は続ける。
「今も!!
帝国でも!!
私は何も出来ない!?
何も変わらない!?
帝国では…
お兄様達がと!!
それからは…
ゼスがと!!
今すら…
ルドがと!!
だったら…
私に何があるの!!
お兄様達すら傷付けて?
そのままにと?
更に今度は…
ゼスを怒らせて?
そのまま…
私は捨てられたら…
何も意味すらない!!
愛し続ける事は出来る!!
願う事なら出来る!!
でも今まで…
ゼスに会うまで…
願いは叶った事すらない!!
どんなに頑張っても…
叶わないならと!!
忘れる事ばかりを…
した事も…」
もう…
「だったら最初から…
全て知ってたら…
最初から願わなかった!!
私が居る事でと…
皆を傷付けるだけなら!!
私は…」
「ユアナ!!
そっちは違うだろうがぁ!!」
私はルドの…
大きな声でと目を開けた。
ルドは目を閉じて…
首を横に振ってた。
目を開けたルドが…
複雑な顔でと…
**************************
一方、ルド。
ユアナが言う事にと。
すぐに理解もしていた。
だからこそ、気付いた。
そっちへと!?
考える事をしたら…
絶対に駄目だ!!
ユアナ!!
痛みが判る事もあった。
俺がだ!!
絶対に止めるんだと…
決めてんだろ!!
すぐにユアナにはだ!!
大きく言ってから…
ユアナが止まったのも判った。
すぐに考える。
ユアナが愛してるのは…
確実にゼスだ!!
そして今のユアナは…
目を開ける。
ユアナが泣いてる事にと…
また、すぐに涙も拭う。
こんなにも判らない顔で…
ユアナが頑張る理由も…
ゼスだ!!
俺は止める為にもだ!!
ならば…
「ユアナ…
今から言う事はだ。
俺の本心だ。
これはゼスにも…
他の誰にだろうが…
言わないでくれるか?」
僅かにユアナは俺を見てと…
瞳だけが揺らいだ事に気付く。
すぐだった。
「ルド!?
それは駄目だよ!!
今から言うのはルドが…
痛いのでしょう?」
動揺だけは隠した。
これはユアナが…
それすら洗脳でとかぁ!!
判らない事でと…
痛い事すら…
気付けねぇだと!?
それだけは…
絶対させねぇ!!
首を横に振る。
すぐに目も閉じる。
俺がだ…
ユアナには同じ事を!!
最善の言葉を!!
ユアナにだけ…
絶対、俺は…
させたかねぇんだ!!
ならば…
「ユアナ…
俺が痛い様にかぁ?
もし見えんならなぁ?
俺と同じ事だ。
今のユアナがだ!!
俺は痛そうに見えんだよ!!
そんなん俺はユアナだけを!!
痛くさせねぇ!!
それに俺はなぁ…
今まで、ずっとだ。
ユアナに会うまで…
ずっとだったと判ったんだ!!
だからこそ…
俺はユアナだけを!!
絶対に信じると。
これが俺の決めた事だ!!
そのユアナが痛いなら…
そんな事は…
絶対させたかねぇんだ!!」
「私が痛いと?
ルドには痛く見えたと?」
ユアナの声でと目を開ける。
それからユアナの…
また涙も拭う。
もう…
こんな傷だらけなのにと…
それすらも…
俺がと!!
「あぁ、そうだ。
ユアナがだ。
もう痛くて…
泣いてんじゃねぇかよ!!
涙の理由すら…
判らねぇぐらいにと…
俺よりもだ!!
ずっと痛いと…
今はユアナの心がだろ!!
既に泣いてんじゃねぇかぁ!!
真っ先にユアナがだろ?
俺に言った事だ!!
誤魔化してると。
ユアナに言われるまで…
俺は、ずっと…
俺自身でと!!
気付けなかった事をだ!!
それを教えてくれたのは…
ユアナだ!!
だからこそ、今のユアナが…
気付けねぇ理由も…
俺と同じだ!!
ユアナは痛くても…
痛い事すら…
判らねぇぐらいにとだ!!
ユアナ自身がだ!!
誤魔化してんだろうがぁ!?
そうしねぇと…
痛いからこそだ!!」
こんなにも…
痛みがあるのに…
それすら…
誤魔化させるかぁ!!
明らかに判らず…
痛みを隠すユアナにと…
俺が最善の言葉をだろうがぁ!!
そしてゼスならば…
ユアナをしっかりと見てから。
「なぁ、ユアナ?
ゼスはユアナをだ。
絶対、見捨てたりしねぇだろ?
あのゼスはなぁ…
どんな時もだ。
仲間を見捨てねぇ…
今のユアナはなぁ…
また痛みがくる事にだ!!
恐いと!!
俺には痛い事すら…
怯えてるのをだ!!
ユアナ自身が誤魔化そうと!!
そのユアナがなぁ…
もしゼスに捨てられんなら…
んなの俺がだ!!
何度でもだ!!
俺はユアナだけを信じたんだ!!
ユアナは俺を裏切らないと!!
それで俺はユアナにと…
救われたんだ!!
だったら…
そのユアナがだろ!?
ゼスを信じねぇのは…
変だろ!?」
ユアナが驚いた顔をしたが。
それでも僅かに…
笑うのを見た。
「ルド…
答えが出たよ。
私が出来る答えがあると…
それは信じる事だと。
私はルドを…
信じる事も変わらない。
同じ様に…
私もゼスを信じる事を。
それにね?
ルドが居るなら…
きっと…
ゼスが怒ってて…
捨てられても…
ルドがだと。
また私を裏切らないのも判る。」
俺は、また動揺のみを隠す。
な…
俺が…
俺が居るからだと!?
俺が裏切らない事にだと!?
ユアナは…
判らない筈なのに?
それでもだった。
ユアナは潤んだ瞳でも…
自然にと笑いながら…
「ルドは…
やっぱり…
少し私とルドはね。
似てる気がする…」
どうにか動揺のみ隠す。
俺みたいなクズに…
こんなにも…
優し過ぎるユアナがと!?
だが…
俺は…
違い過ぎるんだ!!
首を横に振る。
これだけは…
「ユアナ…
それは違うぞ?
ユアナはなぁ…
優し過ぎるんだ。
俺よりもなぁ?
だから余計に痛いんだ。
俺はユアナに救われた…
だったら今度は俺がだろ?
俺がユアナを救うのは…
当たり前だろ?」
俺が少し笑って言うと。
ユアナは眠そうに…
だが、明らかに笑うのも見てた。
「私が優しいと。
言うルドだって…
安心すら出来るぐらい…
優しいの…」
そのままユアナが眠るのを…
見てから俺は…
大きく息を吐き出す。
安心しきって寝てんなぁ…
そんなんだと…
俺すら…
ユアナを放っとけねぇよ…
少し眺めてからルドはユアナをと。
抱き上げてからベッドへ寝かせる。
これはユアナの…
癖だよなぁ…
安心すっと眠る癖を…
それを…
俺にもかよ?
なぁ、ユアナ…
さっきの言葉は…
俺はユアナにしか…
出せねぇ本心でもあんだぞ?
どんだけ…
本当に俺が救われてっか。
ユアナには…
判らねぇだろ?
安心して寝てるユアナを。
見てるとなぁ…
俺すら…
もう本気でユアナの為しか…
動きたくねぇよ?
切り替える為にと。
ルドは首を横に振る。
だからこそだろ!?
今の俺が出来る最善の為に!!
ルドは息を吐き出して…
更にと目を閉じて考える。
確かに時間を…
考える為にとしたが。
教える中でも判った。
物事を覚える早さ…
明らかにユアナの頭脳は…
高過ぎるんだ。
ただ、洗脳でと…
判らねぇ事にされてるだけだ!!
その上に感情も含まれる事。
知識のみじゃねぇ…
覚える中で感情すら同時にと。
ユアナは学ぶ様にして動く…
頭脳のみよりも単純。
これはユアナの性格だ。
考える時間でと。
ゼスが出した事への恐れ。
それは完全に消えた。
そしてユアナの出した答え…
ユアナは判らねぇが…
あんだけ不安になる程にと…
ユアナ自身すら愛されたいとだ!!
更に愛されたいと願う者…
ゼスだ!!
明らかに答えとしてゼスを。
だが…
そこから更にある事もだな?
さっきの言葉だ。
これは、どう予測しても…
ユアナ自身の問題じゃねぇな?
そもそも…
ゼスの直属は実力者しか居ねぇし?
俺に単独でなら皆は勝てねぇが…
連携されたら危うくなる程。
その上にゼス自身の…
実力差が違い過ぎる事もか。
そん中に居たからかぁ?
普通の基準すらズレたな。
後、気付いた事も…
これは初めてゼスがだろう。
予測ではあるが…
その際にと使った言葉。
保護する為にゼスが…
使った言葉だろう…
確かにユアナを普通にと…
団員にも出来ねぇし?
だから仮入団にと。
ユアナがハッキリと言ったが。
『使えねぇと思う奴は要らねぇと!!』
だから余計にか!!
これだと…
帝国の状態と…
今の現状さえ繋がっちまう!!
余計に厄介だ!!
でも今のユアナは…
もう自分自身でと答えを出した。
ゼスの性格も予測は出来る。
既に理解して確実にユアナを。
それなら俺が言動でと。
更に気を付けながら…
ユアナをゼスにが理想だ。
ゼスならば…
ユアナを…
いや、俺の予測すらしてる筈。
ユアナ自身を。
ここから先は俺がだな?
それから村に戻ってからは…
ゼスがだろう。
そうしなければ…
厄介なのはユアナに付き纏う。
ゼスが対策は出来る…
よなぁ!?
あんの馬鹿をかぁ!?
どうしてかユアナに関してのみ!!
判らねぇ事もねぇが?
たまに危ねぇからなぁ…
俺からしたら…
ゼスにと安心、出来ねぇぞ!?
ユアナ!?
**************************
一方、ゼス。
家に戻る事もなく。
広場からも動いてなかった。
感情に関してはユアナの笑顔を。
そうして抑え付ける。
目を閉じて右手を口元に当てる。
様々な予測もする。
それでも僅かに目を開ける。
右手首のミサンガにと…
僅かに触れて目を閉じて願う。
勿論、ゼスは通常通りにと。
報告や指示もしながらだった。
それが終わってからも…
ゼスは広場に居る事を変えず。
目を閉じてユアナを。
俺からユアナにとだ!!
一切、動けねぇが…
今は願いながら待つ事しか…
目を閉じてると。
すぐ団員の気配に気付く。
「首領…
食事だけでも。
あれから何も…」
それにも判るが…
「悪りぃな…
たかが3日だ。
俺ならば水だけで問題ない。」
目すら開けず気配のみを。
常にしていた。
団員が去る気配も判る。
俺の身体ならば…
全く問題ない。
それよりも…
ユアナ…
俺の唯一ある願いだ。
予測ならば…
ルドはユアナの安全も考える筈。
治安も良く、更に移動距離…
可能性は『チテア国』の都市。
だが、ユアナには…
帝国の状態も含め全てを知らん。
最悪、それを考えたら…
様々な予測をしながらも。
ゼスはユアナだけを待ち続けてた。
どうにかユアナの笑顔だけでと。
最初から一切、何も変えてなかった…
チテア国の都市に入った瞬間から…
人の多さも驚いたけれど。
これが…
街!!
帝国でもない国…
更に他国の街に行った事すら…
それに今の私は…
もう見つめるだけだった。
「ユ、ユアナ?
ずっと…
ただ、見つめてるが…
一応…
俺も?
その、ユアナ?
多分?
気持ちは…
そうな、判らんでもない?
だが、流石に…
いや…
ユアナ?
おぉい、聞こえてるかぁ?」
ルドの声は聞こえてたけれど…
どうしても私は目が離せない。
可愛い!!
あんなに!!
これが本物の子狐!?
本で知ってる!!
でも…
動いてるだけでも…
凄く可愛い!!
ルドと街を見渡しながら歩いてた時。
なぜかガラス越しに居たのを見つけてから。
どうしても私は目が離せない…
「ルド…
本では知ってるの。
でも…
本物!!
あんなに可愛いの!?
どうして!?
ここに居るの?」
私は子狐を見ながら言う。
「そりゃ…
一応かぁ?
ユアナに判り易く言うならだが。
この家で住んでるっつうか…
単純に言うと…
家の住人と?
一緒に暮らしてんだろ。
だから、まぁ…
売り物でもねぇし?
いや、もし…
売られても俺すら困る?
ユアナにだと…
その子狐をかぁ?
養えねぇだろ?
勝手にと駄目だろ?」
私は驚いてルドを見ると。
少し複雑な顔をしてる?
それに…
一緒に暮らしてると!?
でも…
また子狐を見る。
確かに、あの子を…
「それは…
ルドの言う通りだと思う…
あの子も…
安心してる?
それに家族も一緒に居るなら…
あの子にも一番…
良いよね。」
私は子狐を見ながら言う。
どうにか首を横に振ってから…
ルドの方を見ると…
すぐにルドが笑い出した。
「もう…
はははははっ。
ヤベェ!?
ははははははは!!
どんだけ…
確かに?
そうなぁ…
まぁ、でも…
ははははははは!!
判り易いが…
街に入ってから…
ずっと…
ははははははっ。
めっちゃ笑う…
全部?
驚いてばっかなのにかぁ?
でも…
急にユアナが?
いきなり…
初めて走り出したからなぁ。
何事かと思えば…
子狐かよ!!
可愛いのは判るが…
一応かぁ?
俺すら驚いたし?
はははは…
俺が死ぬかも…
苦し…」
私はルドを見るけれど…
笑ってるのも確かに判る。
でも…
普段とも全く違う服装…
更にある薄い色付きのサングラス?
どうしても少し…
「ルドは…
街では必ずなの?
理由も聞いたけれど…」
私は思い出す。
ルドは一緒にチテア国の街に…
入ってから本当にだった。
すぐ真っ先に衣服店へ。
「ん、あぁ。
サングラスの事かぁ?
街っつうか…
場所でだなぁ?
服装だのは簡単だが。
俺の場合は瞳の色でかぁ?
目立つのを避ける時だけなぁ。
ユアナの場合は…
真っ先に髪がだろ。
だが、まぁ…
ユアナも判るっしょ?
単純に美貌だの、外見のみ?
そんなん、くだらねぇ理由でかぁ?
多くの人が集まってと?
もう正直に言えば…
邪魔!!
だったら、もう最初からだ。
めっちゃ面倒いし?
無駄な事に時間を使う?
クソつまんねぇ…」
微妙な顔でと…
ルドは頷きながら言ってくる。
それには私も納得しながら頷いた。
私は帽子をと、しっかりと被る。
今の私は…
チテア国の民族衣装とも全く違う…
普段着る様な服でもない。
ルドに渡された服を着たけれど。
周りの人を見ると…
少し私とルドを見る程度で…
確かに誰も集まったりしない。
でも…
「ねぇ、ルド?
民族衣装はチテア国の?
本でもあったけれど…
他の服装もと?
全員ではないの?」
「そりゃ簡単だぞぉ。
ユアナもだが。
本に記載されてる事。
そんなん大抵、過去の記録が多い。
今の民族衣装を着てる者達もだがな。
半数程度かぁ?
その半数も仕事用のみだろ。
普段着にと民族衣装を?
んなの、着てる奴も居ねぇよ。
ユアナに着て貰ってんのもかぁ?
充分、似合ってんぞぉ!!」
また私はルドを見ると…
いつもと同じで笑ってた。
「ルドは本当に凄いね!!
何でも知ってるの!?
この服は…
また少し…
不思議な感じに思うけれど?」
私は普段とも違う?
随分、厚手の生地は判る。
不思議に思いながら…
首を傾げてしまう。
シンプルな紺色のワンピースの様で…
でもベストも同じ紺色。
腰には銀色のベルトも?
白のレースも多い。
スカートも普通より長めで膝下。
また靴もブーツを?
花の刺繍すら多いけれど…
複雑な刺繍模様も。
胸元にある白いリボンも?
フサフサしてる?
肌の露出部分すらない…
更に大きめな赤いストール?
それに白い帽子もしてるけれど…
やっぱり…
白くてフサフサ?
また私はルドを見る。
ルドの服装も…
やっぱり黒でと統一感すら…
白いシャツに黒いベスト。
普通のスーツとも違う?
ベストには白の刺繍も多い…
更に赤い複雑な刺繍模様すらある。
使ってるボタンも多い?
普段よりも?
スッキリした印象すら受ける。
でも…
やっぱり…
明らかに違うサングラス…
それにルドは…
私が疑問に思う事にと。
街に来てからも、ずっと同じで…
すぐにルドがだった。
笑いながら教えてくれる。
また私が気になる部分。
どうしても触れてしまうけれど。
フサフサ…
首を傾げながら私が触ってると。
ルドが笑って言ってきた。
「ははは。
どうしても…
気になるのかぁ?
ユアナは本当に判り易い…
ははははっ。
だが、このチテア国はなぁ?
肌の露出は避けるべき事が普通だ。
気候の関係もあるが。
天候が崩れる時は一気にとだ!!
その上で地形の関係もあっかぁ?
肌を長時間となぁ?
特に白い肌のユアナなら…
単純に言えば…
露出してる部分は肌荒れするだけだし?
チテア国では黒や白でと。
落ち着いた印象の服が好まれる。
今の俺が着てるのも、そうだがなぁ。
この格好だったら、俺にはサングラス程度。
ユアナなら帽子と大きめなストールで充分!!
隠せるだけで誰も?
なんも?
思わねぇだけってなぁ!!
ユアナが気にしてるのは…
ウールで編まれてるからなぁ。
本程度でもユアナは知ってそうだが…
羊の毛だなぁ。
加工してと編まれて作ってんだ。
羊のウールも定期的にと。
だからチテア国では良く使う素材かぁ?」
笑いながらもルドは、私にと。
説明してくれるのもある。
私はルドの説明で…
本でもあった羊を思い浮かべる。
首を傾げながら私は想像もする。
「羊をと?
だったら…
羊も…
触れば…
こんなフサフサと?」
ルドは僅かにサングラスをズラして…
でも笑いながら言う。
「ははははは!!
似てるだろうなぁ?
一応、加工してるから…
全く同じではないだろうが?
触れば、まぁ…
そんな感じだろ!!
ははははははっ!!
ユアナは動物すらもか。
なるほど。
他の動物でも触れれば判る。
でも今日は先に宿の方だな。
それなりに大きな宿屋なら…
帝国の品もあっから。
ユアナの方が慣れてっかもなぁ!!
気楽に使えるぞぉ!!」
そんな様子のルドにと私も笑う。
帝国の…
物流でと?
でも…
それは…
私も考えれば判る事もある。
それに、ずっと…
私は気になってる事もあった。
更に宿…
しかも帝国からのと?
ルドを私は少し見て首を横に振ると…
急にルドは不思議そうな顔になった。
でも…
きっと…
私はルドを見れなくて下を向いた。
「ねぇ…
ルド?
私は…
お金を持ってないのにと…
服も、食事もと。
この街に来てからも…
全部ルドが…
お金を支払ってるのでしょう?
だから…
野宿で…」
言ってる途中でだった。
いきなり額にと。
軽い痛みと衝撃がきた。
思わず手で額を当てながら…
咄嗟に私はルドを見るけれど。
「ユアナ?
最初っから言ったぞぉ?
金なら問題ねぇって事をだ。」
ルドは微妙な顔でと言う。
それから片手の指を動かす仕草をした。
手で額を当てながら私は困惑する。
でも少しルドは笑う。
片手の人差し指だけを…
動かしながら言ってきた。
「俺はユアナにだぞぉ?
もう言ってたし?
たかが金?
俺には余裕ってなぁ?
大丈夫だって事もだが。
んな事を気にするぐれぇならかぁ?
先にユアナは学ぶ事、楽しむ事。
そっから考えてとだろ?
既にユアナが頑張ってのにとなぁ。
俺も知ってっし?
なんも?
気にすんなってぇの?
ちっとだけかぁ?
お仕置きのデコピンなぁ…」
先に学ぶ事と?
楽しむ事と?
それに…
お仕置き!?
ルドは人差し指を動かして笑う。
「かぁるく、俺が指でだが?
俺がユアナの額にだ!!
次にかぁ?
したら、まぁた。
お仕置きのデコピンだなぁ?
ちっと俺は甘くねぇぞぉ?
俺は娯楽好きだっつぅの。
楽しい時は徹底的にかぁ?
好きに楽しめ!!
でも、そん中でもだ!!
もうユアナは充分、今日!!
いや?
今すらだろ?
初めて知った事すら多い筈。
だったら、そうやって学んでんだよ!!
ただ、本を読んで学ぶだけ?
めっちゃ、つまんねぇし?
学ぶなら楽しい方がだ!!
すぐに覚えられんだろ?」
私は意味に気付いた。
さっきのは…
ルドからの!?
お仕置き!?
しかも…
あれすら指のみ!?
それに…
ルドの言う通り…
意味にと判って私も笑った。
「あははっ!!
ルドは優しいのにと?
楽しく覚える意味は判ったよ!!
それに…
あははっ。
楽しく学ぶと?
そう言う意味でと!?
考えた事もなかった!!」
「よっしゃ!!
ユアナは馬鹿じゃねぇし?
今だけでも学べたなぁ?
笑ってる方が良いってだ!!
俺は何度も言ってんだぞぉ?
今は楽しむ時間だし?
余計な心配すら必要ねぇよ!!」
ルドも嬉しそうに笑うのを見た。
私も嬉しくなる。
学んでると?
こんな学び方は…
また初めてだ!!
それからルドは宿の場所へと。
もう知ってる様に…
簡単に街を歩きながら笑う。
そして…
また私は驚く。
こんな…
えぇっ!?
宿って…
こんな大きい建物が!?
私は村みたいな…
家を想像してたけれど!?
全く違う!?
私が驚くとルドは…
また凄く笑った。
そのまま建物にと。
一緒に入るけれど…
もう私は…
何にも判らない感覚だった。
**************************
ルドの側にと私も着いて行く。
でも…
既に広い…
村なら広場ぐらいある場所でと…
働いてる人も多分?
他の人達も居る?
多く居る中でと何やら数人…
同じ服を着て働いてる?
そんな人達の居る場所にも…
カウンターみたいに?
こちら側からは入れない?
一応、国際語もあって読むと…
受付と?
ここで何を?
そこで私は更に驚いた。
ルドが口調も態度すら…
全く変えて話しかけるのも見てた。
「すまないが…
部屋は空いてるだろうか?
急に来る事になって探してる。
出来れば一番のが望ましい。」
私は何も言えず、見てると…
声をかけられた人がルドを。
更に私も僅かに見て、すぐに笑った。
「はい。
勿論、ご用意させて頂けます。
スイートとデラックスがございます。
広さのみでしたらスイートですが。
デラックスでも充分。
ご満足される事と思います。」
私は全く判らない…
でも…
「こちらとしては帝国式の方が望ましい。
同じならば女性向きをだろう?」
そうルドが言うと…
また私を数人が見てきた。
驚いて私は咄嗟にルドの背に隠れた。
ルドは僅かに動いたけれど…
「あぁ、申し訳ない。
人馴れをして居ない事もあってな。
私が全て対応しよう。」
私は動揺しかない。
ルドが!?
謝ってるの?
「いいえ、不躾にと失礼いたしました。
それでしたらスイートが…
ご満足して頂けると思います。
滞在期間も含めて予定はございますか?
本日からでも既に準備も整えております。」
「本日から頼もう。
滞在期間は未定だが…
こちらとしては全て問題すらない。」
「承知いたしました。
今から、ご案内も出来ます。」
「では、そのまま頼もう。」
また私は驚く。
何を?
ルドが頼むのにと?
相手の意味すら判らない?
ルドも周りの人も?
動き出す気配がすると…
凄く小さい声でだった。
「ユアナ。
もう少し…
何も心配すらないぞ?」
私は何も言えず…
どうにか…
もうルドの服すら…
掴みながらと…
着いて行くけれど。
部屋らしい場所に入った。
ルドの服は離して部屋の中を見る。
これは!!
明らかに!?
この部屋は…
広い!!
それに…
ベッドが一つしか!?
完全に私は困惑して動けなくなる。
でもルドが急に笑い出した。
「くっ…
もう…
はははははははっ!!
俺は限界!!
無理!!
もう笑う!!
駄目だ!!
ははははははっ!!
ヤベェ…
もう…
マジで…
我慢すら無理だろ!?
はははははははははっ!!
ユアナが…
スゲェ…
はははははははっ!!
めっちゃ…
判り易い!!
くっ…
はははははは…
腹が…
笑うだけ?
くっ…
俺が死にそう…
はははは…
苦し…」
そう言いながら…
すぐに大きいソファに倒れ込んだ。
私は僅かにしか言えない…
「ル、ルド?
あの…
えっと…
何が…」
先にルドはサングラスを外した。
それでも笑いを堪えてる様子でだった。
「もうなぁ?
ユアナが…
あんな…
完全にだろ?
スゲェ警戒してっし!?
はははははっ!!
俺が対応をかぁ?
変える前から…
すぐ判った…
受付のだろ?
やり取りすら既に…
まぁ、しゃあねえかぁ?
後、先に言うがなぁ?
ユアナはベッドだ。
俺はソファで充分だし?
判らん場所にゃ。
ユアナ一人に出来ねぇだろ?」
一応、私は…
同じ部屋な事は理解した。
でも…
「えっと…
ルド?
理由は多分…」
もう私は…
そこで急にルドが立ち上がった。
私を見てからルドは…
普通に笑って言ってきた。
「心配すんなぁ?
ゼスには言ってあんぞぉ?
ユアナも誤解は嫌だろ?
俺もかぁ?
されたかねぇしなぁ…
これは事前にだ。
俺は手を出す気も?
全くねぇし?
ちゃんと説明済みだ!!」
私は驚く。
「えぇっ!?
ゼスにと!?
もう?
でも…」
どうにか私も考えるけれど…
無理だった。
それにとルドが…
私に断言する様にだった。
急にハッキリと大きく言った。
「俺はユアナには一切だ!!
恋愛感情だけは全くねぇ!!
心配すら皆無!!」
「えっと…
うん?
心配すら皆無と?」
どうにか言う私にとルドは笑う。
それから私の前に来ると…
「悪りぃが、ユアナ?
俺が今からハッキリ。
更にキッパリ言う。
それはユアナ…
微妙になるかもだがなぁ?
先に言わせて貰うぞぉ?」
今からと?
私が微妙にと?
一応、私が頷くと…
ルドは目を閉じた。
そのままで大きくだった。
「俺はだ!!
子供相手には無理!!
正直、俺は年上が好み!!
更にユアナなら尚更!!
全く恋愛対象外!!」
そう言って目を開けたルドは…
微妙な顔で…
「悪りぃが…
ユアナ?
俺はなぁ…
お子ちゃまは?
抱けねぇ…」
私も意味には気付いた。
「な…
ルド!?
まさか…
私が子供だからと!?
そう見えるからと!?」
驚きながら私が言うと…
微妙な顔のままルドは…
ゆっくりと首を横に振りながら…
更にだった。
「そう…
ユアナ?
悪りぃがなぁ…
俺は8歳ぐれぇの子供に?
手を出せと?
どう頑張っても無理なぁ…」
もう私は完全に理解した。
だから首を横に振った。
「ルド!!
私を8歳にと!!
だがら恋愛対象外と!?
そんなに子供扱いだったの!!」
すぐにルドは笑い出した。
「はははははははっ!!
そうかも?
10歳でもねぇ?
でも…
くっ、はははははは!!
そりゃぁ、そうなる?
ちっこいし?
更にと?
そうなぁ…
豆料理すら?
苦手だからと?
んで…
コッソリと?
はははははははっ!!
バレバレで?
あんなん…
思い出すだけで笑える。
めっちゃ…
スゲェ…
もう完全にかぁ?
ははははははははっ!!
食べたくねぇと?
どんだけ?
はははははっ!!
お子ちゃま?
だっつうの…
くっ…
あれが、もう…
決定的だったなぁ…
はははははははっ!!」
私は最初も思い出す。
「あれからは食べてたよ!!
そう…
ルドが最初にと!?
だからゼスが毎日に!!
全部、ルドのせいでだよ!!」
あれだって全部!!
ルドなのに!?
もう私は微妙どころでもなかった。
すぐに近くのクッションを投げ付ける。
ルドは簡単に避けても笑ってた。
「ルド!!
私を子供扱いにと!?
ちゃんと勉強もしてた!!
それなのに…
8歳は酷い!!」
「悪りぃ…
ユアナ?
だから安心しろぉ?
俺は無理だ。
子守唄は判んねぇが。
ははははははははっ!!
そうなぁ…
俺が覚えなきゃ…
これは駄目かぁ?
くっ…
ははははっ!!
もう…
ユアナにと?
俺はなぁ…
年上好みだし?
尚更?
全く無理?
はははははははっ!!
だからユアナ?
落ち付けぇ?」
それから私とルドの攻防戦は…
結局…
私が疲れて負けた…
その後。
私も完全にルドは…
恋愛対象外の効果で!!
全く警戒すら止めた。
**************************
3日後の夜
相変わらず私は街で驚くばかり。
常にルドは笑いながら教えてくれた。
少し落ち着いたから…
判らないけれど。
ふとゼスが浮かぶ。
今頃…
ゼスは何をしてるの?
昼間は楽しく学ぶ事を。
夜は考える事を。
今は考える時間だからと。
私も考える。
ゼスからは動かないと…
でも…
私が考えた時。
ゼスに捨てられる事も浮かんだ。
それは!?
恐いのが…
ゼスの目より…
愛されなくなる事になってしまう。
ゼスは…
まだ怒ってる?
判らない…
今頃は、もう…
僅かに涙が浮かんだ。
すぐに拭う。
どうすれば判る?
どうにも判らず…
ベッドの上でと転がる。
ふと私は他の皆を考えた。
それから私が覚えてる人をと…
全部!!
思い出した時。
お兄様達は?
もっと会ってない?
でも…
私から帝国に行けない。
きっと迷惑にしか…
また考える。
もっと!!
私は目を閉じて転がる。
それでもゼスが浮かんでくる。
私は振り払おうとした時。
そのままベッドから落ちて頭を打った。
痛い…
「うぉい、ユアナ!?
どうやったら落ちんだ!!
こんだけデケェのにかぁ?」
慌てた様子の…
ルドの声だけは聞こえてた。
「ルド…
それは…
私にも?
判らないかも?」
少しクラクラするけれど…
どうにか私も起きる。
「一応、怪我はねぇよなぁ?
全く…
マジでかよ!?
どんだけ予想外すんだ?」
私は目を閉じたまま…
もう判らないと首を横に振る。
だったら…
「ルド?
判らないから…」
そのまま全部をと!!
私は…
「もう今から…
考える事すら全部を!!
言う事にする!!
私は判らないと?
何も判らないと?
やっぱり…
ただの馬鹿かも?
良くゼスも言うけれど?
私も馬鹿かも?
でもゼスは…
まだ怒ってるの?
今だって…
ルドが居なければ!!
私は何も出来てないのに?
だったら仕事を?
料理すら出来ない?
林檎の皮剥きも!?
あんなにゼスは簡単と!?
それすらと!?
皆は何をしてる?
全部、判らないのに?
あんなに私は…
早くも走れないのに!?
私はゼスの役に立ってない?
何も出来ないと?
最初にも!!
仮入団の時も!!
ゼスは言ってた!!
使えねぇと思う奴は要らねぇと!!
だから頑張ってるけれど?
何にも出来てない?
結局いつも?
皆が優しいからと?
ゼスも!!
今すらルドの優しさでと!!
お兄様達すら…
あんなに痛そうな顔を…
私のせいなのに!!
帝国にも戻れない!?
お兄様達が…
無事かも判らない!!
社交場に居ても何もない?
言われた様にと?
挨拶するだけで?
それに言われる言葉も?
全部が同じ?
だったら…
あんな社交場に?
行く意味も判らない?
それなのに?
今は…
どんなに私が頑張っても!!
ゼスを愛しても…
ゼスが怒って…
そのまま捨てられたら…
今は…
ルドが居るからと!?
もし…
ルドが居なかったら…」
もう涙が零れたけれど。
それでも私は続ける。
「今も!!
帝国でも!!
私は何も出来ない!?
何も変わらない!?
帝国では…
お兄様達がと!!
それからは…
ゼスがと!!
今すら…
ルドがと!!
だったら…
私に何があるの!!
お兄様達すら傷付けて?
そのままにと?
更に今度は…
ゼスを怒らせて?
そのまま…
私は捨てられたら…
何も意味すらない!!
愛し続ける事は出来る!!
願う事なら出来る!!
でも今まで…
ゼスに会うまで…
願いは叶った事すらない!!
どんなに頑張っても…
叶わないならと!!
忘れる事ばかりを…
した事も…」
もう…
「だったら最初から…
全て知ってたら…
最初から願わなかった!!
私が居る事でと…
皆を傷付けるだけなら!!
私は…」
「ユアナ!!
そっちは違うだろうがぁ!!」
私はルドの…
大きな声でと目を開けた。
ルドは目を閉じて…
首を横に振ってた。
目を開けたルドが…
複雑な顔でと…
**************************
一方、ルド。
ユアナが言う事にと。
すぐに理解もしていた。
だからこそ、気付いた。
そっちへと!?
考える事をしたら…
絶対に駄目だ!!
ユアナ!!
痛みが判る事もあった。
俺がだ!!
絶対に止めるんだと…
決めてんだろ!!
すぐにユアナにはだ!!
大きく言ってから…
ユアナが止まったのも判った。
すぐに考える。
ユアナが愛してるのは…
確実にゼスだ!!
そして今のユアナは…
目を開ける。
ユアナが泣いてる事にと…
また、すぐに涙も拭う。
こんなにも判らない顔で…
ユアナが頑張る理由も…
ゼスだ!!
俺は止める為にもだ!!
ならば…
「ユアナ…
今から言う事はだ。
俺の本心だ。
これはゼスにも…
他の誰にだろうが…
言わないでくれるか?」
僅かにユアナは俺を見てと…
瞳だけが揺らいだ事に気付く。
すぐだった。
「ルド!?
それは駄目だよ!!
今から言うのはルドが…
痛いのでしょう?」
動揺だけは隠した。
これはユアナが…
それすら洗脳でとかぁ!!
判らない事でと…
痛い事すら…
気付けねぇだと!?
それだけは…
絶対させねぇ!!
首を横に振る。
すぐに目も閉じる。
俺がだ…
ユアナには同じ事を!!
最善の言葉を!!
ユアナにだけ…
絶対、俺は…
させたかねぇんだ!!
ならば…
「ユアナ…
俺が痛い様にかぁ?
もし見えんならなぁ?
俺と同じ事だ。
今のユアナがだ!!
俺は痛そうに見えんだよ!!
そんなん俺はユアナだけを!!
痛くさせねぇ!!
それに俺はなぁ…
今まで、ずっとだ。
ユアナに会うまで…
ずっとだったと判ったんだ!!
だからこそ…
俺はユアナだけを!!
絶対に信じると。
これが俺の決めた事だ!!
そのユアナが痛いなら…
そんな事は…
絶対させたかねぇんだ!!」
「私が痛いと?
ルドには痛く見えたと?」
ユアナの声でと目を開ける。
それからユアナの…
また涙も拭う。
もう…
こんな傷だらけなのにと…
それすらも…
俺がと!!
「あぁ、そうだ。
ユアナがだ。
もう痛くて…
泣いてんじゃねぇかよ!!
涙の理由すら…
判らねぇぐらいにと…
俺よりもだ!!
ずっと痛いと…
今はユアナの心がだろ!!
既に泣いてんじゃねぇかぁ!!
真っ先にユアナがだろ?
俺に言った事だ!!
誤魔化してると。
ユアナに言われるまで…
俺は、ずっと…
俺自身でと!!
気付けなかった事をだ!!
それを教えてくれたのは…
ユアナだ!!
だからこそ、今のユアナが…
気付けねぇ理由も…
俺と同じだ!!
ユアナは痛くても…
痛い事すら…
判らねぇぐらいにとだ!!
ユアナ自身がだ!!
誤魔化してんだろうがぁ!?
そうしねぇと…
痛いからこそだ!!」
こんなにも…
痛みがあるのに…
それすら…
誤魔化させるかぁ!!
明らかに判らず…
痛みを隠すユアナにと…
俺が最善の言葉をだろうがぁ!!
そしてゼスならば…
ユアナをしっかりと見てから。
「なぁ、ユアナ?
ゼスはユアナをだ。
絶対、見捨てたりしねぇだろ?
あのゼスはなぁ…
どんな時もだ。
仲間を見捨てねぇ…
今のユアナはなぁ…
また痛みがくる事にだ!!
恐いと!!
俺には痛い事すら…
怯えてるのをだ!!
ユアナ自身が誤魔化そうと!!
そのユアナがなぁ…
もしゼスに捨てられんなら…
んなの俺がだ!!
何度でもだ!!
俺はユアナだけを信じたんだ!!
ユアナは俺を裏切らないと!!
それで俺はユアナにと…
救われたんだ!!
だったら…
そのユアナがだろ!?
ゼスを信じねぇのは…
変だろ!?」
ユアナが驚いた顔をしたが。
それでも僅かに…
笑うのを見た。
「ルド…
答えが出たよ。
私が出来る答えがあると…
それは信じる事だと。
私はルドを…
信じる事も変わらない。
同じ様に…
私もゼスを信じる事を。
それにね?
ルドが居るなら…
きっと…
ゼスが怒ってて…
捨てられても…
ルドがだと。
また私を裏切らないのも判る。」
俺は、また動揺のみを隠す。
な…
俺が…
俺が居るからだと!?
俺が裏切らない事にだと!?
ユアナは…
判らない筈なのに?
それでもだった。
ユアナは潤んだ瞳でも…
自然にと笑いながら…
「ルドは…
やっぱり…
少し私とルドはね。
似てる気がする…」
どうにか動揺のみ隠す。
俺みたいなクズに…
こんなにも…
優し過ぎるユアナがと!?
だが…
俺は…
違い過ぎるんだ!!
首を横に振る。
これだけは…
「ユアナ…
それは違うぞ?
ユアナはなぁ…
優し過ぎるんだ。
俺よりもなぁ?
だから余計に痛いんだ。
俺はユアナに救われた…
だったら今度は俺がだろ?
俺がユアナを救うのは…
当たり前だろ?」
俺が少し笑って言うと。
ユアナは眠そうに…
だが、明らかに笑うのも見てた。
「私が優しいと。
言うルドだって…
安心すら出来るぐらい…
優しいの…」
そのままユアナが眠るのを…
見てから俺は…
大きく息を吐き出す。
安心しきって寝てんなぁ…
そんなんだと…
俺すら…
ユアナを放っとけねぇよ…
少し眺めてからルドはユアナをと。
抱き上げてからベッドへ寝かせる。
これはユアナの…
癖だよなぁ…
安心すっと眠る癖を…
それを…
俺にもかよ?
なぁ、ユアナ…
さっきの言葉は…
俺はユアナにしか…
出せねぇ本心でもあんだぞ?
どんだけ…
本当に俺が救われてっか。
ユアナには…
判らねぇだろ?
安心して寝てるユアナを。
見てるとなぁ…
俺すら…
もう本気でユアナの為しか…
動きたくねぇよ?
切り替える為にと。
ルドは首を横に振る。
だからこそだろ!?
今の俺が出来る最善の為に!!
ルドは息を吐き出して…
更にと目を閉じて考える。
確かに時間を…
考える為にとしたが。
教える中でも判った。
物事を覚える早さ…
明らかにユアナの頭脳は…
高過ぎるんだ。
ただ、洗脳でと…
判らねぇ事にされてるだけだ!!
その上に感情も含まれる事。
知識のみじゃねぇ…
覚える中で感情すら同時にと。
ユアナは学ぶ様にして動く…
頭脳のみよりも単純。
これはユアナの性格だ。
考える時間でと。
ゼスが出した事への恐れ。
それは完全に消えた。
そしてユアナの出した答え…
ユアナは判らねぇが…
あんだけ不安になる程にと…
ユアナ自身すら愛されたいとだ!!
更に愛されたいと願う者…
ゼスだ!!
明らかに答えとしてゼスを。
だが…
そこから更にある事もだな?
さっきの言葉だ。
これは、どう予測しても…
ユアナ自身の問題じゃねぇな?
そもそも…
ゼスの直属は実力者しか居ねぇし?
俺に単独でなら皆は勝てねぇが…
連携されたら危うくなる程。
その上にゼス自身の…
実力差が違い過ぎる事もか。
そん中に居たからかぁ?
普通の基準すらズレたな。
後、気付いた事も…
これは初めてゼスがだろう。
予測ではあるが…
その際にと使った言葉。
保護する為にゼスが…
使った言葉だろう…
確かにユアナを普通にと…
団員にも出来ねぇし?
だから仮入団にと。
ユアナがハッキリと言ったが。
『使えねぇと思う奴は要らねぇと!!』
だから余計にか!!
これだと…
帝国の状態と…
今の現状さえ繋がっちまう!!
余計に厄介だ!!
でも今のユアナは…
もう自分自身でと答えを出した。
ゼスの性格も予測は出来る。
既に理解して確実にユアナを。
それなら俺が言動でと。
更に気を付けながら…
ユアナをゼスにが理想だ。
ゼスならば…
ユアナを…
いや、俺の予測すらしてる筈。
ユアナ自身を。
ここから先は俺がだな?
それから村に戻ってからは…
ゼスがだろう。
そうしなければ…
厄介なのはユアナに付き纏う。
ゼスが対策は出来る…
よなぁ!?
あんの馬鹿をかぁ!?
どうしてかユアナに関してのみ!!
判らねぇ事もねぇが?
たまに危ねぇからなぁ…
俺からしたら…
ゼスにと安心、出来ねぇぞ!?
ユアナ!?
**************************
一方、ゼス。
家に戻る事もなく。
広場からも動いてなかった。
感情に関してはユアナの笑顔を。
そうして抑え付ける。
目を閉じて右手を口元に当てる。
様々な予測もする。
それでも僅かに目を開ける。
右手首のミサンガにと…
僅かに触れて目を閉じて願う。
勿論、ゼスは通常通りにと。
報告や指示もしながらだった。
それが終わってからも…
ゼスは広場に居る事を変えず。
目を閉じてユアナを。
俺からユアナにとだ!!
一切、動けねぇが…
今は願いながら待つ事しか…
目を閉じてると。
すぐ団員の気配に気付く。
「首領…
食事だけでも。
あれから何も…」
それにも判るが…
「悪りぃな…
たかが3日だ。
俺ならば水だけで問題ない。」
目すら開けず気配のみを。
常にしていた。
団員が去る気配も判る。
俺の身体ならば…
全く問題ない。
それよりも…
ユアナ…
俺の唯一ある願いだ。
予測ならば…
ルドはユアナの安全も考える筈。
治安も良く、更に移動距離…
可能性は『チテア国』の都市。
だが、ユアナには…
帝国の状態も含め全てを知らん。
最悪、それを考えたら…
様々な予測をしながらも。
ゼスはユアナだけを待ち続けてた。
どうにかユアナの笑顔だけでと。
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