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第二章 第四部 おかえり、ただいま
16 人だけを
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「まあ、あいつは相変わらずだよ」
トーヤが笑いながら言い、アランも、
「ほんとにね、トーヤから話を聞いてびっくりして、そんな立場だったらそりゃあなるかもってベルと笑いました」
「だよね」
そう言うのを聞いて、ダルも一緒になって笑う。
「そんで、好きなことやるって、トーヤ何をどう決めたんだ?」
アランがいつものように場を冷静に戻す。
「ああ、それな」
トーヤが明るく笑う。
「切るもんは決めた」
「は?」
とても口調とは違う内容にアランが固く答える。
「切るもんって」
「ああ、助けるのは人間だけだ」
「は?」
「おまえ、言っただろうが、小さいシャンタルをどうするって」
「ああ」
「神様は置いていく、次代様もな」
「な……」
アランが言葉を失った。
「あいつは俺らの仲間だからな、だから用事が終わったら連れていく。そんで、マユリアも用事が終わって、もしも助けてくれって言ったら助ける」
「って、そんじゃ残りはどうすんだよ!」
アランが抗議の口調になる。
「もちろんここに残ってもらうさ」
「ここにって、言っただろうが俺、こんなところに残してくのかって!」
「言ってたな」
「そんなひどいことよく言えたな!」
「ひどくなきゃいいんだろ?」
「どういうことだ」
アランがギロリとトーヤを睨む。
「トーヤ、なんのことだよ」
ダルが間でオロオロする。
「まあ、ダルには後でな」
そう言っておいてアランに言う。
「ひどくないようにすりゃいいんだろ?」
「それ、どういう」
「まあまあ、聞けよ」
すっかり今までのトーヤである。
「なんで置いていけねえと思ったかってとな、今の宮が前とは違うからだ。俺があいつ連れていけたのはな、後に残る人を信用したからだよ、だから戻ってくるって約束もできた」
「それはそうだな」
「だろ? だからな、そういう場所にしてやりゃいいんだよ。だったら神様だろうがちびだろうが、安心して置いていける、だろ?」
「いや、言うのは簡単だがな」
さすがにアランが呆れた顔になる。
「できんじゃねえかな。そのために俺は今ここにいる、って気がしてきたし」
すっきりした顔でトーヤは言う。
「どうやんだよ?」
「それはまあ、これから考えるさ」
「おい!」
さらに呆れたアランにトーヤが笑う。
「俺、何がなんだか分かんねえんだけど」
ダルは一人置いていかれたようで、話が分からない。
「いつまでもこの部屋にいるわけにもいかねえしなあ、どこからどう話すか。ダルが俺らの部屋に来られりゃ、いいんだが」
「あ、それだったらいい方法があるぜ」
「へ?」
「あのな、月虹隊にもな、奥様たちの事件どうなった、ってのもきてるんだよ」
ダルの話によると、「中の国」から来た奥様一行が襲われたこと、その後で宮に保護されたことを知った者が犯人が見つかったのか、一行は無事か、そういうことを聞いてくるのだという。
「だからな、一度話を聞きにいかなくちゃいけねえかな、って思ってたところだ」
「おお、ちょうどいいな」
ダルの任務の上でのことだとしたら、特に怪しまれることもないだろう。
「リルはアロさん経由で来られるかも知れねえとは思ったんだが、月虹兵もそういう役目があるんだな」
「うん。リルも多分大丈夫だと思うよ」
「でもなあ、リルは結婚して、旦那のこととかもあるんじゃねえのか? そういうことに首突っ込むのを嫌がるんじゃ」
「ああ、大丈夫。マルトはリルにぞっこんで、そんでしっかり尻に敷かれてるから」
「そうなのか!」
トーヤが大笑いする。
「マルトっていうのか、リルの旦那」
「うん、初代の月虹兵の一人でね、リルに一目惚れして、そんで口説いて口説いて口説いて口説きまくって口説き落としたんだよ」
「ほう!」
「私は宮の侍女ですから、そんなつまらぬ気持ちは捨ててお役目に務めてください! って、そりゃもう最初は冷たくさ、リル」
「へえ」
「それで、マルトがさ、なんてーのかな、ちょっとのんびりしてるっていうのか、めげないっていうのかで、言われても言われても全然諦めなくてさ、最後にはリルが負けたって感じ」
トーヤが腹を抱えてさらに大笑いした。
「そうか、なんとなく目に見えるようだな」
「だろ?」
「そのマルトって旦那か? なんとなくおまえに似てるような気もするな」
「え?」
「何年も何年もアミちゃん一筋でさ、最後にはとうとう嫁さんにしちまったじゃねえか」
「それはまあ、あれだよ、うん」
ダルが恥ずかしそうに肩を縮める。
「でもまあ、いくらそう見えても事が事だからな。リルに言うかどうかはもう少し様子見てからにするよ」
「そうか? まあ、俺の方はそんな感じだから、どうしようかなあ」
ダルがうーんと頭を捻り、
「明日にでも面会申し込むよ」
「そうか、そうしてくれ」
「えっと、アルロス号だったっけか、その船長」
「うん、ディレンな」
「まずその人に話を持ってくよ。そんで一緒に面会に来る。そんでいいかな」
「うん、そうしてくれたら助かる」
「そんじゃ一度帰ってその話してくるよ。トーヤが戻ってるってのでもしかしたらここに泊まるかもと思ってたけど、話は早い方がいいしな」
「だな、頼むな」
八年ぶりの親友に会って、あっという間に話が進むこととなった。
トーヤが笑いながら言い、アランも、
「ほんとにね、トーヤから話を聞いてびっくりして、そんな立場だったらそりゃあなるかもってベルと笑いました」
「だよね」
そう言うのを聞いて、ダルも一緒になって笑う。
「そんで、好きなことやるって、トーヤ何をどう決めたんだ?」
アランがいつものように場を冷静に戻す。
「ああ、それな」
トーヤが明るく笑う。
「切るもんは決めた」
「は?」
とても口調とは違う内容にアランが固く答える。
「切るもんって」
「ああ、助けるのは人間だけだ」
「は?」
「おまえ、言っただろうが、小さいシャンタルをどうするって」
「ああ」
「神様は置いていく、次代様もな」
「な……」
アランが言葉を失った。
「あいつは俺らの仲間だからな、だから用事が終わったら連れていく。そんで、マユリアも用事が終わって、もしも助けてくれって言ったら助ける」
「って、そんじゃ残りはどうすんだよ!」
アランが抗議の口調になる。
「もちろんここに残ってもらうさ」
「ここにって、言っただろうが俺、こんなところに残してくのかって!」
「言ってたな」
「そんなひどいことよく言えたな!」
「ひどくなきゃいいんだろ?」
「どういうことだ」
アランがギロリとトーヤを睨む。
「トーヤ、なんのことだよ」
ダルが間でオロオロする。
「まあ、ダルには後でな」
そう言っておいてアランに言う。
「ひどくないようにすりゃいいんだろ?」
「それ、どういう」
「まあまあ、聞けよ」
すっかり今までのトーヤである。
「なんで置いていけねえと思ったかってとな、今の宮が前とは違うからだ。俺があいつ連れていけたのはな、後に残る人を信用したからだよ、だから戻ってくるって約束もできた」
「それはそうだな」
「だろ? だからな、そういう場所にしてやりゃいいんだよ。だったら神様だろうがちびだろうが、安心して置いていける、だろ?」
「いや、言うのは簡単だがな」
さすがにアランが呆れた顔になる。
「できんじゃねえかな。そのために俺は今ここにいる、って気がしてきたし」
すっきりした顔でトーヤは言う。
「どうやんだよ?」
「それはまあ、これから考えるさ」
「おい!」
さらに呆れたアランにトーヤが笑う。
「俺、何がなんだか分かんねえんだけど」
ダルは一人置いていかれたようで、話が分からない。
「いつまでもこの部屋にいるわけにもいかねえしなあ、どこからどう話すか。ダルが俺らの部屋に来られりゃ、いいんだが」
「あ、それだったらいい方法があるぜ」
「へ?」
「あのな、月虹隊にもな、奥様たちの事件どうなった、ってのもきてるんだよ」
ダルの話によると、「中の国」から来た奥様一行が襲われたこと、その後で宮に保護されたことを知った者が犯人が見つかったのか、一行は無事か、そういうことを聞いてくるのだという。
「だからな、一度話を聞きにいかなくちゃいけねえかな、って思ってたところだ」
「おお、ちょうどいいな」
ダルの任務の上でのことだとしたら、特に怪しまれることもないだろう。
「リルはアロさん経由で来られるかも知れねえとは思ったんだが、月虹兵もそういう役目があるんだな」
「うん。リルも多分大丈夫だと思うよ」
「でもなあ、リルは結婚して、旦那のこととかもあるんじゃねえのか? そういうことに首突っ込むのを嫌がるんじゃ」
「ああ、大丈夫。マルトはリルにぞっこんで、そんでしっかり尻に敷かれてるから」
「そうなのか!」
トーヤが大笑いする。
「マルトっていうのか、リルの旦那」
「うん、初代の月虹兵の一人でね、リルに一目惚れして、そんで口説いて口説いて口説いて口説きまくって口説き落としたんだよ」
「ほう!」
「私は宮の侍女ですから、そんなつまらぬ気持ちは捨ててお役目に務めてください! って、そりゃもう最初は冷たくさ、リル」
「へえ」
「それで、マルトがさ、なんてーのかな、ちょっとのんびりしてるっていうのか、めげないっていうのかで、言われても言われても全然諦めなくてさ、最後にはリルが負けたって感じ」
トーヤが腹を抱えてさらに大笑いした。
「そうか、なんとなく目に見えるようだな」
「だろ?」
「そのマルトって旦那か? なんとなくおまえに似てるような気もするな」
「え?」
「何年も何年もアミちゃん一筋でさ、最後にはとうとう嫁さんにしちまったじゃねえか」
「それはまあ、あれだよ、うん」
ダルが恥ずかしそうに肩を縮める。
「でもまあ、いくらそう見えても事が事だからな。リルに言うかどうかはもう少し様子見てからにするよ」
「そうか? まあ、俺の方はそんな感じだから、どうしようかなあ」
ダルがうーんと頭を捻り、
「明日にでも面会申し込むよ」
「そうか、そうしてくれ」
「えっと、アルロス号だったっけか、その船長」
「うん、ディレンな」
「まずその人に話を持ってくよ。そんで一緒に面会に来る。そんでいいかな」
「うん、そうしてくれたら助かる」
「そんじゃ一度帰ってその話してくるよ。トーヤが戻ってるってのでもしかしたらここに泊まるかもと思ってたけど、話は早い方がいいしな」
「だな、頼むな」
八年ぶりの親友に会って、あっという間に話が進むこととなった。
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