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side高崎明翔
佐藤颯太とメロンパン
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「すげえ! 登録者数10人いった!」
「おおー! ついに来た2ケタ! やったね、ショタ!」
優と颯太がハイタッチで喜びを分かち合う。
動画チャンネルのお気に入り登録者10人って、すげーのか? そのうち、登録しろって半強制的にさせられた俺と深月と柳、自ら登録した優と颯太で半分は身内なんだけど。
昼休み、天気がいいから中庭でみんなで昼食をとる。
「颯太ってメロンパン好きだな。週に3日はそれ食ってない?」
「定期的に食べないと、胃がちっちゃくなって食べられなくなるかもしれないんだもんっ」
「え? どゆこと?」
「颯太は小食なんだよ。小学校の頃なんかこれ1個を4~5回に分けて食ってたからね。中2くらいまではいっぺんにこの大きさが食えなくて、食べ残しちゃあ丁寧に袋の上んとこ折り畳んでテープで留めて乾燥しないように工夫してたの」
この小さくってかわいい顔した颯太が、テープを取り出しておなかいっぱいで食えないメロンパンの袋にテープを貼る姿が想像される。
「かわいい……」
思わず颯太の頭をなでる。やめろ、と小声で手を振り払われる。
「颯太って時々コワイ顔するよなー」
「えっ? そんなことないよっ?」
あれ? ほんとだ、かわいいばっかで全然怖くないな。一瞬こわっと思ったのは気のせいだったか。
「5時間目体育かー。食ってすぐ体育ってやだなー」
「しかも今、マット運動だしねっ。回ったらメロンパン出そう」
「そこまで無理して食うなよ」
「俺これくらいなら一瞬で食っちゃうけどな」
「俺は男らしくたくさん食べれますアピールですか、カワイ子ちゃん」
「アピールするまでもなく俺食えちゃうから。たくさん食って大きくなれよ、チビッ子」
颯太とにらみ合う。颯太は小さいけど堂々としてて、ケンカも強いし身体能力も高くて張り合い甲斐がある。おもしろい。
「こらこら、やめなさいっての。まったく、明翔と颯太は仲いいんだから」
「牛乳買ってあるか、深月」
「あい、金は寄越せよ」
「あいあい」
「あい、毎度あり」
……身長175センチの俺でも見上げるくらい、深月は背が高い。なのに、時折見える舎弟感は何なんだろう。俺には幼なじみがいないからか、深月と颯太の関係性がいまだによく分からない。
「今日は前転後転のテストだよね。僕は足は速いけど体が固いからどれもできる気がしないよ」
「俺は開脚前転と後転ならできる。明翔でも伸脚前転後転はできねえもんな」
「お! 俺のこと見ててくれてたの?!」
「え、いや、うん、まあ。明翔でもできねえって珍しいから」
おー、深月が俺を見てくれてた。うれしいー。思わず笑っちゃう。でも、伸脚前転後転できないままはイヤだ! テストが終わったらマット運動が終わってしまう。
「颯太、伸脚前転後転できる?」
「できるよっ」
「よし、今から着替えて体育館に行こう! コツ教えてよ、颯太!」
「え? 今から? まだ昼休みだいぶ残ってんのに?」
「すぐできるようになるとは限らないだろ。できないまま終わるのがイヤなんだよ」
「それでこそ漢だ、明翔。ギリギリまであきらめない心。あがく根性。よし、行くか」
「行ってらっしゃい~」
「深月も行くんだよっ。深月もできないんでしょ!」
「ええー、俺も~?」
めんどくさそうにしながらも、毎度深月は颯太に付き合う。ほんと、このふたりの関係性って何なんだろ。
「おおー! ついに来た2ケタ! やったね、ショタ!」
優と颯太がハイタッチで喜びを分かち合う。
動画チャンネルのお気に入り登録者10人って、すげーのか? そのうち、登録しろって半強制的にさせられた俺と深月と柳、自ら登録した優と颯太で半分は身内なんだけど。
昼休み、天気がいいから中庭でみんなで昼食をとる。
「颯太ってメロンパン好きだな。週に3日はそれ食ってない?」
「定期的に食べないと、胃がちっちゃくなって食べられなくなるかもしれないんだもんっ」
「え? どゆこと?」
「颯太は小食なんだよ。小学校の頃なんかこれ1個を4~5回に分けて食ってたからね。中2くらいまではいっぺんにこの大きさが食えなくて、食べ残しちゃあ丁寧に袋の上んとこ折り畳んでテープで留めて乾燥しないように工夫してたの」
この小さくってかわいい顔した颯太が、テープを取り出しておなかいっぱいで食えないメロンパンの袋にテープを貼る姿が想像される。
「かわいい……」
思わず颯太の頭をなでる。やめろ、と小声で手を振り払われる。
「颯太って時々コワイ顔するよなー」
「えっ? そんなことないよっ?」
あれ? ほんとだ、かわいいばっかで全然怖くないな。一瞬こわっと思ったのは気のせいだったか。
「5時間目体育かー。食ってすぐ体育ってやだなー」
「しかも今、マット運動だしねっ。回ったらメロンパン出そう」
「そこまで無理して食うなよ」
「俺これくらいなら一瞬で食っちゃうけどな」
「俺は男らしくたくさん食べれますアピールですか、カワイ子ちゃん」
「アピールするまでもなく俺食えちゃうから。たくさん食って大きくなれよ、チビッ子」
颯太とにらみ合う。颯太は小さいけど堂々としてて、ケンカも強いし身体能力も高くて張り合い甲斐がある。おもしろい。
「こらこら、やめなさいっての。まったく、明翔と颯太は仲いいんだから」
「牛乳買ってあるか、深月」
「あい、金は寄越せよ」
「あいあい」
「あい、毎度あり」
……身長175センチの俺でも見上げるくらい、深月は背が高い。なのに、時折見える舎弟感は何なんだろう。俺には幼なじみがいないからか、深月と颯太の関係性がいまだによく分からない。
「今日は前転後転のテストだよね。僕は足は速いけど体が固いからどれもできる気がしないよ」
「俺は開脚前転と後転ならできる。明翔でも伸脚前転後転はできねえもんな」
「お! 俺のこと見ててくれてたの?!」
「え、いや、うん、まあ。明翔でもできねえって珍しいから」
おー、深月が俺を見てくれてた。うれしいー。思わず笑っちゃう。でも、伸脚前転後転できないままはイヤだ! テストが終わったらマット運動が終わってしまう。
「颯太、伸脚前転後転できる?」
「できるよっ」
「よし、今から着替えて体育館に行こう! コツ教えてよ、颯太!」
「え? 今から? まだ昼休みだいぶ残ってんのに?」
「すぐできるようになるとは限らないだろ。できないまま終わるのがイヤなんだよ」
「それでこそ漢だ、明翔。ギリギリまであきらめない心。あがく根性。よし、行くか」
「行ってらっしゃい~」
「深月も行くんだよっ。深月もできないんでしょ!」
「ええー、俺も~?」
めんどくさそうにしながらも、毎度深月は颯太に付き合う。ほんと、このふたりの関係性って何なんだろ。
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