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クラス対抗リレー、開幕
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クラス対抗リレーに勝てば、我が2年1組の優勝は確実である。
第一走者は佐藤颯太だ。小柄な颯太にいち早くスタンバイさせることで「あんなちびっ子ならお前でも勝てんじゃね? 走順変えるか」を誘発する狙いもあるが、単純に颯太は足が速いのでスタートダッシュで後続を断つと期待している。
狙い通り、5組の男子が颯太を見てメンバーを集め、相談を始めた。よしよし、5組撃沈決定。
あとは特に動きは見えねえが、見えないだけで作戦が成功している可能性は大いにある。
ピストルの音が響くと同時に颯太がロケットスタートを見せる。
「げ! あいつ超速い!」
と3組からどよめきが上がった。あなた方も走順を入れ替えたのですね。ありがとうございやーす!
かなりの差をつけて第二走者、モブ女生徒が走る。颯太が広げた差をやや縮められたが、他は男子ばかりなので充分な疾走を見せてくれたと言えよう。
そして第三走者もモブ女生徒である。こちらはやや遅いな。うちのクラスの女子で4番目、要はリレー走者8人の中で最も足が遅いのだから仕方がない。女子は半周だから、6周走る内の2周が早くも消化された。
現在2位の4組に抜かされ、3位の2組に追い付かれたところで柳龍二にバトンタッチ。第四走者に女子をもってきているクラスが多いおかげでまた1位に返り咲いた。
「1組やべえな。みんな速えええ」
「まだ一番早速いヤツ出してないからね、うち」
「やっぱりアンカー?」
「そうそう」
隣にいた名も知らぬ第七走者仲間がアンカーが固まっているグループを見る。
「え! 女子なの? 一番速いヤツって。あの子1組だろ」
「ぶわはは! まだ明翔のこと女だと思ってるヤツいたんだ。男だよ、男」
「男?! あ、でも言われてみれば男っぽい顔してるか」
「女だと思い込んでたのにそんな簡単に男に見えねえだろうよ」
俺なんか男だって理解してても、いまだに女に見えてるってのに。
「いや、女だと思い込んでたけど、あんなキレイな顔の男がいるワケないって感じだったからさ。男だと言われれば男に見えるよ」
「え、そうなの?」
あれ? なんで俺はいつまでも女にしか見えねえんだ?
「お! 行け!」
いきなり大声出すなよ、とリレーの展開を見ると、7組が1位で第六走者に、間を開けて続いたのは6組だ。
「3位まで落ちてんじゃん!」
「悪ぃが優勝はもらった!」
「お前7組か!」
「そうだ! 玉入れの借りは返させてもらう! あんな女の子みたいなヤツより遅いんじゃ、この差は詰められねえよ。残念だったな!」
言い捨てて早くもスタンバイに向かいやがる。くっそー、ムカつく! フレンドリーを装って情報を得ようとしていたのか!
あんなヤツに絶対負けない! ポッケの中のハンカチ様を握る。うんうん、熱くならずに、精一杯走ることだけ考えよう。
「1組!」
「はい!」
2位の6組との差は僅差だから、6組が1レーンに、俺は2レーンに待機する。
第六走者の女子が6組の男子に必死で食らいついてくれたおかげでそこまで差は広げられていない。
目一杯手を伸ばして加速をつけていく。バトンを受け取り、一気に全速力に乗せた。
第一走者は佐藤颯太だ。小柄な颯太にいち早くスタンバイさせることで「あんなちびっ子ならお前でも勝てんじゃね? 走順変えるか」を誘発する狙いもあるが、単純に颯太は足が速いのでスタートダッシュで後続を断つと期待している。
狙い通り、5組の男子が颯太を見てメンバーを集め、相談を始めた。よしよし、5組撃沈決定。
あとは特に動きは見えねえが、見えないだけで作戦が成功している可能性は大いにある。
ピストルの音が響くと同時に颯太がロケットスタートを見せる。
「げ! あいつ超速い!」
と3組からどよめきが上がった。あなた方も走順を入れ替えたのですね。ありがとうございやーす!
かなりの差をつけて第二走者、モブ女生徒が走る。颯太が広げた差をやや縮められたが、他は男子ばかりなので充分な疾走を見せてくれたと言えよう。
そして第三走者もモブ女生徒である。こちらはやや遅いな。うちのクラスの女子で4番目、要はリレー走者8人の中で最も足が遅いのだから仕方がない。女子は半周だから、6周走る内の2周が早くも消化された。
現在2位の4組に抜かされ、3位の2組に追い付かれたところで柳龍二にバトンタッチ。第四走者に女子をもってきているクラスが多いおかげでまた1位に返り咲いた。
「1組やべえな。みんな速えええ」
「まだ一番早速いヤツ出してないからね、うち」
「やっぱりアンカー?」
「そうそう」
隣にいた名も知らぬ第七走者仲間がアンカーが固まっているグループを見る。
「え! 女子なの? 一番速いヤツって。あの子1組だろ」
「ぶわはは! まだ明翔のこと女だと思ってるヤツいたんだ。男だよ、男」
「男?! あ、でも言われてみれば男っぽい顔してるか」
「女だと思い込んでたのにそんな簡単に男に見えねえだろうよ」
俺なんか男だって理解してても、いまだに女に見えてるってのに。
「いや、女だと思い込んでたけど、あんなキレイな顔の男がいるワケないって感じだったからさ。男だと言われれば男に見えるよ」
「え、そうなの?」
あれ? なんで俺はいつまでも女にしか見えねえんだ?
「お! 行け!」
いきなり大声出すなよ、とリレーの展開を見ると、7組が1位で第六走者に、間を開けて続いたのは6組だ。
「3位まで落ちてんじゃん!」
「悪ぃが優勝はもらった!」
「お前7組か!」
「そうだ! 玉入れの借りは返させてもらう! あんな女の子みたいなヤツより遅いんじゃ、この差は詰められねえよ。残念だったな!」
言い捨てて早くもスタンバイに向かいやがる。くっそー、ムカつく! フレンドリーを装って情報を得ようとしていたのか!
あんなヤツに絶対負けない! ポッケの中のハンカチ様を握る。うんうん、熱くならずに、精一杯走ることだけ考えよう。
「1組!」
「はい!」
2位の6組との差は僅差だから、6組が1レーンに、俺は2レーンに待機する。
第六走者の女子が6組の男子に必死で食らいついてくれたおかげでそこまで差は広げられていない。
目一杯手を伸ばして加速をつけていく。バトンを受け取り、一気に全速力に乗せた。
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