21 / 81
成績表にある序列
しおりを挟む
白いタンクトップ姿の担任が全員に中間テストの成績表を配り終え、教卓に立つ。
「各自反省点を考えて、期末に活かすように!」
……軽く死ねた……。
欠点がなかっただけ良かったけど、真面目な生徒の多いこの聖天坂高校ではそれくらいじゃ成績は下の中である。
クラス内順位、37人中32位ですって。
学年順位、250人中222位……まあ、まだ下に30人近くいるワケだし?
「すっげー、ゾロ目じゃん。ツーツーツー」
「うわ!」
いつの間にかチャイムが鳴っていたらしい。前の席の高崎明翔が振り返って俺の成績表をのぞき込んでいる。
「俺のだけ見るとかずるいだろ! 明翔も見せろよ」
人のことは言えないが、明翔もたいして勉強してなさそう。元々2割は完全にやらないって言ってたし。
だいたい、スポーツ万能なヤツは頭バカなもんだし。
「クラス内2位?! え、明翔頭いいの?!」
「時事問題をヤマ外したんだよなあー。あれが当たってりゃ1位だったかもしんないのに、悔しいー」
こいつ、クイズ番組感覚でこの成績かよ……ムカつく。
「明翔が2位かー。俺3位だよ。何点差だったのかなあ?」
「成績表見せてよ、颯太。お、やべー総合得点8点しか違わねえ」
「よーし、次は勝つ!」
颯太も相変わらず頭いい……力で兄姉に勝てない颯太は勉強をがんばり、末っ子でありながら佐藤家の頭脳として家族の中の立ち位置を築いている。
「1位誰だったんだろうねっ?」
「僕だよ」
ひらひらと成績表をたなびかせながら柳龍二がイケメンフェイスに笑みを浮かべてやってくる。ムカつく。パンツ王子のくせに。
おおー、と明翔が拍手を送る。
「やっぱ伊達に学級委員長なワケじゃねえんだな」
「別に成績で選ばれるものでもないけどねっ」
「佐藤くん、あんなに強いのに勉強もできるなんてすごいね」
「柳こそ、こんなチャラくさい見た目しててもちゃんと勉強してるんだね。ちょっと見直したよ」
「ほんと?! がんばって良かったよ、僕!」
成績上位者の方々はごきげんさんでよろしゅうおすなあ。あー、ムカつく。
「なあ、テストも終わったしリレーの走順決めようぜ!」
明翔は切り替え早えな。春の体育大会の花形、最終種目リレーでは男女混合で、男子4人女子4人が走る。男女ともスポーツテストの50メートル走が速い順で選出した。
「ていうか、深月以外足速いメンバーがまんま成績も良かったんだね」
「え?」
俺、明翔、颯太、柳が顔を見合わせる。
「その発言は学級委員長として看過できないな。いくら呂久村くんがぼんやりした顔をしているからって、成績が悪いと決めつけるのは良くないよ、佐藤くん」
キリっと厳しく柳が颯太に注意する。オイ、誰の顔がどうだって?
「俺幼なじみだから深月が成績悪いの知ってるんだけど」
「ああ、そうか。事実呂久村くんは成績が悪いんだね。早とちりしてごめんね、佐藤くん」
「うん、いいよっ」
「俺には詫びなしかよ!」
「え? 実際成績悪かったんじゃないの?」
「悪かったよ」
「何を詫びることがあると言うんだい?」
「う……」
ムカつく! 柳ムカつく!
なんでこんな澄んだ瞳でまっすぐ見つめてくるんだよ!
明翔がニコニコ笑って俺の肩を叩く。
「まあまあ、安心しろよ、深月。深月が頭悪いからって仲間はずれにしたりなんかしねえからさ!」
「追い打ちやめろ!」
昨日まで俺けっこうデカい口叩いてた気がするのに、なんかこの成績表のせいで俺の序列が下がった気がする!
しょーがねえじゃん、俺そもそも高校受験でこの高校に合格したのが奇跡みたいなもんだったんだから!
「各自反省点を考えて、期末に活かすように!」
……軽く死ねた……。
欠点がなかっただけ良かったけど、真面目な生徒の多いこの聖天坂高校ではそれくらいじゃ成績は下の中である。
クラス内順位、37人中32位ですって。
学年順位、250人中222位……まあ、まだ下に30人近くいるワケだし?
「すっげー、ゾロ目じゃん。ツーツーツー」
「うわ!」
いつの間にかチャイムが鳴っていたらしい。前の席の高崎明翔が振り返って俺の成績表をのぞき込んでいる。
「俺のだけ見るとかずるいだろ! 明翔も見せろよ」
人のことは言えないが、明翔もたいして勉強してなさそう。元々2割は完全にやらないって言ってたし。
だいたい、スポーツ万能なヤツは頭バカなもんだし。
「クラス内2位?! え、明翔頭いいの?!」
「時事問題をヤマ外したんだよなあー。あれが当たってりゃ1位だったかもしんないのに、悔しいー」
こいつ、クイズ番組感覚でこの成績かよ……ムカつく。
「明翔が2位かー。俺3位だよ。何点差だったのかなあ?」
「成績表見せてよ、颯太。お、やべー総合得点8点しか違わねえ」
「よーし、次は勝つ!」
颯太も相変わらず頭いい……力で兄姉に勝てない颯太は勉強をがんばり、末っ子でありながら佐藤家の頭脳として家族の中の立ち位置を築いている。
「1位誰だったんだろうねっ?」
「僕だよ」
ひらひらと成績表をたなびかせながら柳龍二がイケメンフェイスに笑みを浮かべてやってくる。ムカつく。パンツ王子のくせに。
おおー、と明翔が拍手を送る。
「やっぱ伊達に学級委員長なワケじゃねえんだな」
「別に成績で選ばれるものでもないけどねっ」
「佐藤くん、あんなに強いのに勉強もできるなんてすごいね」
「柳こそ、こんなチャラくさい見た目しててもちゃんと勉強してるんだね。ちょっと見直したよ」
「ほんと?! がんばって良かったよ、僕!」
成績上位者の方々はごきげんさんでよろしゅうおすなあ。あー、ムカつく。
「なあ、テストも終わったしリレーの走順決めようぜ!」
明翔は切り替え早えな。春の体育大会の花形、最終種目リレーでは男女混合で、男子4人女子4人が走る。男女ともスポーツテストの50メートル走が速い順で選出した。
「ていうか、深月以外足速いメンバーがまんま成績も良かったんだね」
「え?」
俺、明翔、颯太、柳が顔を見合わせる。
「その発言は学級委員長として看過できないな。いくら呂久村くんがぼんやりした顔をしているからって、成績が悪いと決めつけるのは良くないよ、佐藤くん」
キリっと厳しく柳が颯太に注意する。オイ、誰の顔がどうだって?
「俺幼なじみだから深月が成績悪いの知ってるんだけど」
「ああ、そうか。事実呂久村くんは成績が悪いんだね。早とちりしてごめんね、佐藤くん」
「うん、いいよっ」
「俺には詫びなしかよ!」
「え? 実際成績悪かったんじゃないの?」
「悪かったよ」
「何を詫びることがあると言うんだい?」
「う……」
ムカつく! 柳ムカつく!
なんでこんな澄んだ瞳でまっすぐ見つめてくるんだよ!
明翔がニコニコ笑って俺の肩を叩く。
「まあまあ、安心しろよ、深月。深月が頭悪いからって仲間はずれにしたりなんかしねえからさ!」
「追い打ちやめろ!」
昨日まで俺けっこうデカい口叩いてた気がするのに、なんかこの成績表のせいで俺の序列が下がった気がする!
しょーがねえじゃん、俺そもそも高校受験でこの高校に合格したのが奇跡みたいなもんだったんだから!
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
ボクに構わないで
睡蓮
BL
病み気味の美少年、水無月真白は伯父が運営している全寮制の男子校に転入した。
あまり目立ちたくないという気持ちとは裏腹に、どんどん問題に巻き込まれてしまう。
でも、楽しかった。今までにないほどに…
あいつが来るまでは…
--------------------------------------------------------------------------------------
1個目と同じく非王道学園ものです。
初心者なので結構おかしくなってしまうと思いますが…暖かく見守ってくれると嬉しいです。
プロデューサーの勃起した乳首が気になって打ち合わせに集中できない件~試される俺らの理性~【LINE形式】
あぐたまんづめ
BL
4人の人気アイドル『JEWEL』はプロデューサーのケンちゃんに恋してる。だけどケンちゃんは童貞で鈍感なので4人のアプローチに全く気づかない。思春期の女子のように恋心を隠していた4人だったが、ある日そんな関係が崩れる事件が。それはメンバーの一人のLINEから始まった。
【登場人物】
★研磨…29歳。通称ケンちゃん。JEWELのプロデューサー兼マネージャー。自分よりJEWELを最優先に考える。仕事一筋だったので恋愛にかなり疎い。童貞。
★ハリー…20歳。JEWELの天然担当。容姿端麗で売れっ子モデル。外人で日本語を勉強中。思ったことは直球で言う。
★柘榴(ざくろ)…19歳。JEWELのまとめ役。しっかり者で大人びているが、メンバーの最年少。文武両道な大学生。ケンちゃんとは義兄弟。けっこう甘えたがりで寂しがり屋。役者としての才能を開花させていく。
★琥珀(こはく)…22歳。JEWELのチャラ男。ヤクザの息子。女たらしでホストをしていた。ダンスが一番得意。
★紫水(しすい)…25歳。JEWELのお色気担当。歩く18禁。天才子役として名をはせていたが、色々とやらかして転落人生に。その後はゲイ向けAVのネコ役として活躍していた。爽やかだが腹黒い。
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました
及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。
※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる