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初めての会話
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「あ! 転校生!」
渡さんは、階段のてっぺんの踊り場でちゃぶ台のような台にお弁当を広げ、スマホを手にしている。
「何してんの? こんなとこで?」
運命の人は、僕のイメージに反して、ぶっきらぼうなしゃべり方をした。
「あ、屋上は出られないよ。鍵かかってるから」
屋上?
「あ、この向こうが屋上なの?」
は、初めての会話が、ついに実現だ!!!!
なんてことだ。
なんてことだ!!
ドキドキドキドキと、鼓動が速い。
「声ちっちゃ! あんなでかい声で返事してたのに!」
渡さんが笑っている。
ああ、やはりこの人は運命の人だ。
なんて屈託のない、可憐な笑顔なんだ!!
しゃべり方なんてイメージとかけ離れていていい。
この数時間で築き上げた程度の僕のイメージなんて、いくらでも崩してくれ!
「あれ? お弁当?」
僕の手のお弁当を指差す。
「え……あ……うん」
これは、どう見てもお弁当だ。
なかなかリアルな犬のイラストの、ランチバッグを僕は持っていた。
ドキドキドキドキと何も考えられない状況で、どうにもごまかせない。
渡さんが台に広げていたお弁当を、自分の方に引き寄せる。
「一緒に食べよーよ」
「えぇ?! いいの?!」
嬉しい!
嬉しすぎる!!
僕もお弁当をランチバッグから取り出して台に置き、フタを開けた。
お母さんは、気合いを入れてお弁当を作ってくれたようだ。
ハンバーグ、から揚げ、ミートボール、チキン南蛮、しょうが焼き、切り干し大根の炊いたやつ、小松菜の和え物、里芋の煮っころがし、たまご焼き。
もはや、何弁当なのか名前が付けられない内容だ。大渋滞だ。
「すごい! なにこれ、超豪華じゃん!!」
渡さんが驚いている。
ああ、目があんなに大きく開くのか、かわいいなあ……。
「私のおかずと交換してよ! 全部私がチンしただけの冷凍食品だけど!」
ポイポイと自分のお弁当箱から、僕のお弁当箱のフタにおかずを置いていく。
渡さんが、チンしたおかずだ!!
なんてことだ。
運命とは、こんなにも展開が早いのか!
彼女の手料理が、もう食べられるなんて!!
「どれから食べようかな~」
自分のおかずを全て移し、僕のお弁当をじーっと見ている。
え? もしかして、全部のおかずを食べる気?
「うわー迷うー! 全部大好きなおかずばっかだ!」
「ほんと?! 全部食べて! 全部!!」
大好き……大好き!!
大好きですって!!!!
渡さんは、階段のてっぺんの踊り場でちゃぶ台のような台にお弁当を広げ、スマホを手にしている。
「何してんの? こんなとこで?」
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屋上?
「あ、この向こうが屋上なの?」
は、初めての会話が、ついに実現だ!!!!
なんてことだ。
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ドキドキドキドキと、鼓動が速い。
「声ちっちゃ! あんなでかい声で返事してたのに!」
渡さんが笑っている。
ああ、やはりこの人は運命の人だ。
なんて屈託のない、可憐な笑顔なんだ!!
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この数時間で築き上げた程度の僕のイメージなんて、いくらでも崩してくれ!
「あれ? お弁当?」
僕の手のお弁当を指差す。
「え……あ……うん」
これは、どう見てもお弁当だ。
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ドキドキドキドキと何も考えられない状況で、どうにもごまかせない。
渡さんが台に広げていたお弁当を、自分の方に引き寄せる。
「一緒に食べよーよ」
「えぇ?! いいの?!」
嬉しい!
嬉しすぎる!!
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お母さんは、気合いを入れてお弁当を作ってくれたようだ。
ハンバーグ、から揚げ、ミートボール、チキン南蛮、しょうが焼き、切り干し大根の炊いたやつ、小松菜の和え物、里芋の煮っころがし、たまご焼き。
もはや、何弁当なのか名前が付けられない内容だ。大渋滞だ。
「すごい! なにこれ、超豪華じゃん!!」
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