6 / 16
お昼休みの大問題
しおりを挟む
僕は、今日この中学校に転校してきたばかりだ。
昼食に、購買でパンを買う人が多いのか、お弁当を持参する人が多いのか、僕がいた中学校にはない選択肢があるのか……。
親の都合で急な転校だったこともあり、転校初日の僕には何の情報もなかった。
自己紹介であんなに礼を尽くしたのに、理科室でひと笑い取ったのに、誰も僕とお昼を食べようと提案してくれなかった。
転校初日でぼっち飯なんてことがあるのだろうか。
ある。
今まさに体験している。
購買がもしもヤンキーに囲われて何も買えない状況に備えて、お母さんがお弁当を持たせてくれていた。
お昼までに友達ができて誘われたら一緒に食べられるように、と、お金も渡されていた。
どちらもない。
ヤンキーもいない代わりに、友達もできていない。
1人食堂でお弁当を食べづらい。
教室でお弁当を食べるのがベストだろう。
誰かが僕のお弁当を覗き込んで、
「あ! たまご焼きもーらい! 甘!」
となって、友達ができるかもしれない。
ただ僕は、勉強をする場所で食事をすることに抵抗がある。
まだ彼女が教室でお弁当を食べるのなら、僕の流儀に反するが教室で食べてもいいのだが、彼女はお昼休みになると早々にお弁当を持って出て行ってしまった。
お弁当を手に、なるべくリラックスして食べられる場所を探そう。
正直、転校生がひとりぼっちでお弁当を食べているとクラスメイトにバレたくない。
ひらめいた。
3年生の教室が新校舎か旧校舎か知らないが、もうひとつの校舎に行けば、僕のことを知る生徒はいないはずだ。
この校舎を出て、もうひとつの校舎に入る。
ワイワイと生徒がたくさんいる。
入ってみても、さっきの校舎とどちらが古いのかわからない。
階段を登る。
こちらの2階が1年生の教室のようだ。
向こうの校舎に2年と3年の教室があったのだから、こちらの校舎の3階から上は特別教室しかないのだろう。
ならば、人も少ないかいないはず。
3階には、職員室があった。
慌ててさらに階段を登る。
朝、職員室に入っている。僕の顔を知る人だらけだ。
あれ? 朝、校舎から出た覚えなんてないのだが……
記憶を辿る。
うん、やはり、校舎を出てなんていな……
あ!! 渡り廊下を渡った!
おそらく、新校舎と旧校舎の間には、渡り廊下があるんだ!
渡り廊……
「渡さん!!」
目の前に、運命の人、渡さんが現れた。
昼食に、購買でパンを買う人が多いのか、お弁当を持参する人が多いのか、僕がいた中学校にはない選択肢があるのか……。
親の都合で急な転校だったこともあり、転校初日の僕には何の情報もなかった。
自己紹介であんなに礼を尽くしたのに、理科室でひと笑い取ったのに、誰も僕とお昼を食べようと提案してくれなかった。
転校初日でぼっち飯なんてことがあるのだろうか。
ある。
今まさに体験している。
購買がもしもヤンキーに囲われて何も買えない状況に備えて、お母さんがお弁当を持たせてくれていた。
お昼までに友達ができて誘われたら一緒に食べられるように、と、お金も渡されていた。
どちらもない。
ヤンキーもいない代わりに、友達もできていない。
1人食堂でお弁当を食べづらい。
教室でお弁当を食べるのがベストだろう。
誰かが僕のお弁当を覗き込んで、
「あ! たまご焼きもーらい! 甘!」
となって、友達ができるかもしれない。
ただ僕は、勉強をする場所で食事をすることに抵抗がある。
まだ彼女が教室でお弁当を食べるのなら、僕の流儀に反するが教室で食べてもいいのだが、彼女はお昼休みになると早々にお弁当を持って出て行ってしまった。
お弁当を手に、なるべくリラックスして食べられる場所を探そう。
正直、転校生がひとりぼっちでお弁当を食べているとクラスメイトにバレたくない。
ひらめいた。
3年生の教室が新校舎か旧校舎か知らないが、もうひとつの校舎に行けば、僕のことを知る生徒はいないはずだ。
この校舎を出て、もうひとつの校舎に入る。
ワイワイと生徒がたくさんいる。
入ってみても、さっきの校舎とどちらが古いのかわからない。
階段を登る。
こちらの2階が1年生の教室のようだ。
向こうの校舎に2年と3年の教室があったのだから、こちらの校舎の3階から上は特別教室しかないのだろう。
ならば、人も少ないかいないはず。
3階には、職員室があった。
慌ててさらに階段を登る。
朝、職員室に入っている。僕の顔を知る人だらけだ。
あれ? 朝、校舎から出た覚えなんてないのだが……
記憶を辿る。
うん、やはり、校舎を出てなんていな……
あ!! 渡り廊下を渡った!
おそらく、新校舎と旧校舎の間には、渡り廊下があるんだ!
渡り廊……
「渡さん!!」
目の前に、運命の人、渡さんが現れた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる