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ふたり

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「すげースピード結婚だな!」

高橋はすごくうるさいわね。

総務で清水くんが頼野さんに結婚報告をした。

頼野さんと友坂さんや久世さんや阿部さんや光国さんがおめでとうーと拍手をしてくれる中、さくらが部屋を飛び出して行ったと思ったら高橋と片橋くんを連れて来た。

「結婚?! 俺より年2コくらい下だったよな?! 清水!」

「年下も結婚する年になってるのよ、片橋! ね! 高橋さん!」

「結婚? マジで、結婚?!」

普段は静かな総務の部屋がとても賑やかだわ。

「まあ、出会ってからは6年以上経ってますから、人となりはそれなりに分かってますし」

清水くんが笑って答える。

「でも清水、ワンコ系男子のフリしてたじゃない!」

「フリじゃねーんだよ」

「ほら! ギャップ男子なの隠してたじゃない!」

「ギャップ男子? 初めて聞いた」

「なんでこんなに急いで結婚?」

素朴な疑問よね、片橋くん。清水くんはご両親に電話で報告だけして、1週間足らずの間に入籍に必要な書類を調べ、ふたりの戸籍謄本を取り婚姻届をもらって来て、昨日書いて頼野さんに私の証人になってもらうために今日持って来た。

私もなんでこんなに急かされてるのか分からない。

「決まってんだろ、片橋。結婚を急ぐ理由なんてひとつしかない。子供ができたんだな、水城……」

高橋が悲しげに微笑みながら私の顔を見る。

高橋は一体何を言ってるのかしら。高橋は本当に高橋だわ。

「違います、高橋さん」

「じゃあ、なんで? 理由があるの?」

さくらの質問に清水くんが笑顔で答える。

「婚姻届を出して夫婦になれば同居の義務が発生する。と言うことは、失踪した茉悠さんを連れ戻す権利が俺に発生する! 安心感がかなり変わってくる」

「え? 何それどんな理由? 茉悠ちゃんが失踪する可能性があると思ってるの?」

「すでに2回失踪してるからね」

「この短期間で?!」

ああ……もう会えないかと思ったとか色々、私への恨み節が止まらなかったものね。

「いいのか、水城? 結婚って一生のことなんだぞ? こんな短い付き合いで決めてしまっていいのか?」

「いいんじゃないかしら」

「軽いんだよ、お前は! 一生を清水と添い遂げることになるんだぞ? こんなよく分からない性格した男と!」

まだ清水くんの性格をよく分かってないのね、高橋。私も清水くんを変わった子だなあって思ってる。でも、大丈夫だと思う。

「清水くんが優しいのは初めて会った時から変わってないもの。きっと一生変わらないでしょう。だから、大丈夫だと思う」

「優しい? 俺が? 初めて会った時って、俺たちが入社した時?」

そう、その時。覚えてないかな、清水くん。もう6年も前のことだものね。
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