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シュウと柊

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モスコミュールを頼んでいたのが運ばれて来た。清水くんがライムサワーを飲み干す。

「……あ、サーモン……」

サーモン好きなのに、お刺身盛り合わせのサーモンを食べてないことに今気付いた。6切れあるかないかだったから、そりゃなくなっちゃうな。

「サーモン食べてないの?」

清水くんが聞いてくる。……ん? いつもの清水くんとは口調が違うような……。

……来た? 来た?!

「うん……」

「食べたいなら頼めばいいじゃん。すいませんー」

……3杯か! 3杯飲み干したら、ちょうどいい俺様な清水くんになるのか?!

「ねえ、酒は? もうないじゃん」

「えっと……」

「モスコミュール飲んだことないんだよね? 飲んでみる?」

「え……うん」

「サーモンの刺身とモスコミュール」

さくらがあからさまに嫌そうな顔をしてる。やっぱり、清水くんが俺様モードに入ったんだ!

運ばれて来たモスコミュールのグラスの縁に飾られているライムを清水くんが搾る。

「飾りにしとくよりさ、搾った方が美味いんだよ。飲んでみて」

と、かわいい笑顔で私の目の前にグラスを置く。

私のモスコミュールなのに。私は初めて飲むから、搾った方が好きかどうかなんて私にも分からないのに。

ああ、でもやっぱり、この程度なら好みの範囲内だわ。清水くんがライムを搾ったモスコミュールが好きなら、私も好きになりたい。

初めて飲むライムを搾ったモスコミュールはすごく美味しい。あ、私もライム搾る派なんだわ。清水くんと同じだ。

ただでこんなちょうどいい俺様の隣に座れるなんて、なんてリーズナブルなのかしら。もう、毎日でも清水くんと一緒にお酒が飲みたい。

いつか、清水くんが彼女のことを忘れられたら……いつか、清水くんと付き合えることなんてもしもあったら、叶うのかしら。

「水城は彼氏いないだろ?」

高橋はどうして決めつけてくるのかしら。

「いないけど」

「いたことあるの? 水城が男と付き合ってるのって想像つかないんだけど」

「いたことはあるわよ」

高橋が失礼なくらい驚いた顔をする。どうして私に彼氏がいたことにそんなに驚くのよ。まあ、彼氏がいたのなんてかなり昔の話だけど。
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