35 / 99
シュウと柊
04
しおりを挟む
「俺にもメニュー見せてよ」
と高橋が不満そうに言ってくる。
「はい」
仕方ないから、真ん中に座っている私の前にメニューを置いて3人で覗き込む。
「えー、刺身? 俺生魚食えねーんだよ」
「じゃあ食べなきゃいいだけじゃない。私達で食べるから」
全く、高橋は本当に文句が多い。気分が悪くなる。
「私達って……いや、好き嫌いはいい加減直さねーとな。俺も食う! 清水、適当に頼んじゃってよ」
自分で頼めばいいのに、わざわざ清水くんに指示を出す。会社じゃないし仕事じゃないんだから、その先輩風吹かすのやめたらどうかしら。
「じゃあ、みんな好きそうなやつ適当に頼みますね。すみませーん」
清水くんはまるで気にならないようで素直に店員さんを呼んだ。唐揚げ、お刺身盛り合わせ、サイコロステーキなどなど頼んでいる。
「あと、シーザーサラダ。以上で」
あ、サラダ食べたいって言うの忘れてたけど、頼んでくれて良かった。男の人が適当に頼むとサラダ頼んでくれないことが多いけど……そっか、彼女もサラダよく食べる人だったのかもしれないな。
「彼女、シーザーサラダが好きだったの?」
「え?」
清水くんが驚いた顔をしている。あれ? 日本語変かな?
「お前な、フラれた男にそんなこと聞くもんじゃねーよ! ごめんな、清水、コイツ空気読めねえんだわ」
「え? あ、そっか、ごめん清水くん」
私が傷心の清水くんに塩塗っちゃったわ。でも、清水くんは笑ってる。こんな時まで頑張って笑わなくていいのに……。
「いいですよ、全然大丈夫です。サラダは苦手だったんですけど、シーザーサラダは好きでしたね。温泉卵が好きで卵と絡ませて食べる、みたいな」
「あー、美味しいよねー。彼女自身は料理とかしたの?」
「そんなレパートリーはないっすけど、うちに来たら作ってくれましたね」
「へー、家に」
「一人暮らしなんで、ついちゃんと食べなかったりするからよく怒られちゃって」
「あー、1人だと作るのめんどくさいよね。彼女は何が得意だったの?」
「俺が好きなのはオムライスですね」
「へー、結構手間暇かかるもの作ってたんだ。チキンライスで済まさないで」
「基本ケチャップ好きなんでチキンライスも好きですけどね」
「あー、オムライスにすると更にケチャップかけられるよね。あ、そっか彼女は卵好きだから2人の好きなものを同時に食べられるのがオムライスなんだ。彼女は卵は温泉卵が1番好きだったの?」
「いい加減にしろよ、水城! 何なのお前、元カノの話ばっかり振りやがって」
なぜか高橋に叱られてしまった。なんで? 彼女の話って聞いちゃダメなものなの? 清水くんも嫌なのにがんばって笑って答えてくれてたのかな。もう聞かない方がいいのかしら。
だって……気になるんだもの。どんな人と付き合ってたのか。フラれて泣いちゃうくらい、どんな人を好きになったのか。どんな人なら、清水くんが好きになるのか。
と高橋が不満そうに言ってくる。
「はい」
仕方ないから、真ん中に座っている私の前にメニューを置いて3人で覗き込む。
「えー、刺身? 俺生魚食えねーんだよ」
「じゃあ食べなきゃいいだけじゃない。私達で食べるから」
全く、高橋は本当に文句が多い。気分が悪くなる。
「私達って……いや、好き嫌いはいい加減直さねーとな。俺も食う! 清水、適当に頼んじゃってよ」
自分で頼めばいいのに、わざわざ清水くんに指示を出す。会社じゃないし仕事じゃないんだから、その先輩風吹かすのやめたらどうかしら。
「じゃあ、みんな好きそうなやつ適当に頼みますね。すみませーん」
清水くんはまるで気にならないようで素直に店員さんを呼んだ。唐揚げ、お刺身盛り合わせ、サイコロステーキなどなど頼んでいる。
「あと、シーザーサラダ。以上で」
あ、サラダ食べたいって言うの忘れてたけど、頼んでくれて良かった。男の人が適当に頼むとサラダ頼んでくれないことが多いけど……そっか、彼女もサラダよく食べる人だったのかもしれないな。
「彼女、シーザーサラダが好きだったの?」
「え?」
清水くんが驚いた顔をしている。あれ? 日本語変かな?
「お前な、フラれた男にそんなこと聞くもんじゃねーよ! ごめんな、清水、コイツ空気読めねえんだわ」
「え? あ、そっか、ごめん清水くん」
私が傷心の清水くんに塩塗っちゃったわ。でも、清水くんは笑ってる。こんな時まで頑張って笑わなくていいのに……。
「いいですよ、全然大丈夫です。サラダは苦手だったんですけど、シーザーサラダは好きでしたね。温泉卵が好きで卵と絡ませて食べる、みたいな」
「あー、美味しいよねー。彼女自身は料理とかしたの?」
「そんなレパートリーはないっすけど、うちに来たら作ってくれましたね」
「へー、家に」
「一人暮らしなんで、ついちゃんと食べなかったりするからよく怒られちゃって」
「あー、1人だと作るのめんどくさいよね。彼女は何が得意だったの?」
「俺が好きなのはオムライスですね」
「へー、結構手間暇かかるもの作ってたんだ。チキンライスで済まさないで」
「基本ケチャップ好きなんでチキンライスも好きですけどね」
「あー、オムライスにすると更にケチャップかけられるよね。あ、そっか彼女は卵好きだから2人の好きなものを同時に食べられるのがオムライスなんだ。彼女は卵は温泉卵が1番好きだったの?」
「いい加減にしろよ、水城! 何なのお前、元カノの話ばっかり振りやがって」
なぜか高橋に叱られてしまった。なんで? 彼女の話って聞いちゃダメなものなの? 清水くんも嫌なのにがんばって笑って答えてくれてたのかな。もう聞かない方がいいのかしら。
だって……気になるんだもの。どんな人と付き合ってたのか。フラれて泣いちゃうくらい、どんな人を好きになったのか。どんな人なら、清水くんが好きになるのか。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる