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ミズキさんに覚えてほしい
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初出勤を終え、電車に乗って聖天坂に向かう。駅ナカのコーヒーショップに入り、キョロキョロと見回す。あ、いた!
「奏、お待たせ」
「あ! お疲れ様ー。どうだった? 会社」
2人用の小さなテーブルに座る奏の向かいに座った。奏が笑顔で俺を見る。
「いい人そうな人達ばっかりではあるんだけどさー、肝心の営業の部長が嫌な感じだよ」
「かなり嫌な感じだったんだね。柊がそんな顔になるなんて」
「あー、無愛想な顔になってた?」
「うん、かなり」
と奏が笑う。奏は背は高くないけど女子にしては体がガッシリしていて、ショートカットの髪で見た目は体育会系っぽい。でも、中身は真面目で字がすごく綺麗でサバサバしてるかと思えば人に気を遣う子で恥ずかしがり屋な所もある。そのギャップに惹かれて、高2で同じクラスになってすぐ、思い切って告白した。
「愛想良くしないとダメだよなあ、当然」
「まーいいんじゃない? 柊らしくしていれば」
らしくねえ……高3までらしくしてた結果、常にあだ名と言うかキャッチフレーズみたいなのが二重人格だったんだけど……。
誰だって、二面性ってあると思う。奏だってテレビでしゃべるインコ観て鳥ってこんなにかわいいんだ~知らなかった~って言いながらフライドチキン食べてたりする。
芸能人の不倫のニュース観てあんなの許せないよね! って言ってたのにドロドロの不倫ドラマ観てあれは旦那が悪いよ、あれじゃ奥さんが不倫しちゃうのも無理ないよ、って言ったりする。
俺は人よりも二面性が強いのかもしれない。
どんな横柄な態度で来られても笑顔で素直に受け取れる時もあれば、他人の言葉に従うのが嫌で仕方ない時もある。
俺は人間ってそんなもんだろと思ってたけど、他人からは分かりやすく動物で言うと、主人に従順な犬と気ままな猫通り越して俺様が百獣の王ライオンだ、くらい真逆に見えるらしい。
求められるのはいつもかわいくて従順な犬の方だ。なるべく外ではもう一方は出さないように気を付けてる分、酒飲んだりするとどうしても噴出しやすい。
「奏、お待たせ」
「あ! お疲れ様ー。どうだった? 会社」
2人用の小さなテーブルに座る奏の向かいに座った。奏が笑顔で俺を見る。
「いい人そうな人達ばっかりではあるんだけどさー、肝心の営業の部長が嫌な感じだよ」
「かなり嫌な感じだったんだね。柊がそんな顔になるなんて」
「あー、無愛想な顔になってた?」
「うん、かなり」
と奏が笑う。奏は背は高くないけど女子にしては体がガッシリしていて、ショートカットの髪で見た目は体育会系っぽい。でも、中身は真面目で字がすごく綺麗でサバサバしてるかと思えば人に気を遣う子で恥ずかしがり屋な所もある。そのギャップに惹かれて、高2で同じクラスになってすぐ、思い切って告白した。
「愛想良くしないとダメだよなあ、当然」
「まーいいんじゃない? 柊らしくしていれば」
らしくねえ……高3までらしくしてた結果、常にあだ名と言うかキャッチフレーズみたいなのが二重人格だったんだけど……。
誰だって、二面性ってあると思う。奏だってテレビでしゃべるインコ観て鳥ってこんなにかわいいんだ~知らなかった~って言いながらフライドチキン食べてたりする。
芸能人の不倫のニュース観てあんなの許せないよね! って言ってたのにドロドロの不倫ドラマ観てあれは旦那が悪いよ、あれじゃ奥さんが不倫しちゃうのも無理ないよ、って言ったりする。
俺は人よりも二面性が強いのかもしれない。
どんな横柄な態度で来られても笑顔で素直に受け取れる時もあれば、他人の言葉に従うのが嫌で仕方ない時もある。
俺は人間ってそんなもんだろと思ってたけど、他人からは分かりやすく動物で言うと、主人に従順な犬と気ままな猫通り越して俺様が百獣の王ライオンだ、くらい真逆に見えるらしい。
求められるのはいつもかわいくて従順な犬の方だ。なるべく外ではもう一方は出さないように気を付けてる分、酒飲んだりするとどうしても噴出しやすい。
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