79 / 86
誕生日プレゼント
眠れない夜に
しおりを挟む
暗い部屋の中、魁十が手を伸ばすから脇に挟んでいた手が温もりを失って薄っすら寒く感じる。
「マジか。もうすぐ12時だよ」
まだ頭がボーッとしてる……。
スマホを置いて肩まで布団を引き上げた魁十が寝返りを打つように反転するから、ベッドがギシッと鳴る。
魁十の腕が私の背中へと回ってくる。
「痛い所ない?」
「大丈夫。心配しすぎ」
「そりゃ心配だよ。俺の体じゃねえんだもん」
ふふっと笑ってしまう。
心配だからものすごく時間かけてくれたんだ。感動。
めちゃくちゃ優しくて、愛されてる実感……河合さんのお母さんが感じた幸せって、きっとこれのことなんだと思う。
「ん? 12時? あ! カイ、お誕生日おめでとう!」
「滑り込みセ――フ」
「あっぶない。言い忘れるところだった」
「ひでえ話」
朝も寝坊しちゃってバタバタしてて、昨日まであんなに魁十の誕生日誕生日って考えてたのにすっかり忘れて家を出てしまった。
魁十も言ってくれたらいいのに言わないし。
帰って来てからはコース料理作りに夢中で、そう言えばおめでとうを言ってなかった。
ほんと、ひどい話。
「ママにはどうする? いつ付き合ってるって言う?」
「明日メシ行くじゃん。その時に言おうと思ってる」
「すぐ言うね」
「言いたくてしょうがないんだもん。俺今めっちゃ幸せ。大好き」
かわいい!
オオカミどころか犬がじゃれつくみたいに嬉しそうに抱きついてくる魁十がかわいすぎる!
「散々父さんとイチャついてんの見せつけられたから、今度は見せつけてやろうと思って」
「ビックリするだろうね。反対されたりしないかな」
「あの母さんがしないと思うよ。それに婚約済だから反対しても無駄」
私の左手に指を絡ませて微笑む。
魁十、暗いから電気付けてもう1回笑ってもらっていいかな。
「ゆうて現実、結婚できるのはだいぶ先だけど」
「学生さんだもんね」
「他の男に取られるの嫌だから、公式予約」
「公式?」
「だろ? 婚約って」
なるほど、婚約の約は予約の約。
「指輪買いに行った時にさ、隣にこのブランドあったわ」
腕を伸ばして、大輝くんからもらったブレスレットをシャラシャラと鳴らす。
カッコいいー。上裸にアクセ、エロい。
「婚約指輪よりかなりハイブランド贈ってくるとかあいつマジキモい」
「謎の対抗意識かな」
「金持ってる自慢じゃね」
「あの人お金ないよ」
これ買ったお金もきっとちょうだいってもらったお金だよ。
「思い出さないで。俺のことだけ考えててよ」
「かっ……カイが話振ったんじゃない」
かわいい! 至近距離の上目遣いヤバい。かわって叫びそうになった。
「おやすみ」
「おやすみ……」
魁十の寝息がスゥスゥと聞こえ始めても、私は目が冴えていた。
寝息を感じるこの距離。
明日の朝のことを思うと……目覚めたら魁十がいる。信じられない、何その幸せ。即テンション上がって抜群にいい目覚めになる。
絶対に先に起きたいと思えば思うほど、ギラギラに眠れなくなってしまった。
「マジか。もうすぐ12時だよ」
まだ頭がボーッとしてる……。
スマホを置いて肩まで布団を引き上げた魁十が寝返りを打つように反転するから、ベッドがギシッと鳴る。
魁十の腕が私の背中へと回ってくる。
「痛い所ない?」
「大丈夫。心配しすぎ」
「そりゃ心配だよ。俺の体じゃねえんだもん」
ふふっと笑ってしまう。
心配だからものすごく時間かけてくれたんだ。感動。
めちゃくちゃ優しくて、愛されてる実感……河合さんのお母さんが感じた幸せって、きっとこれのことなんだと思う。
「ん? 12時? あ! カイ、お誕生日おめでとう!」
「滑り込みセ――フ」
「あっぶない。言い忘れるところだった」
「ひでえ話」
朝も寝坊しちゃってバタバタしてて、昨日まであんなに魁十の誕生日誕生日って考えてたのにすっかり忘れて家を出てしまった。
魁十も言ってくれたらいいのに言わないし。
帰って来てからはコース料理作りに夢中で、そう言えばおめでとうを言ってなかった。
ほんと、ひどい話。
「ママにはどうする? いつ付き合ってるって言う?」
「明日メシ行くじゃん。その時に言おうと思ってる」
「すぐ言うね」
「言いたくてしょうがないんだもん。俺今めっちゃ幸せ。大好き」
かわいい!
オオカミどころか犬がじゃれつくみたいに嬉しそうに抱きついてくる魁十がかわいすぎる!
「散々父さんとイチャついてんの見せつけられたから、今度は見せつけてやろうと思って」
「ビックリするだろうね。反対されたりしないかな」
「あの母さんがしないと思うよ。それに婚約済だから反対しても無駄」
私の左手に指を絡ませて微笑む。
魁十、暗いから電気付けてもう1回笑ってもらっていいかな。
「ゆうて現実、結婚できるのはだいぶ先だけど」
「学生さんだもんね」
「他の男に取られるの嫌だから、公式予約」
「公式?」
「だろ? 婚約って」
なるほど、婚約の約は予約の約。
「指輪買いに行った時にさ、隣にこのブランドあったわ」
腕を伸ばして、大輝くんからもらったブレスレットをシャラシャラと鳴らす。
カッコいいー。上裸にアクセ、エロい。
「婚約指輪よりかなりハイブランド贈ってくるとかあいつマジキモい」
「謎の対抗意識かな」
「金持ってる自慢じゃね」
「あの人お金ないよ」
これ買ったお金もきっとちょうだいってもらったお金だよ。
「思い出さないで。俺のことだけ考えててよ」
「かっ……カイが話振ったんじゃない」
かわいい! 至近距離の上目遣いヤバい。かわって叫びそうになった。
「おやすみ」
「おやすみ……」
魁十の寝息がスゥスゥと聞こえ始めても、私は目が冴えていた。
寝息を感じるこの距離。
明日の朝のことを思うと……目覚めたら魁十がいる。信じられない、何その幸せ。即テンション上がって抜群にいい目覚めになる。
絶対に先に起きたいと思えば思うほど、ギラギラに眠れなくなってしまった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
元カノと復縁する方法
なとみ
恋愛
「別れよっか」
同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。
会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。
自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。
表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
放浪カモメ
小鉢 龍(こばち りゅう)
恋愛
ありきたりな日々を抜け出すため僕は自転車と身一つで走りだす。
そんな旅で出会った少女はとても儚く、孤独な瞳をしていた。
僕はそんな少女に強く惹かれてしまったんだ――
交わるはずの無かった2人の運命の歯車が回りはじめる。
大学で出会った友との友情。
そして旅で出会った少女との純粋な恋の結末は!?
☆毎週水曜日更新☆
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる