上 下
37 / 86
たのしい誕生日

原因特定!

しおりを挟む
「お誕生日おめでとうー!」
「ありがとうー! ちょっと早いけどー」

なっちゃんと朝倉さんが誕生日を祝って飲みに誘ってくれた。

「魁十とサンダル買いに行くんですけど、なっちゃんが履いてるみたいな厚底を私が履いたらやっぱりひどいですかね」
「ひどいって何」
「言い方がひどい」

なっちゃんは小柄で華奢だからボリューム感がすごい大きなビジューの付いた流行の厚底サンダルがすごく似合う。
足の細さが私の腕くらいしかない。

「いいと思いますよ。遠山さん背が高いからモデルさんみたいに履きこなせそう」
「なっちゃん、ちょっと小学生感あるもんね」
「やっぱ子供っぽいですか?! 迷ったんだよなー。けど、かわいいから買っちゃった」
「ちょっとだけね。かわいいよ、似合ってる」
「うんうん! めっちゃ似合ってるよ」
「やったあ。嬉しいー。後で彼氏にサンダルの写真送っちゃおうー」

ん?
今なんて?

「なっちゃん、彼氏できたの?!」
「そーなの! 実は遠山さんの誕生日なんてどーでもいい。彼氏の話がしたくてー」
「どーでもいいはさすがにひどい」
「おめでとおめでと。でねえ、彼氏なんですけどー」

えー、なになに、いつの間に?!

「いつの間に会ったの? メッセージやり取りしてた人でしょ?」
「それが、実は全然違う人。神アプリ教えてもらったのに申し訳ない」
「どこで出会ったの? なっちゃんのことだからどうせイケメンでしょ?」
「どうせって何ですか、どうせって。顔はまあ、正直難波さんを想像されるとガッカリしかされない顔です」

なっちゃんがイケメンじゃない男を彼氏に選んだ?!
そんなことがあり得るの?!

「実は、小学校の同級生です」
「幼なじみか。橋長さんと同じパターンだ」
「そうそう。小中高と同じで、卒業してからも仲良くてちょこちょこグループで遊んでたんですけど」
「私そのパターンまるで理解不能なんですよね。ずっと友達だと思ってた人を好きになるって想像つかない」

幼稚園から同じだった高鷺と付き合いはしたけど、好きになったから付き合ったわけじゃない。
関係の名前だけが変わったというか、友達のまま付き合ってた感じだった。

「それがねえ、長年男としては全然見てなかったんだけど、相手はそうじゃなかったってゆうのを聞いた瞬間、キューンとしちゃって」
「分かる。こっちはただの友達としか思ってなかったのに、ずっと私を好きでいてくれたの?! って感動」
「そうそう! 好きだって言われたら急に意識しちゃって、結局私から告白しちゃいました」
「なるほどねー。分かる分かる」

分かんないなあ。
実際、中学の頃に友達に好きだって言われたけど、好きにならなかったよ。
盛り上がってるところに水を差すのも悪いから、とりあえずうなずいておく。

「友達からだとすでに素をさらしてるし、がんばんなくていいから楽ですね。バカなことも言えるし、気を使わないって言うか」
「それあるね。やっぱり彼氏にはいいとこ見せたいから、付き合い始めは特に自分を良く見せようとして疲れちゃう」
「それだ!」

急に大声を出した私に、朝倉さんとなっちゃんが目を丸くする。

「難波さんと何かあった?」
「会社でしゃべる分には気が楽なのに、プライベートで出かけたりすると疲れちゃうんです。きっと、私も自分を良く見せようとしてるんだと思う」
「なんか、遠山さんはそんなん関係なしにマイペースそうなのにね」
「たぶん、私って実は繊細でナイーブでデリケートな人間なんです」
「そういう人は自分で言わないと思うよ」

そっか、まだ付き合い始めて2か月も経ってない。
しかも、相手はあのみんなの憧れ難波大輝。
会社の先輩でもある大輝くんに断らないといけないことばっかり言われるから、気を使ってハラハラドキドキして当たり前。

きっと、時間が解決してくれる。
魁十の癒しがなくても大輝くんとデートできる日は必ず来る!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる

春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。 幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……? 幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。 2024.03.06 イラスト:雪緒さま

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

元カノと復縁する方法

なとみ
恋愛
「別れよっか」 同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。 会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。 自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。 表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

放浪カモメ

小鉢 龍(こばち りゅう)
恋愛
ありきたりな日々を抜け出すため僕は自転車と身一つで走りだす。 そんな旅で出会った少女はとても儚く、孤独な瞳をしていた。 僕はそんな少女に強く惹かれてしまったんだ―― 交わるはずの無かった2人の運命の歯車が回りはじめる。 大学で出会った友との友情。 そして旅で出会った少女との純粋な恋の結末は!? ☆毎週水曜日更新☆

処理中です...