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告白バーベキュー
新たな出会い
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不意に魁十の顔が離れて行く。
クールに笑う魁十がカッコいい。
「何マジんなってんの。弟はないんじゃなかったの」
「マジって言うか、ビックリしちゃって。カイ、めったに冗談言わないから」
「うん。俺、冗談は言わない」
「だよねー」
あはは、と笑ってチューハイを飲み干す。
「わっ」
ピヒャーって音と共に顔に冷たい水がかかって、めちゃくちゃ驚いた。
魁十が小ぶりな青い水鉄砲を手に睨んでいる。
「だよねーじゃねえんだよ」
「つっめたあ」
「バイトのみんなでバーベキュー来た時は水鉄砲バトルまでがお約束なの。水着着てくるヤツもいるくらい」
「本格的」
魁十がまくっていた袖を下ろして私の顔にぶちまけた水を拭う。
「俺、男だから弟なんだよ」
「うん。女の子だったら妹だね。でもカイならそのまんまで十分かわいい」
「そりゃどーも」
魁十が立ち上がるのに続く。
バーベキュー場が有名な山だけど、今度は家族で登りに来たいな。やっぱり山はいい。
バーベキュー場のブースに戻ると、なっちゃんと朝倉さんがスマホに夢中。
山に来てまでスマホから離れられないとは、現代人はさもしいなあ。
「山ですよ! スマホなんてしまって空気吸いましょうよ!」
「急にどうしたの。待って、今いい感じなの」
「何が?」
「写真が本物なら結構イケメンな人と繋がれて、メッセージで直接やり取りすることになって」
真剣にスマホに文字を打ち込むなっちゃんに代わって、朝倉さんが教えてくれる。
「私が紹介したマッチングアプリで好みの男性が見つかったんだって。遠山さんもどう? 今なら紹介した方もされた方も5000ポイントもらえるキャンペーン中だよ」
「マッチングアプリ?」
「遠山さんは魁十くんがいるからいいじゃないですか! 魁十くん以上のイケメンなんて探すだけ無駄無駄」
え?
なっちゃん、マッチングアプリ登録して男の人とやり取りしてる?
「なっちゃん、難波さんのこと諦めたの?!」
「諦めたって言うか……」
なっちゃんが渋い顔を上げる。
「難波さんって関わりが一切なかったじゃないですか。それが最近ちょっと仲良くなれたら、思ってたのと違うと言うか、理想と現実と言うか」
「もう難波さんを好きじゃないってこと?」
「……そうですね。前を向いて、私だけを愛してくれる人を見つけたくて、新たな出会いを模索中」
ニコッと笑って、またスマホに目を落とす。
ええ……なっちゃん……えええええええ。
「だったら早く言ってよ! なっちゃんが難波さんのこと好きじゃないなら、私なんにも遠慮する理由なんてないのに!」
断っちゃったじゃん!
好きだって、付き合ってほしいって言われたのにぃ!
「遠山さん、難波さんのこと好きだったの?!」
「そうだよ! でもなっちゃんが難波さん好きだから私はいいやって思って」
「ちょっと、二人とも声が大きい……」
朝倉さんは声が小さい。
はたと、隣のブースの人たちの注目を浴びていることに気が付いた。
クールに笑う魁十がカッコいい。
「何マジんなってんの。弟はないんじゃなかったの」
「マジって言うか、ビックリしちゃって。カイ、めったに冗談言わないから」
「うん。俺、冗談は言わない」
「だよねー」
あはは、と笑ってチューハイを飲み干す。
「わっ」
ピヒャーって音と共に顔に冷たい水がかかって、めちゃくちゃ驚いた。
魁十が小ぶりな青い水鉄砲を手に睨んでいる。
「だよねーじゃねえんだよ」
「つっめたあ」
「バイトのみんなでバーベキュー来た時は水鉄砲バトルまでがお約束なの。水着着てくるヤツもいるくらい」
「本格的」
魁十がまくっていた袖を下ろして私の顔にぶちまけた水を拭う。
「俺、男だから弟なんだよ」
「うん。女の子だったら妹だね。でもカイならそのまんまで十分かわいい」
「そりゃどーも」
魁十が立ち上がるのに続く。
バーベキュー場が有名な山だけど、今度は家族で登りに来たいな。やっぱり山はいい。
バーベキュー場のブースに戻ると、なっちゃんと朝倉さんがスマホに夢中。
山に来てまでスマホから離れられないとは、現代人はさもしいなあ。
「山ですよ! スマホなんてしまって空気吸いましょうよ!」
「急にどうしたの。待って、今いい感じなの」
「何が?」
「写真が本物なら結構イケメンな人と繋がれて、メッセージで直接やり取りすることになって」
真剣にスマホに文字を打ち込むなっちゃんに代わって、朝倉さんが教えてくれる。
「私が紹介したマッチングアプリで好みの男性が見つかったんだって。遠山さんもどう? 今なら紹介した方もされた方も5000ポイントもらえるキャンペーン中だよ」
「マッチングアプリ?」
「遠山さんは魁十くんがいるからいいじゃないですか! 魁十くん以上のイケメンなんて探すだけ無駄無駄」
え?
なっちゃん、マッチングアプリ登録して男の人とやり取りしてる?
「なっちゃん、難波さんのこと諦めたの?!」
「諦めたって言うか……」
なっちゃんが渋い顔を上げる。
「難波さんって関わりが一切なかったじゃないですか。それが最近ちょっと仲良くなれたら、思ってたのと違うと言うか、理想と現実と言うか」
「もう難波さんを好きじゃないってこと?」
「……そうですね。前を向いて、私だけを愛してくれる人を見つけたくて、新たな出会いを模索中」
ニコッと笑って、またスマホに目を落とす。
ええ……なっちゃん……えええええええ。
「だったら早く言ってよ! なっちゃんが難波さんのこと好きじゃないなら、私なんにも遠慮する理由なんてないのに!」
断っちゃったじゃん!
好きだって、付き合ってほしいって言われたのにぃ!
「遠山さん、難波さんのこと好きだったの?!」
「そうだよ! でもなっちゃんが難波さん好きだから私はいいやって思って」
「ちょっと、二人とも声が大きい……」
朝倉さんは声が小さい。
はたと、隣のブースの人たちの注目を浴びていることに気が付いた。
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