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学園4年生編

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 な…ん、だったんだ…!?言いたい事だけ言って、パスカルは去って行った…。
 座り込んだままの僕に、クレイグが近寄って来て腕をぎゅっとした。

「せーちゃ?」

「おう…?」

 クレイグの頭を撫でながら、先程のやり取りを反芻する。

 パスカルは僕の体をまさぐって…耳元で、「次は僕を食べる」と宣言してなかったか?
 つまり……僕らは大人の階段を登ると…………


「う、うわああああああっっっ!!!?きゃああああーーー!!!!!」

「せーちゃ!?だーじゃ!」

「うん、多分大丈夫だから…こっちおいで」


 うぐあああああああっっっ!!!!あの、野郎!!!
 僕はゴロゴロと転げ回る。他に誰もいないのが幸いした、服の汚れも気にせず回りまくった!!!

 いやあああああ!!あ、あさ、あさって…どんな顔して学園に行けばいいんだああ……



 ………おえ。目え回った……



「気は済んだか?」

 最初の地点から大分離れた所で停止した僕に、片腕にクレイグを抱えた兄様が寄って来た。
 空いている手を僕に伸ばし、ゆっくりと起こしてくれる。


「で、パスカルはエリゼを抹殺に向かったらしいが…最後、なんの話をしていたんだ?」

「…………次の、デートで……………もにょん…」

「え?聞こえんかった、なんて?」

「だから………もにょへる……って……!」

「……………???」


 言えるか!!!!そんなん…ひいいいいっ!!!?
 あ、ああああ…!!なんっで、急に…!?男の心理はわからん!!



 とりあえず…デートはここで終わりだし、僕は家に帰る事に。レンカに乗り、公爵邸まで兄様が付き添ってくれた。
 折角なので、作ったマフィンは兄様にあげた。パスカルに食べてもらいたかったが…次は…マフィンじゃなく、僕を…………あがががががが。

「義弟に続き、妹まで壊れた…」

「せーちゃ、たのちー?」

 兄様の哀しげな視線など、僕は気付きもしませんでした。



 家の前で兄様と別れ……こんなに早く帰って、喧嘩でもしたとか疑われないかな?


「た…ただ、いま…」

「あ、お嬢様お帰りなさい!先程エリゼ様がいらっしゃいましたが…」

 へ、エリゼ?庭仕事をしていたフェイテがそう教えてくれた。
 そういえば兄様…パスカルはエリゼを始末しに向かったとか言ってたっけ。なんで…?

「彼は今どこに?」

「それが…パスカル様と追いかけっこをして。何やらシャルロットお嬢様を巻き込んで、何処かへ行かれました」

 パスカルもいたんかい!!!


 詳しく聞くと、まず血相を変えたエリゼが転移して来た。そして僕に助けを求めるも不在。
 次にセレネに乗ったパスカルが、恐ろしい形相で乗り込んで来て…エリゼを探す。ロッティが対応する。
 で…パスカルとロッティが内緒話をして…ロッティがエリゼを呼び、3人で会議を始める。
 玄関先で彼らは座り込み密談、お父様出動。話を聞こうとしたら…全員セレネに乗り逃走。

 パスカルは去り際…「もうすぐシャーリィも帰って来ると思います、よろしく義父上!!」といい笑顔だったと。

 分からん、何がしたいんだ彼は…。
 とりあえず着替えるか…と思い、フェイテにお礼を言って部屋に向かおうとしたら。彼の視線が…僕の胸元に注がれている事に気付いた。どしたん?


「いえ…どうした、はこちらのセリフですが。お嬢様……パスカル様と、何をなさいました…?」

「何、を…!?」

 フェイテの発言に、先程のやり取りを思い出して… プシュ~…と音を立てながら僕の顔面は一気に沸騰した。
 それを見たフェイテは頭を抱え…「とりあえず、ボタンを上まで全部閉めてください。それと部屋に着いたら、鏡を見るように」と言った。

 なんだよう…ひとまず言われた通りにする。彼に背を向けて、今度こそ自分の部屋を目指す。が。

「ブファッ!!?」

「え、うっわ!?」

 突然フェイテが噴き出し、持っていたタオルを僕の首に巻いた。

「汗臭くて申し訳ないけど、コレ絶対取らないでくださいよ!?こんなん旦那様に見られたら、パスカル様は死にますから!!」

「なんでえ!?」

 スカーフのように巻いたと思ったら、早く行くよう背中を押された。なんだなんだ、怖いじゃん!!



 その後は誰ともすれ違う事なく、自室にたどり着いた。で、着替える為とタオルを取り服を脱いだら…


「な、なんっじゃ、こりゃああ!!?」


 鎖骨の辺りに痣が…コレ、キスマークじゃねえええーか!!!?あの馬鹿…!

 僕はその場にへたり込む。目の前には、姿見に映る自分。よく見ると…!!?
 急いで手鏡を取り、鏡合わせにして後ろを確認する。そこには…

「………っ!!!」

 首筋に、肩に、うなじに…こんなトコにもつけやがったああーーー!!!
 誰にも見られ…フェイテ!!あああ…多分彼は、内緒にしてくれると思う…!!
 いや…絶対兄様も気付いてたよね?なんで教えてくれなかった…。


「シャーリィお帰り。……今日は一段とセクシーだね?」

「ヨミ!?だああああ、出てってー!!!」

 サラシを解いている途中でヨミが入って来た!!ああもう、彼には別に部屋用意しようかな!!?急いで窓から外に放り出した。
 

 ふう…とりあえず隠そう。着替えをして一息ついていたら…扉をノックされ僕は飛び上がった。
 
「お嬢様、おかえりなさいませ。出迎えもせず申し訳ございませんでした」

「グラス!?あ、いやいいの。連絡しなかった僕が悪かったし」

「いえ…入ってもよろしいですか?」

 えーと。鎖骨、オッケー。首にはスカーフ、完璧!扉を開ければグラスが入ってきて…じいっと僕を見下ろし。
 おもむろに…スカーフを奪った。

 ………なんでバレた!!?


 暫くグラスは痕をじっと見つめ…僕を回転させて後ろも確認し。
 長~い沈黙の後…フッと笑った。



「…旦那様あああーーー!!だーんーなーさーまー!!!ご報告したい事がございまーーーす!!!」

「うっぎゃあああーーー!!!やだー!!やーめーてえええーーー!!!」


 彼は大声を上げながら廊下を走った!!僕は全力で追い掛ける、いーやーーー!!!




「…あーあ、バレたか。さっき侵入して来たランドール様が、グラスになんか耳打ちしてたからな…」


 フェイテは誰もいない庭で屋敷を見上げて呟いた。




 
 ※※※




「…………」

「「………………」」


 夕食時、ダイニング。カチャカチャと、カトラリーの音のみが響く。
 いつもなら…お父様とロッティと仲良くおしゃべりして…たまにバティストも口を挟んで。他の皆も巻き込んで…楽しい時間なのにい…!!


「……ロッティ…エリゼ達と、何話したの…?」

「ん?うふふ…秘密よ♡」

 そのハートが怖い。ロッティはいつも通り可愛くにっこり笑った。はずなんだが…目が笑っていない…!


「…シャーリィ」

「ひゃいっっっ!!!?」

 ひえ、お父様が…今まで聞いた事のないような…ひっくい声を出した…!


「今日のデートは楽しかったかい?」

「えええとえと、うーん、あの…はい…」

 僕は冷や汗が止まらない。何故なら今のお父様は…ルキウス様が激おこの時と同じ笑顔だからだ。流石叔父と甥、似ってるーう。


 恐ろしい空気の中食事は終了。味しなかった…。
 この後いつも移動してお茶にするんだが…お父様とロッティは少しここで話があるらしい。
 なのでその2人とバティストを残し移動。パスカルの処遇を決めるのだろうか…。



 ※



「で…パスカルはなんて?」

「もう完全に気付いているわね。
 だから男装の経緯とか全部説明したわ。貴方のお祖父様はご存知よ、と言ったら…正式に婚約を申し込むと言っていたわ。
 でもお姉様はまだ、戸籍上は男性だから…婚約は口約束だけになるわね」

「はーーー…あの野郎…」

 シャルロットの報告を聞き、オーバンは特大のため息をついた。

 2人が上手くいくのは、いい。パスカルは信頼出来るし…何より互いに深く想い合っている。だが…



「あいつ結構独占欲強えんだな…クソ野郎。婚前交渉なんてお父様認めませんよ!!」

 オーバンはテーブルを叩きながらそう言った。認めてはいるが、手を出していいとは言っていない。
 愛娘につけられた痕を見せつけられ、彼は父として複雑な心境に陥ったのだった。


「何言ってんのお前?ぶっちゃけあの歳じゃおかしくもねーって。
 それより、シャルティエラお嬢様にもそれを伝えていいかどうかだろう?彼女はまだ、騙せてると思ってんだから」

「パスカルには「まだお姉様には気付いているという事を告げるな」と言っておいたけど…。
 私としては、2人が早く通じ合ってくれたら嬉しいわ。そもそもお姉様、パスカルは女性に興味が無いってまだ思ってるみたいだし」

「………………駄目だ…パパは許さん…!!もしも今正式に交際を始めたら……シャーリィが食われる…!」

「40目前男がパパとか言ってんじゃねーわ…」ボソッ



 今2人がくっついたら…バカップル街道まっしぐらだ。と全員が思った。
 それも別にいい。少那に関しても…彼はセレスタンとパスカルを男性同士のカップルだと認識しているので、「ラブラブだね~」くらいにしか考えないだろう。
 
 なので問題は何も無い。はずなのだが……。


「とにかく。パスカルにはスクナ殿下の女性恐怖症が治るまで、シャーリィを男扱いするよう伝えてくれ。どこからバレるか分かんねえからな。
 シャーリィの今までの苦労を水の泡にしたいんなら…相応の覚悟をしろってな。
 それと…ロッティも。ジスランに気を付けろよ…?」

「わ、私は大丈夫よっ!!彼だって卒業するまでは、手は出さないって言ってたもん!!!」

「信用できねーえ…」

 シャルロットは頬を染めて、テーブルを叩きながら勢いよく立ち上がる。
 オーバンは肘を突き横を向きながら、唇を尖らせている。完全に拗ねているのだ。


 シャルロットに退室を促し、ダイニングにはオーバンとバティストが残された。
 バティストは手近な席に座り…胡乱な目を幼馴染に向ける。


「で、本音は?」

「……嫌だ、まだ奴にはやらん!!俺お父さんになってから2年半しか経ってない!!!孫が生まれたら嬉しいけど…認めん!!!!」

「………………」

 オーバンはテーブルに突っ伏し、バンバン叩きながら言う。
 しかし次第に落ち着き…ゆっくりと、語り始めた。



「娘とか…こんなに可愛いもんなんだなって、2人を引き取ってから初めて知ったんだよー…。

 ……イェシカが子供を授かるのは難しいって分かってた。それでもいい、夫婦の時間を大事にしようって思った。
 …兄貴に子供が生まれて、抱っこさせてもらって。いいなー、俺も子供欲しいなー…って、一瞬でも思っちまった自分が嫌だった。だからそれ以来、一切考えないよう努めた。

 …それが今、俺には娘が2人いる。最初は血の繋がらない2人を愛せるか、心配だった。
 良好な関係を築く事は出来るだろうが…「親子」になれるか不安だった。
 でも…俺は本当に、あの子達を娘だと思っている。いずれ俺の手を離れて、それぞれの家庭を築くんだろうが…それまでは。
 
 あと少しだけ……俺だけの子でいて欲しい。そう願っちまうんだよ…」

「………………そーかい」
 

 バティストはいつものように茶化す事なく、静かに話を聞いていた。
 なら仕方ない、パスカルには悪いが。誤解を解く手助けはしてやるので…もう少しだけ。シャルティエラの時間を、オーバンにあげたいと思ったのだ。



 

 ※※※




 週明け、僕は足取り重く学園に向かう。
 パスカルに会ったら、なんて言おう…。ていうか…パスカルは男の僕を抱きたい、って言ってるんだよね?益々打ち明けるの怖いなあ…。
 すると…校門の所に、見慣れた青い髪が…!


「おはよう、シャーリィ」

「っ、おはよう、パスカル…」


 なんで君は平然としているの?僕はどんな顔すりゃいいんだ!!って悩みまくったんですが?
 しかも…あああーーー!!ジェイルとデニスはさっさと帰るし、ロッティとバジルも僕を置いて行く!!待って、一緒に…


「シャーリィ、さあ行こうか」

「ひっ!?」

 なんと彼は僕の腰に手を回しおった!!なんで、今まで人前でこんな事しなかったじゃん!!
 戸惑う僕にパスカルは顔を近付け…


「シャーリィ……ごめんね、俺は以前嘘をついた。
 男が好きだ、なんて言ったが…そんな事無いんだ。俺はただ、性別の垣根を越えて君を愛してしまっただけ。
 でも、君以外は女性も男も興味は無い。それだけは、知っておいて欲しい…」


 そう耳元で囁き…離れて行った。
 え…え?じゃあ…僕が女性でも、構わないって事…?本当?


「(……呆然としている、可愛い…。俺が同性愛者だから、女性の自分は愛してもらえないんじゃないかって悩んでいる…本当だったみたいだな。
 こうなったらなるべく早くスクナ殿下には体質改善してもらって、シャーリィ…シャルティエラと正式に婚約出来るようにしないと!)」


 パスカルは優しく微笑み、僕の腰を抱いたまま歩き出す。
 え…僕は今、夢を見ている?僕…男性じゃなくても、パスカルに愛してもらえるの?……やった、やったあ!
 知らないうちに、最大の問題は解決していたようだ。これで後は、少那だけだな。彼の女性恐怖症さえなんとかなれば…と考えていたら。


「おーい、セレス、パスカル殿!」


 少那が、後ろから走って来た。
 そんな息を切らさなくてもいいのに…おはよう。


「うん、おはよう。
 ……あの、2人に話があるんだけど…放課後、いいかな?」


 話……!?あ、そっか…!すっかり忘れてたが…僕達、夢の中でキスしちゃったんだよな。あれは浮気になるのだろうか…?
 しかもその後、現実に戻ってからも…仕方がないとはいえ互いに服が溶けた状態で、身体を密着させて…!しかも、彼は僕の唇を舐めたり、したな…!!

 その時の感覚がリアルに蘇ってきてしまい…僕らは互いに赤くなり目を伏せた。


「…………シャーリィ…?君…スクナ殿下と……何か…?」

「…………!!!!」


 ななんか真横から、とんでもない冷気が漂ってきている…!!パスカルはさっきまでにこやかだったのに……今は、絶対零度の視線を少那に向けている…!!


「………!!放課後に全て話すよ。教室で待っていてくれるかい?」

「ええ…待ちますとも…何時間でもねえ…」

 やばい…なんて言おう…。パスカルは僕の腰を抱く腕に、ぐぐぐと力を入れる…。
 僕は放課後…何事もありませんように、と。祈る事しか出来ないのであった…。



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