125 / 224
学園4年生編
09
しおりを挟む劇の翌日、僕らは皇宮に招かれた。そう、美味しい和食を食べに来たのだ!お昼から。
「夕飯は会席料理を用意するんだけど…セレスは『寿司が食べたいマグロ食べたいイカ食べたいエビ食べたい!』という事だったから…昼食に用意したよ」
「わーい!少那ありがとおお!!」
ヤッター十数年ぶりの米!!いつもよりハイテンションでお送り致します!
集まったのはいつものメンバー…ではないな。ルネちゃんとジスランがいないや。用事があるから、夕方に来るらしい。
なので今席に着いているのは僕、ロッティ、少那、木華、ルシアン、エリゼ、パスカル。そしてルクトル様もいるぞ。
「他の皆はリクエストが無かったから、とりあえず箏の家庭料理を用意してみたんだけど…お口に合えばいいな」
少那はそう言って照れくさそうに笑った。僕もそっち食べたい!今度作ってもら…いや、食材や調味料、レシピをくれたら自分で作ろう。
では…いただきまーす!!
「ああ…美味しい…!よく考えたらワサビ入りの寿司って初めてだわ…美味しゅうございます…お茶ちょーだい!」
やっぱ醤油最強ですわ。美味しくて懐かしくて軽く涙が出そうだったが、堪えてモリモリ食べる。
すると、他の皆はあまり箸が進んでいない事に気付いた。
「お前、よくこの2本の棒切れで食事が出来るな…オレには無理だ、カトラリーくれ」
「私も…セレスは器用だな」
そういう事かー!箸ってこっちじゃあまり普及してないもんねえ。なので皆スプーンとフォークを使うが…ロッティとルクトル様は頑張って箸を使おうとしていた。
「一応前もって練習はしてみたんですが…難しいですね」
と言いながらルクトル様は箸を使っている。少し手は震えているけど…充分使いこなせているよ?
「私も…お兄様みたいに…!あっ」
ロッティも頑張っているが…流石に難しそう。さっきから何度も豆を落として…いやいきなり難易度高っ。仕方ないなあ…ロッティは僕の隣に座っているので…
「(…よし、お姉様や少那殿下、姫様の動きから持ち方は理解したわ。もう少し…!颯爽と使いこなして、お姉様に「ロッティすごーい!」って言ってもらうんだから…!)」プルプル
「はい、ロッティ。あーんして?」
「(やっぱやーめた!!!)あーん♡」ぽいっ
美味しい?と聞くと、ロッティはいい笑顔で最高よと答えてくれた。
妹とはいえ人前であーんするのは恥ずかしいが…頑張って食べようとしているロッティが可愛くて、ついね。
「(い、いいなあ…!)……俺も、ハシで食べてみよっかな~…?」
「席離れてんだから無駄だぞ。とっとと食え」
「ちくしょう!」
向かい側でパスカルとエリゼがなんか小声で言ってる。その間もロッティは「上手く掴めなぁい、お兄様食べさせて~♡」とおねだりしてくるので、僕はにっこにこで食べさせてあげるのだ。
「あ、このお寿司も食べる?美味しいよ!」
「……………ごめんねお兄様、私お腹いっぱいになっちゃったわ~」
そう?残念だけど、いっぱい食べたもんねえ。
『………木華、外国ってすごいね…。兄妹であんなに仲良しさんとは…』
『(本当は姉妹だけど)そうですね…いえ、多分あの2人が異常なのでは…』
※※※
食事も終わり、皆でまったりお茶にする。少那達が持って来てくれた緑茶と大福をいただいてます。
「このもちもちした食感、こっちのお菓子ではあまり無くて楽しいですね」
「ありがとうございます。確かに、海を渡ると食文化も全く違って面白いですね」
なんだか少那とルクトル様が食トークで盛り上がっている。という訳で、こっちも…
「ねえねえ、木華。ルキウス様とはどうなったの!?」
「ん゛んっ…!……その、この後予定が…」
ひゃーーー!!どうやら順調に親睦を深めているらしい!
どうやら皇宮にある花園を散策してからお茶にするんですって。それはもう…
行くっきゃねえ!
一足先に席を外した木華を、僕とロッティがこっそり追い掛ける。エリゼとか咫岐には変な目で見られたが…無視だ無視。
これは単なる興味本位では無い、心配から来るものだ。あの朴念仁なルキウス様が女の子と楽しくおしゃべり出来るのか…超面白そ、心配だ!!
「(本音を隠せてないわお姉様。同感だけど…)」
木華が自分の部屋に戻って数分、ルキウス様が訪ねて来た。心なしかソワソワしているような…ちなみに僕らは、廊下の遠~くから観察中。双眼鏡欲しい。
ルキウス様がノックすると、さっきよりおめかしした木華が嬉しそうに顔を出した。恋する乙女って可愛いわ~!
「お、お待ちしておりましたわっ」
「あ、ま、待たせてすまない」
「あっ、えっ、いえ!そそそういう意味では…!」
……本当に進展してんのかなあ、あの2人。早く腕でも組んで歩き出せや…。
という願いが届いたのか、微妙に距離を空けながらもようやく歩き始めた。では僕らも…と。
「「…………………」」
2人の後方にはお付きの使用人や騎士が4人いるので…しれっと一番後ろに並ぶ。彼らには当然気付かれたが、肝心の2人にはバレてない。セーフ!!
しかし2人、会話無えな!!!廊下を歩いている間も、世間話くらいしようや!!
こっそりと薪名に近寄り声を掛けてみる。
「ねえ…あの2人、いつもあんななの?」
「はい。移動中はたまに声を発しても「いい天気ですね…」「そうですね…」で終わります」
かあーーーっ!!!ルキウス様よ、もっとラディ兄様にするみたいに気さくに話し掛けろや!!
結局ぽつりぽつりと会話するのみで花園に到着。
でも花の話をするくらいで…やっぱ距離が…。
「まあ、これは青い薔薇?初めて見ましたわ」
「箏にはありませんか?」
「はい、写真でしか」
「そうでしたか…っ!?」
あ、やべ。焦ったくて身を乗り出していたらルキウス様に見つかった。ぎょっとした目でこっちを見ている、こうなったら開き直ったらあ!!
僕はこんな事もあろうかと、カンペ用にスケブを持ち歩いていたのさ。正確にはヨミが、だが。きゅきゅっと…
それを掲げると、ルキウス様はあっさり読んだ。
「「青い薔薇の花言葉はご存知ですか」…?」
「え、花言葉ですか…?うーん…存じませんの…」
「あ。えっと…!(えーと…以前姉上から教わった……)元々は「不可能」や「存在しない」といった言葉だったのですが…時代と共に変化しました。
今ではいくつかありますが…「神の祝福」や「奇跡」といった意味があるのです。ですから…」
ルキウス様は薔薇を1つ取り、木華の髪に挿した。そして頬を染め、彼女から少し目を逸らしながら言葉を紡ぐ。
「この薔薇を、貴女に。その…貴女と出会えた奇跡に…感謝を」
「……!ありがとう、ございます…」
うおおおおお!ルキウス様が攻めた!!気の利いた事言えるじゃん!!
木華もすっかり真っ赤になっちゃって、いい雰囲気~!もう一押し!!
「ルキウス様ー!こっち見てこっち!」(小声)
僕とロッティで腕を組んでイチャイチャして見せると、ルキウス様もその意図を理解したようだ。
怖い顔で逡巡してからスッと木華に手を差し出し…
「その…もう少し、歩きませんか…?」
「はい…!」
木華もその手を取り、ゆっくりと腕を組み…よっしゃあ!!僕とロッティと薪名でハイタッチを交わす。
ふ…いい仕事したわ。でもこれ以上はルキウス様に怒られそうなので、そろそろ退散します!頑張ってね!
その後夕食の席に現れた2人は明らかに距離が近付いていて…また僕達はイエーイと手を合わせたのでした。
でもルキウス様が僕らの顔を見るなり、ぎゅーっと頬をつねってきた!そんで小声で「…ありがとう」と言ったのだった。どういたしまして!
こりゃあ、2人の婚約が正式に決まるのも時間の問題かもね~!
「そうそう、セレス。貴方が以前言っていた剣の指導に関してだけど。紹介したい剣士がいるんだ、今いいかな?」
夕食は美味しい会席料理でした。ただしお造りは無かったが!この国に生食文化が無い事を考慮してくれたのだろう。
そして最後に水菓子を食べ終えたところで少那がそう言ってきた。おお、決まったの!?
「うん。飛白、こっちへ」
「はい」
少那に呼ばれて前に出てきたのは…白髪の剣士だ。黒髪や茶髪が多いという箏では珍しいな…。年齢はジェイルと同じくらいかな?
彼は跪き挨拶をした。
『飛白と申します。申し訳ございませんが、自分はグランツ語がまだ拙く…漢語で失礼致します。
公子の剣術指南役を務めさせていただきます、どうかよろしくお願い致します』
『あ、ありがとう。膝を突かなくていいから、さあ立って顔上げて!』
『はい』
彼はゆっくりと立ち上がる。ちゃんと見ると…顔の左側に大きな古傷がある。こめかみから口にかけて、結構大きい…。
痛そうだな…とついじっと見てしまい、飛白は…さり気なく髪で隠した。
『あ…!ご、ごめん!』
『いえ…公子が謝罪される事ではございません。むしろお見苦しいものを…』
『いやいやそんな事無いって!これからよろしくね、師匠!!』
『し、師匠?』
飛白、いや師匠は僕の発言に目を丸くした。ん?師範のほうがいいかな?
『あ、いえ…その、飛白とお呼びいただければ…』
『いやいや、教えてもらう立場だもん!ところで…少那、彼にはいつ見てもらえるの?』
僕がここに通うだけでなく、可能ならうちに来てもらいたい。そうすればグラスも見てもらえるし!
すると少那は、よかったら僕に付いてくれていいと言った。
「元々この宮の中では護衛はほとんど要らないし、外出するにしても8人全員は連れて行かないからね。騎士もいてくれるから。
だから貴方が望むなら、私がこの国に滞在している間飛白と共にいてもらって構わないよ」
「そうなの!?じゃあ師匠、一緒に公爵家来てよ!」
「……えと…はい」
よっしゃ刀の師匠ゲット!!早速身支度して来るようお願いすると、彼は戸惑いながらも部屋を出て行った。
今まで本片手に振るってるだけだったからな~!これでミカさんを使い熟してみせるぞ!
って僕1人でテンション上がっちゃってるけど…いいのか本当に!?念の為少那に確認せねば。
「ねえ…本当にいいの?もしかして本人嫌がってない?仲間と別行動させちゃって…」
「大丈夫だよ。剣士達に希望を聞いたら、彼が自分から名乗りを上げてくれたんだ」
それは…誰も手を挙げなかったから、仕方なくとかでは…?にしても師匠、戻って来るの遅いなあ。
「あ。ねえエリゼ、古傷って治癒出来ないものなの?」
もう晩餐会も終わりなので、皆帰り支度をしている。
治癒で治るんならとっくに消えてるんだろうけど…一応専門家に聞いてみた。
「ああ。傷が塞がった時点でもう「治ってる」んだ。
だから…そうだな。古傷の上からもう一度デカい怪我でもして…そこを治癒すれば綺麗に治るかもしれないが…」
エリゼはそれ以上何も言わなかったが…うん。その方法はちょっと…ね。
あれだけ大きな怪我だもの、すごく痛かっただろう。治すためとはいえ…もう一度怪我しろとは言えんな…。
「じゃあ虫歯は?あれ怪我じゃないよね?」
「いきなりなんだ?治癒は厳密に言うと、怪我と感染症に効くんだ。ただ感染症はかなり魔力を使うから、虫歯だったら普通に医者に見せたほうがいい」
に、兄様…!今もルゥ姉様に甘えてんじゃないだろうな…!今度確認してみよう。
友人達は皆帰ったのだが師匠はまだ来ない。どんだけ大荷物なんだ…と思ってたら来たわ。って荷物少な!!
『申し訳ございません、遅くなりました。少々…同僚と話を…』
『そういう事か~。じゃあ行こうか!』
ルシアン達にまた明日学園で~と挨拶をし、僕らはタウンハウスへと帰る。先にオランジュ夫妻には手紙を送っておいたから、今頃師匠の部屋を用意してくれているはず。
『自分も同席を!?いえ、馬を…もしくは御者席で結構です!』
彼は頑なに馬車に乗りたがらないので…ふん縛って乗せた。折角なんだからおしゃべりしようよ!!
『ところでグランツ語は拙いって、どのくらい?公爵家は漢語分かるの僕ともう1人しかいないからさ』
「…聞く、分かる。話す、苦手」
「つまり…話すのは難しくても、聞き取りは問題ないのね?」
僕の言葉に彼は頷いた。まあ、それなら…なんとかなるっしょ!!
馬車の中で改めて互いに自己紹介をした。ロッティも皆も温かく迎え入れてくれたぞ。
そして僕はタウンハウスに着くや否や真っ先にグラスを呼んだ。
「グラスー!!念願の剣の師匠が来てくれたよ、これから一緒に頑張ろうね!」
「おお…!グラス・オリエントです。よろしくお願いします、師匠!」
「か、飛白、です」
グラスも心待ちにしていたので歓迎してくれたぞ。明日僕らが学園から帰って来たら師匠の歓迎会をやるのだ!
と言ったら本人は遠慮してたが、残念ながら君に拒否権は無い。レベッカとモニクにごちそう作ってもらおう!
早速今からでも教えてもらいたいくらいだが…もう夜遅いのでな、明日にしよう。
でもその前に、是非ミカさんを見てもらいたい。僕の部屋にグラスと師匠を招き入れ揃ってソファーに座り、ヨミにミカさんを取り出してもらった。
「見て見て!昔箏からグランツに贈られたっていう刀!
名前は魅禍槌丸、僕を主に認めてくれたんだ。最終目標は、このミカさんを使い熟す事だよ」
「どれ…名前、ある………ん?」
?刀身に刻まれたミカさんの名前を見せたら…何故か師匠は固まってしまった。
『……主に認められたという事は、この刀には意思がある妖刀という事ですか?』
『…………自我を持ち不思議な能力がある刀を妖刀と呼ぶなら、魅禍槌丸は妖刀だね…』
『そう、ですか…』
それきり師匠…飛白は顎に手を当てて考え込んでしまった。
え、何…?怖いんですけど。
もしかしてミカさん、箏じゃ有名なの?何百人もの血を吸った妖刀…とか、そういう恐ろしい何かなの…?
【そのような行いは記憶に無い】
そっすか。じゃあ、飛白は何を難しい顔をしているの…?
たっぷり10分ほど沈黙が続いた後…飛白はゆっくりと顔を上げた。そして僕をじぃっと見つめて…ふいっと顔を逸らした。
『な、何か…?』
『…………………』
……んん?なんか飛白、耳赤くない…?彼が何を考えているのか分からず、グラスと顔を見合わせた。
だが続く飛白の言葉に…そのまま2人で凍りついてしまうのであった。
『もしかして……公子は女性…ですか?』
10
お気に入りに追加
363
あなたにおすすめの小説
乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい
ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。
だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。
気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。
だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?!
平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。
【完結】悪役令息アレックスは残念な子なので攻略対象者ノワールの執着に気付かない
降魔 鬼灯
恋愛
美人メイドに迫られたアレックスは、自分が悪役令息だったことを思い出す。
ヒロインの姉を凌辱して自殺に追いやり、10年後断罪されるアレックスって俺じゃない?
でも、俺の身体は女なんですけど…。
冤罪で断罪されるのを回避するべく、逃げ出したアレックスは、自分を監禁することになる攻略対象者ノワールに助けを求める。
ボーイズラブではないのですが、主人公の一人称は俺です。苦手な方はお控えください。
小説家になろう、カクヨムでも投稿していますが、アルファポリス版だけ内容が異なります。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!
甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。
その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。
その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。
前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。
父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。
そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。
組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。
この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。
その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。
──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。
昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。
原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。
それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。
小説家になろうでも連載してます。
※短編予定でしたが、長編に変更します。
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】
Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。
でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?!
感謝を込めて別世界で転生することに!
めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外?
しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?!
どうなる?私の人生!
※R15は保険です。
※しれっと改正することがあります。
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる