56 / 224
学園1年生編
45
しおりを挟む明け方。ベッドから体を起こすと、バルバストル先生がすやすや眠っているのが目に入る。
それと同時に…精霊達が飛び付いてきた。ラナ、エア、暖炉、アクア、ノモさん、ドワーフブラザーズ…「よかった!」「起きてくれた」「死神さま、ありがとう」と…その言葉が嬉しくて、皆をぎゅっと抱き締めた。
【お早う】
おはよう、ミカさん。悪いがミカさんは置いてくぞ。今のこの服じゃ、腰に差せないのでな。
あ、時間が無いぞ。念の為『礼拝堂に行きます』とメモを残し…行くか!
ここは僕用の部屋なので…あった、サラシ。
誰かに会う可能性もあるからね、きっちり巻かねば。よし、準備完了!
…っとと!立ち上がると、少しよろけてしまった。完全回復したと思ったけど、まだ駄目か。
「ヨミ、いる?」
「いるよ」
声を掛けると…僕の影から、ヨミがずるっと姿を現す。
あれっ今普通に喋った?いつも精霊の皆と会話する時って、ミカさんみたいに頭に直接届く感じなんだけど。
「最上級の精霊は、人間と契約すると話せるようになるんだよ」
「へえ…あまり、人前で僕のことを女扱いしちゃ駄目だよ?」
「うん、分かった。2人きりの時だけ、甘やかすよ」
甘やかさんでいいわ。
でも今はちょっと歩けないので、肩を貸して欲しい。と言ったら…彼の腕の上に座らされた…。流石精霊、力あるねー…ん?
「今…最上級って言った?」
「うん。言ってなかった?」
言ってないねー。なんかヨミって…ちゃっかりしてるな?そういえば契約の時も…それまで泣きそうな顔だったのに、終了した途端コロっと笑顔になったし。
あれ、もしかして…泣き落とし作戦でしたかね?………契約早まった?
若干後悔しつつも、彼に抱えられたまま移動した。暖炉達も皆ついて来て大移動だな、パレードみたいになってるう。
礼拝堂に到着、まだ太陽は昇っていない…間に合ったか。
キョロキョロと周囲を見渡すが、他には誰もいないな。大抵アーティとかいるんだけど…まあ、毎日見てれば飽きるか。
ヨミに降ろしてもらい、少し歩く。うん、僕の足は、まだ動く。
まだ薄暗い礼拝堂は…また違った魅力がある。蝋燭とかで照らしたら…なんかの儀式みたいだな…。
……儀式、か。
「ねえ、ヨミ。それに皆も、ちょっとそこに座ってくれる?」
「いいよ」
彼らを最前列の椅子に並んで座らせ僕は、壇上…祭壇の前に立つ。
参列客は精霊しかいないけど…ちょびっと、ね。
いつか僕は、ここで夢を叶えよう。ウエディングドレスを着る夢を。相手は…まあ、そのうち…。
という訳で、予行練習だ!えーと…なんだっけ…ドラマで観た、あの言葉。僕はゆっくりと、声に出す。
「…健やかなる時も…病める時も、喜びの時も。悲しみの時も。富める時も。貧しい時も…」
いつか…いつか。バージンロードをあの伯爵と歩く気は無いけれど。それでも…いつか誰かが、僕の隣に立ってくれている日を夢見て。
「これを愛し、これを敬い。死が2人を分つまで…愛する事を、誓いますか?」
はい、誓います。
なーんて…ね。
「誓います」
「え…」
誰…今の声、ヨミじゃないよね?
振り返ると…通路に立っているのは…
「パスカル…?」
「…うん」
なんで…?礼拝堂、誰もいなかったじゃん。
「いや…エリゼに、日が昇る前にここに来ると良いものが見れると聞いて。
でも昨日は結局、寝過ごしてしまったんだ。だから今日は、夜中からここで待機して仮眠取ってた。それより…」
パスカルはゆっくりと…カツ、カツ、と足音をしっかりと鳴らしながら通路を歩く。
そして。立ち尽くす僕の前に立ち、僕の頬に手を添えた。
「よかった…目を、覚ましてくれて…。
このまま、起きないんじゃないかと…怖かった」
彼の目には、涙が浮かんでいる…ごめんね。そして、ありがとう。
「うん…。シャーリィ、俺は…」
「シャーリィ!!」
「んぎゃ!?」
「あ!」
何かを言いかけたパスカルの背中から…白い毛玉が飛び出してきた!そして彼の頭を踏み台にし、毛玉が僕の胸元に飛び込んできた。……こんなやり取り、前にもあったような…?
「シャーリィ、会いたかったんだぞシャーリィ!」
どちら様!?僕の顔に頬擦りしたり頬を舐めてくるこの子は…?どこか懐かしいこの温もり、色、お日様の匂い…。ひょっとして。
「………毛玉ちゃん?」
「セレネだぞ!?シャーリィがつけてくれたんだぞ!」
セレネ…?ああ!完璧に思い出したわ!!パスカルと初めて会った時の…ぽんた!!
「セレネはセレネなんだぞ!」
「ふふ…ごめんね。でもなんでここに?」
「俺と契約したんだ」
パスカルがヒョイっとセレネを摘み上げる。「離すんだぞ!」と短い手足をバタつかせている姿は…可愛いな。
なんとセレネは、光の最上級精霊・フェンリルらしい。そんなに凄い存在だなんて…!!
あ、じゃあ敬わないといけないね。本来最上級精霊ってのは、万物から傅かれる存在だし。
それに、気に入った人間にしか名を呼ばせないのが最上級だ。うっかり呼ばないよう気をつけよう。
「要らないぞ。セレネは、シャーリィにそんな事望まない。
セレネと呼んで、笑顔でセレネの側にいてくれればいいんだぞ」
…うん、分かった。あ、じゃあ…こっちもヨミを紹介しよう。おいで、ヨミ。
「……………」
ヨミはゆっくりと立ち上がり…僕の後ろに立った。人見知りか?
パスカルは怯えているのか…顔色が悪くなり、少し手を震わせている。
「彼は僕と契約してくれた、闇の最上級精霊。名前はヨミ、よろしくね」
「………ヨミです」
「……パスカルです」
うーん、僕も初めてヨミと対峙した時本能的に恐怖に襲われたし…可哀想だけど、ヨミはなるべく僕の影にいてもらったほうがいいのかなあ…。
「…精霊様、1つお願いがございます」
「……言ってみて」
「その…顔を!見せてください!」
「ほ!?」
パスカルは震える手をぎゅっと握り締め、意を決したように発言した。
僕は突拍子もない彼の発言に、変な声が出た。だがヨミは何かに思い至ったようで…にこにこ顔になった。
ヨミは笑顔のまま僕を見下ろす。パスカルの意図はまるで理解出来ないが…こくんと頷いてみせた。
そしてゆっくりとマスクを下ろした…パスカルの反応はいかに?
「…………」
パスカルはヨミの顔をじーっと見ている…。そして自分の顔に手を当てて…唸っている。
「シャ…セレスタン。君は…精霊様の顔、どう思う?」
「顔…?………可愛いと思う」
「!そ、そうか。じゃあ、お………………なんでもない」
なんだ一体…僕が可愛いと言った瞬間、彼は顔を輝かせた。
意味が分からない。だが彼の肩に丸まっていたセレネが解説してくれた。
「パルはな、シャーリィに格好いいって言われたいんだぞ」
「黙らんかいっっっ!!!」
「けだまちゃーーーーーん!!!?」
パスカルはセレネをぐわしと掴み、そのまま壁に向かって放り投げた。フェンリルをそんな扱いしていいの!?
「いいんだぞ。セレネは痛くも痒くもないからな。パルとシャーリィは許すぞ。
後は、まあ…ピンクと貧乳とクロスケも許してやるぞ。シャーリィの為に頑張ってたからな」
とてとて戻って来たセレネがそう言った。そして肩で息をするパスカルの頭に乗る。
…………エリゼと、バルバストル先生と…ゲルシェ先生?……ぶふっ。
「ふ…んふふ…っ!な、名前で呼んで、あげてね…」
「そうか?シャーリィがそう言うなら…エリゼとクレールとオーバンだな」
そうそう。間違ってもバルバストル先生に貧乳なんて言っちゃいかんよ。それより…
僕はパスカルの手を取った。顔を近付けると…あらら、赤くなってら。
「パスカルは、かっ、か…格好…い…」
……駄目だ!!スマートに「格好いいよ」と言いたいのに…照れ臭くて言えん!!!
うう…なんで?可愛いだったら簡単に言えるのにい…。結果的に僕達は、手を握り合って祭壇の前に並び立つ状態になっている。
しかもよく見ると、ヨミとセレネは席に座っとる!!!いつの間に…!
「…セレスタン」
「!?」
パスカルが、僕の手を握り返して来た。
「なあ…さっきの言葉、なんだったんだ?つい反射的に答えてしまったが…間違っていなかったか?」
「ま、間違っちゃ、いないよ…」
というより…誓いません!なんて言っちゃったら、もうそれギャグだよ。次の瞬間パイ投げが始まるよ。
しかし、あれは結婚の誓いの言葉だよ。なんて言えるか!!
「そっか…よかった。素敵な言葉だったな。まるで…将来を誓い合うようだった」
「ごふっ」
分かってんじゃねーーーか!!!この国にこういう習慣なんぞ無いのに!
ていうか君、男の手を取って楽しいの!?僕がジスランでも、同じように手を握って顔を見つめるの!!?そんな風に、愛おしいものを見るような目で…っ!
誰かこの空気ぶち壊して!!精霊達はアテにならん、ロッティ!カモーン!!
キィン……
あ……始まった…。
朝日が昇り、礼拝堂を…淡く照らし始める。段々と光は増し…
「わ……」
パスカルも感嘆の声をあげる。ね、綺麗でしょう?一瞬だけ…ほんの一瞬だけ、何も見えないほどの光に包まれるんだよ。でも目は眩まないんだから不思議。
僕達は手を繋いだまま、僅か数秒間の景色を楽しんだ。終わった後も余韻に浸っていたが…もう夜が明けた。皆が起き出す前に…部屋に戻ろう。
「あ、パスカル。ぼくはヨミでいいよ」
「?……わかっ…た、ありがとう」
おお?立ち上がったヨミがそう言った。どうやらヨミもパスカルの事を気に入ったみたいだけど…どの辺で?
そういえばパスカル、もうヨミの事恐れてないね。メンタル強いなあ。
ヨミは僕の影に入り、セレネはパスカルの頭に乗っかった。そして精霊達を連れて…僕達は歩き出した。
※※※
部屋に戻るとまだ先生は眠っていて。軽く揺らすとすぐ起きたんだけど…そのまま部屋を飛び出して行った。
僕とパスカルは呆然としていたが、すぐに複数の足音が廊下に響き渡る。
「はしっちゃダメーーー!!!」
「「「すいません」」」
ぶ…っ!そうだよね、アーティ。みんなで決めた院則、「緊急時以外は廊下を走ってはいけません!」だもんね。
困ったお兄ちゃんお姉ちゃん達だねえ。パスカルにそう言ったら…気まずそうな顔で目を逸らした。君…怒られたな?
「お兄様!お兄様ーーー!!!」
「わっ!!」
今度は早足で歩く音が近付いて来たと思ったら、ロッティが扉を開けて、僕に飛び付いてきた。僕は反動でロッティと一緒にベッドに倒れ込んだ。
部屋に飛び込んで来たのは彼女だけじゃない。友人達も、先生達も…子供達も半数がいる。まだ朝早いのに…。
「お兄様…!よかった、よかった…!」
「……うん。あの時、僕を受け止めてくれてありがとう。
皆も…心配かけてごめんなさい。そして…待っていてくれて、ありがとう」
僕とロッティが抱き合ってベッドに転がっていると、ルネちゃんも加わった。アーティも、ミントも。今この空間だけは、貴族も平民も関係無い。同じように僕を案じてくれた人達…温かい。
パスカルとジスランとグラスも混じろうとして、エリゼとゲルシェ先生とバジルに止められていた。今このベッドの上は、男子禁制でーす!いや僕男じゃん…。
身体を起こし、皆で朝食を食べに行く。
食堂に着くと、誰が僕の隣に座るかで揉め始めた。するとヨミが僕を膝に乗せ…ドヤってた。ついでにこのまま紹介してしまおう。
「闇の精霊様だかなんだか存じませんが、お兄様を膝に乗せるのは私よ…!!」
「乗らないよ!?」
「いいや、俺だ!」
「ジスラン!?」
「おれは隣でいい」
「「あーーー!?」」
不毛な争いを繰り広げる2人をよそに、グラスがさらっと僕の右隣をゲットした。
そして左には…
「それが闇の精霊か…恐ろしいが、お前を守ってくれるんだろう?なら、安心だな」
「…うん!」
ちゃっかり、ラディ兄様がいるのである。
ヨミを紹介すると、やっぱり皆慄いていたが…数人はすぐに慣れていた。違いはなんだろう…?
肌に直接触れると死ぬよと言ったけど、ロッティなんかは「服の上からなら大丈夫なんでしょう?ならいいわ」とアッサリ受け入れていた。おっとこまえー!
「あのね、ヨミは優しい恥ずかしがり屋さんだから…あまり、怖がらないであげてね!」
怖いかもしれないけど、彼の事を誤解して欲しく無いんだ。特に、僕の大事な人達には。
「(……触れると死ぬ、か。その力で事故に見せかけて伯爵を…なんて。
本人が人殺しを望まないから、あんなに厚着してんだろうし…駄目だ。それに殺すのは最終手段だ)」
?エリゼが何か考え込んでいる…。
僕を治療してくれたのは、エリゼとバルバストル先生だと聞いた。サポートしてくれたのはゲルシェ先生で、霊脈に連れて来てくれたのはセレネだと。本当に…ありがとう。
そして落ち着いてから僕の部屋で、エリゼとルシアンに事の顛末を聞いた。
決闘相手は死んだ、セレネが殺したと。どっちにしても向こうは処刑台送りだったから…気に病むなと言われた。
大丈夫。流石に…自分を殺しかけた相手に同情は出来ない。ロッティを侮辱し、更に彼女を泣かせたというのなら尚更。
…忘れる事は、出来ないけど。自分に関わった人間が、死んだのだから。
そしてすでに後処理は終わっているって。僕が罪に問われる事は無いけど…
「陛下が…!?」
「ああ…其方とマクロンに、精霊を連れて来て欲しいと…」
「まあ最上級精霊が人間と契約するなんて、前代未聞だしな」
うわ、思ってたより大変な事だったんだ。せめてもの救いが、パスカルも一緒というところか。
特に死神に対する記録は非常に少ないらしく…質問攻めとかされたら、やだなあ。
「前代未聞じゃ、ないよ」
ヨミ?影から声がする。
「どういう事ですか?」
すでにエリゼもヨミに対する恐怖心は無いようだ。毅然とした態度で接している。
「人間の記録には残ってなくても、最上級でも契約はしてるよ。
最近では…水の最上級精霊、リヴァイアサンが、50年ほど前に人間と契約してる」
へえ…そっか、記録が全てじゃないもんね。
来週末に皇宮に行くと約束した。にしても、明後日からの学校…気が重いなあ。
他の生徒達から…「ほら、あれが人殺しよ」なんて指差されたら…うう。
沈んでいた僕の頭の上に、温かいものが乗せられた。エリゼの手だ。
「ボク達がついている。誰に何を言われようと、胸を張っていればいい」
「……ありがとう」
こうして僕達は週末をゆっくり教会で過ごした。
グラスに漢語を教えていたら、他の人も聞きたがったり。
そんな風に勉強したり掃除なんかの仕事をして過ごし…首都に向けて出発した。
10
お気に入りに追加
363
あなたにおすすめの小説
乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい
ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。
だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。
気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。
だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?!
平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。
【完結】悪役令息アレックスは残念な子なので攻略対象者ノワールの執着に気付かない
降魔 鬼灯
恋愛
美人メイドに迫られたアレックスは、自分が悪役令息だったことを思い出す。
ヒロインの姉を凌辱して自殺に追いやり、10年後断罪されるアレックスって俺じゃない?
でも、俺の身体は女なんですけど…。
冤罪で断罪されるのを回避するべく、逃げ出したアレックスは、自分を監禁することになる攻略対象者ノワールに助けを求める。
ボーイズラブではないのですが、主人公の一人称は俺です。苦手な方はお控えください。
小説家になろう、カクヨムでも投稿していますが、アルファポリス版だけ内容が異なります。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!
甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。
その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。
その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。
前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。
父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。
そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。
組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。
この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。
その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。
──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。
昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。
原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。
それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。
小説家になろうでも連載してます。
※短編予定でしたが、長編に変更します。
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】
Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。
でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?!
感謝を込めて別世界で転生することに!
めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外?
しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?!
どうなる?私の人生!
※R15は保険です。
※しれっと改正することがあります。
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる