上 下
37 / 224
学園1年生編

32

しおりを挟む


「お兄様、おはよう!…あら、髪切った?それに眼鏡は?」

「おはよ、ロッティ。うん、邪魔だから…取っちゃった」


 2日ぶりにロッティと女子寮の前で顔を合わせる。
 以前は僕も毎週末家に帰っていたが…今は、もう帰ってないし帰って来いとも言われない。
 それでも教会には顔を出していたんだが、今週は無理だった…。でも僕がいなくても大丈夫そうだし、たまに行けばいいかな。

「グラスが坊っちゃんの事を気にしていましたよ。「なんで来ない」って」

 グラスが?なんでまた。彼は自称15歳で、僕より年上だと思うんだけど、甘えん坊さんか?まあ、今週は顔出そう。


 そして僕…邪魔な前髪を切った。どうせここ数日はずっと顔晒してたし、なんかもう吹っ切れた。
 眼鏡も無いから今の僕を隠す物は何も無いが、どうでもよくなっちゃった。

「ふうん…でも私は嬉しいわ!お兄様の可愛いお顔をいつでも見られるんだから!」

 ロッティはそう言って僕に抱きついてきた。こらこら、兄妹とはいえ異性間であんまこういうスキンシップは駄目だよ。
 と、いつもの僕なら言うだろう。でも…今は、この温もりを感じていたい。そのまま腕を組んで、教室に向かった。




 友人達と挨拶を交わし、クラスメイトからは「髪切った?」「そのほうがいいね」など声をかけてもらった。
 もっと早くこうすれば良かったかな。視界がスッキリしたと同時に、視野も広がったのかもしれない。
 そこにルネちゃんも現れて…そうだ!

「ルネちゃん、今日のお昼、売店で何か買って医務室に来てくれない?ちょっと話が…」

「もちろん良いですけど…先生と、3人でよろしくて?」

「いや実は、エリゼも…」

「……セレスちゃん、まさか」

「はい…バレました…」

 流石ルネちゃん、察しが良い。彼女は右手で自分の顔を覆って天を仰いだが…「後でじっくり聞きますわよ!」と言った。
 そしてそのエリゼ。こっそり教室に入ってきて…ジスランが「おはよう」と声を掛けたら、びくーん!!と肩を跳ねさせた。
 そしてこっちに顔も向けず、「はよ…」と蚊の鳴くような声を出した後真っ直ぐ自分の席に座った。

 いつもならチャイムが鳴るまで僕達の席の近くで集合してるもんだから、僕以外のメンバーは「なんだアイツ?」な雰囲気だ。
 まあ、普通の顔してこっちに来られても困るが。…うう、昨日の出来事を思い出し顔に熱が集中する。いかん、落ち着け…!!



「…おはよう」

「……おはようございます、殿下」

 落ち着いたわ。
 ルシアン殿下が挨拶してきた。そしてそのまま席に着いたが…彼はあの後、何を思ったのだろう。


「あ……今日から殿下に関わるのはやめたから…また一緒にお昼食べようね」

「え?ええ…何か、あった?」

「ううん」


 何も無かったよ。
 僕は初めて、ロッティに嘘をついた。

 いや、違うか。生まれてから今までずっと、嘘を重ねて来たんだ。……いつか、全ての罪を告白しよう。


「何もなかったな」

「ああ、いつも通りだった」

 ジスランもパスカルも、僕に合わせてくれた。ありがと…。


「…お兄様がそう言うのなら、そうなんでしょうね。わかったわ!」

 ロッティは全て見透かした上で、何も聞かないでいてくれている気がする。ごめんね。

「でも今日だけ私とセレスちゃんとエリゼ様はお昼を別にさせて頂きますわ」

「そうなの?仕方ないわね…」



 そんな風にエリゼ以外のメンバーで雑談をしていたら…。



「………セレスタン」

「へ。…うわ!?」


 誰かに名前を呼ばれ振り向くと…ランドール先輩がいた。
 教室のドアが開いていて、そのドアから顔も体も半分だけ覗かせている。
 彼は女子生徒から多大な人気を得ているので、うちのクラスの令嬢達は歓声をあげた。いいんですか、あんな不審者でも?

 しかし何事?あ…もしかして、ルキウス殿下から伝言でも…?


 先輩は右目だけで教室を見渡し…僕に向かって声を掛けた。

「何か、困っていることは無いか?」

 今の貴方の行動に困っています。

「い、いえ特には…」

「そうか……誰かに、いじめられたりしてないか?」

「大丈夫です…」

 なんなんだ一体???

「……勉強、見てやろうか。俺はあの2人と違って教えるの得意だぞ」

「じゃ、じゃあお願いしようかな…?」

 そう返事したら、満足気に頷いた。なんなん??
 あの2人って、殿下2人?でもルクトル殿下は優しく教えてくれそうだけど。

「それと、今日の放課後空いてるか?」

「はい」

「よし。一緒に、街に行かないか?」

「は、はい」

「じゃあ私も…むぐ!?(ちょっと!!何するのよジスラン!?)」

「(ロッティ、今回は引いてくれ!!)」

「エビ以外、好きな物はなんだ?」

「えー…と…。アイス、とか…?」

「…パフェは?」

「大きすぎると食べきれないですが…好きです」

「わかった。じゃあ放課後迎えに来る」


 ???言いたい事だけ言ったのか、ランドール先輩は去った。

 え、な、なん、なに???僕は当事者のはずなのに、まるで状況が読めないんですが?教室全体がなんだったんだ今の?って空気だし。

 ただしロッティを押さえているジスランと、パスカルはなんか訳知り顔だ。


 ………?????




 ※




「…よし。『頼れるお兄ちゃん特集!』に載っていた、『怖い人から守ってくれる。頭が良い。イケメン!』はクリアしたぞ。…してるよな?
 ふふふ…この調子だ…!」


 ランドールは自分の教室に戻った後、とある雑誌を開いていた。

 彼はイケメンとか格好良いという言葉より、美しい・麗しいという言葉が似合う美形である。
 タイプの違う美形であるルキウス・ルクトルと並ぶ姿は、女生徒からアイドルのように扱われ拝まれている。

 今も椅子に座り微笑みながら読書をしている、というだけで絵になるもんで、クラスメイトは遠巻きに見ている。

「(ああ…何を読んでらっしゃるのかしら?)」
「(今日も麗しいわ…あの本になりたい…)」
「(どうせいつものくだらん本だろうな…)」
「(この前は『世界の珍ドッキリ百連発』とかいうの読んでたな。
 そんで皇太子殿下に仕掛けてこっぴどく叱られたとか…)」


 まあ男子生徒はほぼ、彼の本性を知っているのだが。


 後ろの席のルキウスが、やや身を乗り出して何を読んでるのか覗き込んでみた。

「(えーと…?『理想のお兄ちゃんみたいな年上彼氏が欲しい♡~頼れるお兄ちゃん特集!~』……?
 何読んでるんだコイツ、誰か…年下の意中の相手でもいるのか…?ってそんな訳ないか…)」


 それは、平民の女の子の間で流行っている雑誌だった。以下抜粋。

『この前町で変な男達に絡まれた時、前に立って守ってくれたの格好良かった~!(16歳)』
『ガッコのベンキョーでわかんないトコあったんだけどー、むっちゃてーねーに教えてくれたんマジヤベー(15歳)』
『とにかくイケメン顔が良ければ全て良し!!(12歳)』
『高いお店で、サラッと会計済ませてくれて惚れた。やっぱ年上だわ(16歳)』
『買い物しすぎて大荷物になっちゃったんだけどぉ、重たいの持ってくれた!もちろん全部オゴリ♡でも次の日フラれた(18歳)』
『チビは嫌。せめて自分より10センチは高くないと、並んだ時ダサい(9歳)』
『あの、11歳下の男の子から告白された場合どうすればいいんですか!?(28歳)』


「ふむ。後は…『奢ってくれる。重い荷物を持ってくれる。背が高い』か。背は…平均以上はあるな、うん。
 ……ん?なんだルキウス、覗きか?このむっつり変態皇子め」

「誰がっっっ!!!…っごほっ…。
 お前、こんな教室でやめんか…!」

「ちゃんと小声にしているだろうが。誰にも聞こえちゃいないさ、問題ない」

「ったく…!…ところでそれ、どうしたんだ?」

 ルキウスは、ランドールが胸に抱えて隠した雑誌を指差した。

「む?いや、セレスタンの頼れる格好いいお兄ちゃんになろうと思ってな。
 だが俺は一人っ子だし、どうしたもんかとルクトルに相談したらコレをくれた。読みたいのか?」

「いや、私はいい…(何を考えてるんだ弟よ…?)」

「そういう訳で俺は、今日は生徒会休むぞ。早速街に繰り出すのでな」

「好きにしろ…」


 ランドールは本当は昼も一緒に食べたいと思っているのだが、セレスタンにも友人達との時間が必要だろうと考えやめた。
 しつこい男、束縛する男は嫌われると雑誌に書いてあったから。


『やっぱり互いにプライベートな時間は必要。交友関係とかにまで口出されたら腹立つ(25歳)』


 当然それは恋人の条件として書かれているのだが…。
 ランドールは、完全に方向性を間違えていたのだった。




 ※※※





「なあ、前も思ったが…なんか医務室、豪華になってないか?なんだこのテーブル、なんで医務室に飲食スペースがあるんだ??
 それとこの扉。生徒会室の物と同じじゃ?」

 色々あったんだよ、そりゃもう色々…。


 医務室に集まり、先生も含めて秘密のお話をするのだ。もちろんベッドの下まで、誰もいないのは確認済みさ。


「で、今日はなんの用だ?……ラブレーに秘密がバレた、との事だが…」

「その通りです…」

「……むしろ、先生は何故知っていたんだ?」

「ヴィヴィエ嬢に聞いてみろ」

「おほほ…偶然ですわ」

 言ってくれるわい。
 それぞれ持参した軽食でランチを済ませ、早速本題に入る。
 ルネちゃんと僕がベッドに並んで座り、先生は自分の椅子。エリゼはダイニングセットの椅子に腰掛けている。


「……理由は省くが、まあその…うん。アレだ。セレスが本当は女だって事、秘密にすればいいんだろう?」

「うん…お願いね」

 話が早くて助かります。
 その後彼にも、僕の男装の経緯を説明した。そして渋い顔をした後…「やっぱ暗殺か…」と呟いた。…誰を?

「まあ、概ね予想通りだな…。
 お前が現状維持を望むなら、ボクも付き合おう」

「…ありがとう」

 なんとも予想外の出来事だったが、結果的に信頼出来る仲間が増えた。
 僕とルネちゃんとエリゼと、時々先生も口を挟みながら会議をする。やっぱ男子の協力者は心強いね!
 今後は男女で授業が分かれることも増えてくるから、そういう時エリゼが頼りになる。
 4年生になると剣術の授業で合宿とかあるし。寝る時とかお風呂とか…………うん。



「で?エリゼ様はどうしてセレスちゃんが女の子だと気付きましたの?」

「蒸し返すな!!!」

「いいえ、大事なことですわ。同様に他の方にも露見する恐れがありますのよ?」

「そう、だが…!!それはあり得ないから、安心しろっ!!」


 うん、あり得ないで欲しい…そんなん誰でも彼でも相手に全裸を晒して回ったら、僕は完全に痴女ですから。
 なおも食い下がるルネちゃんを躱すため、強引に話題を変えた。



「あー、あー!ルネちゃんに報告しなきゃいけなかったんだ!
 あのね…朝も軽く言ったけど、僕達ルシアン殿下とはもう関われ…関わらないから」

「……何があったのか、私にも話してくださらないの?」

 う…ルネちゃんは当事者だし…。そんな眉をハの字にして上目遣いで言われると…!
 でもあの道場での出来事は知られたくない…どうしよ。

「殿下とセレスが衝突した。ボクは完全にセレスの味方だし、ルキウス殿下達は中立だ。
 今後ルシアン殿下がどう出るか…それにより変わる。それだけだ」

 エリゼ…。彼は「これでいいだろ?」と言わんばかりのドヤ顔だ。それが腹立たしくもあり、頼もしくもある。
 ルネちゃんもその説明で納得してくれたし…したんかい。

「分かりましたわ。きっと、それで良いのでしょう。
 で、どうしてセレスちゃんが女の子だと…あ!!?」

 ルネちゃんが言い切る前に、エリゼは部屋を飛び出した。「お待ちなさいませっっ!!」とか言いながら彼女も後を追い、先生は「廊下走んな!!!」と叫んだ。





「ったく……で、実際どうしてバレた?」

「………部屋で……シャワー浴びてたら……見られた」

「………は?」

 先生は2人きりになるや否や聞いてきた。やっぱ気になるようだ、僕は素直に答えた。ちょっとルネちゃんには恥ずかしくて言えないから…。
 ただ「参っちゃうよね~」くらいのノリで答えたんだが……先生、怒ってます……?

 彼は無表情で机に頬杖をつき、足を組んで僕を見下ろしている。雰囲気怖いよ…?


「怒ってないが?それとまさかと思うが、ラブレーは覗きでもしたのか?」

「違うよ!不可抗力で…彼は悪気は一切無かったし、僕を心配して行動した結果だし…」

 おかしい。何故見られた側である僕がこんな言い訳じみたことをしているんだ?
 ただしエリゼの名誉の為にも、ちゃんと説明しなきゃ!
 そう思い一部始終を話した。僕が2日間音信不通だった為、心配した彼が転移で様子を見に来てくれたのだと!それが運悪くシャワー中だっただけだと!!


「……見られただけか?何もされてないか?」

「んー…特には。彼もすぐに出てったし…(押し倒された事は黙っておこう…)」

「そうか」


 ほっ…。どうやら先生は納得してくれたようだ。
 と思いきや、おもむろに立ち上がり僕の前に立った。僕が座ってるせいもあるが…威圧感半端ない。

「先生…どうしたの…?…うあ!?」

 そして先生が僕の左側に右膝をつき…ギシッとベッドが揺れる。
 急に距離が近くなったもんで、僕は慌てて身体を後ろに逸らしたのだが、逃げる事は許されなかった。


「先生、前に言ったよな?寮は男ばかりだし、お前は女の子なんだから危機感を持ちなさいと」

「ち、近いよ、先生…!それに寮はセキュリティ万全だから、大丈夫だって言ってたじゃん…!」


 僕の背中には先生の腕が回され、右の手首を掴まれて身動きが取れない。
 先生は僕に覆い被さる形になり、顔は息がかかりそうな程近い…!!何この状況!!?


「何事にも例外はある。寮内で大掛かりな魔術は使用禁止だが、今回は寮監の先生の許可の下行っただろう?
 それだってお前が、前もってラブレー達に返事をしておけば防げた事態だ。今からシャワー浴びるからちょっと待ってて、とでもな。
 つまり、お前の不手際だ。そうだろ?」

「そ…です…はい…」


 先生が怖い…!ななななんでそんな怒ってるの!?相変わらずの無表情で目を合わせる。
 なんかもう、今にもキスされるんじゃないかってくらい顔近いよ!!?
 怖くて身体が震える…!!


「今回はラブレーだったから良かったが…相手がもしブラジリエとかだったらどうするつもりだったんだ?
 あいつにこうやって押さえ込まれたら、逃げられるのか?出来るんなら、やってみろ」

「うぅ……!」


 先生は完全に僕の膝の上に乗っているから足が動かせない!右手は使えないし、左手で胸を押してもびくともしない…!

「ちょ、先生…!冗談やめて、まって…」

「冗談?何がだ」

 何って…!この体勢だよ!!力が入らない、怖いけど…それ以上にドキドキする…!!
 心臓の音がどんどん大きくなる、この距離じゃ先生に聞かれちゃうよう…!鎮まれ、いっそ止まれ!!!




「もし……」

「………!!!」


 先生の顔が更に近付き、僕は怖くてぎゅっと目を閉じた。



「もしも今回と同じことが起これば…俺は学長に報告するからな。
 そしてお前は女子寮に引っ越しだ。分かったな?」


 僕の耳元でそう囁き…ゆっくりと離れて行った。


「返事は?」

「……………はい……」



 あの……耳に唇が触れたのですが…。
 僕は自分の耳を手で押さえ、先生が離れた後も動けずにいた。


 当の先生は、何事もなかったかのようにいつも通り机に向かい…。


「その赤い顔が治ったら、とっとと出ていくんだな」


 とこっちを見ずに言った。

 いや…ここにいたら治らんので…もう出て行きます…。
「失礼しましたー…」と声を掛け、僕はゆっくり医務室から出た。

 そして扉に背中を預けてそのままずるずるとへたり込み……


 チャイムが鳴るまで、僕は立ち上がれなかったのであった。




「………やり過ぎたか。でもまあ、これでいい加減危機感持つだろ」





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい

ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。 だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。 気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。 だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?! 平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。

【完結】悪役令息アレックスは残念な子なので攻略対象者ノワールの執着に気付かない

降魔 鬼灯
恋愛
美人メイドに迫られたアレックスは、自分が悪役令息だったことを思い出す。  ヒロインの姉を凌辱して自殺に追いやり、10年後断罪されるアレックスって俺じゃない?  でも、俺の身体は女なんですけど…。  冤罪で断罪されるのを回避するべく、逃げ出したアレックスは、自分を監禁することになる攻略対象者ノワールに助けを求める。  ボーイズラブではないのですが、主人公の一人称は俺です。苦手な方はお控えください。 小説家になろう、カクヨムでも投稿していますが、アルファポリス版だけ内容が異なります。

継母の心得

トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】 ※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。 山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。 治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。 不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!? 前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった! 突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。 オタクの知識を使って、子育て頑張ります!! 子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です! 番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。 時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。 「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」 「ほう?」 これは、ルリアと義理の家族の物語。 ※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。 ※同じ話を別視点でしている場合があります。

申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!

甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。 その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。 その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。 前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。 父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。 そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。 組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。 この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。 その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。 ──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。 昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。 原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。 それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。 小説家になろうでも連載してます。 ※短編予定でしたが、長編に変更します。

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】

Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。 でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?! 感謝を込めて別世界で転生することに! めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外? しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?! どうなる?私の人生! ※R15は保険です。 ※しれっと改正することがあります。

モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~

咲桜りおな
恋愛
 前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。 ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。 いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!  そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。 結構、ところどころでイチャラブしております。 ◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆  前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。 この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。  番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。 「小説家になろう」でも公開しています。

処理中です...