上 下
22 / 224
学園1年生編

19

しおりを挟む


「おにーちゃん」

「……ん?」


 礼拝堂で長椅子に腰掛け、書類に目を通していたルキウス様の左腕をアーティがくいくい引っ張る。どうやらあれは彼女の癖らしいね。
 当のルキウス様は、何故か固まっている?彼の右側に座っていたルクトル様とランドール先輩は、何事かと首を伸ばしている。

 そんな彼らの様子は完全無視して、アーティは満面の笑みを見せた。


「あのねー、ごはんとおようふく、ありがとうね!」

「「「……どういたしまして…」」」


 元気よくお礼を言うアーティと、ワンテンポ遅れて返事するトリオ。ルキウス様は目を擦っている、ゴミでも入った?
 アーティはきゃー!と楽しそうに、少し離れて様子を見ていた僕の元に走ってきた。


「おねえちゃん、アーティちゃんとありがとう言えた!」

「そだねー、偉い偉い!それじゃあバジルお兄ちゃんと一緒に、ご飯食べておいで?」

「はーい!」

 にこにこ笑顔で戻っていくアーティとバジル。その様子を見ていた他の子達も、ちょっと近付いたり僕の後ろからだったり次々お礼を言う。


「あり、あ、ありがとうっございます!」
「……いただきます」
「このご恩は忘れませぬ…」
「あいがとー」


 うんうん、いい感じ?最後にセージ率いる4兄妹がトリオの前に立つ。


「えっと…ルキウス様、ルクトル様、ランドール様…今日はありがとうございました」

 ふかぶかと礼をする4人に、ルキウス様は優しい声で顔を上げるように言った。
 だが…その眉間の皺が深く刻まれているせいで、折角勇気を出した4人はまた震え上がってしまう。

 わかる、僕も経験者だから!怖いよねあれ!怒らせた心当たりも無いから余計に戸惑うよね。
 子供達(と言っても、多分セージはトリオと同年代)の様子がおかしい事に気付いたルクトル様が、横から手を伸ばし兄の皺をぐいぐい伸ばした。


「ごめんなさい!実はこの人、機嫌がいい時、困っている時、焦っている時にこうなってしまうんですよ。
 不機嫌だったり怒っている時は、逆に笑顔になりますから。多分今は、さっきまで警戒していた君達がこうやって歩み寄ってくれて、喜んでいるんですよ」

「そうだ。この強面はこう見えて子供好きでな。だがこの顔のせいでいつも逃げられるんだ。
 だからさっき女の子が笑ってくれた時、自分の目がおかしくなったのかと思っていたんだろうな」

 へー、そうだったんだ!というかランドール先輩、殿下相手に容赦無いね?
 そのルキウス様は2人にチョップを喰らわせた。そして咳払いをし、仕切り直す。


「そういう事だ、気にするな。今まで苦労してきたことだろう。
 見たところお前が年長者のようだ。名は?」

「セージ、です。セレスタン…様につけてもらいました」

「セージか、いい名だ。お前達は?」

「グラス」

「ミントです…!」

「パッパパセリで、す」


 ルキウス様は今までご苦労だった、と4人を労ってくれた。その言葉を受けたミントとパセリは僕にくっついて泣いてしまい、セージは俯いた。
 ただ…グラスだけは、複雑な表情だ。涙を堪えているようにも見えるし、怒りを堪えているようにも見える。彼だけは、最初からよく分からないな…。





 ※※※




「僕、ここに植えようと思うんだけど!」

「待ってください、坊っちゃん。どのくらい成長するか分かりませんから…もし巨木になったら、畑(予定地)に日が当たらなくなってしまいます」

 あ。そっか…いい場所だと思ったんだけどなあ…。


 あの後お腹いっぱいになった子供達は、新しい服に着替えて騎士様達にもお礼を言った。
 堅物な騎士様は「命じられた通りにこなしただけだ」と言っていたが、その頬は緩んでいた。

 そろそろ伯爵家に帰ろうとなったが、僕が果実の種を植えたいと申し出た。
 今日の記念…という訳でもないけど、殿下達と一緒に植えたいと思ったのだ。彼らも快諾してくれて、現在どこに植えるか話し合い中。

 僕が予定していた場所は没になってしまったよ。方角は考えてたのに、何故日当たりを忘れる…。


「じゃあ、畑はもうちょっとズラして教会の側に植えよう」

「今度は教会に影が出来てしまいますよ?」

 うぐ…バジル厳しい。


 最終的に、教会の正面から左手側、北のほうに植える事に。
 小さいスコップで穴を掘り、種を植える。


「これはなんの種なのだ?」

 ルキウス様は、積極的に手伝ってくださった。僕とルキウス様が並んでしゃがみ作業し、今土を被せている。他の皆は上から覗き込んでいる状態だ。
 前もってノモさんが周辺を植物が育ちやすい土にしてくれたので、芽が出るといいなあ。トト◯の夢のように、おっきい木にならないかな!?

 …ってルキウス様、知らずに手伝ってたんかい!!


「うーん、僕にも名前は分かりません。果実の形は林檎に近いけど真っ白で、甘くて栄養満点なんですよ!
 だからここで採れるようになったら、子供達がいつでも食べられると思って」

「白い果物…?まさか、トワの実?」

 え?ルクトル様、何か知ってるの?
 ねえ、ラナ。あれってトワの実って言うの?


「ふんふん…「人間がつけた名前は知らない、自分達は白の実と呼んでいる。精霊界から採って来た」…だそうです。あれっ、じゃあ人間界じゃ成長しない!?
 あ、ちゃんと育つ?そりゃよかった」


 植えた所に、アクアが水を撒いてくれた。そしてラナが魔力を与えてくれたので、きっと育ってくれるはず!
 実は…植物の精霊、ドライアドを喚びたいなあと思ったんだが。ドライアドは最上級なので、あのフェニックスと同格。諦めた。
 僕の精霊達も「やめとけ」って言うし。最上級は、人間の手に負える相手じゃなさそうだ。



 そして、教会をバックにロッティのカメラで記念撮影をする事に。僕達、子供達、精霊達全員で!
 本当は騎士様にも一緒に入って欲しかったんだけど、撮る人がいなくなるから…残念。

 僕の右側にはロッティが。左手側にはルキウス様。僕の隣に誰が…と少し揉めたが、ロッティは強引に、ルキウス様もしれっと収まった。
 まあ、僕はいいんだけど…そんなやり取りが楽しくて、自然と笑顔になった。


 この後屋敷で話し合いもあるし、急ぎ帰る。子供達が総出でお見送りしてくれた。
 その時…バジルとグラスが何か言葉を交わしているのが見える。帰り道に何を話してたの?と聞いたがバジルは教えてくれなかった。
 もしかしたら…知り合いだったのかな。そうだとしてもおかしくないしね。彼が語りたくないと言うのなら、僕は何も見なかった事にしようっと。



 そうして僕らは帰路に着く。


 今度は殿下も何も言わず、皇家の馬車に乗った。だが。


「なんだかこっちに乗せてもらえと…追い出されました」


 グストフ様も一緒である。ふーむ、内緒話でもしてんのかな?
 まあ僕もロッティも歓迎するし、バジルも嬉しそうだし。


 一体、なんの話をしてるのやら?




 ※




「見たか!!ついに私も名前で呼んでもらったぞ!!」

「ふん、どうせ今日だけだろうが!!俺はこれからも先輩だ!!」

「そうですね、僕も残念ですが…これからいくらでも機会はあると考えましょう」


 こんな話をしていた。
 しばらくこのような会話が続いた後、真面目な話題に入る。
 彼らは一度脱線しないと、厳かな雰囲気になれないのである。



「それよりルクトル。トワの実って、あの伝説の?」

 ランドールの問い掛けに、ルクトルは厳しい顔をした。

「育ってみないとなんとも。
 ただ…人間界では数百年前に消え去った幻の果実。
 人体に必要な栄養素は全て入っていて、毎日一口食べるだけで飢える事も病気になる事もない。1つの果実を巡って戦争が起きる代物です」

「しかし過剰摂取すると、人体に影響がある…だったか?」

「そうです、兄上…。ただ、その影響というのが具体的には伝わっていません」

「ふむ…じゃあ、芽が出ないほうがいいな…こっそり掘り返して、それこそ林檎の種でも植えておくか?」

「駄目ですよ。僕達じゃ教会に辿り着けませんし…いずれ、ラサーニュ君にだけ事情を説明しましょう」

「ならば帰りも同じ馬車に乗せれば良かったであろうが」

「そうしたらラサーニュ嬢もついて来るだろうが。考えろ阿呆」

「誰が阿呆か!!!」


 真面目な時間は終了し、またいつものノリに戻る3人。そして3人共、同じ事を考えているのであった。



「「「(抜け駆けして、こっそり連絡を取ろう。ついでに朝日に輝くステンドグラスも見せてもらって、自慢してやろう!)」」」




 ※※※




 その後伯爵邸。
 伯爵も交えて話し合いとなったのだが、皇太子殿下に「今まで何をしていた!!」と叱責されていた。
 彼は言い訳を繰り返していたが、もう皇家からの信用は薄いだろうな。



 そもそもうちが皇族に一目置かれていたのは、三代前の当主…の妹、セレスティア様の功績によるものだ。



 当時の皇帝陛下、革命王ルシュフォード。

 彼は数百年に渡る世界戦争を終息させ近隣諸国を統一し、グランツ皇国を大国にしてみせたお方。
 その革命王と共に戦場を駆け巡り数々の功績を挙げ、敵はおろか仲間からも恐れられていたセレスティア様。

 彼女なくして統一は有り得なかったと言われるほど、偉大な人物だったそうだ。


 だがそれ以降ラサーニュ家は大した功績もなく…むしろ現当主になってからは一気に衰退している。
 僕にも、セレスティア様のような強さがあれば…と、何度思ったことか。
 彼女は僕にとって、憧れの存在だ。力強く、周囲の声に惑わされず、我が道を行く…格好いい!!



 とにかく。もう伯爵の信用は失われていることだろう。この後の話し合い、彼が口を挟む余裕は無かった。
 何も知らないんだ、意見などあるものか。殿下達も全て僕達に意見を聞き、取り入れてくれた。

 補助金は、僕に新しく口座を作りそこに振り込んでもらう事に。
 伯爵は「まだ子供に大金を持たせるなど!」とほざいていたが、「貴様に口を挟む権利は無い!!」と一蹴されていた。学習しないな、この人。

 ほんと僕、なんでこんな情けない人を恐れていたんだろう?
 怖い、嫌われたくないって…洗脳って怖いね。
 まあ単に…ロッティ達や精霊達が僕の味方でいてくれる、それが心強いってのもある。



 もう僕は、この人を恐れない。それでもまだ女である事を周囲にバラす気もないけど。

 実際、次期当主っていう肩書きは役に立つ。
 この国の女性の立場はまだまだ低い。それでもセレスティア様の活躍以前はもっと酷かったらしい、まさに男尊女卑。
 現在はそこまでじゃないけど…今の立場のほうが発言権とかはあるしね。

 他にも理由はいくつかあるけど、僕が本当の自分になれる時…その時は、僕が伯爵家から去る時だけだ。

 



 ※※※




 それからは、恐るべきスピードで話は進んだ。
 僕達が希望していた物は全部揃ったし、畑も作れた!エリゼやジスランも古着なんかをくれたし、設備も充実してきた。
 今では、少ないけど午後のおやつもあるのだ!
 うーん、やっぱお金は偉大ですね。家具は当初の予定通り、ドワーフ職人に作ってもらったのだが…ちょっと、ね?ズルじゃないけど…楽させていただきました。



 家具屋にて。

「太一、五右衛門、七味。君達はベッド担当、この形よーく覚えて!
 次郎、三助はテーブル担当。あの大きいの、見といてね。
 よっちゃんは椅子、ろくろは棚!」

 商品を実際にドワーフ職人に見せて、同じ物を作ってもらいましたー!!
 ごめんなさい、いつか必ず買い物に来ますから…!とお店の人に心の中で謝罪し、また教会は豪華になる。


 ただ1つ。職員問題だ。
 自力で教会に辿り着けないようじゃ話にならず、結局…セージとミントが就職することに決まった!!もちろん、本人達の希望あってのことだが。
 だが彼らだけじゃ回らない。ちびっ子達も協力してくれてるけど、特に食事面の改善が必要。
 なので僕も休暇を返上し、料理を重点的に練習した。その甲斐あって、失敗することはあるものの本を見ながら色々作れるようになった!







 そして生活も落ち着いてきた頃、僕は年長組皆で考えた院則を発表した。
 やっぱり規律は必要だ。今はまだいいけど…いずれ問題になる。というかすでに悪ガキいるし。
 自分より小さい子をいじめたり、割り込み、物を奪ったりする子供。その場で注意するだけじゃ、そろそろ効かなくなってきた。


 院則はまず大前提として、暴力などの倫理的にアウトな物は除外してある。校則に「人を殺してはいけません」なんて書いてある学校ないっしょ?…あったらゴメン。



「まず!決められた当番は守ること!」

 すでに掃除当番などは決まってる。それを守らない子は…

「今度からおやつ抜きです。それでも聞かないなら、夕飯抜きです」

 僕がそう言うと、ブーイングがあがる。悪ガキからな。「ひいきだー!」とか言う声が聞こえるが…何を勘違いしている?

「当然でしょう?どうしてきちんと守っている子と、守れない子が同じだと思うの?
 外の世界でもね、仕事しなきゃお金貰えないんだよ?お金が無けりゃ生活出来なくて、最悪どうなるか…分かるよね?」

 最悪死ぬ。つい最近まで生死の境を彷徨っていた彼らなら…分かるはず。
 現に、僕の言葉に怯んで次の言葉が出てきていない。この子らがいつか立派に社会に溶け込めるよう…心を鬼にして厳しくしなきゃ!!


「困った時は助け合い。手を貸してもらったら、ちゃんとお礼を言うように」

「喧嘩をするのはいいけれど、言葉の暴力禁止!!「馬鹿」くらいはいいけど、「死ね」とか「嫌い」はダメ」

「物資は皆で分け合う!行き渡った後まだ余っていたら、じゃんけんだ!」

 じゃんけんはすでに、教会内に浸透している。教えたら皆これまたハマり、事あるごとにじゃんけんしているぞ。
 こんな感じで決まりを作り、守れない子はちょっとしたペナルティを与える。少しずつでいいから、ルールというものを覚えて欲しいのだ。




 もう最初の頃の貧しさはなく、子供達の笑顔も増えた。
 でも、やっぱ子育て?って難しいね。世の中のお父さんお母さん尊敬するよ、本当。
 欲しい物を強請られるままに与えちゃ駄目だし、欲しい物を口にしない子も読むのが難しい。
 皆いい子で育ってほしいけど…グレる子も出てくるだろうな。そういう時の為に、やっぱ院長必要だよね…。今は僕が仮で院長してるけど、やっぱ大人探そう!



 それと…まだお墓には手をつけていない。

 あれは、補助金で解決しちゃいけない気がする。

 いつか必ず立派なお墓を建てるから。僕が、自分で稼いだお金で。
 だからもう少し…待っててね。




 こうして僕の初の長期休暇は、孤児院問題に全て費やすこととなった。

 そしてまた、学園生活が始まる。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい

ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。 だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。 気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。 だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?! 平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。

【完結】悪役令息アレックスは残念な子なので攻略対象者ノワールの執着に気付かない

降魔 鬼灯
恋愛
美人メイドに迫られたアレックスは、自分が悪役令息だったことを思い出す。  ヒロインの姉を凌辱して自殺に追いやり、10年後断罪されるアレックスって俺じゃない?  でも、俺の身体は女なんですけど…。  冤罪で断罪されるのを回避するべく、逃げ出したアレックスは、自分を監禁することになる攻略対象者ノワールに助けを求める。  ボーイズラブではないのですが、主人公の一人称は俺です。苦手な方はお控えください。 小説家になろう、カクヨムでも投稿していますが、アルファポリス版だけ内容が異なります。

継母の心得

トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】 ※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。 山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。 治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。 不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!? 前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった! 突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。 オタクの知識を使って、子育て頑張ります!! 子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です! 番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。 時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。 「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」 「ほう?」 これは、ルリアと義理の家族の物語。 ※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。 ※同じ話を別視点でしている場合があります。

申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!

甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。 その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。 その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。 前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。 父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。 そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。 組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。 この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。 その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。 ──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。 昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。 原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。 それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。 小説家になろうでも連載してます。 ※短編予定でしたが、長編に変更します。

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】

Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。 でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?! 感謝を込めて別世界で転生することに! めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外? しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?! どうなる?私の人生! ※R15は保険です。 ※しれっと改正することがあります。

モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~

咲桜りおな
恋愛
 前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。 ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。 いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!  そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。 結構、ところどころでイチャラブしております。 ◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆  前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。 この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。  番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。 「小説家になろう」でも公開しています。

処理中です...