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学園1年生編
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何故女の身でありながら、男にされてしまったのか?原因は、出生時にまで遡る———…
12年前、ラサーニュ家に双子が授かった。どちらも玉のような可愛らしい女の子、屋敷中の誰もが誕生を祝福した。ただ1人、伯爵家当主を除いて。
彼は男児を欲していた。この国では女性は家を継げず、男児に恵まれなければ遠縁より養子に迎えるのが通例だ。だが当主は歴史ある伯爵家の血筋にこだわり…自分の子でなければ跡を継がせる気はなかった。
しかし蓋を開けてみれば、生まれたのは両方女。夫人は生まれつき身体が弱く、これ以上の子は望めない。かといって夫人を愛している伯爵は、他の女に孕ませる気は毛頭無い。
伯爵が出した答えは…先に生まれたほうを男とすることであった。
「きっと伯爵…父上は、いずれわたしに適当な女性を充てがうつもりだったんだろうな。契約関係の仮面夫婦として。
そして自分の選んだ男に、秘密裏にわたしを孕ませて…その子を正式に跡継ぎにでもしたかったんだろう。わたしはその子が育つまでの、繋ぎの伯爵となる…」
セレスタンは最終的に、その考えに行き着いた。わたしも同意見だ、あの男はわたしをただの駒にしか見ていないから。…そう考えると、自然に涙が頬を伝う。これは優花の感情か、それとも…。
…いや。わたしはセレスタン。もう2人は溶け合って、1つになった。どっちかなど存在しない!
そして昨日までのわたしは、駒としての運命を受け入れていた。だが今日からのわたしは違う。どうせいずれは勘当されるんだから、わたしがいなくなっても問題なくなるってことでしょう?ならば…自由に生きてやる!!
ギシっとベッドの上から立ち上がる。今はまだ外も薄暗い夜明け前、少し早いけど起きてしまおう。
普通ならメイドなり侍従なりが起こしに来て身支度を手伝うのだが…女であることを隠しているわたしは、全て自分でこなす。当然、父の命令だ。
まあ前世を思い出した今、そのほうがありがたいけど。優花だって身体が動くうちは、自分で着替えくらいしてたんだから。
そもそもわたしは、どうして急に前世の記憶を取り戻したんだっけ?寝巻きから着替えながら、思考を巡らせる。2人の人格が反発し合っていたから、こうして落ち着けるのに3日もかかってしまった。
その間のわたしは、(表面上は)ひたすらぼーっとしてた。さぞかし気味悪く映っていただろう、時折独り言も呟いていたから。あれは2人で話し合ってたんだけどね。
そんな事よりも!確かあの日は休日で…午前中は次期当主としての勉強。午後から剣の鍛錬だったかな?そこで…あっ。
「思い出した…ジスランに思いっきりぶっ飛ばされたんだった…!」
ジスラン・ブラジリエ。皇国の騎士団長を父に持つ、同じく伯爵令息だ。彼は所謂脳筋で…線の細いわたしをやたらと鍛えようとしてくるのだ…。
『軟弱な!!それでも男か!!?』いいえ女です。
『なんだ、もうバテたのか!?あと10周追加だ!!』お前になんの権限が?
『そんな細い腕で、ロッティを守れるのか!?チラッ』…………。
という風に。バレバレだがコイツ、シャルロットに想いを寄せるうちの1人である。妹に格好いいところを見せたいが為に、わざわざ休日にうちに来て剣を振るっている。まあ…本人見てないけど。
3日前だって…こっちはもう息も絶え絶え、生まれたての子鹿のような状態だったというのに、ジスランが周囲の止める声も聞かずにわたしに一撃くれやがったのだ。
もう腕を上げることも出来なかったので、防御も叶わずそのままわたしは吹っ飛ばされ意識を失った。目を覚ました時には、優花が一緒に覚醒した感じだ。頭でも打ったかな…?
あの野郎…。女の身であるわたしに、しかも12歳なのに…騎士顔負けの鍛錬させんじゃねえわ…!知らないから許すけど。
漫画でも主要人物の1人で、他のキャラが癖のある性格だったり暗い過去を背負っていたりするのに対し、ジスランだけは全く無い。
底抜けに明るく一直線で、うざったいが憎めないキャラではある。わたしは先日の一件で大っ嫌いにカテゴリー分けしたが。
今日も学園で絡まれそうだなー。学園を2日も休んだから、「体調管理も出来んのか!」とか言ってきそう。生まれてから一度も風邪をひいたことのない奴には普通の人間の苦悩は理解できまいよ。
さて、朝食までまだ時間はある。今のうちに漫画の内容と現状を照らし合わせておこうか。椅子に腰掛け、机に向かう。メモを書きながら整理しよう。
実はもう漫画は始まっている。主要キャラクター達が通う学園が主な舞台。だが本格的に始まるのは最終学年の17歳になってから。と言っても誕生日来てないから正確には16歳なんだけど…ややこしいから17歳で統一します。
それまではダイジェストのようにサクサク進む。具体的に言うと、3話。
皆に愛されているお嬢様シャルロットと、好意を寄せる男どもをメインに描いた学園ファンタジーラブコメ。ここでメインキャラについて触れよう。わたしの主観も交えて。
シャルロット・ラサーニュ。ラサーニュ伯爵令嬢。ヒロインにして完全無欠のお嬢様、さっき説明したから飛ばすわ。補足しとくと、完璧すぎてちょっと怖い。そして読者からは嫌われてるが、作中では老若男女にやたら好かれている。そこも怖い。
セレスタン・ラサーニュ(わたし)。ラサーニュ伯爵令息。シャルロットの双子の兄で悪役。わたしはこのキャラが男主人公だと思ってたな。実際は姉だった訳だが…ある日を境に妹を嫌うようになる。今はそんな気全然無いんだけど、時がくれば分かるのかな…?
ルシアン・グランツ。グランツ皇国第三皇子。
笑顔が爽やかな皇子様で、多分コイツが一番チョロい。なにせ優秀な兄2人と比べられることに苦悩していたところ、シャルロットに優しい言葉をかけられただけでコロっと落ちてしまったのだから。将来ハニトラに気いつけな。
俺様キャラと言えば聞こえは良いが、ただのクズ。
いざとなると簡単に自分の権力をフル行使しやがる。コイツが皇太子じゃなくてほんっっとうによかった。
パスカル・マクロン。マクロン侯爵令息。大臣の孫で腹黒枠。
個人的好みで言えば彼が一番顔立ちが整ってると思うのよ、目立たないけど。堅物で女性からのアプローチに一切靡かないのだが、それは幼い頃とある少女に一目惚れしたから。
当然それはシャルロットだと後に判明し、晴れて彼もシャルロット親衛隊(仮)に入隊する。だが本人は彼女が幸せなら、相手が自分でなくてもいいと身を引くタイプ。
ジスラン・ブラジリエ。ブラジリエ伯爵令息。皇国第五騎士団団長の息子。単純。アホ。
エリゼ・ラブレー。ラブレー子爵令息。魔術の天才少年。
中性的な外見で、お姉様方の人気が高い。本人はその可愛らしい容姿とは裏腹に、傲慢でプライドが非常に高く弱者を見下す傾向がある。
シャルロットとはテストで負けたことがきっかけで、衝突するようになる。次第に敵から強敵に、そして恋心へと発展する訳だ。
ジスランを馬鹿にしながらも、その奔放さを羨ましいとも思っている。言わないが。
バジル・リオ。シャルロットの執事。平民。
行き倒れていたところをシャルロットに救われ、それ以来彼女に心酔しお仕えする。他のメンバーに自分が劣っていることなど百も承知なので、せめてシャルロットが結婚するまでは側にいたいと願っている。
実は……彼を拾ったのは……わたしだ。漫画でも描かれてなかったけどね。事の顛末はこうだ。
彼が路地裏で倒れ、次に目を覚ましたのは豪華な部屋の中。そこにナイスタイミングで部屋に入ってきた幼いシャルロット(6)。
戸惑う彼の手を優しくとり、「よかった、目をさましたのね!もう大丈夫、ゆっくりからだを休めてね」と言った。はい落ちたー。
彼を見つけたのも、馬車に乗せて屋敷に運んだのもわたしだったんだが…一緒にシャルロットも乗ってたのが悪かったね。誰もがお嬢様の行いだと思ったよ、なぜか目撃者の御者までも。
まーあんなに崇拝されんのは怖いので、わたしとしては結果オーライ。否定しなかったシャルロットも悪いし。
ルネ・ヴィヴィエ。ヴィヴィエ公爵令嬢。シャルロットの友人。
最初は爵位も低いのに人気者なシャルロットに嫉妬していた。だが彼女に嫌がらせするような真似はせず、真正面からぶつかる。作中きっての常識人。どの男キャラよりも男前な美少女。
次第に彼女の凄さを身をもって知り、互いに認め合い親友となる。
セレスタンとも仲が良く、周囲はこの2人が結ばれると思っていた。最終的にセレスタンは勘当される訳だが、ルネは誰よりもそれを喜んでいた気がする。……この後そんなに嫌われる?悲しいなー…。
主要人物はこんなとこか…?全員同い年で学園でも同じクラスだ。都合良すぎーぃ。
しかし肝心の、セレスタンは勘当されるほど何をやらかしたのか?それが分からない…。ここまで思い出せたってのに。
もしかしたら…まさか本当に、妹に辛く当たっただけ?漫画でもいつの間にか消えてたような…?
そもそも優花は、この漫画の結末を知らないのだ。完結する前に病状が悪化してしまったから。
セレスタンという悪がいなくなり、物語は最終章に突入。ヒロイン、シャルロットは恋の相手に誰を選ぶのか!?てとこまでは知ってる。
だがこれは漫画の情報。現在…わたしことセレスが実は男装した女であることが判明した以上、漫画の展開に従うつもりはない。
ただし15歳。兄妹、いや姉妹が仲違いするきっかけ。これを知るまでは…まあ、隠し通してやるさ。父親の思惑に乗るのも癪だが…時間稼ぎみたいなものだし。
いずれ17歳になり家を追い出された後、生活手段を今から考えておける。まずお金、次に住居、そして仕事。課題は山積みだ。
気がつくと窓の外はすでに明るく、時計は7時を指していた。随分と集中してたみたい。
「…そろそろ、朝食の時間かな」
椅子から立ち上がり、机の上にあった眼鏡を掛ける。
成長するにつれ、顔も少女らしくなってきてしまった。故に前髪を長く伸ばし、更に大きな眼鏡で隠すのだ。前髪が目に入るのも防げるし。
「わたしは…僕はセレスタン・ラサーニュ。大丈夫、やり遂げてみせるさ」
自分自身に言い聞かせるように呟く。
誰の為でもなく、自分の為に。僕は生き抜いてみせよう。
12年前、ラサーニュ家に双子が授かった。どちらも玉のような可愛らしい女の子、屋敷中の誰もが誕生を祝福した。ただ1人、伯爵家当主を除いて。
彼は男児を欲していた。この国では女性は家を継げず、男児に恵まれなければ遠縁より養子に迎えるのが通例だ。だが当主は歴史ある伯爵家の血筋にこだわり…自分の子でなければ跡を継がせる気はなかった。
しかし蓋を開けてみれば、生まれたのは両方女。夫人は生まれつき身体が弱く、これ以上の子は望めない。かといって夫人を愛している伯爵は、他の女に孕ませる気は毛頭無い。
伯爵が出した答えは…先に生まれたほうを男とすることであった。
「きっと伯爵…父上は、いずれわたしに適当な女性を充てがうつもりだったんだろうな。契約関係の仮面夫婦として。
そして自分の選んだ男に、秘密裏にわたしを孕ませて…その子を正式に跡継ぎにでもしたかったんだろう。わたしはその子が育つまでの、繋ぎの伯爵となる…」
セレスタンは最終的に、その考えに行き着いた。わたしも同意見だ、あの男はわたしをただの駒にしか見ていないから。…そう考えると、自然に涙が頬を伝う。これは優花の感情か、それとも…。
…いや。わたしはセレスタン。もう2人は溶け合って、1つになった。どっちかなど存在しない!
そして昨日までのわたしは、駒としての運命を受け入れていた。だが今日からのわたしは違う。どうせいずれは勘当されるんだから、わたしがいなくなっても問題なくなるってことでしょう?ならば…自由に生きてやる!!
ギシっとベッドの上から立ち上がる。今はまだ外も薄暗い夜明け前、少し早いけど起きてしまおう。
普通ならメイドなり侍従なりが起こしに来て身支度を手伝うのだが…女であることを隠しているわたしは、全て自分でこなす。当然、父の命令だ。
まあ前世を思い出した今、そのほうがありがたいけど。優花だって身体が動くうちは、自分で着替えくらいしてたんだから。
そもそもわたしは、どうして急に前世の記憶を取り戻したんだっけ?寝巻きから着替えながら、思考を巡らせる。2人の人格が反発し合っていたから、こうして落ち着けるのに3日もかかってしまった。
その間のわたしは、(表面上は)ひたすらぼーっとしてた。さぞかし気味悪く映っていただろう、時折独り言も呟いていたから。あれは2人で話し合ってたんだけどね。
そんな事よりも!確かあの日は休日で…午前中は次期当主としての勉強。午後から剣の鍛錬だったかな?そこで…あっ。
「思い出した…ジスランに思いっきりぶっ飛ばされたんだった…!」
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『軟弱な!!それでも男か!!?』いいえ女です。
『なんだ、もうバテたのか!?あと10周追加だ!!』お前になんの権限が?
『そんな細い腕で、ロッティを守れるのか!?チラッ』…………。
という風に。バレバレだがコイツ、シャルロットに想いを寄せるうちの1人である。妹に格好いいところを見せたいが為に、わざわざ休日にうちに来て剣を振るっている。まあ…本人見てないけど。
3日前だって…こっちはもう息も絶え絶え、生まれたての子鹿のような状態だったというのに、ジスランが周囲の止める声も聞かずにわたしに一撃くれやがったのだ。
もう腕を上げることも出来なかったので、防御も叶わずそのままわたしは吹っ飛ばされ意識を失った。目を覚ました時には、優花が一緒に覚醒した感じだ。頭でも打ったかな…?
あの野郎…。女の身であるわたしに、しかも12歳なのに…騎士顔負けの鍛錬させんじゃねえわ…!知らないから許すけど。
漫画でも主要人物の1人で、他のキャラが癖のある性格だったり暗い過去を背負っていたりするのに対し、ジスランだけは全く無い。
底抜けに明るく一直線で、うざったいが憎めないキャラではある。わたしは先日の一件で大っ嫌いにカテゴリー分けしたが。
今日も学園で絡まれそうだなー。学園を2日も休んだから、「体調管理も出来んのか!」とか言ってきそう。生まれてから一度も風邪をひいたことのない奴には普通の人間の苦悩は理解できまいよ。
さて、朝食までまだ時間はある。今のうちに漫画の内容と現状を照らし合わせておこうか。椅子に腰掛け、机に向かう。メモを書きながら整理しよう。
実はもう漫画は始まっている。主要キャラクター達が通う学園が主な舞台。だが本格的に始まるのは最終学年の17歳になってから。と言っても誕生日来てないから正確には16歳なんだけど…ややこしいから17歳で統一します。
それまではダイジェストのようにサクサク進む。具体的に言うと、3話。
皆に愛されているお嬢様シャルロットと、好意を寄せる男どもをメインに描いた学園ファンタジーラブコメ。ここでメインキャラについて触れよう。わたしの主観も交えて。
シャルロット・ラサーニュ。ラサーニュ伯爵令嬢。ヒロインにして完全無欠のお嬢様、さっき説明したから飛ばすわ。補足しとくと、完璧すぎてちょっと怖い。そして読者からは嫌われてるが、作中では老若男女にやたら好かれている。そこも怖い。
セレスタン・ラサーニュ(わたし)。ラサーニュ伯爵令息。シャルロットの双子の兄で悪役。わたしはこのキャラが男主人公だと思ってたな。実際は姉だった訳だが…ある日を境に妹を嫌うようになる。今はそんな気全然無いんだけど、時がくれば分かるのかな…?
ルシアン・グランツ。グランツ皇国第三皇子。
笑顔が爽やかな皇子様で、多分コイツが一番チョロい。なにせ優秀な兄2人と比べられることに苦悩していたところ、シャルロットに優しい言葉をかけられただけでコロっと落ちてしまったのだから。将来ハニトラに気いつけな。
俺様キャラと言えば聞こえは良いが、ただのクズ。
いざとなると簡単に自分の権力をフル行使しやがる。コイツが皇太子じゃなくてほんっっとうによかった。
パスカル・マクロン。マクロン侯爵令息。大臣の孫で腹黒枠。
個人的好みで言えば彼が一番顔立ちが整ってると思うのよ、目立たないけど。堅物で女性からのアプローチに一切靡かないのだが、それは幼い頃とある少女に一目惚れしたから。
当然それはシャルロットだと後に判明し、晴れて彼もシャルロット親衛隊(仮)に入隊する。だが本人は彼女が幸せなら、相手が自分でなくてもいいと身を引くタイプ。
ジスラン・ブラジリエ。ブラジリエ伯爵令息。皇国第五騎士団団長の息子。単純。アホ。
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ジスランを馬鹿にしながらも、その奔放さを羨ましいとも思っている。言わないが。
バジル・リオ。シャルロットの執事。平民。
行き倒れていたところをシャルロットに救われ、それ以来彼女に心酔しお仕えする。他のメンバーに自分が劣っていることなど百も承知なので、せめてシャルロットが結婚するまでは側にいたいと願っている。
実は……彼を拾ったのは……わたしだ。漫画でも描かれてなかったけどね。事の顛末はこうだ。
彼が路地裏で倒れ、次に目を覚ましたのは豪華な部屋の中。そこにナイスタイミングで部屋に入ってきた幼いシャルロット(6)。
戸惑う彼の手を優しくとり、「よかった、目をさましたのね!もう大丈夫、ゆっくりからだを休めてね」と言った。はい落ちたー。
彼を見つけたのも、馬車に乗せて屋敷に運んだのもわたしだったんだが…一緒にシャルロットも乗ってたのが悪かったね。誰もがお嬢様の行いだと思ったよ、なぜか目撃者の御者までも。
まーあんなに崇拝されんのは怖いので、わたしとしては結果オーライ。否定しなかったシャルロットも悪いし。
ルネ・ヴィヴィエ。ヴィヴィエ公爵令嬢。シャルロットの友人。
最初は爵位も低いのに人気者なシャルロットに嫉妬していた。だが彼女に嫌がらせするような真似はせず、真正面からぶつかる。作中きっての常識人。どの男キャラよりも男前な美少女。
次第に彼女の凄さを身をもって知り、互いに認め合い親友となる。
セレスタンとも仲が良く、周囲はこの2人が結ばれると思っていた。最終的にセレスタンは勘当される訳だが、ルネは誰よりもそれを喜んでいた気がする。……この後そんなに嫌われる?悲しいなー…。
主要人物はこんなとこか…?全員同い年で学園でも同じクラスだ。都合良すぎーぃ。
しかし肝心の、セレスタンは勘当されるほど何をやらかしたのか?それが分からない…。ここまで思い出せたってのに。
もしかしたら…まさか本当に、妹に辛く当たっただけ?漫画でもいつの間にか消えてたような…?
そもそも優花は、この漫画の結末を知らないのだ。完結する前に病状が悪化してしまったから。
セレスタンという悪がいなくなり、物語は最終章に突入。ヒロイン、シャルロットは恋の相手に誰を選ぶのか!?てとこまでは知ってる。
だがこれは漫画の情報。現在…わたしことセレスが実は男装した女であることが判明した以上、漫画の展開に従うつもりはない。
ただし15歳。兄妹、いや姉妹が仲違いするきっかけ。これを知るまでは…まあ、隠し通してやるさ。父親の思惑に乗るのも癪だが…時間稼ぎみたいなものだし。
いずれ17歳になり家を追い出された後、生活手段を今から考えておける。まずお金、次に住居、そして仕事。課題は山積みだ。
気がつくと窓の外はすでに明るく、時計は7時を指していた。随分と集中してたみたい。
「…そろそろ、朝食の時間かな」
椅子から立ち上がり、机の上にあった眼鏡を掛ける。
成長するにつれ、顔も少女らしくなってきてしまった。故に前髪を長く伸ばし、更に大きな眼鏡で隠すのだ。前髪が目に入るのも防げるし。
「わたしは…僕はセレスタン・ラサーニュ。大丈夫、やり遂げてみせるさ」
自分自身に言い聞かせるように呟く。
誰の為でもなく、自分の為に。僕は生き抜いてみせよう。
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