私の可愛い悪役令嬢様

雨野

文字の大きさ
上 下
145 / 164
学園

58

しおりを挟む


 皆準備はよろしくて?運命をぶち壊す夜会の始まりだ!
 知ってる顔ぶれが次々入場、私は主催者として挨拶に来る人達の対応に追われていた。私の立場もあり、アギラール公爵家とブルジャス公爵家からも夫婦で参加している。

「招待ありがとう、久しぶりだなアシュリィ嬢。」

「ご無沙汰しております、レイヴァン様。」

 そしてアレンシア公爵夫妻!子供の頃以来なアシュレイのご両親!いずれ私の義両親に…なんちて!!おひょあーーー!!!お義父様は相変わらず筋肉モリモリですね!

「今年の夏は、アシュレイとヒューが魔国にお邪魔したようだが…何か失礼はしなかっただろうか?」

「夏…。」



『バーーーカ!!アシュリィなんて大っ好きだ!アホ、タコーーー!!文句あんのかコラアァー!!』



「……んぶふ…っ!」

「「?」」

 アシュレイの、めっちゃ可愛いブチギレ告白思い出した…っ!でも親に知られるのは恥ずかしいだろう、密告はしない空気の読める私。パーティー楽しんでくださいね~と言って逃げた。
 ついでになるがヒューをとっ捕まえてご挨拶。あれ、ジュリアさんは?

「いやあ、実は…今つわりが酷くてですね。」

「あらあ、それは大変。奥さんを大事に………は?」

 目が点になった。ヒューは照れ笑い…赤ちゃんおるんやけ!!?

「やっだあ!おめでとー!!!」

「ありがとうございます。」

 赤ちゃんか~!結婚祝いは贈ったけど、今度は魔国製のベビー服贈ろっかな!?ヒューともハイテンションで別れた後…ふと思う。


 私とアシュレイに…子供は産まれるのだろうかと。私には確かに人間の血も入っている。ならば人間並に、子を成せるかもしれないけど。
 魔族に子供が出来にくい理由は解明されていない。一説によると頑丈な上寿命が長いから、人口が増えすぎないよう神が調整した…と言われている。

 ……なら…


「…ううん。子供はできなくても…私はアシュレイが好きだもん。」

 私の呟きに、同行している四天王Jr.がぴくっと反応した。はは…好きって明言したの、初めてだっけ?んな驚かんでも。

「でもなぁ…アシュレイにも、自分の赤ちゃんを抱かせてあげられないんだよなあ。それなら…」

「オレも子供は好きだけど、アシュリィがいない人生なんて嫌だ。これも…昨日した理想郷の話に通じるものがあるかもな?」

「あ、それもそうだね。子供のいる世界を知ったら、また悩むかもし…れ……な?」

「…うん。だから自分の子供を知らないオレは、お前との暮らしを選択する。誰よりも…夫婦の時間を大切にしよう。」

「………はわ…」

 なんで…めっちゃ自然に、アシュレイと手を繋いでいる?いつの間にいたの、もう私達結婚してね?と言いたい事は多いけど。


 ……好きっ!!!!




 ずっと手を繋いだまま、挨拶はほぼ終了。旦那様、ベンガルド伯爵家やシャリオン家。知り合い大集合だぞ!多いので紹介は省くけど。
 王室からは王子3兄弟参戦!王太子殿下、王太子妃殿下、ジェイド、そして我らがアルバート!ちょいっと彼をお借りしまーす。

「わあ、結構招待したのね。」

 おふぁ、今日もリリーはふつくしい…。何その谷間、ラリーがガン見しとるぞ。
 そんなラリーに優しくアイアンクローをしつつ、少し談笑。ディード、デム、ティモ、ランス、ミーナ、ヨハネス、マルガレーテ…いつメンが集まってきた。トレイシーも会場警備でいるぞ。

「んー?パメラ知らない?」

「さっき双子に両腕掴まれて、超困ってたぞ。」

「あーらら。」

 相変わらずですなあ。このパーティー、最初からぶち壊す気は無い。暫くは招待客の皆様にも楽しんでもらいたいし。なので…ちょっと遊ぼう。

「アイル。楽団に曲変えるよう伝えてくれる?」

「かしこまりました。」


 アイルが席を外し、戻ってきたら…


 ……~♪


「……ん?聴いた事ない音楽だな…?」

「こ…これは…。」

 えへへ~。魔国組以外は皆、不思議そうにキョロキョロし始めた。場にそぐわない軽快な音楽に、お客さん達もざわざわ。ふふふ…

「行くよっ!」

「「「「はーい!!」」」」

「全く…。」

 四天王Jr.とディードを連れて、隅っこの空間で手を繋いで輪になった。


「え、何それ!?おいアシュリィ、オレも入れてー!!」

「おほほほほ。ステップ覚えてからね~!」


 ♪ ♪ ♪

 私達はニコニコと、ステップを踏みながらぐるぐる回る。お分かりいただけただろうか?これは…!


「ねえちょっとー!なんで『マイムマイム』が流れてるのよー!?」

「来たなパメラ!さあ貴女も入りなさい!!」

「入るーっ!!」

「「パメラー!?」」

 予想通り、釣れたぜ!!パメ公は人の合間を縫って登場、双子を振り切って輪に入る。私とディードの間にご招待~!

 そう、答えはマイムマイムです!煌びやかな夜会には全く似合わんが、私がしたいからするの!!楽しげな私達に、アシュレイがめっちゃ悔しそうな顔してらあ。


「なんだよそれー!?混ぜて!!」

「にょほほほほ。魔国で流行ってる踊りでぇ~す。へえい!!」パァンッ!

「嘘よね…?」パンッ

「事実だ。」パンッ

「そうなんですか!?」

 踊りながら、パメラは本気でびっくりしとる。事実だよ、私が広めたもん。
 まあ流行ってるってのは大袈裟で、ちょっとしたパーティーとかで踊るだけ。私がメロディーを口ずさんで、それを譜面に起こしてもらったのだ。ちなみにラリーにも3日前から仕込んだ。

 魔国で流行ってると聞き、参加者達は納得した。どう見ても貴族の踊りではないが…文句を言って魔族に喧嘩を売りたくないのだろう、「楽しそうですね」とか無難な反応。
 アルとリリーは暫く私達を観察して…ステップを理解したのか、輪に入ってきた。すると益々アシュレイが膨れるので、手招きした。

「最初は適当でいいから、一緒に回ろう!」

「お、おう!」

 私とパリスの間に入り、たどたどしく踊る。はあ…楽しい!!


「魔国すごいわね…ちょっと行ってみたいわ…。」

「この踊りは、荒ぶる大地神を鎮める為の舞だと聞いているが?」

「(嘘吹き込まれてる!!)あ…はは…。」

 まーいーじゃん!次オクラホマミキサー行っちゃう?とまあ…こうやっておふざけしつつ。

 周囲にこれは「魔国流の宴なんだ」と思い込ませる。そのほうが色々とスムーズにいくからね。ふむ、そろそろ…




「おやおや、なんとも愉快な事をなさっていますね。」

「………ふふ。」

 来た…タンブル。余裕ぶっこいていられんのも今のうち。


 本番はこれからよ。さて、どう調理してあげようかな?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!? 自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。 果たして雅は独りで生きていけるのか!? 実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。 ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。 ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。 加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。 おまけに女性が少ない世界のため 夫をたくさん持つことになりー…… 周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。

処理中です...