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魔王
12月1日は魔王の日。老人魔王と擬人化美少女②
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野を越えて、ジャングルを通り、山を登り、海を渡る。
「ヒロイン枠ーーーーー!!」
ブラストンはヒロイン枠を捜すために世界中を走った。走り続けた。
ヒロイン枠を捜すためなら海だって泳いだ。森林の中にだって行ったし、火山の中も捜したし、神秘の遺跡やUFOの中にまでお邪魔することもあった。
───けれど、ある日。
ブラストンは海の見える崖で力尽きた。
彼女は世界中を捜し回ったが、パーフェクトなヒロイン枠は見つからなかったのである。
「(最後に見るのがこの夕日なんてなぁ……)」
ブラストンの視線の先には沈んでいく夕日。
その美しさといったら絵にもかけないほどである。そんな絶景を見ながらブラストンは静かに瞳を閉じていく。
だが、その永遠の眠りを妨げる者が現れたのである。
そう、ヒロイン枠に相応しい存在が……。
「私は夕日です。汝、私を擬人化しなさい。私を美少女にしなさい。美少女化してあげると言いなさい。私も美少女化したいのです。というかしなさい今すぐに!!」(夕日)
「そうか。分かったぜ夕日さん!!」
…………
そして、ブラストンは再びエメラル達の前に現れた。
ヒロイン枠と一緒に再び魔王城の大広間へと帰ってきたのだ。
「……というわけで連れてきました。ヒロイン枠、博物館展示物型擬人化美少女『解体新書ちゃん』です」(ブラストン)
「さっきの夕日は!?」(エメラル)
「読者様、よろしくお願いします」(解体新書ちゃん)
解体新書ちゃんは丁寧に2人にお辞儀を行う。
「…………ほぉ。ワシは魔王じゃ。
『解体新書ちゃん』とやら。ワシの軍門に下らぬか?
貴様はどんな欲望を持っておるのかの?」
「はい。私は医学が好きです。
好きなタイプは身体中の内蔵のどなたでも好きですが、特になら腸間膜さんが好きです。
趣味は解剖。特技は解剖。好きな言葉は解剖です」
「(危険な娘だーー)」(エメラル)
「ちなみにこの娘のライバルは『蔵志』ちゃんです」(ブラストン)
突然の新キャラの登場。それに驚いていたのは魔王もエメラルも同じではあったのだが……。
突如、魔王はクククッと怪しい笑い声を出し始めたのである。
「フフフ……ブラストン。ヒロイン枠に相応しいのは貴様だけではない」
「なにィ!!」(ブラストン)
魔王が指差す先には1人の美少女。
「博物館展示物型擬人化美少女を仲間にいれているのは貴様だけではないということさ。
彼女がワシの博物館展示物型擬人化美少女『魏志倭人伝』さんだ!!」
なんと、ブラストンだけでなく魔王も美少女を連れてきていたのだ。
この魔王城に2人の美少女が姿を現した。
そして、博物館展示物型擬人化美少女が対面する時、闘いは始まる。
───その名は展示勝負!!
展示勝負。
それは様々な力の数値を上げて、来るべき日に育成した博物館展示物型擬人化美少女を来場者数で対決するという勝負である。
「魔王、貴様……。展示勝負をするつもりか。
総合的に言えば私の方が“記憶力”と“知名力”の数値が上だぞ」
「ふん、若造が。こっちは“年代力”と“貴重力”が上だぜ。貴様の博物館展示物型擬人化美少女がワシの博物館展示物型擬人化美少女に勝てるわけがないんじゃ」
「お前こそジジイになって判断力が低下したんじゃないか?
確かに私の博物館展示物型擬人化美少女はお前の博物館展示物型擬人化美少女には勝てないかもしれない。
だが、私の博物館展示物型擬人化美少女は“医学書スキル”持ちだ。さらに“西洋スキル”と“日本スキル”も所有している。そのスキルで逆転してやるのさ」
「バカな。“医学書スキル”だと。だが貴様も甘いな。
ワシがリセマラ勢であるという事を忘れたか?
つまりワシは新規プレイヤーじゃ。
分かるか?
新規プレイヤー向けのログインボーナスと新規プレイヤー向けの無料ガチャが大量なのだよ。さらにワシの博物館展示物……」
2人の討論にエメラルは呆れていた。
決して、話に入れないから暇になっているというわけではない。
魔王とブラストンの闘いが始まろうとしていたのに、完全に脱線している。
本来の目的も忘れて別の闘いを始めようとしている彼女たちに呆れているのだ。
「も~真面目にしてよ……」(エメラル)
頭を抱えて、2人の討論が落ち着くのを待っている。何もせず関係ない人が遠くから見守るようにエメラルも彼女たちの闘いを眺めている。
────魔王城での闘い。
展示対決が終わるのをエメラルは今か今かと待っているのであった。
「ヒロイン枠ーーーーー!!」
ブラストンはヒロイン枠を捜すために世界中を走った。走り続けた。
ヒロイン枠を捜すためなら海だって泳いだ。森林の中にだって行ったし、火山の中も捜したし、神秘の遺跡やUFOの中にまでお邪魔することもあった。
───けれど、ある日。
ブラストンは海の見える崖で力尽きた。
彼女は世界中を捜し回ったが、パーフェクトなヒロイン枠は見つからなかったのである。
「(最後に見るのがこの夕日なんてなぁ……)」
ブラストンの視線の先には沈んでいく夕日。
その美しさといったら絵にもかけないほどである。そんな絶景を見ながらブラストンは静かに瞳を閉じていく。
だが、その永遠の眠りを妨げる者が現れたのである。
そう、ヒロイン枠に相応しい存在が……。
「私は夕日です。汝、私を擬人化しなさい。私を美少女にしなさい。美少女化してあげると言いなさい。私も美少女化したいのです。というかしなさい今すぐに!!」(夕日)
「そうか。分かったぜ夕日さん!!」
…………
そして、ブラストンは再びエメラル達の前に現れた。
ヒロイン枠と一緒に再び魔王城の大広間へと帰ってきたのだ。
「……というわけで連れてきました。ヒロイン枠、博物館展示物型擬人化美少女『解体新書ちゃん』です」(ブラストン)
「さっきの夕日は!?」(エメラル)
「読者様、よろしくお願いします」(解体新書ちゃん)
解体新書ちゃんは丁寧に2人にお辞儀を行う。
「…………ほぉ。ワシは魔王じゃ。
『解体新書ちゃん』とやら。ワシの軍門に下らぬか?
貴様はどんな欲望を持っておるのかの?」
「はい。私は医学が好きです。
好きなタイプは身体中の内蔵のどなたでも好きですが、特になら腸間膜さんが好きです。
趣味は解剖。特技は解剖。好きな言葉は解剖です」
「(危険な娘だーー)」(エメラル)
「ちなみにこの娘のライバルは『蔵志』ちゃんです」(ブラストン)
突然の新キャラの登場。それに驚いていたのは魔王もエメラルも同じではあったのだが……。
突如、魔王はクククッと怪しい笑い声を出し始めたのである。
「フフフ……ブラストン。ヒロイン枠に相応しいのは貴様だけではない」
「なにィ!!」(ブラストン)
魔王が指差す先には1人の美少女。
「博物館展示物型擬人化美少女を仲間にいれているのは貴様だけではないということさ。
彼女がワシの博物館展示物型擬人化美少女『魏志倭人伝』さんだ!!」
なんと、ブラストンだけでなく魔王も美少女を連れてきていたのだ。
この魔王城に2人の美少女が姿を現した。
そして、博物館展示物型擬人化美少女が対面する時、闘いは始まる。
───その名は展示勝負!!
展示勝負。
それは様々な力の数値を上げて、来るべき日に育成した博物館展示物型擬人化美少女を来場者数で対決するという勝負である。
「魔王、貴様……。展示勝負をするつもりか。
総合的に言えば私の方が“記憶力”と“知名力”の数値が上だぞ」
「ふん、若造が。こっちは“年代力”と“貴重力”が上だぜ。貴様の博物館展示物型擬人化美少女がワシの博物館展示物型擬人化美少女に勝てるわけがないんじゃ」
「お前こそジジイになって判断力が低下したんじゃないか?
確かに私の博物館展示物型擬人化美少女はお前の博物館展示物型擬人化美少女には勝てないかもしれない。
だが、私の博物館展示物型擬人化美少女は“医学書スキル”持ちだ。さらに“西洋スキル”と“日本スキル”も所有している。そのスキルで逆転してやるのさ」
「バカな。“医学書スキル”だと。だが貴様も甘いな。
ワシがリセマラ勢であるという事を忘れたか?
つまりワシは新規プレイヤーじゃ。
分かるか?
新規プレイヤー向けのログインボーナスと新規プレイヤー向けの無料ガチャが大量なのだよ。さらにワシの博物館展示物……」
2人の討論にエメラルは呆れていた。
決して、話に入れないから暇になっているというわけではない。
魔王とブラストンの闘いが始まろうとしていたのに、完全に脱線している。
本来の目的も忘れて別の闘いを始めようとしている彼女たちに呆れているのだ。
「も~真面目にしてよ……」(エメラル)
頭を抱えて、2人の討論が落ち着くのを待っている。何もせず関係ない人が遠くから見守るようにエメラルも彼女たちの闘いを眺めている。
────魔王城での闘い。
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