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第16章 どうやら金剛は八虐の謀反のようです。
謀反
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298人が奴の姿を見たとき、彼らは死を直感した。
彼らが鏡の中をワープして最初に見た光景はなにもない荒野。
その中心に何者かの人影があり、その奥にはおどろおどろしい魔王城が建っている。
その中心にいる1人の男は、ただその場に立っていた。
武器も持たず、かといって怯えることもない。
冷静な態度で奴は荒野に1人立っていた。
だが、その男からあふれでるオーラはまるで死。
奴を目の前にすべての戦士たちは脳内から警告を発している。「こいつは敵だ。逃げろ」と頭の中で本能が叫んでいる。
しかし、彼らは逃げるわけにはいかない。
震えそうな腕に必死に力を込める。
武器を構え、奴に集中する。
「フゥ…………ハァ……………」
奴は一度呼吸を整えて、戦士たちの方へと歩き始めた。
圧倒的な戦力差を前に奴は諦めることもなく進んでくる。
まるで奴が見ているのは別の何かであり、戦士たちのことは見えていないかのように歩き始める。
「いくぞみんな!!!」
戦士たちのうちの誰かが大声で気合いの叫びを発した。
その声を合図に戦士たちが一斉に奴に向かって走る。
彼らの進撃に大地は揺れる。
それぞれが武器を構えて、奴の首をとろうと襲いかかっていく。
しかし、奴がたとえ1人で数百人を相手に戦えないほど実力不足ではなかった。
「『買』」
すると、奴は何もない空間からスライム剣を取り出す。
そして、襲いかかってきた戦士たちを切り捨てていく。
1人につき一振りの一撃。その動きに無駄はない。きれいな切り筋で戦士たちを木の葉のように切り捨てていく。
「うわぁぁぁ」
「アッ…………」
「ぐっぁ………」
襲いかかる武器を持った戦士たちが、奴の行く手を遮る前に切られていく。
誰も奴を止めることができずに次々と斬られていく。
「死ね…………がッ!?」
「くそッ…………ギャッ!?」
「ヴァッ!!」
災害。誰も行く手を阻むことができない。
無慈悲で残酷で冷徹。
戦士たちに残された方法は撤退のみ。
「ちくしょう………俺は逃げる!!!」
だが、そう言って奴に背を向けたものは背中から切り捨てられてしまった。
もうスライム剣は戦士たちの血で真っ赤に染まり、もとが何色だったか分からないほどに変色している。
たくさんの人の命を奪い、たくさんの血を吸ったスライム剣は赤く染まっている。
「………………」
すると、奴はその剣の変化に気づき足を止めた。
奴は剣をただ眺めている。
それは隙。奴にできた隙!!
その隙を戦士たちが見逃すわけもない。
「仲間の恨み!!!『ライトニングスピア』」
「『ホーリーエクスプロージョン』」
「『インフェルノランナウェイー』」
後方からの魔法攻撃。
接近戦では相性が悪い冒険者は遠距離攻撃を奴に与える。
雷、光、火などあらゆる攻撃魔法が奴に向かって放たれる。
その衝撃で奴の姿は土煙に覆われた。
確実に当たった魔法たち、これであとは武器を持った戦士たちがトドメを刺せばよいのである。
「いまだ!!!」
「いくぞ!!」
20人ほどの戦士たちが土煙の中へと入っていく。
もうすでに10人の戦士たちが切り殺されたのだ。
これ以上の戦力の減少はこのあとに控えている魔王戦に支障をきたす。
残された戦士たちは土煙に消えていった戦士たちの無事を祈りながら警戒を続けていた。
シュッン!!!
何かが空中を素早く横切っていく。
謎の黒い物体は、土煙の中から勢いよく飛び出すと、戦士たちの先頭の前に音をたてて落ちた。
それはつぶれたトマトのように赤く、異臭を放っている。
「ヒィィぃぃ、これは頭だ。人間の頭だ。頭が飛んできた?」
そのつぶれたトマトのような物体には歯が生えており、それ以外から考えても人間だったとは思えない。
あまりの恐怖にチビりそうになりながらも、戦士たちは土煙が晴れていくのを見続けていた。
すると、土煙の中から1歩足を出して奴は歩いてくる。
その手にはスライム剣ではなく。2mはある岩剣が握られていた。
そして、その周りには見るも無惨な地獄絵図が広がっている。
顎を砕かれた者、右半身と左半身が分かれている者、首が無い者。
その20人の戦士達の変わり果てた姿に、彼らは目を見開いて恐怖した。
土煙から颯爽と現れた奴は止まることを知らない。
これから、ここにいるすべての人間を殺す勢いで奴は巨大な岩剣を振るう。
固い岩で作られた大きな剣は、切るというよりは殴り飛ばすように戦士たちを倒していく。
それはまるで戦場を走る戦車のように止まらない。
弾け飛ぶ戦士たち、まさに無惨!!!
見るも無惨!!!
「諦めるな。もう一度だ」
「次こそ魔法攻撃をくらわせるんだ!!!」
しかし、戦士達は諦めていなかった。
どれ程、犠牲者を増やしても彼らの闘志はまだ消えてはいなかった。
戦士たちの後ろで呪文を唱え始める魔術師達。
そんな彼らの時間を稼ぐために戦士達は諦めることなく立ち向かっていく。
少しの時間稼ぎにでもなるために、彼らは奴に立ち向かっていく。
「『買』」
だが、奴は巨大な岩剣を消し、虚空から更に新しい武器を取り出す。
次に現れたのは黒と金の拳銃。
バッン!!!
「ウッ………」
「ガッ………」
奴はその銃を使い、向かって走ってくる戦士達を撃ち殺していく。
接近戦で戦うことしかできない武器を持つ戦士達は次々と撃たれていく。
「くそッ………近づけねぇ」
「あの野郎…………」
さすがに、無駄死にはしたくないと足を止める戦士達。彼らは警戒しながら武器を構える。
その時、戦士達の特攻は無駄にはならなかった。
戦士達の背後ですでに魔術師たちの呪文詠唱は終了してしまったのだ。
「もう一度だ。いくぞ!!!」
「『サンダーストライク』」
「『ホーリーエクスプロージョン』」
「『ウォータースプラッシュ』」
あらゆる魔法攻撃が再び奴に襲いかかる。
激しい轟音や爆発音が響き、土煙が再び奴の姿を覆う。
激しい魔法攻撃。今度こそ奴に傷を与えることができるだろうと誰もが思っていた。
「……………『買』」
土煙が晴れて、再び姿を見せた奴の体には再び傷ひとつついていない。
奴は巨大な盾で自らの体を守り、魔法を弾いていたのだ。
「そんな魔法攻撃が効いていない!?」
「あれは…………あれは伝説の勇者に伝わるとされる『龍亀王の甲羅盾(ロングイ・シールド)』」
「魔法を防ぐ盾か………。なぜ貴様が持っているんだ!!」
伝説の勇者が持つとされる龍亀王の甲羅盾と呼ばれし神器。
魔王を倒した後、封印されたとされる盾を奴は持っていた。
その装備に驚き、声をあげる知識人の冒険者達。
すると、奴はやっと戦士達へ声をあげた。
「…………貴様らに教えることは何もない」
ドスの利いた声で奴は戦士達を黙らせる。
その瞬間、殺気を感じた戦士達はその場に足を止めた。
ゾワッと全身が凍りつくような感覚。一瞬揺らぐ戦意。彼らはただ1人の男を恐れている。
彼らは奴に心の奥底で恐怖している。
「『買』」
それは何かが始まる合図。奴が動き出す号令のような物。
戦士達の足の周りには魔方陣が拡がる。
真っ赤な魔方陣が戦士達を覆う。
「『詠唱省略…………………』」
冷や汗をかきながら、戦士達は気づかない。
「なんだ。なんだ。」と不安になりながらも彼らは自らの足下を見ている。
すると、その魔方陣を見て何かに気づいた1人の男が大声でみんなに叫んだ。
「おいおい、嘘だろ…………みんな早くここから逃げろ!!! 殺されるぞ!!!!」
そいつはこの魔方陣がなにかを知っている。
だからこそ、彼は大声で叫んだ。
この戦士達の集団の中央付近にいるそいつはもう助かることはない。
それでも、少しでも、戦士達が生き残るために彼は必死で叫んだ。
その声を戦士達の端にいる戦士が聞いた時、そのときすでに時は遅かった。
「『ラグナロク』」
戦士達は助からない。
彼らは生きたまま焼かれ、その断末魔は炎の燃える音にかき消される。
彼らの姿は灰になるまで生きたまま、焼き殺される。
誰も魔方陣から逃げることができた者はいない。
全員が200人以上の戦士達が生きたまま、炎の柱に呑まれてしまった。
呻き声など聞こえない。
断末魔など聞こえない。
熱い、熱い、炎の中で灰となって消えていく。
その柱の間を縦に斬り、奴は歩いていく。
戦士達の変わり果てた灰が舞う中を奴は1人歩いていく。
これが魔王軍幹部八虐の最後の生き残り。
リーダーである謀反の称号を持つ男。
『金剛(こんごう)』こそが彼の名前である。
彼らが鏡の中をワープして最初に見た光景はなにもない荒野。
その中心に何者かの人影があり、その奥にはおどろおどろしい魔王城が建っている。
その中心にいる1人の男は、ただその場に立っていた。
武器も持たず、かといって怯えることもない。
冷静な態度で奴は荒野に1人立っていた。
だが、その男からあふれでるオーラはまるで死。
奴を目の前にすべての戦士たちは脳内から警告を発している。「こいつは敵だ。逃げろ」と頭の中で本能が叫んでいる。
しかし、彼らは逃げるわけにはいかない。
震えそうな腕に必死に力を込める。
武器を構え、奴に集中する。
「フゥ…………ハァ……………」
奴は一度呼吸を整えて、戦士たちの方へと歩き始めた。
圧倒的な戦力差を前に奴は諦めることもなく進んでくる。
まるで奴が見ているのは別の何かであり、戦士たちのことは見えていないかのように歩き始める。
「いくぞみんな!!!」
戦士たちのうちの誰かが大声で気合いの叫びを発した。
その声を合図に戦士たちが一斉に奴に向かって走る。
彼らの進撃に大地は揺れる。
それぞれが武器を構えて、奴の首をとろうと襲いかかっていく。
しかし、奴がたとえ1人で数百人を相手に戦えないほど実力不足ではなかった。
「『買』」
すると、奴は何もない空間からスライム剣を取り出す。
そして、襲いかかってきた戦士たちを切り捨てていく。
1人につき一振りの一撃。その動きに無駄はない。きれいな切り筋で戦士たちを木の葉のように切り捨てていく。
「うわぁぁぁ」
「アッ…………」
「ぐっぁ………」
襲いかかる武器を持った戦士たちが、奴の行く手を遮る前に切られていく。
誰も奴を止めることができずに次々と斬られていく。
「死ね…………がッ!?」
「くそッ…………ギャッ!?」
「ヴァッ!!」
災害。誰も行く手を阻むことができない。
無慈悲で残酷で冷徹。
戦士たちに残された方法は撤退のみ。
「ちくしょう………俺は逃げる!!!」
だが、そう言って奴に背を向けたものは背中から切り捨てられてしまった。
もうスライム剣は戦士たちの血で真っ赤に染まり、もとが何色だったか分からないほどに変色している。
たくさんの人の命を奪い、たくさんの血を吸ったスライム剣は赤く染まっている。
「………………」
すると、奴はその剣の変化に気づき足を止めた。
奴は剣をただ眺めている。
それは隙。奴にできた隙!!
その隙を戦士たちが見逃すわけもない。
「仲間の恨み!!!『ライトニングスピア』」
「『ホーリーエクスプロージョン』」
「『インフェルノランナウェイー』」
後方からの魔法攻撃。
接近戦では相性が悪い冒険者は遠距離攻撃を奴に与える。
雷、光、火などあらゆる攻撃魔法が奴に向かって放たれる。
その衝撃で奴の姿は土煙に覆われた。
確実に当たった魔法たち、これであとは武器を持った戦士たちがトドメを刺せばよいのである。
「いまだ!!!」
「いくぞ!!」
20人ほどの戦士たちが土煙の中へと入っていく。
もうすでに10人の戦士たちが切り殺されたのだ。
これ以上の戦力の減少はこのあとに控えている魔王戦に支障をきたす。
残された戦士たちは土煙に消えていった戦士たちの無事を祈りながら警戒を続けていた。
シュッン!!!
何かが空中を素早く横切っていく。
謎の黒い物体は、土煙の中から勢いよく飛び出すと、戦士たちの先頭の前に音をたてて落ちた。
それはつぶれたトマトのように赤く、異臭を放っている。
「ヒィィぃぃ、これは頭だ。人間の頭だ。頭が飛んできた?」
そのつぶれたトマトのような物体には歯が生えており、それ以外から考えても人間だったとは思えない。
あまりの恐怖にチビりそうになりながらも、戦士たちは土煙が晴れていくのを見続けていた。
すると、土煙の中から1歩足を出して奴は歩いてくる。
その手にはスライム剣ではなく。2mはある岩剣が握られていた。
そして、その周りには見るも無惨な地獄絵図が広がっている。
顎を砕かれた者、右半身と左半身が分かれている者、首が無い者。
その20人の戦士達の変わり果てた姿に、彼らは目を見開いて恐怖した。
土煙から颯爽と現れた奴は止まることを知らない。
これから、ここにいるすべての人間を殺す勢いで奴は巨大な岩剣を振るう。
固い岩で作られた大きな剣は、切るというよりは殴り飛ばすように戦士たちを倒していく。
それはまるで戦場を走る戦車のように止まらない。
弾け飛ぶ戦士たち、まさに無惨!!!
見るも無惨!!!
「諦めるな。もう一度だ」
「次こそ魔法攻撃をくらわせるんだ!!!」
しかし、戦士達は諦めていなかった。
どれ程、犠牲者を増やしても彼らの闘志はまだ消えてはいなかった。
戦士たちの後ろで呪文を唱え始める魔術師達。
そんな彼らの時間を稼ぐために戦士達は諦めることなく立ち向かっていく。
少しの時間稼ぎにでもなるために、彼らは奴に立ち向かっていく。
「『買』」
だが、奴は巨大な岩剣を消し、虚空から更に新しい武器を取り出す。
次に現れたのは黒と金の拳銃。
バッン!!!
「ウッ………」
「ガッ………」
奴はその銃を使い、向かって走ってくる戦士達を撃ち殺していく。
接近戦で戦うことしかできない武器を持つ戦士達は次々と撃たれていく。
「くそッ………近づけねぇ」
「あの野郎…………」
さすがに、無駄死にはしたくないと足を止める戦士達。彼らは警戒しながら武器を構える。
その時、戦士達の特攻は無駄にはならなかった。
戦士達の背後ですでに魔術師たちの呪文詠唱は終了してしまったのだ。
「もう一度だ。いくぞ!!!」
「『サンダーストライク』」
「『ホーリーエクスプロージョン』」
「『ウォータースプラッシュ』」
あらゆる魔法攻撃が再び奴に襲いかかる。
激しい轟音や爆発音が響き、土煙が再び奴の姿を覆う。
激しい魔法攻撃。今度こそ奴に傷を与えることができるだろうと誰もが思っていた。
「……………『買』」
土煙が晴れて、再び姿を見せた奴の体には再び傷ひとつついていない。
奴は巨大な盾で自らの体を守り、魔法を弾いていたのだ。
「そんな魔法攻撃が効いていない!?」
「あれは…………あれは伝説の勇者に伝わるとされる『龍亀王の甲羅盾(ロングイ・シールド)』」
「魔法を防ぐ盾か………。なぜ貴様が持っているんだ!!」
伝説の勇者が持つとされる龍亀王の甲羅盾と呼ばれし神器。
魔王を倒した後、封印されたとされる盾を奴は持っていた。
その装備に驚き、声をあげる知識人の冒険者達。
すると、奴はやっと戦士達へ声をあげた。
「…………貴様らに教えることは何もない」
ドスの利いた声で奴は戦士達を黙らせる。
その瞬間、殺気を感じた戦士達はその場に足を止めた。
ゾワッと全身が凍りつくような感覚。一瞬揺らぐ戦意。彼らはただ1人の男を恐れている。
彼らは奴に心の奥底で恐怖している。
「『買』」
それは何かが始まる合図。奴が動き出す号令のような物。
戦士達の足の周りには魔方陣が拡がる。
真っ赤な魔方陣が戦士達を覆う。
「『詠唱省略…………………』」
冷や汗をかきながら、戦士達は気づかない。
「なんだ。なんだ。」と不安になりながらも彼らは自らの足下を見ている。
すると、その魔方陣を見て何かに気づいた1人の男が大声でみんなに叫んだ。
「おいおい、嘘だろ…………みんな早くここから逃げろ!!! 殺されるぞ!!!!」
そいつはこの魔方陣がなにかを知っている。
だからこそ、彼は大声で叫んだ。
この戦士達の集団の中央付近にいるそいつはもう助かることはない。
それでも、少しでも、戦士達が生き残るために彼は必死で叫んだ。
その声を戦士達の端にいる戦士が聞いた時、そのときすでに時は遅かった。
「『ラグナロク』」
戦士達は助からない。
彼らは生きたまま焼かれ、その断末魔は炎の燃える音にかき消される。
彼らの姿は灰になるまで生きたまま、焼き殺される。
誰も魔方陣から逃げることができた者はいない。
全員が200人以上の戦士達が生きたまま、炎の柱に呑まれてしまった。
呻き声など聞こえない。
断末魔など聞こえない。
熱い、熱い、炎の中で灰となって消えていく。
その柱の間を縦に斬り、奴は歩いていく。
戦士達の変わり果てた灰が舞う中を奴は1人歩いていく。
これが魔王軍幹部八虐の最後の生き残り。
リーダーである謀反の称号を持つ男。
『金剛(こんごう)』こそが彼の名前である。
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