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第14章 どうやら終末は近づいてきているようです。
終末の瓶は語らない
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静かになった遺跡内。
これでもうこの場所に脅威は訪れることはない。
「助かったのだ……助かった………」
側近は静かになった遺跡内を見渡して安堵の息を吐く。
もう黒い存在はここにはいない。
王女様を心配して駆け寄る側近。
そして、三原を心配して駆け寄る大楠。
「三原さん。驚かせないでくださいよ。さすがの私も心配したんですから」
彼女は刀を鞘の中に入れながら三原の元に駆け寄ってきた。
「この程度の事態も考えぬか?
だが、いい。それよりだな………」
三原は少し真面目な表情である方向を指差す。
三原の指差した先にあるのはあの大きな終末の瓶。
黒い存在がいなくなった後でもそれはまるで何事もなかったかのように存在感を出していた。
「終末の瓶?
それがどうかしたんですか?」
「奴の言っていた殲魔王というのが気になっているのだ。終末の瓶に封印されている殲魔王。それが真実なら消さなきゃならないからな」
「確かに殲魔王の復活は失敗しましたが、元は潰しておかなきゃですね。どうします?
私が行いましょうか?」
「いや、その前に面くらいは拝んでおきたいものだ。奴が何百年もかけて復活させようとしていた相手だからな。吾には多少興味がある」
2人はトコトコと歩いて終末の瓶の目の前にたどり着く。
近くで見るとやはり子の大きさを理解することができた。
「蓋は無さそうだから、上に行って見てみましょうか」
「上にか………」
三原と大楠は天井を見上げる。
2人が高さ30mまで行く方法。
もちろん登っていくわけにはいかない。
ここは三原の腕の見せ所である。
「はぁ、しょうがない。今回は特別だ。
吾の鏡の能力でワープさせてやろう。ありがたく思え」
上から目線での誘い。
大楠はこの誘いを断りたくなっている。
だが、2人が上に行くにはこれ以外の方法はない。
「はいは~い。ありがとうございま~す(棒読み)」
不本意ながら大楠は三原の誘いに乗ることに決めたようだ。
彼女の不本意ながらの返事に三原は特に不満など感じることもなく。
鏡の能力でワープを行った。
ワープ先は終末の瓶のてっぺん。
瓶というものは液体を入れる底の深い陶製の容器である。
だが、終末の瓶の口は蓋などされておらず上から中を覗くことが出来るようになっているようだ。
宙に浮いた鏡の中から飛び出した2人はその瓶の口に着々。
少しでもバランスを崩せば、30m下に真っ逆さまで落ちてしまうのだが…。
この2人には別に問題ではない事である。
さて、この高さから中を覗くと何が見えるか。
「殲魔王がこの中にいるんでしたよね。封印されているって」
「ああ、奴はその為に魂や負の感情をこの中に与えていたようだ。今回あいつを倒さねば危なかった。だが、これは…………」
瓶の中身を覗く2人。
三原は自分の鏡の能力で光を反射させて瓶の中身を照らす。
すると、水溜まりのような液体が瓶の中に中にあり、光を反射して瓶内はよく見えるようになった。
だが、そこには何もなかった…………。
結局、黒い存在が復活させようとしていた相手には会えずにこの場は終わることになる。
なぜ、奴は殲魔王がいないことに気づかなかったのか。
殲魔王はどこへ行ったのか。
そんな事はこの場の4人には分かるはずもない。
だが、黒い存在の言うことが正解ならば、少し前まではこの場にいたという事になる。
おそらく警備からの連絡が届かなくなった日にそいつはいなくなったのだろう。
王族が代々封印を守ってきた中身がどこへ行ったのか。
誰が復活もしていない殲魔王を運び出してしまったのか。
もぬけの殻になった終末の瓶は語らない。
そして、この場所のさらに奥に何があるのかを確かめようとは思ったが、
今はただこの場を4人で立ち去るしかない………。
これでもうこの場所に脅威は訪れることはない。
「助かったのだ……助かった………」
側近は静かになった遺跡内を見渡して安堵の息を吐く。
もう黒い存在はここにはいない。
王女様を心配して駆け寄る側近。
そして、三原を心配して駆け寄る大楠。
「三原さん。驚かせないでくださいよ。さすがの私も心配したんですから」
彼女は刀を鞘の中に入れながら三原の元に駆け寄ってきた。
「この程度の事態も考えぬか?
だが、いい。それよりだな………」
三原は少し真面目な表情である方向を指差す。
三原の指差した先にあるのはあの大きな終末の瓶。
黒い存在がいなくなった後でもそれはまるで何事もなかったかのように存在感を出していた。
「終末の瓶?
それがどうかしたんですか?」
「奴の言っていた殲魔王というのが気になっているのだ。終末の瓶に封印されている殲魔王。それが真実なら消さなきゃならないからな」
「確かに殲魔王の復活は失敗しましたが、元は潰しておかなきゃですね。どうします?
私が行いましょうか?」
「いや、その前に面くらいは拝んでおきたいものだ。奴が何百年もかけて復活させようとしていた相手だからな。吾には多少興味がある」
2人はトコトコと歩いて終末の瓶の目の前にたどり着く。
近くで見るとやはり子の大きさを理解することができた。
「蓋は無さそうだから、上に行って見てみましょうか」
「上にか………」
三原と大楠は天井を見上げる。
2人が高さ30mまで行く方法。
もちろん登っていくわけにはいかない。
ここは三原の腕の見せ所である。
「はぁ、しょうがない。今回は特別だ。
吾の鏡の能力でワープさせてやろう。ありがたく思え」
上から目線での誘い。
大楠はこの誘いを断りたくなっている。
だが、2人が上に行くにはこれ以外の方法はない。
「はいは~い。ありがとうございま~す(棒読み)」
不本意ながら大楠は三原の誘いに乗ることに決めたようだ。
彼女の不本意ながらの返事に三原は特に不満など感じることもなく。
鏡の能力でワープを行った。
ワープ先は終末の瓶のてっぺん。
瓶というものは液体を入れる底の深い陶製の容器である。
だが、終末の瓶の口は蓋などされておらず上から中を覗くことが出来るようになっているようだ。
宙に浮いた鏡の中から飛び出した2人はその瓶の口に着々。
少しでもバランスを崩せば、30m下に真っ逆さまで落ちてしまうのだが…。
この2人には別に問題ではない事である。
さて、この高さから中を覗くと何が見えるか。
「殲魔王がこの中にいるんでしたよね。封印されているって」
「ああ、奴はその為に魂や負の感情をこの中に与えていたようだ。今回あいつを倒さねば危なかった。だが、これは…………」
瓶の中身を覗く2人。
三原は自分の鏡の能力で光を反射させて瓶の中身を照らす。
すると、水溜まりのような液体が瓶の中に中にあり、光を反射して瓶内はよく見えるようになった。
だが、そこには何もなかった…………。
結局、黒い存在が復活させようとしていた相手には会えずにこの場は終わることになる。
なぜ、奴は殲魔王がいないことに気づかなかったのか。
殲魔王はどこへ行ったのか。
そんな事はこの場の4人には分かるはずもない。
だが、黒い存在の言うことが正解ならば、少し前まではこの場にいたという事になる。
おそらく警備からの連絡が届かなくなった日にそいつはいなくなったのだろう。
王族が代々封印を守ってきた中身がどこへ行ったのか。
誰が復活もしていない殲魔王を運び出してしまったのか。
もぬけの殻になった終末の瓶は語らない。
そして、この場所のさらに奥に何があるのかを確かめようとは思ったが、
今はただこの場を4人で立ち去るしかない………。
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