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第13章 どうやら犯人は八虐の不道のようです。
もう俺は戦いに疲れた
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あの人とのデートの数日後。
「本当に楽しかったな」
私は今でもその至福の一時に酔っていた。
どこまでも続く水平線へと沈む、綺麗な夕日を見ながら二人っきりの時間を過ごせたのだ。
これほど幸せな時間はなかっただろう。
それが今になっても忘れられないのだ。
本当にあの時、あの人と出会えて良かったと思っている。
もちろん、あの人には私の趣味を打ち明ける事はしていない。
たまに、この私の本性をあの人にさらけ出してみたい…と思うのだが。
そんなことをしたらあの人に嫌われる事くらい分かっている。
せめて、きちんと結婚式をあげてからの方がいいだろうな。
「案外、私には幸運があるかもしれないな。そして、今まで通りに過ごせば悔いのない人生を過ごせる気がする」
私はそんな事を頭の中で考えながら、今日の朝食を作り始めた。
「フンンンン~!!」
鼻唄を歌いながら、華麗なステップを踏むかのように部屋を移動する。
きっと今日も素晴らしい1日を過ごせる気がする。
だが、彼は知らない。
魔王の妹が復活により、この国の運命が大きく揺れ動かされることになってしまう事を……。
────────────────
場所は変わり、ここは明山宅。
「ちょっと何してるんですか? 二人とも?
確かに今は暇な時間ですけど」
朝からゴロゴロとテレビの前にいる俺達二人に英彦は声をかける。
もう、この際言ってもいいだろう。
俺達二人が先日話し合って決めた今後の事を……。
「なぁ~英彦~。俺はもう働かないことにした!!!」
「そうですか…………はぁ? 今、なんて?」
英彦が不審そうに俺の顔色を見てくる。
それはまるで「病気にでもなったのか?」などと聞き出す時の表情に似ている。
そんな中、黒はテレビから目を離す事もなく、英彦に事情を説明する。
「明山さんはね~働かないって言ったのよ。だって、私達今まで八虐の6人も倒してるのよ。私ももう闘いに疲れちゃって……。しばらくはここでごろごろさせてもらうわ~」
「おい、お前のニート的な理由と一緒にするな!!!」
俺は黒の事を不服に感じながら、指を指して彼女独自の理由に反発する。
今回の事情は彼女の理由と俺の理由がたまたま働かなければいいという結論に至っただけで別に働きたくないという訳ではないのだ。
それに闘いに疲れたとか言っている黒はほとんど活躍していない。
だが、お互いもう付喪人として働きたくないという想いは同じなのだ。
しかし、どんな理由があっても二人が付喪人をやめたいというのは明らかで……。
英彦はその理由を知りたがっている。
「明山さん、あの主人公になりたかった想いはどこにいっちゃったんですか?
黒さんも、あと八虐は2人だよ!!
物語でいったら“最終章”的な立ち位置だよ。
そんなんでいいの?
虚悪の根源に近づいているんだよ!!」
「どうせ、物語の最終章って言ったって長々と引っ張って終わりに決まってるでしょ。終わらないってば。
それに虚悪の根元?
そんなの勇者的なチート能力持ちが4コマ漫画みたいにパッと解決するに決まってるじゃん」
英彦の発言に対して黒はぶっちゃけてしまった。
黒の言い放ったド正論に俺達は何も言い返すことが出来ない。
そして、当の本人は何事もなかったかのように再びテレビに釘付けとなる。
あんなぶっちゃけ話を言ってしまった黒は“SAMURAIサムライ将軍九十九道中”というテレビドラマが放送を終了したことで4日間泣き続けていたのだが……。
先日、その第2期製作が発表されたので上機嫌なのだろう。
だから、しばらくはそのドラマを見て過ごしたいのかもしれない。
「話を戻そう。英彦、俺は黒みたいな理由じゃないからな。
お前の言う通り、確かに主人公になりたかった想いはまだある。
しかし、あの時」
思い出すのはミハラ戦とスポンジの付喪神戦の事。
俺はあの戦いで目の前の命を助けられなかった出来事以来、自信が持てずにいたのだ。
「俺は救えなかった。
だから、ここはもう黒の言う通りに強力な付喪人や冒険者達に託した方が犠牲者が少ないかもしれないと考えたんだ」
すっかり自信を失くしてしまったのだ。
実際、五百円モードでも太刀打ちできなかった敵がこれからもたくさん現れるのだろう。
そんな時に俺は弱き者を守り通せる想像がまったく出来ないのだ。
「…ッ」
そんなスランプ状態の俺に英彦は何も言い返してくれない。
いや、言い返せないの方が正しいのだろうか。
俺の考えは英彦の心にも突き刺さったようだ。
しかし、英彦もなんとかして俺に付喪人としての自信を取り戻してほしいようで……。
「はぁ~。いったいどうすれば…」
どうすればスランプから脱け出せるかを頭を抱えて考えている。
すると、話を聞き付けた黒はテレビを消し、自身の仮部屋へと戻っていった。
そして、しばらく物が散らかっていく音が聞こえた後。
「ねぇ~英彦」
黒はドアを少しだけ開いた状態で、英彦に向かって手招きをしている。
何かを企んでいるのだろうか。
ニマニマとした表情をしながら、英彦を呼んでいるのだ。
俺と英彦は一度顔を合わせると、英彦はため息をついて黒のもとへと歩いていった。
ごにょごにょ。こそこそ。
黒の部屋(仮)からは二人が会話しているというのは分かるのだが、何を言っているのかは聞こえない。
そして、しばらく時間が経った後。
二人は何かを企んでいるような表情で部屋から出てきた。
絶対、何かしら面倒な事を考えているに違いない。
「…………」
怪しんで二人をジッと睨み付けていると……。
「「フッ……」」
やはり、二人は明らかに何かしら企んでいたようだ。
「本当に楽しかったな」
私は今でもその至福の一時に酔っていた。
どこまでも続く水平線へと沈む、綺麗な夕日を見ながら二人っきりの時間を過ごせたのだ。
これほど幸せな時間はなかっただろう。
それが今になっても忘れられないのだ。
本当にあの時、あの人と出会えて良かったと思っている。
もちろん、あの人には私の趣味を打ち明ける事はしていない。
たまに、この私の本性をあの人にさらけ出してみたい…と思うのだが。
そんなことをしたらあの人に嫌われる事くらい分かっている。
せめて、きちんと結婚式をあげてからの方がいいだろうな。
「案外、私には幸運があるかもしれないな。そして、今まで通りに過ごせば悔いのない人生を過ごせる気がする」
私はそんな事を頭の中で考えながら、今日の朝食を作り始めた。
「フンンンン~!!」
鼻唄を歌いながら、華麗なステップを踏むかのように部屋を移動する。
きっと今日も素晴らしい1日を過ごせる気がする。
だが、彼は知らない。
魔王の妹が復活により、この国の運命が大きく揺れ動かされることになってしまう事を……。
────────────────
場所は変わり、ここは明山宅。
「ちょっと何してるんですか? 二人とも?
確かに今は暇な時間ですけど」
朝からゴロゴロとテレビの前にいる俺達二人に英彦は声をかける。
もう、この際言ってもいいだろう。
俺達二人が先日話し合って決めた今後の事を……。
「なぁ~英彦~。俺はもう働かないことにした!!!」
「そうですか…………はぁ? 今、なんて?」
英彦が不審そうに俺の顔色を見てくる。
それはまるで「病気にでもなったのか?」などと聞き出す時の表情に似ている。
そんな中、黒はテレビから目を離す事もなく、英彦に事情を説明する。
「明山さんはね~働かないって言ったのよ。だって、私達今まで八虐の6人も倒してるのよ。私ももう闘いに疲れちゃって……。しばらくはここでごろごろさせてもらうわ~」
「おい、お前のニート的な理由と一緒にするな!!!」
俺は黒の事を不服に感じながら、指を指して彼女独自の理由に反発する。
今回の事情は彼女の理由と俺の理由がたまたま働かなければいいという結論に至っただけで別に働きたくないという訳ではないのだ。
それに闘いに疲れたとか言っている黒はほとんど活躍していない。
だが、お互いもう付喪人として働きたくないという想いは同じなのだ。
しかし、どんな理由があっても二人が付喪人をやめたいというのは明らかで……。
英彦はその理由を知りたがっている。
「明山さん、あの主人公になりたかった想いはどこにいっちゃったんですか?
黒さんも、あと八虐は2人だよ!!
物語でいったら“最終章”的な立ち位置だよ。
そんなんでいいの?
虚悪の根源に近づいているんだよ!!」
「どうせ、物語の最終章って言ったって長々と引っ張って終わりに決まってるでしょ。終わらないってば。
それに虚悪の根元?
そんなの勇者的なチート能力持ちが4コマ漫画みたいにパッと解決するに決まってるじゃん」
英彦の発言に対して黒はぶっちゃけてしまった。
黒の言い放ったド正論に俺達は何も言い返すことが出来ない。
そして、当の本人は何事もなかったかのように再びテレビに釘付けとなる。
あんなぶっちゃけ話を言ってしまった黒は“SAMURAIサムライ将軍九十九道中”というテレビドラマが放送を終了したことで4日間泣き続けていたのだが……。
先日、その第2期製作が発表されたので上機嫌なのだろう。
だから、しばらくはそのドラマを見て過ごしたいのかもしれない。
「話を戻そう。英彦、俺は黒みたいな理由じゃないからな。
お前の言う通り、確かに主人公になりたかった想いはまだある。
しかし、あの時」
思い出すのはミハラ戦とスポンジの付喪神戦の事。
俺はあの戦いで目の前の命を助けられなかった出来事以来、自信が持てずにいたのだ。
「俺は救えなかった。
だから、ここはもう黒の言う通りに強力な付喪人や冒険者達に託した方が犠牲者が少ないかもしれないと考えたんだ」
すっかり自信を失くしてしまったのだ。
実際、五百円モードでも太刀打ちできなかった敵がこれからもたくさん現れるのだろう。
そんな時に俺は弱き者を守り通せる想像がまったく出来ないのだ。
「…ッ」
そんなスランプ状態の俺に英彦は何も言い返してくれない。
いや、言い返せないの方が正しいのだろうか。
俺の考えは英彦の心にも突き刺さったようだ。
しかし、英彦もなんとかして俺に付喪人としての自信を取り戻してほしいようで……。
「はぁ~。いったいどうすれば…」
どうすればスランプから脱け出せるかを頭を抱えて考えている。
すると、話を聞き付けた黒はテレビを消し、自身の仮部屋へと戻っていった。
そして、しばらく物が散らかっていく音が聞こえた後。
「ねぇ~英彦」
黒はドアを少しだけ開いた状態で、英彦に向かって手招きをしている。
何かを企んでいるのだろうか。
ニマニマとした表情をしながら、英彦を呼んでいるのだ。
俺と英彦は一度顔を合わせると、英彦はため息をついて黒のもとへと歩いていった。
ごにょごにょ。こそこそ。
黒の部屋(仮)からは二人が会話しているというのは分かるのだが、何を言っているのかは聞こえない。
そして、しばらく時間が経った後。
二人は何かを企んでいるような表情で部屋から出てきた。
絶対、何かしら面倒な事を考えているに違いない。
「…………」
怪しんで二人をジッと睨み付けていると……。
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やはり、二人は明らかに何かしら企んでいたようだ。
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