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第10章 どうやらミハラは八虐の大不敬のようです。
ご本人からのラグナロク
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「『ファイアー ファイアー ファイアー』」
俺達はもと来た道を辿り始めていた。
向かうは今一番危険な場所。
白魔とミハラの決戦の地である。
その場所に近づく前から次第にミハラ達の襲撃数が多くなってきているので、英彦も無我夢中で技を放ち走っていた。
「ハァ…ハァ…。襲撃数が増えてますね。
このまま増え続けていたら、僕の身体に限界が……」
先ほどから英彦だけで襲撃を掻い潜っているので、彼一人に負担を負わせていることになる。
確かに彼の言う通りこのままでは鏡を探しだす前に全滅してしまう。
なんとか策を考えなければいけない時間に突入してしまったのだ。
「何か策はないかい? 明山君」
山口はそう言って俺を頼りにしているようだが、急に策なんて思い付くはずも……。
「───そうだ! 英彦、今からは攻撃をせずに、全力で回避するってのは?」
「何を言ってるんですか!?
そんなことしたら、簡単に全滅ですよ」
「でも、それも手かもしれない。明山君、君は何か策を考え付いたんだろう?」
反対意見も賛成意見もあったが、これで賛成意見が2票。
英彦は乗り気になれないながらも、その作戦に乗ることにした。
「…って、なんでこんなに着いてくるんだよぉぉぉ!!!!」
作戦は見事に成功。
ミハラ達の襲撃を掻い潜り続け、現在ではまるでマラソン大会にでも参加しているような人数になった。
地獄のマラソン大会の開催である。
もちろん、先頭を走るのは俺達。
予想以上のミハラの数に唖然としながらも、俺たちは足を休めることはしなかった。
「ミハラが数えきれないほど増えましたよ。えっと、1…2…」
英彦は後ろを振り返りながら、1人ずつミハラの数を数えている。
「やべぇな。30人以上はいるぞ」
俺は昔から数を数えるのは得意であったので、英彦よりも先に数えきってしまった。
その事で英彦は少し悔しがってしまったようだ。
彼は頬を膨らませている。
そんな彼の表情に気づかないフリをしていると……。
山口が言ってほしくなかった言葉を言おうとしていた。
「1人いれば30人はいる。まるでゴキ……」
「「それは言うな!!!!」」
その頃、白魔とミハラの戦いに変化が現れる。
うなり声が黒い雲に覆われた空に響き渡る。
その下で荒れ狂いながら彼は返り血を浴びていた。
「しつこいなぁ。いい加減楽になれば良いものを」
「俺は…オレはまだ…。ぬッウぅ…。ウオオオォォオォォォォォオォォ!!!!」
白魔は精神的な面で暴走し始めた。
怒りなどのいろいろな感情が頂点に達したのである。
「フハハハハ!!
感情を抑えきれずに暴走するとは、貴様の最期は力を使いすぎて自滅かな?」
先ほどよりも、彼は荒れ狂う神のようにミハラ達を殺していく。
そんな彼の様子を見ながらミハラは高笑いをしていた。
近くから大きな叫び声が聞こえる。
「今の声って……」
走りながらも英彦はその声の恐ろしさに震えている。
彼にとっては瀕死まで追い詰められたというトラウマものなのだ。
激しい戦いの響きが神殿に近づくに連れて大きくなっていく。
「──もうすぐこのマラソン大会も終わるんだね」
山口は少し残念そうな表情を浮かべている。
それほど、この地獄のマラソン大会が楽しかったのだろうか。
「英彦、そろそろ準備をしておいてくれ。タイミングはあいつらの間を通り抜けた瞬間だ」
俺は走っている道中で英彦に伝えておいた策のタイミングを伝える。
「本当にあれをやるんですか!?
はぁ、分かりましたよ」
英彦は少し不安になりながらも、覚悟を決めたようだ。
既に視界の先にはミハラと白魔の戦っている姿が映っていた。
正直近づきたくない。逃げたい。
なんて考えてしまうが、三人はその気持ちをギュッと抑え込む。
後ろを振り返ってみると、ミハラの大群はちゃんと着いてきてくれていた。
ここまでは俺の策の通り。
あとは、ここからが重要なのである。
「うぉぉぉぉぉぉ。退けぇぇぇぇ!!!!」
俺の大声に一瞬、気をそらしてしまったミハラと白魔。
その隙を狙って、俺達は無事に二人の間を通り抜けることができた。
その瞬間、英彦が片手を前に出すと、呪文のような物を唱え始める。
その呪文の一つ一つは中二病の人が言うような言葉で文章が作られているが、これは笑い事ではない。
辺りの空気が震え、黒い雲は激しく上空で蠢いていた。
しばらくすると、英彦の呪文を唱える声がだんだん大きくなり始める。
そんな大声で呪文を唱えたら…明らかに近くに住んでいる人がいたら、
「どこかで中二病の人が呪文を唱えてるな。うるさいなー」…などと言われてもおかしくないほどの大声だったが、この近くに住んでいる人などいないから心配はない。
彼が大声になり始めてから、ミハラと白魔の上に魔方陣のような物ができ始め……。
その魔方陣は段々大きくなっていった。
今まさにその魔方陣から技が放たれようとしているのだ。
「『ラグナロク』!!!」
その瞬間、大地に火柱が立ち、白魔とミハラの大群を激しい炎が飲み込む。
俺達はもと来た道を辿り始めていた。
向かうは今一番危険な場所。
白魔とミハラの決戦の地である。
その場所に近づく前から次第にミハラ達の襲撃数が多くなってきているので、英彦も無我夢中で技を放ち走っていた。
「ハァ…ハァ…。襲撃数が増えてますね。
このまま増え続けていたら、僕の身体に限界が……」
先ほどから英彦だけで襲撃を掻い潜っているので、彼一人に負担を負わせていることになる。
確かに彼の言う通りこのままでは鏡を探しだす前に全滅してしまう。
なんとか策を考えなければいけない時間に突入してしまったのだ。
「何か策はないかい? 明山君」
山口はそう言って俺を頼りにしているようだが、急に策なんて思い付くはずも……。
「───そうだ! 英彦、今からは攻撃をせずに、全力で回避するってのは?」
「何を言ってるんですか!?
そんなことしたら、簡単に全滅ですよ」
「でも、それも手かもしれない。明山君、君は何か策を考え付いたんだろう?」
反対意見も賛成意見もあったが、これで賛成意見が2票。
英彦は乗り気になれないながらも、その作戦に乗ることにした。
「…って、なんでこんなに着いてくるんだよぉぉぉ!!!!」
作戦は見事に成功。
ミハラ達の襲撃を掻い潜り続け、現在ではまるでマラソン大会にでも参加しているような人数になった。
地獄のマラソン大会の開催である。
もちろん、先頭を走るのは俺達。
予想以上のミハラの数に唖然としながらも、俺たちは足を休めることはしなかった。
「ミハラが数えきれないほど増えましたよ。えっと、1…2…」
英彦は後ろを振り返りながら、1人ずつミハラの数を数えている。
「やべぇな。30人以上はいるぞ」
俺は昔から数を数えるのは得意であったので、英彦よりも先に数えきってしまった。
その事で英彦は少し悔しがってしまったようだ。
彼は頬を膨らませている。
そんな彼の表情に気づかないフリをしていると……。
山口が言ってほしくなかった言葉を言おうとしていた。
「1人いれば30人はいる。まるでゴキ……」
「「それは言うな!!!!」」
その頃、白魔とミハラの戦いに変化が現れる。
うなり声が黒い雲に覆われた空に響き渡る。
その下で荒れ狂いながら彼は返り血を浴びていた。
「しつこいなぁ。いい加減楽になれば良いものを」
「俺は…オレはまだ…。ぬッウぅ…。ウオオオォォオォォォォォオォォ!!!!」
白魔は精神的な面で暴走し始めた。
怒りなどのいろいろな感情が頂点に達したのである。
「フハハハハ!!
感情を抑えきれずに暴走するとは、貴様の最期は力を使いすぎて自滅かな?」
先ほどよりも、彼は荒れ狂う神のようにミハラ達を殺していく。
そんな彼の様子を見ながらミハラは高笑いをしていた。
近くから大きな叫び声が聞こえる。
「今の声って……」
走りながらも英彦はその声の恐ろしさに震えている。
彼にとっては瀕死まで追い詰められたというトラウマものなのだ。
激しい戦いの響きが神殿に近づくに連れて大きくなっていく。
「──もうすぐこのマラソン大会も終わるんだね」
山口は少し残念そうな表情を浮かべている。
それほど、この地獄のマラソン大会が楽しかったのだろうか。
「英彦、そろそろ準備をしておいてくれ。タイミングはあいつらの間を通り抜けた瞬間だ」
俺は走っている道中で英彦に伝えておいた策のタイミングを伝える。
「本当にあれをやるんですか!?
はぁ、分かりましたよ」
英彦は少し不安になりながらも、覚悟を決めたようだ。
既に視界の先にはミハラと白魔の戦っている姿が映っていた。
正直近づきたくない。逃げたい。
なんて考えてしまうが、三人はその気持ちをギュッと抑え込む。
後ろを振り返ってみると、ミハラの大群はちゃんと着いてきてくれていた。
ここまでは俺の策の通り。
あとは、ここからが重要なのである。
「うぉぉぉぉぉぉ。退けぇぇぇぇ!!!!」
俺の大声に一瞬、気をそらしてしまったミハラと白魔。
その隙を狙って、俺達は無事に二人の間を通り抜けることができた。
その瞬間、英彦が片手を前に出すと、呪文のような物を唱え始める。
その呪文の一つ一つは中二病の人が言うような言葉で文章が作られているが、これは笑い事ではない。
辺りの空気が震え、黒い雲は激しく上空で蠢いていた。
しばらくすると、英彦の呪文を唱える声がだんだん大きくなり始める。
そんな大声で呪文を唱えたら…明らかに近くに住んでいる人がいたら、
「どこかで中二病の人が呪文を唱えてるな。うるさいなー」…などと言われてもおかしくないほどの大声だったが、この近くに住んでいる人などいないから心配はない。
彼が大声になり始めてから、ミハラと白魔の上に魔方陣のような物ができ始め……。
その魔方陣は段々大きくなっていった。
今まさにその魔方陣から技が放たれようとしているのだ。
「『ラグナロク』!!!」
その瞬間、大地に火柱が立ち、白魔とミハラの大群を激しい炎が飲み込む。
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