154 / 294
第10章 どうやらミハラは八虐の大不敬のようです。
破壊神ミハラ
しおりを挟む
「おーい、この世界をこんなにも壊した奴ー。
出てこい。俺が相手になってやる」
俺は瓦礫が崩れ落ちた神殿の中へと入っていた。
これでもし、この場所が歴史的建造物だったとしても俺は謝らないつもりでいた。
それどころか、世界の破壊者を倒そうとしているのだから大目に見てもらいたいものだ。
戦いに多少の犠牲は付き物なのである。
ふと、地面を見ると大きな瓦礫に埋もれながらもその隙間から光を放っている物を見つけた。
「? なんだ?
光る物が瓦礫の下敷きになっている」
神殿だから何かの宝でもあっただろうか。
欲にまみれた手でそれを掘り起こしてみると、そこにあったのはただの鏡だった。
「鏡か? しかし、妙だな。
こんな瓦礫が落ちてきたっていうのに、どこも割れていない」
そう、その鏡はどこも傷つくこともなく。そのままの形で倒れているのである。
いかにも怪しい鏡だったが、やはり好奇心の方が強く、触ってみたくなる。
不安になりながらもゆっくりと手で触れようと試みたのだが。
「おい、明山君。外に出てきてくれ。早くするんだ」
その時、神殿の外から山口が俺を呼んでいるのが聞こえた。
なので、触れることはせずにそのまま神殿の外へと歩いていく。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
神殿から出て山口に尋ねても、彼はただ静かに何も答えないまま、空を指差していた。
俺が振り返って彼の指差す方向を見てみても、ただ厚く黒い雲に空が覆われているだけである。
「なぁ、いったいどうしたってんだよ。何も変わっていな……」
その時、厚く黒い雲から差した一筋の光。
雲は晴れていき、風は止み始めた。
今日の朝の天気予報では雨だった気がするが…平行世界だから関係ないのだろうか。
空が晴れる。
この雰囲気はヤバイ奴が来るという俺の感が当たるな。
そう思いながらも、俺は山口に避難を促す。
「山口、どこかに隠れてろ」
山口は反抗することもなく、この場から離れてどこかへ隠れに行った。
その雲が晴れた部分から光は徐々に大地を照らしている。
まるで、神が降臨なされるような雰囲気を漂わせて……。
「我こそが条理。我こそが定め。この汚れきった忌まわしき世界に終幕をもたらす者。我を崇拝し、敬仰せよ。この世界の最後の神にして、人類に絶滅という安らぎを与える者。
魔王軍幹部八虐の一人…大不敬。
その気高く美しい神の名は『ミハラ』」
雲が晴れて、空からゆっくりと地面に向かって降臨してくる一人の男。
しかし、ミハラとは何処かで聞いたことのある名前だ。
そいつの姿も見たことがある気がしたが、中身やオーラは初めて感じるものなので、たぶん俺の考えている奴とは別人だろう。
紫色のボサボサ髪、両眼の眼の色も違う。
異世界より異世界っぽい黒色の服を着ている。
そして、高級そうな剣を持っているのだ。
正直、元の世界にいたら関わりたいと思わない見た目のトップ10には入る。
そんな奴が自身を神と思って疑わないような目で、地面に立っている俺たちを蔑んでいる。
「我が神殿を壊したのは貴様だな? 人間!!!」
「そういうお前がこの世界を崩壊させたんだろ!!」
彼は地面に降り立つと、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる。
神殿を壊した事を怒っているのだろうか。
やはり、歴史的建造物だったのか?
壊しちゃ不味いものだったか。
そんな事を考えていると、向こうから質問をしてきた。
「貴様、誰の神殿か知っててこのような事をしたのか?」
「うん」
「仲間の仇打ちか?」
「うん」
「我を倒しに来たのか?」
「うん」
彼はため息をつくと、手に持っていた剣を握りしめる。
帰る場所が無くなったというのは可哀想な話だが。
神様を名のる者が魔王軍だなんて、アイツならブチギレしそうな話でもある。
もちろん、そんなやつに俺が怒りを感じるのは当然のことだ。
「神様が魔王軍なんかに協力してんじゃねぇ。
俺の知ってるアイツだってそこまでバカじゃねぇよ」
こんな事を言うのは明らかに挑発と等しい行為。
結果的に奴をイラつかせる結果となっているのは明らかである。
奴が殺気を漂わせて、今にも斬りかかりたいのを抑えながら歩いてくるのが分かる。
しかし、自称でも神が魔王に協力しているのだ。
そんな不条理を許すことはしたくない。
「貴様らごときの下等種族に我の心情など理解できまい。
だからお前らの命なぞ、我には娯楽なのだ。
そこら辺で転がって死ねば良いものを……。
だが、愚かな貴様は、我に神に戦いを挑んだ。
その罪は叛逆である。
そんな罪深き貴様に我が神の裁きを下すのだ。
我のヴォーパールの剣で即刻首を跳ねてやろう」
そう言ってミハラは剣を振りかかる。
俺は剣相手ではあまり戦う機会がなかったので、少し圧されぎみになるのだが。
それでも俺は必死になって五円ソードで対抗するしかないのだ。
剣と剣とがぶつかり合う衝撃。
ミハラが剣を振るう度に、防ぎきれなかった分の切れ味を味わう。
剣傷が身体中にできはじめる。
「痛ってぇ。こうなったら!!!」
これ以上剣を交わしていたら…一向に決着がつかないままになってしまう。
ここはもう、どんな手を使ってでも力の差を離すしかないのだ。
出てこい。俺が相手になってやる」
俺は瓦礫が崩れ落ちた神殿の中へと入っていた。
これでもし、この場所が歴史的建造物だったとしても俺は謝らないつもりでいた。
それどころか、世界の破壊者を倒そうとしているのだから大目に見てもらいたいものだ。
戦いに多少の犠牲は付き物なのである。
ふと、地面を見ると大きな瓦礫に埋もれながらもその隙間から光を放っている物を見つけた。
「? なんだ?
光る物が瓦礫の下敷きになっている」
神殿だから何かの宝でもあっただろうか。
欲にまみれた手でそれを掘り起こしてみると、そこにあったのはただの鏡だった。
「鏡か? しかし、妙だな。
こんな瓦礫が落ちてきたっていうのに、どこも割れていない」
そう、その鏡はどこも傷つくこともなく。そのままの形で倒れているのである。
いかにも怪しい鏡だったが、やはり好奇心の方が強く、触ってみたくなる。
不安になりながらもゆっくりと手で触れようと試みたのだが。
「おい、明山君。外に出てきてくれ。早くするんだ」
その時、神殿の外から山口が俺を呼んでいるのが聞こえた。
なので、触れることはせずにそのまま神殿の外へと歩いていく。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
神殿から出て山口に尋ねても、彼はただ静かに何も答えないまま、空を指差していた。
俺が振り返って彼の指差す方向を見てみても、ただ厚く黒い雲に空が覆われているだけである。
「なぁ、いったいどうしたってんだよ。何も変わっていな……」
その時、厚く黒い雲から差した一筋の光。
雲は晴れていき、風は止み始めた。
今日の朝の天気予報では雨だった気がするが…平行世界だから関係ないのだろうか。
空が晴れる。
この雰囲気はヤバイ奴が来るという俺の感が当たるな。
そう思いながらも、俺は山口に避難を促す。
「山口、どこかに隠れてろ」
山口は反抗することもなく、この場から離れてどこかへ隠れに行った。
その雲が晴れた部分から光は徐々に大地を照らしている。
まるで、神が降臨なされるような雰囲気を漂わせて……。
「我こそが条理。我こそが定め。この汚れきった忌まわしき世界に終幕をもたらす者。我を崇拝し、敬仰せよ。この世界の最後の神にして、人類に絶滅という安らぎを与える者。
魔王軍幹部八虐の一人…大不敬。
その気高く美しい神の名は『ミハラ』」
雲が晴れて、空からゆっくりと地面に向かって降臨してくる一人の男。
しかし、ミハラとは何処かで聞いたことのある名前だ。
そいつの姿も見たことがある気がしたが、中身やオーラは初めて感じるものなので、たぶん俺の考えている奴とは別人だろう。
紫色のボサボサ髪、両眼の眼の色も違う。
異世界より異世界っぽい黒色の服を着ている。
そして、高級そうな剣を持っているのだ。
正直、元の世界にいたら関わりたいと思わない見た目のトップ10には入る。
そんな奴が自身を神と思って疑わないような目で、地面に立っている俺たちを蔑んでいる。
「我が神殿を壊したのは貴様だな? 人間!!!」
「そういうお前がこの世界を崩壊させたんだろ!!」
彼は地面に降り立つと、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる。
神殿を壊した事を怒っているのだろうか。
やはり、歴史的建造物だったのか?
壊しちゃ不味いものだったか。
そんな事を考えていると、向こうから質問をしてきた。
「貴様、誰の神殿か知っててこのような事をしたのか?」
「うん」
「仲間の仇打ちか?」
「うん」
「我を倒しに来たのか?」
「うん」
彼はため息をつくと、手に持っていた剣を握りしめる。
帰る場所が無くなったというのは可哀想な話だが。
神様を名のる者が魔王軍だなんて、アイツならブチギレしそうな話でもある。
もちろん、そんなやつに俺が怒りを感じるのは当然のことだ。
「神様が魔王軍なんかに協力してんじゃねぇ。
俺の知ってるアイツだってそこまでバカじゃねぇよ」
こんな事を言うのは明らかに挑発と等しい行為。
結果的に奴をイラつかせる結果となっているのは明らかである。
奴が殺気を漂わせて、今にも斬りかかりたいのを抑えながら歩いてくるのが分かる。
しかし、自称でも神が魔王に協力しているのだ。
そんな不条理を許すことはしたくない。
「貴様らごときの下等種族に我の心情など理解できまい。
だからお前らの命なぞ、我には娯楽なのだ。
そこら辺で転がって死ねば良いものを……。
だが、愚かな貴様は、我に神に戦いを挑んだ。
その罪は叛逆である。
そんな罪深き貴様に我が神の裁きを下すのだ。
我のヴォーパールの剣で即刻首を跳ねてやろう」
そう言ってミハラは剣を振りかかる。
俺は剣相手ではあまり戦う機会がなかったので、少し圧されぎみになるのだが。
それでも俺は必死になって五円ソードで対抗するしかないのだ。
剣と剣とがぶつかり合う衝撃。
ミハラが剣を振るう度に、防ぎきれなかった分の切れ味を味わう。
剣傷が身体中にできはじめる。
「痛ってぇ。こうなったら!!!」
これ以上剣を交わしていたら…一向に決着がつかないままになってしまう。
ここはもう、どんな手を使ってでも力の差を離すしかないのだ。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
異世界の剣聖女子
みくもっち
ファンタジー
(時代劇マニアということを除き)ごく普通の女子高生、羽鳴由佳は登校中、異世界に飛ばされる。
その世界に飛ばされた人間【願望者】は、現実世界での願望どうりの姿や能力を発揮させることができた。
ただし万能というわけではない。
心の奥で『こんなことあるわけない』という想いの力も同時に働くために、無限や無敵、不死身といったスキルは発動できない。
また、力を使いこなすにはその世界の住人に広く【認識】される必要がある。
異世界で他の【願望者】や魔物との戦いに巻き込まれながら由佳は剣をふるう。
時代劇の見よう見まね技と認識の力を駆使して。
バトル多め。ギャグあり、シリアスあり、パロディーもりだくさん。
テンポの早い、非テンプレ異世界ファンタジー!
*素敵な表紙イラストは、朱シオさんからです。@akasiosio
悠久の機甲歩兵
竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。
※現在毎日更新中
お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――
敬二 盤
ファンタジー
※なろう版との同時連載をしております
※表紙の実穂はpicrewのはなまめ様作ユル女子メーカーで作成した物です
最近投稿ペース死んだけど3日に一度は投稿したい!
第三章 完!!
クラスの中のボス的な存在の市町の娘とその取り巻き数人にいじめられ続けた高校生「進和実穂」。
ある日異世界に召喚されてしまった。
そして召喚された城を追い出されるは指名手配されるはでとっても大変!
でも突如であった仲間達と一緒に居れば怖くない!?
チートな仲間達との愉快な冒険が今始まる!…寄り道しすぎだけどね。
【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い
ヲダツバサ
キャラ文芸
「これは、私達だけの秘密ね」
京都の料亭を継ぐ予定の兄を支えるため、召使いのように尽くしていた少女、こがね。
兄や家族にこき使われ、言いなりになって働く毎日だった。
しかし、青年の姿をした日本刀の付喪神「美雲丸」との出会いで全てが変わり始める。
女の子の姿をした招き猫の付喪神。
京都弁で喋る深鍋の付喪神。
神秘的な女性の姿をした提灯の付喪神。
彼らと、失くし物と持ち主を合わせるための店「失くし物屋」を通して、こがねは大切なものを見つける。
●不安や恐怖で思っている事をハッキリ言えない女の子が成長していく物語です。
●自分の持ち物にも付喪神が宿っているのかも…と想像しながら楽しんでください。
2024.03.12 完結しました。
少年剣士、剣豪になる。
アラビアータ
ファンタジー
此処は架空の王国、クレムラート王国。木剣の音を聞くだけでも身の毛がよだつ程、武芸が嫌いな少年ルーク・ブランシュは、とある事件で恩人を喪ってしまう。恩人を葬った剣士、コジロウ・ミヤモトに一剣を見舞い、恩人の仇を討つため、一念発起、ルークは剣の修行に出る。
しかし、そんな彼の行く手を阻むのは、山賊野盗に悪剣士、ルークに恋する女達。仇の片割れハーラ・グーロに、恩人の娘もルークを追う。
果たしてルークは、剣の腕を磨き、仇を討てるのだろうか。
時き継幻想フララジカ
日奈 うさぎ
ファンタジー
少年はひたすら逃げた。突如変わり果てた街で、死を振り撒く異形から。そして逃げた先に待っていたのは絶望では無く、一振りの希望――魔剣――だった。 逃げた先で出会った大男からその希望を託された時、特別ではなかった少年の運命は世界の命運を懸ける程に大きくなっていく。
なれば〝ヒト〟よ知れ、少年の掴む世界の運命を。
銘無き少年は今より、現想神話を紡ぐ英雄とならん。
時き継幻想(ときつげんそう)フララジカ―――世界は緩やかに混ざり合う。
【概要】
主人公・藤咲勇が少女・田中茶奈と出会い、更に多くの人々とも心を交わして成長し、世界を救うまでに至る現代ファンタジー群像劇です。
現代を舞台にしながらも出てくる新しい現象や文化を彼等の目を通してご覧ください。
龍騎士イリス☆ユグドラシルの霊樹の下で
ウッド
ファンタジー
霊樹ユグドラシルの根っこにあるウッドエルフの集落に住む少女イリス。
入ったらダメと言われたら入り、登ったらダメと言われたら登る。
ええい!小娘!ダメだっちゅーとろーが!
だからターザンごっこすんなぁーーー!!
こんな破天荒娘の教育係になった私、緑の大精霊シルフェリア。
寿命を迎える前に何とかせにゃならん!
果たして暴走小娘イリスを教育する事が出来るのか?!
そんな私の奮闘記です。
しかし途中からあんまし出てこなくなっちゃう・・・
おい作者よ裏で話し合おうじゃないか・・・
・・・つーかタイトル何とかならんかったんかい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる