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第9章 どうやらエルタは八虐の不義のようです。
店長への依頼!?
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「お願いです。店長さん。どうか冒険者連盟に再び協力してください」
「申し訳ないがそれは出来ない。俺のパーティーはあいつらしかいないんだ。だからもう、冒険者に戻る事もない。出ていってくれ。俺は店長として店を守るだけだ」
悪魔との決戦の時刻まで残り時間もわずかとなった日。
付喪連盟は大悪魔エルタの討伐のため冒険者連盟にも声をかけたようだ。
現在、冒険者連盟の職員が一人で付喪カフェに来ている。
そして彼は今、付喪カフェの店長を説得しているようだった。
それを必死に断っている店長を影から見ている者が二人。
簀巻きにされていた男と鈴木である。
「店長が冒険者だったなんて……。しかもあんなにも頭を下げられても拒否を続けているなんて……。店長の過去にはいったい何があったんだろう?」
「あの表情や言動。明らかに何かあった様子だ。店長が焦っている。まるで追い詰められた時のウサギの様だ」
簀巻きにされていた男が疑問を抱く中で、鈴木は冷静に観察をしている。
「いや、仕事しろよ」
そんな二人を遠目に見ながら俺は小さく呟いた。
しかし、2人は俺の忠告も聞かずに集中して店長の方を見ていた。
「鈴木さんどうしましょう。
僕の能力は過去を見ること。
僕の水晶玉の付喪神の能力で店長の過去を覗くことはできます。ゥッう。どうしましょう? このままでは、気になって夜しか眠れなくなりそうです」
簀巻きの男は、汗を垂れ流し息をきらしながらこの状況を見ていた。
何故、彼がここまで緊張しているのかは分からないが。
確かに俺も店長の過去は気になってきてしまう。
「見ますよ。もう見ましょう」
そう言ってどこからか水晶玉を取り出した簀巻きの男は、水晶玉に手をかざそうとしたのだが。
「やッ、止めておいた方がいい。過去とは自分の秘密だ。正体だ。過ぎ去った事を探るのはいけないことだ。今の存在の侮辱だからな。
もちろん失敗も成功もある。
だから誰もが過去を知られるのは嫌なものなのだよ。私たちは今の店長を見るしかないんだ」
鈴木が水晶玉を睨みながら言い聞かせていた。
正直、もう少しまとめて話してほしいが、それほど重要なことを言いたかったのだろう。
今の台詞をより簡単にまとめると、「それは止めておけ」。
8文字で終わった。
……とっ、とにかく鈴木の熱弁に心を動かされたのか、簀巻きにされていた男は水晶玉を閉まう。
すると、店長と職員の会話は終わったようだ。
「とにかく、もう来ないでください。俺はもう冒険者では無いんです」
そう言うと店長は職員を店から追い出してしまった。
場所は変わって、ここは町の公園。
「なぁ、なんで私と黒は狙われたんだろうな。日頃の行いは言いはずなんだが?」
今日はまるで夏のように暑い日であった。
もちろん、それほど暑いので子供も遊んではいない。
そんな気温の中で妙義が一人ベンチに横になって暑さにうなされていた。
妙義は汗をかきながらも、タオルを顔にかけて日差しをしのいでいる。
「私と黒の命に、この国市の命運がかかっている。だが、どちらにしろ。戦は起こってしまう。結局は人が死ぬか。はぁ………」
顔を隠していたタオルを少しずらすと、日差しがすごかったので、妙義は慌ててタオルを再び顔に被せた。
そんな彼女のだらけきった様子を隠れながら覗いている者がいた。
彼は木陰で涼みながら木にもたれ掛かっている。
だが、うまく隠れているつもりなのだろうが、妙義からはおもいっきり見えているのだ。
そんな隠れる事が下手な男に妙義は問いかけた。
「お前はどう思う? 駒ヶ。
戦に関してこんな事を言っている私はおかしいかな?」
その問いかけによって、正体がバレていると理解した駒ヶは若干驚きながらも返事を返す。
「あっ、ああ、戦ってのは戦うからな。誰かが死ぬのは当たり前だ。つまり、そんな考えに至ったお前はおかしいって事になる」
「やっぱりか。暑さのせいで頭がうまく回っていないのかもな…今の私は」
「まぁ、そんな考えをする事は別に悪いことでもおかしいことでもない。平和なのは良いことだからな。だが、他人の心配をするよりも自分の命の心配をしていろ」
「お前こそ、暗殺相手の実力を考えて鍛えてろ。いつ戦うかも分からないのだろう?
日々緊張感くらい持ってた方がいいぞ」
そうして二人はお互いの顔を見つめて言い合っていた。
「申し訳ないがそれは出来ない。俺のパーティーはあいつらしかいないんだ。だからもう、冒険者に戻る事もない。出ていってくれ。俺は店長として店を守るだけだ」
悪魔との決戦の時刻まで残り時間もわずかとなった日。
付喪連盟は大悪魔エルタの討伐のため冒険者連盟にも声をかけたようだ。
現在、冒険者連盟の職員が一人で付喪カフェに来ている。
そして彼は今、付喪カフェの店長を説得しているようだった。
それを必死に断っている店長を影から見ている者が二人。
簀巻きにされていた男と鈴木である。
「店長が冒険者だったなんて……。しかもあんなにも頭を下げられても拒否を続けているなんて……。店長の過去にはいったい何があったんだろう?」
「あの表情や言動。明らかに何かあった様子だ。店長が焦っている。まるで追い詰められた時のウサギの様だ」
簀巻きにされていた男が疑問を抱く中で、鈴木は冷静に観察をしている。
「いや、仕事しろよ」
そんな二人を遠目に見ながら俺は小さく呟いた。
しかし、2人は俺の忠告も聞かずに集中して店長の方を見ていた。
「鈴木さんどうしましょう。
僕の能力は過去を見ること。
僕の水晶玉の付喪神の能力で店長の過去を覗くことはできます。ゥッう。どうしましょう? このままでは、気になって夜しか眠れなくなりそうです」
簀巻きの男は、汗を垂れ流し息をきらしながらこの状況を見ていた。
何故、彼がここまで緊張しているのかは分からないが。
確かに俺も店長の過去は気になってきてしまう。
「見ますよ。もう見ましょう」
そう言ってどこからか水晶玉を取り出した簀巻きの男は、水晶玉に手をかざそうとしたのだが。
「やッ、止めておいた方がいい。過去とは自分の秘密だ。正体だ。過ぎ去った事を探るのはいけないことだ。今の存在の侮辱だからな。
もちろん失敗も成功もある。
だから誰もが過去を知られるのは嫌なものなのだよ。私たちは今の店長を見るしかないんだ」
鈴木が水晶玉を睨みながら言い聞かせていた。
正直、もう少しまとめて話してほしいが、それほど重要なことを言いたかったのだろう。
今の台詞をより簡単にまとめると、「それは止めておけ」。
8文字で終わった。
……とっ、とにかく鈴木の熱弁に心を動かされたのか、簀巻きにされていた男は水晶玉を閉まう。
すると、店長と職員の会話は終わったようだ。
「とにかく、もう来ないでください。俺はもう冒険者では無いんです」
そう言うと店長は職員を店から追い出してしまった。
場所は変わって、ここは町の公園。
「なぁ、なんで私と黒は狙われたんだろうな。日頃の行いは言いはずなんだが?」
今日はまるで夏のように暑い日であった。
もちろん、それほど暑いので子供も遊んではいない。
そんな気温の中で妙義が一人ベンチに横になって暑さにうなされていた。
妙義は汗をかきながらも、タオルを顔にかけて日差しをしのいでいる。
「私と黒の命に、この国市の命運がかかっている。だが、どちらにしろ。戦は起こってしまう。結局は人が死ぬか。はぁ………」
顔を隠していたタオルを少しずらすと、日差しがすごかったので、妙義は慌ててタオルを再び顔に被せた。
そんな彼女のだらけきった様子を隠れながら覗いている者がいた。
彼は木陰で涼みながら木にもたれ掛かっている。
だが、うまく隠れているつもりなのだろうが、妙義からはおもいっきり見えているのだ。
そんな隠れる事が下手な男に妙義は問いかけた。
「お前はどう思う? 駒ヶ。
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「あっ、ああ、戦ってのは戦うからな。誰かが死ぬのは当たり前だ。つまり、そんな考えに至ったお前はおかしいって事になる」
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「まぁ、そんな考えをする事は別に悪いことでもおかしいことでもない。平和なのは良いことだからな。だが、他人の心配をするよりも自分の命の心配をしていろ」
「お前こそ、暗殺相手の実力を考えて鍛えてろ。いつ戦うかも分からないのだろう?
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そうして二人はお互いの顔を見つめて言い合っていた。
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