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第9章 どうやらエルタは八虐の不義のようです。

悪魔による情報収集

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 「──お前は……。誰だ? おっ、俺は騎士レベルの付喪人だぞ。今すぐに解放しないと…。お前は痛い目に遭うぞ?
分かっているのか!!」

ここは、明かりもない暗い部屋。
そこにいたのは付喪連盟にて、プロの付喪人として最近話題になっている男。
彼は今、椅子に体を縛られて身動きが取れない状態にされていた。
不安になりながらも、彼はとあるモノを目印に発言している。
そんな彼の視界には、実は暗闇に光る眼光しか見えていなかった。



 「こんな暗闇に連れてきてしまって申し訳ない。私の名は……いや、今は名乗っても意味はないか」

暗闇から彼に話しかけてきた声は、戦意を無くすような穏やかな話し方であった。
しかし、その声を聞いた彼の息は荒くなり、冷や汗をかいている。
彼は恐怖に震えているのだ。
彼の辺りから漂う獣臭。
そして荒々しい呼吸の音。
彼は自分の周りには何かがいるという予感がしていた。



 「気がついたんだね。そう、今 君の周りには私の可愛いモンスター達がお腹をすかせている状態なんだよ。でも、心配することはないさ。
君が私の質問に答えてくれれば、君に縛りついている縄を取り外してあげよう」

鋭い眼光の主は再び、男に囁く。

「本当にか? 解放してくれるんだな。じゃあ、早く質問をしてくれ」

男は焦っていた。
今すぐにでもこの場から一刻も早く逃げ出したいと考えていたのだ。
暗闇の中で捕らえられている状況。
いつ、殺されてしまうか分からない。
まずは、何よりも自分の命が大切だと理解していた。
きっと、命があれば何とかなるという考えに至ったのだろう。
彼は子供の時から怪我をしたくないし、させたくないという思考を持っていた。
そんな彼が、付喪人になった理由も人々を守るためである。
付喪神を倒して、国民の平穏を願いながら彼はいつも戦っていたのだ。



 「──いいかい。最近、付喪連盟で急速的に功績をあげている者の事を確かめたいんだ。
そいつは女だ。一人でいい。
ただ、情報が正しいかのチェックさ。
そいつの名前に心当たりはないかい?
その小さな脳みそを掻き回して思い出すんだよ」

どうやらその声の主は、女の人を探しているらしい。
だが、付喪連盟に所属している彼には、その女の噂も聞いたことがあったようだ。

「かっ…彼女の名は…確か…。黒…黒帝 黒…!
黒帝 黒だぞ。さぁ、早くこの縄をほどいてくれ」

彼は早口で質問に答えた後に体を揺らして、声の主に訴える。

「そうだな。協力してくれてありがとう」

声の主は、少しの間 呼吸をした後に彼を縛っていた縄をほどく。



 縄に触られた感覚もなく、彼を縛っていた縄はほどかれていた。
ほどかれた瞬間、彼は椅子から立ち上がる。
そして、目の前も真っ暗で見えない状態の中、彼は無我夢中で出口を探して歩く。

「どこだ? 出口はどこだ? せっかく助かった命なんだ。こんなところで餓死するなんてごめんなんだよ」

彼は無我夢中で暗闇を歩き回っていた。
出口を探して歩き回っていた。
足元に転がった物体を蹴飛ばしながら、彼は壁を這って進んでいる。



 「黒帝 黒か。あいつが言っていた名前の中にそんな奴がいたよな。うぅぅぅぅん。確かめてみる価値はあるかな。
この前の女は違ったから。
あと、二人のどちらかということか。
あっ、忘れていた。殺れ!」

声の主はそう言うと、天井に向かって何かを投げ飛ばした。
その物は宙を舞い、窓ガラスを破って外に飛び出る。
月明かりに照らされて頭蓋骨は地面に落ちて砕け散ってしまう。
部屋にバラバラと落ちてくる窓ガラスの破片。
外からの月明かりが部屋を照らしてくれる。
その光に照らされて、何体ものモンスターが彼に向かって牙を剥き飛びかかってきた。
獰猛そうな見た目から、そいつらは肉食だという事を理解することは出来た。
モンスター達は彼の体に噛みつき、肉を食い荒らしてくる。
群がってきたモンスター達に教われながらも、彼は必死に助けを求めていた。

「えっ? うわぁぁぁぁぁぁぁぁ。助け………嘘つきめ。助けてくれるって言ったじゃないか!! この悪魔め。
やめろ、俺に噛みつくな。
ウギャアアアアアア。腕が 腕が。
やめろ、離れろ。
ガハッ…ゲホッ…。はぁはぁ…。

痛い、おい、助けて、助けてぇぇ。誰か……俺を……俺を…助けてくれよぉぉぉぉ………ブ…………」
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