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第7章 どうやら四阿は八虐の謀大逆のようです。

びっくりどっきり廃ビル

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 一方、こちらは俺と山上。

「ここはどこなんだぁぁぁぁぁぁ!?」

俺の叫びが山の中に木霊する。
風が木々の間を通り抜けてざわめいて、鳥の羽音がどこからか聞こえてくる。
それくらい山の奥深くで俺たちは道に迷っていた。

「全く、事前に場所くらい調べてておくものだろ」

そう言いながら呆れている山上だったが、

「お前だって今、調べ直してるだろ」

俺は必死さを隠しながらスマホで現在地を探している山上を呆れ顔で見る。



 俺達は山の中で遭難したのか?
ソウナンです。
……などというギャグは言うものではない。
言うと後悔するものだ。
さて、冗談はさておき俺達は山の中で廃ビルを見つけられずにいた。

「よし、こっちに行ってみよう」

じっとして迷っても仕方がないと思い、俺は山上を引っ張って道を進もうとすると…。

「おい、ちょっと待て。今、アプリ開いてるから。これ以上迷ったら」

山上の訴えを聞きもせず俺は再び歩き始めたのだ。



 先ほどから俺達が迷っているここは理市にある山。
理市は自然と喉かな風景に囲まれた都市である。
山々に囲まれ沢山の村も海もあり、未開の地も数多くある。
そんなRPGで言う“未開の森”的な場所に魔王軍幹部のアジトがあるのだ。

「──ほんとにたどり着いた」

山上は目の前に建てられた廃ビルを見て言った。
正直に言おう。俺も驚いている最中である。
本来はこの展開だと明らかに迷い続けるものだったはずだ。
しかし、普通に道を進んでいるとたどり着いたのである。
目の前にある大きな廃ビル。
なぜこんな山奥にビルを作ったかは疑問だが、人がいなくなって随分と長い月日が経っているようである。

「よし、乗り込むか」

俺は突入する覚悟を決める。
山上は俺の意見に同意するようで、一度頷くと誰もいない廃工場へ足を進めるのであった。



 俺は数日前なら魔王軍幹部とまさか再び戦うことになろうとは思ってもみなかった。
もしかしたら、これが俺が第二の人生をこの世界でこの俺への試練なのだろう。
だとしたら、いくらなんでも酷すぎる事ではないだろうか。
予想していた異世界とは少し違う。
鍵穴の形のシミがあるだけで魔王軍に狙われる。
そもそもこの世界を望んでいない。
この三つでもう試練だと思う。
まぁ、それなりの謝罪と代償は貰った気がするが、あの女には謝ってもらっていない。
いずれ会ったら謝って貰おう。
そんな事を考えている俺は気づいた。
これって死亡フラグ?



 そんな中でも俺は更に気づいたことがあった。
俺が下手な人生の回想をしている間に山上が一人で突入してしまったのだ。
歩き始めた時間は同じはずなのだが、あいつの方が歩幅が大きいのだろうか。
俺がそのままの歩幅で歩いていくと既に山上は突入を始めていた。

「あいつ……俺を置いて行きやがって」

廃ビルの中からさまざまな叫び声が聞こえる。
やはり、幹部の手下が何人か中にいたのだろう。
しかし、山上が敵に対して無双しているのだ。
俺は山上を追いかけるように一人で突入することになった。



 廃ビルの中は真っ暗でうす気味悪い。
まぁ、廃ビルだから当たり前はある。
だが、怖いものは怖いのだ。
まるで肝試しをしそうな場所である。
いや、訂正する。事件現場だ。
なぜなら付喪神達の死体が無惨にも散らばっている状況だったからである。
「ちなみに付喪神って死体あるの?」という疑問はお答えできない。
俺も付喪神の事は完璧には理解していないのだ。

「やっぱり幽霊に会った事があってもこういう怖い場所は慣れないものだな。
誰かいないのか? 山上ー。
殺そうとしたことは許してやるから出てきてよ。
一人は怖…いや、お前にもしもの事があったらあいつらに会わす顔がないからな」

正直、この先が不安なのだ。
いや、こんな場所に誘き寄せられて、不安がらない方がおかしいだろう。
俺は辺りを警戒し、死体を見ないようにしながら道を歩いていく。
いつまで歩いても薄暗くてよく見えない。
足元も暗い状態で歩いていると、

「明山ー」

先から誰かが俺の名前を呼んでいる声が聞こえた。
その声に導かれて向かうと、その声の主は山上であった。



 明山を呼んでいた山上だったが、彼は青ざめた顔で古びたドアを指さしていた。

「どうしたんだよ。何かあったのか?」

嫌な予感がしたので一応聞き出そうとしたが、山上は無言でしばらくの間、黙っていた。
そんな山上が三分後ようやく説明を始めたのだ。

「ここはヤバイ。開けた瞬間分かった。明らかに罠だ。だが、今までに見た中で一番異様な罠だった」

罠だとわかる部屋なんてあるのだろうか。
普通なら罠だと分からない部屋にするべきなのだ。
しかし、異様な罠とはいったいなんなのだろう。
だが、罠だとしてもここで止まるわけにはいかない。

「おい、明山」

山上が止めるのも聞かずに俺は恐る恐るドアを開いた。



 そこには……そこにいたのは、あってはならないあり得ない光景だった。
その部屋には沢山の女の子がいたのだ。
真っ赤なドレスとか、
メイド服とか、
藍色のヴィジュアル系な服とか、
ロックバンドが着そうな服とか、
ボーイッシュな服とか、
和服とか、
パーティードレスとか、
騎士の鎧みたいなのとか、
紅色のチャイナドレスとか、
真っ白のドレスとか、
漆黒のドレスとか、
ふわふわしてそうな服とか、
ゴスロリとか、
しかし、ひとりひとり服の種類は違う。
だが、人間は全員同じなのである。
着ている服は様々なものだが、顔も、慎重も同じなのだ。
同一人物が三十人ほどその部屋にはいた。

「はぁァァァァァァァァ!?」

俺はその光景を見た瞬間に思わず叫ばずにはいられなかった。
それはすべてが黒帝黒であったのだ。
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