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第4章 どうやら初めての依頼が来たようです。

この場所から逃げるんだぁ

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 「────これも…定めだと言うのか?」

そう言うと、男は地面に倒れた。
吐血している男の正体は霧島。
彼は銃で撃たれてしまい、銃弾が体を貫通している。

「霧島…あんたいったい何があったの?」

偶然にも食事を済ませ部屋から外へと降りてきた黒は目の前の光景に衝撃を受けていた。

目の前で先程元気だった男が倒れているのだ。

そんな黒に霧島はゆっくりと話しかける。

「レディ…。これは俺への罰だろうか。
俺の復讐を自らの息子にまで手伝わせたからだろうか。
奴め、裏切りおったな。やはり白帝家関係は信用ならんな。
全く…我が息子の邪魔者は消さなければ…。」

霧島はゆっくりと立ち上がった。
彼の傷口からは大量の血が出ている。

「あんた無茶よ。ここからじゃ撃ってきた奴の位置も分からないわ。」

さすがに黒も心配しているようだった。

「フフ。敵は心配するもんじゃないぞレディ。
じゃあな、あばよ。」

霧島はそう言い残すとゆっくりと草むらの中に消えていった。



 草むらの中に入っていった霧島は少しずつ狙撃者の方向に進んでいく。
銃弾が飛んできた方向へゆっくりと向かっている。

もう奴は撃ってきた位置にいるとは思えない。

これが最善の避難ルート。
それが霧島の考えだった。

「ここなら大丈夫か。」

霧島は歩きながら小声で独り言を言っている。

「撃ち抜いたと思ったのか。フフ、残念だったな。
だが、あいつが来たということは可哀想だが白魔は殺されるだろう。だが安心しろ白魔…。お前の分まで俺が復讐してやるぞ。
しかし、運命とは実に残酷だな。あの狙撃者と俺には運命という鎖が絡み合っていたのだろうか。こんな時に奴がいるとは…。」

息子の邪魔者を消す…と言いながら霧島は逃げていた。

最も誰も追いかけるものはいなかったのだ。

自身の安全を再確認すると、霧島は遂に高笑いを始めた。

それは生き延びたという心からの喜びを表現するほどの物だった。

だが、神は死の標的を定めていたらしい。
霧島は気付いていなかった。
狙撃者はその場から動いていなかった事に、そして狙いは白魔ではなく初めから霧島だった事に…。

連続で打ち出される銃弾。
夜に響く銃撃音。
それらは全て霧島へ向けての物だった。

「これが俺への罰か………。白魔ァァァァァ」

それが霧島の最後の言葉だった。  
そして、銃弾は静かに止んだ。




─────────────────────

「結局あいつか。死んでしまったのは。」

俺たちは草むら聞こえなくなった銃声で理解した。

「はい。そのようですね。彼の魂が成仏していくのが見えます。では、用が済んだので私はこれで失礼します。」

死神さんは早速仕事を終えて帰ろうする。
だが、阻止するように俺は彼女の腕を掴んだ。
彼女はその事に驚いていた。

「えっ…ぁあの…。何かありましたか。」

「お願いします。あいつを止めるのを助けてください。」

俺は彼女に頭を地に下げた。
恥もプライドも捨てて頭を下げたのだ。

「あっ、いいですよ。」

その彼女からの返事はいかにも軽いものだった。

「えっ…。軽いですね。」

「ちょうどいい物があるんですよ。明山さんは西遊記に出てくるヒョウタンって分かりますか?」

「そりゃ、あの吸い込むヒョウタンでしょ。」

「そうです。名前は思い出せませんが…それです。
実はそれに似た物を丁度持ってるんですよ。」

死神さんは俺にとあるものを見せてくれた。
ヒョウタンである。

「実はこれはヒョウタンの付喪神です。こいつの栓を開けて入れたい奴の方に向けると吸い込めるんです。」

これは何という都合のいい展開だろう。

「ですが…吸い込む相手を弱体化させなければ効果がでないんです。」

それは俺にとって今一番聞きたくなかった言葉である。
まさに欠陥品だ…。
だが、倒すではなかっただけマシだろうか。
とりあえず俺は死神さんからそのヒョウタンを受け取った。

「では私はこれで失礼しますね。」

そう言うと死神さんの体は闇の中に入っていく。

「じゃあな。死神さん。また会おうぜ。」

俺は闇の中に消えていく死神さんが見えなくなるまで目を向けていた。
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