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第一章 離島生活
12話 罰
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昼食後、私達聖女候補生たちは皆、礼拝堂に集められました。
礼拝堂にはずらりと並ぶ聖女候補生たち。その中央にある身廊を歩いて主祭壇の前まで歩いていったのは、緑色の髪のシスター・タチアナでした。
「聖女候補生の皆様。お集まりいただき、感謝致します。皆様にはそろそろ離島で生活してどのようにして聖女を決めるのかと疑問に思われているかと思います。そもそも聖痕とは…………」
これは話が長そうですね。私が未来視で知った情報を要約した方がわかりやすいです。
聖痕は神に選ばれた証。持つ者に奇跡の力を与えます。
奇跡の力は個人個人で異なり、私は未来視、ヴィーちゃんは結界術、サーシャさんは聖水使いのように神の力と言って差し支えのない能力を与えられます。
離島生活での聖女選定方法はいたって単純。十日に一度、聖女に相応しいと思う自分以外の人物を投票し、票数の少ない聖女候補生から本土に帰されます。
過去の選定では最初の十日で、半数以上の聖女候補生が消えてしまうそうです。
現在、ここに集まっている聖女候補生の数は百二十八人。
ちなみに投票権は聖女だけでなく、シスターや騎士様も持ち合わせていたりしますので、いつ誰に見られていても聖女らしく行動をしている者は残りやすいです。
「…………であるからして…………」
ありがたいお話はまだまだ続きます。いい加減眠ってしまいそうですが、聖女だったらここで寝ますよね。おやすみ。
「聖クリスチナ!! 起きなさい!!!」
雷の様に鋭い声が、私の鼓膜を通過し、私の体はビクリと反応して目が覚めました。
「ふにゃ!? あ…………えっとですね。いやぁ、ありがたすぎて心が休まったんですよ! 寝ちゃっても不思議じゃないです!」
私はいつの間にか眠っていたようです。
「貴女の場合は頭がです! 反省として本日の夕食に山の果物を使います! 貴女は最低でも五十個のリンゴを取ってきなさい!」
リンゴ五十個ですか。反省とかそれ以前に聖女一人では運べませんね。未来視の力を使うにしても結構厳しいですね。
「一人でですか?」
「私もそこまで鬼ではありません。手伝いは何人呼んでも構いません。足りなかった場合、怒られるのは貴女だけです」
「善処します」
見ていない未来。これは私が本来はこのタイミングで眠ろうとしなかったのでしょう。仕方ありません。何名かお手伝いを依頼しましょうか。
今日の予定はほぼ全て狂ってしまいましたが、数秒先どころか数十分先まででしたら目を閉じればまだ見れますし、何とかリンゴくらい見つけられるでしょう。
シスター・タチアナの有難いお話も終わり、私は早速リンゴを入れるための籠を借りに行きました。あと荷車。
「クリスチナ!」
私を呼ぶ声に振り替えると、そこには大勢の聖女候補生。真ん中で私を呼んだのは赤い髪の聖女候補生。元レンジャーで山間部を歩きなれているステフお姉ちゃんでした。
モニカお姉ちゃんとヴィーちゃんも一緒にいます。
「ステフお姉ちゃん! モニカお姉ちゃんにヴィーちゃんも! 他の皆様もお手伝いしてくださるのですか?」
「クリスちゃんが頑張るならお姉ちゃん頑張っちゃうよぉ!」
「ルームメイトの好みよ。光栄に思いなさい」
「適当に誘ったら二十人くらい来たぜ? サーシャは見当たらなかったのと、フランチェスカは高齢だから誘わなかったけどな」
サーシャさんはすぐにいなくなりますし、フランさんは厳しい方ですが優しい方ですから手伝ってくださってもおかしくないですけど、高齢のあの人に手伝って貰うのはこちらの気が引けますからね。
「これだけ呼んだら騎士様もたくさん連れていかなければですね」
「それも声かけといたから、騎士達が集まったら森に入るぞ」
これはステフお姉ちゃんこそ聖女。十日後の投票。私ははステフお姉ちゃんにしましょう。少なくともこの二日間で一番聖女に近い行動です。私の知る限りですけど。
基本的に聖女候補生の皆様は、私を含め手伝うべきだと考える人物が揃っています。しかし、お手伝いをする上で最も大事なことは行動力。
ステフお姉ちゃんはここにいる誰よりも行動力のある聖女候補生だったのでしょう。今も誰がどの辺でどんな役割の作業をするか話し合っています。
周囲の聖女候補生たちもステフお姉ちゃんを見ては感心している様子。十日後ぶっちぎりのトップ候補ですね。
完全に未来を書き換えてしまいましたが、ステフお姉ちゃんが残るのは心強いので問題ありません。
礼拝堂にはずらりと並ぶ聖女候補生たち。その中央にある身廊を歩いて主祭壇の前まで歩いていったのは、緑色の髪のシスター・タチアナでした。
「聖女候補生の皆様。お集まりいただき、感謝致します。皆様にはそろそろ離島で生活してどのようにして聖女を決めるのかと疑問に思われているかと思います。そもそも聖痕とは…………」
これは話が長そうですね。私が未来視で知った情報を要約した方がわかりやすいです。
聖痕は神に選ばれた証。持つ者に奇跡の力を与えます。
奇跡の力は個人個人で異なり、私は未来視、ヴィーちゃんは結界術、サーシャさんは聖水使いのように神の力と言って差し支えのない能力を与えられます。
離島生活での聖女選定方法はいたって単純。十日に一度、聖女に相応しいと思う自分以外の人物を投票し、票数の少ない聖女候補生から本土に帰されます。
過去の選定では最初の十日で、半数以上の聖女候補生が消えてしまうそうです。
現在、ここに集まっている聖女候補生の数は百二十八人。
ちなみに投票権は聖女だけでなく、シスターや騎士様も持ち合わせていたりしますので、いつ誰に見られていても聖女らしく行動をしている者は残りやすいです。
「…………であるからして…………」
ありがたいお話はまだまだ続きます。いい加減眠ってしまいそうですが、聖女だったらここで寝ますよね。おやすみ。
「聖クリスチナ!! 起きなさい!!!」
雷の様に鋭い声が、私の鼓膜を通過し、私の体はビクリと反応して目が覚めました。
「ふにゃ!? あ…………えっとですね。いやぁ、ありがたすぎて心が休まったんですよ! 寝ちゃっても不思議じゃないです!」
私はいつの間にか眠っていたようです。
「貴女の場合は頭がです! 反省として本日の夕食に山の果物を使います! 貴女は最低でも五十個のリンゴを取ってきなさい!」
リンゴ五十個ですか。反省とかそれ以前に聖女一人では運べませんね。未来視の力を使うにしても結構厳しいですね。
「一人でですか?」
「私もそこまで鬼ではありません。手伝いは何人呼んでも構いません。足りなかった場合、怒られるのは貴女だけです」
「善処します」
見ていない未来。これは私が本来はこのタイミングで眠ろうとしなかったのでしょう。仕方ありません。何名かお手伝いを依頼しましょうか。
今日の予定はほぼ全て狂ってしまいましたが、数秒先どころか数十分先まででしたら目を閉じればまだ見れますし、何とかリンゴくらい見つけられるでしょう。
シスター・タチアナの有難いお話も終わり、私は早速リンゴを入れるための籠を借りに行きました。あと荷車。
「クリスチナ!」
私を呼ぶ声に振り替えると、そこには大勢の聖女候補生。真ん中で私を呼んだのは赤い髪の聖女候補生。元レンジャーで山間部を歩きなれているステフお姉ちゃんでした。
モニカお姉ちゃんとヴィーちゃんも一緒にいます。
「ステフお姉ちゃん! モニカお姉ちゃんにヴィーちゃんも! 他の皆様もお手伝いしてくださるのですか?」
「クリスちゃんが頑張るならお姉ちゃん頑張っちゃうよぉ!」
「ルームメイトの好みよ。光栄に思いなさい」
「適当に誘ったら二十人くらい来たぜ? サーシャは見当たらなかったのと、フランチェスカは高齢だから誘わなかったけどな」
サーシャさんはすぐにいなくなりますし、フランさんは厳しい方ですが優しい方ですから手伝ってくださってもおかしくないですけど、高齢のあの人に手伝って貰うのはこちらの気が引けますからね。
「これだけ呼んだら騎士様もたくさん連れていかなければですね」
「それも声かけといたから、騎士達が集まったら森に入るぞ」
これはステフお姉ちゃんこそ聖女。十日後の投票。私ははステフお姉ちゃんにしましょう。少なくともこの二日間で一番聖女に近い行動です。私の知る限りですけど。
基本的に聖女候補生の皆様は、私を含め手伝うべきだと考える人物が揃っています。しかし、お手伝いをする上で最も大事なことは行動力。
ステフお姉ちゃんはここにいる誰よりも行動力のある聖女候補生だったのでしょう。今も誰がどの辺でどんな役割の作業をするか話し合っています。
周囲の聖女候補生たちもステフお姉ちゃんを見ては感心している様子。十日後ぶっちぎりのトップ候補ですね。
完全に未来を書き換えてしまいましたが、ステフお姉ちゃんが残るのは心強いので問題ありません。
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