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182話 衝撃の事実
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ラヌダ帝国帝都グレートルアダン。赤レンガの建物を中心としてブラン王国より背の高い建物に囲まれた都市は、人口も三十万人越え。
これはブラン王国の王都の人口の約五倍。人口が多ければそれだけ建物の数が多く、物流も盛んである。
街を歩く人は平民ばかりですが、王都を歩く民と違い比較的綺麗な服装の独り歩きばかりでした。これは、綺麗な服を着て護衛を付けずに歩いても追いはぎ等に合わないからこそできるのでしょう。
治安も違う。人口が多い分仕事もあるから、職につけずにスラムに逃げ込む人がいないんだ。
「姫様? あまり外を覗くのは…………これは狼車。はっきり言って目立ちます」
「そうね…………すごく見られているのがよくわかるわ」
道を歩く人は図体の大きな魔狼を見て怯える人ばかりかと思いましたが、多くの人はこちらに向かって礼をしていました。事前に私のことは知らされていると言うことでしょうか。
そして見えてくるのは巨大な城。ログルアット城。周囲の背の高い建物よりも群を抜いて高いその城は、何をするのが目的かもわからないエリアをいくつも内包しています。
私はあそこで半年間生活するのね。望まない婚約でしたが、そもそも貴族ってそういうものよね。
今でも胸の内では別の誰かが私の手を引っ張り出してくれています。逃げ出せるなら逃げ出したい。
それでも、帝国から逃げ出したのち、私はアリゼを倒せる算段が付いているのか。それこそオリバー率いる帝国に任せた方が良いのではないか。
ワンダーオーブだって持ち合わせをすべて譲渡して…………解放されたらどれほど楽なのでしょうか。
「スザンヌ…………私は間違っていたのかしら」
「姫様…………結果が出ていない未来のお話をしているのでしたら、全てが終わったあとじゃなければ、それを間違いと言うことはできませんよ」
「ありがとう」
私やみんなが揃えばアリゼに勝てる。そう信じていた。ですが、オリバーの言うことにも一理あります。
「ログルアット城につきました」
「ええ」
私が狼車から降りると、そこには帝国の人間がずらりと並んでいました。宰相や大臣たちが次々と私に挨拶をかわします。
正直多すぎて碌に名前を覚えられませんでしたが、そのうちスザンヌが何とかしてくれるでしょう。
流し目で周囲を確認すると、城の方の貴族たちが道を作るように避け始めました。
誰かが来たと考えるべきですが、このタイミング的に彼でしょう。こげ茶色の髪にライムグリーンの瞳。私より頭一個分以上に背が高い同い年の男の子。
「迎えにあがりましたよクリスティーン姫」
「ありがとうございます。オリバー皇子」
彼が一礼し、手を差し出します。嫌々という気持ちが悟られないようにニッコリと笑いながら彼の手を取ります。
彼に連れられて城内を案内して貰うことになりましたが、覚えるべき場所は生活空間と社交の場。
それから私が自由に出歩いてもいい場所。主に暇つぶしに使える空間などを紹介して頂きました。
また、ウィルフリード用の小屋はなかったため、倉庫を丸々一つ開けてもらい、そこを小屋にすると言うことになりました。
「クリスティーン姫」
「用が済んだならもうどこかに行っても良かったわよオリバー」
案内が終わってもなお、オリバーは私の傍にいます。正直、鬱陶しい。
彼に対する小さな嫌悪感はいくつかありますが、もっとも嫌悪していることは、私の現世を否定したことでした。
そしてその否定が正しかったからこそ、私は大人げなく彼を嫌悪している。子供だからこその反応である。
「多少は傍にいないと、円満な婚約と思われないからね。侵略だと思われてしまえば大臣方のブラン王国への対応が変わってしまうかもしれない」
「何? ラブラブのふりをしろってこと? お断りよ。貴方が一方的にゾッコンっていう設定だったら乗ってあげるわ」
「君がそういうならそれでも構いませんよ。ゾッコンだから君の傍にいる。問題あるかな?」
「はい、私が傍にいることを許可しないからダメ」
「子供ですね、君は」
そんなこと、指摘されなくてもわかっている。私の精神は間違いなく子供のそれだ。
「嫌でもここにいるっていうなら、有益な話をしましょう。貴方はアリゼを知っている。それで間違いないのね?」
「ええ、存じております」
「彼女は今どこに?」
「おや? もうお会いしてますよね」
「は?」
私がいつどこでアリゼとあっているというのでしょうか。オリバーも不敵に笑うだけ。
「時間です。俺は用事がありますのでクリスティーン姫はお呼びになれるまで城内を好きに歩いてください。貴女を邪険にする者がいればすぐに俺に報告してくださいね」
そう言ってオリバーはどこかに行ってしまいました。
謎を残したまま。
「アリゼと私が接触している?」
これはブラン王国の王都の人口の約五倍。人口が多ければそれだけ建物の数が多く、物流も盛んである。
街を歩く人は平民ばかりですが、王都を歩く民と違い比較的綺麗な服装の独り歩きばかりでした。これは、綺麗な服を着て護衛を付けずに歩いても追いはぎ等に合わないからこそできるのでしょう。
治安も違う。人口が多い分仕事もあるから、職につけずにスラムに逃げ込む人がいないんだ。
「姫様? あまり外を覗くのは…………これは狼車。はっきり言って目立ちます」
「そうね…………すごく見られているのがよくわかるわ」
道を歩く人は図体の大きな魔狼を見て怯える人ばかりかと思いましたが、多くの人はこちらに向かって礼をしていました。事前に私のことは知らされていると言うことでしょうか。
そして見えてくるのは巨大な城。ログルアット城。周囲の背の高い建物よりも群を抜いて高いその城は、何をするのが目的かもわからないエリアをいくつも内包しています。
私はあそこで半年間生活するのね。望まない婚約でしたが、そもそも貴族ってそういうものよね。
今でも胸の内では別の誰かが私の手を引っ張り出してくれています。逃げ出せるなら逃げ出したい。
それでも、帝国から逃げ出したのち、私はアリゼを倒せる算段が付いているのか。それこそオリバー率いる帝国に任せた方が良いのではないか。
ワンダーオーブだって持ち合わせをすべて譲渡して…………解放されたらどれほど楽なのでしょうか。
「スザンヌ…………私は間違っていたのかしら」
「姫様…………結果が出ていない未来のお話をしているのでしたら、全てが終わったあとじゃなければ、それを間違いと言うことはできませんよ」
「ありがとう」
私やみんなが揃えばアリゼに勝てる。そう信じていた。ですが、オリバーの言うことにも一理あります。
「ログルアット城につきました」
「ええ」
私が狼車から降りると、そこには帝国の人間がずらりと並んでいました。宰相や大臣たちが次々と私に挨拶をかわします。
正直多すぎて碌に名前を覚えられませんでしたが、そのうちスザンヌが何とかしてくれるでしょう。
流し目で周囲を確認すると、城の方の貴族たちが道を作るように避け始めました。
誰かが来たと考えるべきですが、このタイミング的に彼でしょう。こげ茶色の髪にライムグリーンの瞳。私より頭一個分以上に背が高い同い年の男の子。
「迎えにあがりましたよクリスティーン姫」
「ありがとうございます。オリバー皇子」
彼が一礼し、手を差し出します。嫌々という気持ちが悟られないようにニッコリと笑いながら彼の手を取ります。
彼に連れられて城内を案内して貰うことになりましたが、覚えるべき場所は生活空間と社交の場。
それから私が自由に出歩いてもいい場所。主に暇つぶしに使える空間などを紹介して頂きました。
また、ウィルフリード用の小屋はなかったため、倉庫を丸々一つ開けてもらい、そこを小屋にすると言うことになりました。
「クリスティーン姫」
「用が済んだならもうどこかに行っても良かったわよオリバー」
案内が終わってもなお、オリバーは私の傍にいます。正直、鬱陶しい。
彼に対する小さな嫌悪感はいくつかありますが、もっとも嫌悪していることは、私の現世を否定したことでした。
そしてその否定が正しかったからこそ、私は大人げなく彼を嫌悪している。子供だからこその反応である。
「多少は傍にいないと、円満な婚約と思われないからね。侵略だと思われてしまえば大臣方のブラン王国への対応が変わってしまうかもしれない」
「何? ラブラブのふりをしろってこと? お断りよ。貴方が一方的にゾッコンっていう設定だったら乗ってあげるわ」
「君がそういうならそれでも構いませんよ。ゾッコンだから君の傍にいる。問題あるかな?」
「はい、私が傍にいることを許可しないからダメ」
「子供ですね、君は」
そんなこと、指摘されなくてもわかっている。私の精神は間違いなく子供のそれだ。
「嫌でもここにいるっていうなら、有益な話をしましょう。貴方はアリゼを知っている。それで間違いないのね?」
「ええ、存じております」
「彼女は今どこに?」
「おや? もうお会いしてますよね」
「は?」
私がいつどこでアリゼとあっているというのでしょうか。オリバーも不敵に笑うだけ。
「時間です。俺は用事がありますのでクリスティーン姫はお呼びになれるまで城内を好きに歩いてください。貴女を邪険にする者がいればすぐに俺に報告してくださいね」
そう言ってオリバーはどこかに行ってしまいました。
謎を残したまま。
「アリゼと私が接触している?」
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