57 / 228
57話 学生になってもジョアサンは私を避ける
しおりを挟む
昼休みに入り、アレクシスとビルジニに挟まれながら長い廊下を歩いていました。本当は私が行く前はジョアサンもご一緒でしたが、食事を終えたとたんに彼は平民の生徒がいるであろう食堂に向かわれてしまいました。
もしかして避けられているのかしら?
「クリスティーン姫? どうかされましたか?」
「物思いにふける君も美しいよ」
アレクシスは心配し、ビルジニはなぜか私の美貌を褒める。
「相談してもいいかしら? ジョアサンって私のこと避けていたりしない?」
私がそう尋ねると、二人はジョアサンの行動に心当たりがあったみたいで、確かにそう感じる時はあると言われました。やはり避けられているのですね。
思えば聖歌隊にいた時からジョアサンは私を避けることがあり、お呼びすれば普通にいらっしゃるので嫌われてはいないと思っていましたが、単に私が姫だから逆らわないようにしているだけ…………とか。
でもそれだけじゃありません。お呼びした時だって確実に私から一番遠い位置に立ちますし、私が近づいても視線を離したタイミングで離れる。どう考えてもわざと。
テラスにつき、三人で白いテーブルを囲むと、しばらくしないうちにスザンヌが紅茶を用意してくださりました。アレクシスつきの執事やビルジニつきのメイドもせっせと働いています。
「クリスティーン姫はジョアサンと交友を深めたいのかい? 別に友なら彼でなくても問題ないだろう?」
「アレクシス、それはひどいんじゃないか? 姫君の御意向でジョアサンと親しくしたいのであれば、そうするべきだ。私は姫君の意思を尊重するよ」
「ありがとうビルジニ。でも、口出ししたいことはしてもいいのよ? 私が絶対に正しいなんてことはないのだから」
「私が君の言葉に口出しする時は、君自身が辛い選択をする時だけだよ」
やだ、惚れそう。いえ、恋なんてしている場合じゃないんですけど。
紅茶を飲むときは決まって砂糖をダバダバ入れる私。よく見るとアレクシスもビルジニも無糖な上に、盛るように砂糖を入れるスザンヌを見て二人は苦笑いをしていた。幼い頃からの付き合いですから驚きはしませんが、見られるたびにドン引きされるのは心外ね。
「それで? 話は戻すけど、ジョアサンにこだわる理由? そうね…………」
なんて説明すべきでしょうか。あと数年で最悪の魔女が訪れるからワンダーオーブを手に入れるためにどうしても協力して欲しいとか急に言われても、頭がおかしいとしか思われませんよね。適当にはぐらかしましょう。
「ただ、ただちょっと気になるのよ。ジョアサンのことが」
「なんだって!?」「それは本当かい!?」
私が返事をすると、アレクシスとビルジニが驚き、スザンヌまでも目を見開いてこちらを見ていました。私、もしかして変なことを言ってしまったのかしら。え? 気になるだけよ? 本当に気になるだけ。仲良くしてくれない理由はなんだろうなって。
二人の反応に逆に驚いた私が呆然としている間に、アレクシスとビルジニが何やらひそひそ話を始めます。あら、恋でも芽生えたのかしら。二人が付き合っても仲良くしてくれるかしら。こんな目の前でひそひそ話をされるということは、笑顔で私も入れてなんて言えませんよね。
しばらくして二人がこちらに視線を向けます。
「クリスティーン姫。ジョアサンとは私達が話しておきます。クリスティーン姫は私達が解決するまではジョアサンと話す必要はありませんよ? 避けられている原因がわからないのに話しかけ続けて本当に嫌われてしまうかもしれません!」
「なるべく君の意向に沿えるようにするけど、ジョアサンの意思も尊重させてくださいね?」
「え? ええ? まあ、それはもちろん」
急に仲良くなり固い握手をする二人。ま、まあアレクシスとビルジニってなぜか私といるときは険悪になりがちですし、良かったといえば良かったのですけど。そういえばリビオとミゲルも私といる時は険悪よね。もしかして、私って人を不仲にさせる呪いでもかかっているの!?
紅茶を飲み干したところで昼休みが終わる予鈴が鳴る。三人で教室のある東棟に向かいAクラスの教室前で二人とお別れしました。私とスザンヌが教室に入り、午後の授業が始まった。
もしかして避けられているのかしら?
「クリスティーン姫? どうかされましたか?」
「物思いにふける君も美しいよ」
アレクシスは心配し、ビルジニはなぜか私の美貌を褒める。
「相談してもいいかしら? ジョアサンって私のこと避けていたりしない?」
私がそう尋ねると、二人はジョアサンの行動に心当たりがあったみたいで、確かにそう感じる時はあると言われました。やはり避けられているのですね。
思えば聖歌隊にいた時からジョアサンは私を避けることがあり、お呼びすれば普通にいらっしゃるので嫌われてはいないと思っていましたが、単に私が姫だから逆らわないようにしているだけ…………とか。
でもそれだけじゃありません。お呼びした時だって確実に私から一番遠い位置に立ちますし、私が近づいても視線を離したタイミングで離れる。どう考えてもわざと。
テラスにつき、三人で白いテーブルを囲むと、しばらくしないうちにスザンヌが紅茶を用意してくださりました。アレクシスつきの執事やビルジニつきのメイドもせっせと働いています。
「クリスティーン姫はジョアサンと交友を深めたいのかい? 別に友なら彼でなくても問題ないだろう?」
「アレクシス、それはひどいんじゃないか? 姫君の御意向でジョアサンと親しくしたいのであれば、そうするべきだ。私は姫君の意思を尊重するよ」
「ありがとうビルジニ。でも、口出ししたいことはしてもいいのよ? 私が絶対に正しいなんてことはないのだから」
「私が君の言葉に口出しする時は、君自身が辛い選択をする時だけだよ」
やだ、惚れそう。いえ、恋なんてしている場合じゃないんですけど。
紅茶を飲むときは決まって砂糖をダバダバ入れる私。よく見るとアレクシスもビルジニも無糖な上に、盛るように砂糖を入れるスザンヌを見て二人は苦笑いをしていた。幼い頃からの付き合いですから驚きはしませんが、見られるたびにドン引きされるのは心外ね。
「それで? 話は戻すけど、ジョアサンにこだわる理由? そうね…………」
なんて説明すべきでしょうか。あと数年で最悪の魔女が訪れるからワンダーオーブを手に入れるためにどうしても協力して欲しいとか急に言われても、頭がおかしいとしか思われませんよね。適当にはぐらかしましょう。
「ただ、ただちょっと気になるのよ。ジョアサンのことが」
「なんだって!?」「それは本当かい!?」
私が返事をすると、アレクシスとビルジニが驚き、スザンヌまでも目を見開いてこちらを見ていました。私、もしかして変なことを言ってしまったのかしら。え? 気になるだけよ? 本当に気になるだけ。仲良くしてくれない理由はなんだろうなって。
二人の反応に逆に驚いた私が呆然としている間に、アレクシスとビルジニが何やらひそひそ話を始めます。あら、恋でも芽生えたのかしら。二人が付き合っても仲良くしてくれるかしら。こんな目の前でひそひそ話をされるということは、笑顔で私も入れてなんて言えませんよね。
しばらくして二人がこちらに視線を向けます。
「クリスティーン姫。ジョアサンとは私達が話しておきます。クリスティーン姫は私達が解決するまではジョアサンと話す必要はありませんよ? 避けられている原因がわからないのに話しかけ続けて本当に嫌われてしまうかもしれません!」
「なるべく君の意向に沿えるようにするけど、ジョアサンの意思も尊重させてくださいね?」
「え? ええ? まあ、それはもちろん」
急に仲良くなり固い握手をする二人。ま、まあアレクシスとビルジニってなぜか私といるときは険悪になりがちですし、良かったといえば良かったのですけど。そういえばリビオとミゲルも私といる時は険悪よね。もしかして、私って人を不仲にさせる呪いでもかかっているの!?
紅茶を飲み干したところで昼休みが終わる予鈴が鳴る。三人で教室のある東棟に向かいAクラスの教室前で二人とお別れしました。私とスザンヌが教室に入り、午後の授業が始まった。
0
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる