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23話 歩みよる速度はけして早くないけれど
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ミゲルが訪れたその日の夜、夕食前にジェラールの方から私の元に訪れました。いつも着ているきっちりとした服ではなく、比較的ラフに見えるゆったりを通り越したぶかぶかの白い服だ。それでも一目で素材の良さがわかるのは、この世界でいい布を見慣れたせいだろうか。そもそも一国の王が身にまとう服がそこら辺で買える代物ではないだろう。
「お父様? どうかしましたか?」
服装のことは訪ねても良いのだろうか。そればかりが気になったが、ジェラールは私の質問に答えずに、私の目の前まで歩いてきた。何をするのだろう。ジェラールを見つめても、ジェラールも私をじーっと見つめるだけで行動をおこさない。何かを待っているのだろうか。何を?
「クリスティーン、今日は何をしていたんだ?」
ジェラールは私に、今日の出来事を訪ねる。急に尋ねられた私は反射的に答えてしまう。
「え? 午前中は勉強をして、午後はお友達が来たのでお話をしていました」
「そうか」
そうかときたか。それで次は何をするつもり? なんでもどんとこい。貴方の愛娘は受け止めますよ?
しかし、私が何も声をかけないでいたら、ジェラールはそのまま私に背を向ける。そして一歩、また一歩と扉に向かって足を運んだ。
もしかして今のは、いつものただ顔を見に来るから一歩進んで、今日の出来事を聞くという奴だろうか。その一歩に時間かけすぎですよお父様。
とにかくこのスーパーのろのろお父様では、日本でいう幸せな親子関係になる頃には、私が我が子を抱いていてもおかしくなさそうですわ。子供は一姫二太郎がいい。
「お父様!」
私が声をかけると、ジェラールはこちらに振り返ります。眼で用件を言えと言っている雰囲気を感じる辺り、まだ私達には距離があるようです。
「すぐにとは言えませんが、今後はなえるべくお母様も含めて三人で食事をする機会を増やしませんか?」
私がそういうと、ジェラールはもう一度私の前まで歩いてきて、そして目線の高さを私に合わせます。綺麗な瞳が私を真っすぐ捉えると、私もジェラールから視線を外せなくなりました。
「…………エリザベートにも伝えよう。あいつが嫌じゃなければ今後はなるべく一緒に食事を取ろう」
ここでジェラールに任せることは簡単だ。でもここはジェラールに任せるだけじゃだめだ。なるべく一緒にいる時間が大事になる。だから私の答えはこうだ。
「私も行きます。お母様と私もお話をしたいです。それにこれはもともとは私のお願いですので、お父様さえ宜しければ一緒に行きませんか?」
私の言葉を聞いたジェラールは私に手を伸ばして、しっかりと抱きかかえた。セシルの方に視線を向けたジェラールは彼女に命じる。
「クリスティーンの食事はこちらで済ませる。娘の食事は我が宮殿まで運ばせてくれ」
「畏まりました!!」
「え!?」
今日の晩餐からご一緒すると言うことですか。貴方、さきほどエリザベートの意見も聞いてからとかそういう雰囲気でしたよね。でも、まあいっか。どちらにせよこれからエリザベートと会うことはできそうだ。こないだは急に行くのは迷惑だと言ったセシルも、国王自らが抱きかかえて連れていくのであれば口出しできないだろう。
私はジェラールに抱きかかえられたまま、ジェラールとエリザベートが住む宮殿まで運ばれた。
「お父様? どうかしましたか?」
服装のことは訪ねても良いのだろうか。そればかりが気になったが、ジェラールは私の質問に答えずに、私の目の前まで歩いてきた。何をするのだろう。ジェラールを見つめても、ジェラールも私をじーっと見つめるだけで行動をおこさない。何かを待っているのだろうか。何を?
「クリスティーン、今日は何をしていたんだ?」
ジェラールは私に、今日の出来事を訪ねる。急に尋ねられた私は反射的に答えてしまう。
「え? 午前中は勉強をして、午後はお友達が来たのでお話をしていました」
「そうか」
そうかときたか。それで次は何をするつもり? なんでもどんとこい。貴方の愛娘は受け止めますよ?
しかし、私が何も声をかけないでいたら、ジェラールはそのまま私に背を向ける。そして一歩、また一歩と扉に向かって足を運んだ。
もしかして今のは、いつものただ顔を見に来るから一歩進んで、今日の出来事を聞くという奴だろうか。その一歩に時間かけすぎですよお父様。
とにかくこのスーパーのろのろお父様では、日本でいう幸せな親子関係になる頃には、私が我が子を抱いていてもおかしくなさそうですわ。子供は一姫二太郎がいい。
「お父様!」
私が声をかけると、ジェラールはこちらに振り返ります。眼で用件を言えと言っている雰囲気を感じる辺り、まだ私達には距離があるようです。
「すぐにとは言えませんが、今後はなえるべくお母様も含めて三人で食事をする機会を増やしませんか?」
私がそういうと、ジェラールはもう一度私の前まで歩いてきて、そして目線の高さを私に合わせます。綺麗な瞳が私を真っすぐ捉えると、私もジェラールから視線を外せなくなりました。
「…………エリザベートにも伝えよう。あいつが嫌じゃなければ今後はなるべく一緒に食事を取ろう」
ここでジェラールに任せることは簡単だ。でもここはジェラールに任せるだけじゃだめだ。なるべく一緒にいる時間が大事になる。だから私の答えはこうだ。
「私も行きます。お母様と私もお話をしたいです。それにこれはもともとは私のお願いですので、お父様さえ宜しければ一緒に行きませんか?」
私の言葉を聞いたジェラールは私に手を伸ばして、しっかりと抱きかかえた。セシルの方に視線を向けたジェラールは彼女に命じる。
「クリスティーンの食事はこちらで済ませる。娘の食事は我が宮殿まで運ばせてくれ」
「畏まりました!!」
「え!?」
今日の晩餐からご一緒すると言うことですか。貴方、さきほどエリザベートの意見も聞いてからとかそういう雰囲気でしたよね。でも、まあいっか。どちらにせよこれからエリザベートと会うことはできそうだ。こないだは急に行くのは迷惑だと言ったセシルも、国王自らが抱きかかえて連れていくのであれば口出しできないだろう。
私はジェラールに抱きかかえられたまま、ジェラールとエリザベートが住む宮殿まで運ばれた。
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