88 / 102
終章 有史以前から人々が紡いできたこと
9話 北方の蛮族
しおりを挟む
私達は現在、デークルーガ帝国にいらっしゃいますが、その前にレティシアが現在育てた麻薬を保管している場所を突き止めました。
正確には、ユリエの為に働いていた天啓を実現していた影の立役者のような方々が既に突き止めていました。
「北方の地ですか」
アルデマグラ公国より北方にある大地。あちらには国と言う概念がなく言葉の通じない蛮族たちが狩猟をしながら生活をしています。
「そんな所にあったんだね。とにかく北方に行って麻薬をすべて焼き払おう」
グレイ様の提案に皆が納得しましたが、私が精神崩壊している間にご懐妊したお義姉様とお義姉様と一緒にいることと、ヘロニモの同行の監視としてエリオットお兄様は帰国されることになりました。
デークルーガ帝国から馬車を借りることになり、内装を確かめています。座り午後地の良い椅子に満足していましたが、辺りを見渡しても仕掛けらしきものはなし。
残念ながら、ギミックはありません。いえ、期待する方がおかしいのよね。
「……そういえば何か忘れているような……?」
私が精神崩壊している間に、お義姉様がご懐妊?
待ってください。今何日ですか?
「ヨハンネス、今は何日かしら?」
「今日は十一月三日ですよ?」
「なんですって?」
つまり……つまり……あとえっと六十三日で生誕祭?
北方に行ってたら、私戻ってくる頃に婚約なんて無理なんじゃない?
いえ、大丈夫。問題ありません。なんとかします。今までもそうしてきましたし、私の幸せの為に行動するなら、戦った先の未来の方がよっぽど幸せだと思います。
「まあいいわ。間に会わなかったら間に合わなかっとよ」
「それは僕と結婚してくれるってことかな?」
すぐそばにいらっしゃるグレイ様が、にっこりとした表情で私にそう言いました。
「いいえ、逃げます!」
「あはは、それはひどい。けど楽しそうだ。追いかけるからね」
全然ひどいと思っていなさそうな表情は、上手く読み取れませんが、楽しそうだとさえ感じました。
「あなたというお方は……まあ、良いですわ。それがあなたのワガママなのでしょう」
「そうだよ」
そういったグレイ様は、私に一歩近づき、ぎゅっと抱きしめてきました。
抱きしめられた感触が、少しだけ心地よく感じてしまったことになぜか敗北感を感じ突き飛ばしてしまおうとしましたが、やはり私。全然動けません。
そしてグレイ様が耳元で呟きました。
「本当はね、とっとと婚約しなきゃいけないのは僕の方だったんだ。僕は君以外考えられなかった。でも、君には自分で選んだ人と結婚して欲しくて、そしてできれば僕を選んで欲しかったから。逃げるなんて言われて本当はすっごく傷ついたな」
「え!? えと、ごめんなさい」
私が困惑気味に返事をしますと、グレイ様と目があい、一瞬で蹴っ飛ばしてやろうかと思いました。ニヤついてるではありませんか。
「困り顔はどうでした?」
「最高だね」「最低ね」
そして私たちは北方に向かうことになりました。北方に向かうのに丸々十日もかかってしまい生誕祭まで残り五十三日となってしまいました。
北方では蛮族なだけあり、本当に言葉が通じない方々が、武器を持ってうろうろしています。
「ユリエさんの部下の方々曰く、この先の蛮族の族長が言葉が通じるそうですね。彼の所まで攻め入りましょう」
エディータが、大きめの剣を持って前に出ようとします。
「あの、蛮族の方ってもしかしたら悪い方々とは……」
しかし、私が引き留める前にエディータが突き進み、蛮族たちを次々と気絶させてしまいました。
「では私から行きましょう」
メルヒオール様がドアをノックしますと、内側からよくわからない言語が返ってきました。メルヒオール様はその後、何やら不思議な言葉を操り、今度は向こうから扉が開かれました。
「今のお言葉は?」
「クエンカ領は北方に近く、蛮族との戦いも経験済みです。ですので言語は軽くですが習得しています」
そして開かれた扉からはおじいちゃんらしき方が出てきました。
「アルデマグラ。タミ。イカヨウ」
その後、メルヒオール様が主体となり、族長の方とお話をすることになりました。
最初こそ、族長はだんまりを決め込もうとしていましたが、私達の後ろの光景。つまりエディータの暴れた後を見た族長は私達に対し抵抗せずにお話を聞いてくださいました。
「ルクレシア様。確かに北方の地には、食料品と引き換えに出入りを許可しているアルデマグラの人間と、倉庫を貸し出しているようです」
その倉庫に案内して頂くことになり、山を登った先には広い丘。その真ん中にある大きな木製の小屋。これが倉庫ね。
我々は倉庫の戸を開きました。
「なんて数だ」
グレイ様は一面の緑を目の当たりにして目を見開いています。他の方々も同様です。
すべてが麻薬。こんなにあるなんて思いもしませんでした。
「メルヒオール様、族長にこれの焼き払いの許可を」
「わかりました」
メルヒオール様が族長に対してそれを伝えますと、族長は怒り始めました。どうやら彼は今食糧難でもあり、たまにやってくるこの倉庫の維持をしている方の食料はとても重要なものらしいです。
だからといいましても、アルデマグラ公国側が彼らに食料を普及し続ける訳にも行きません。
「なんとかここを燃やす方法……」
そう考えていますと、突然エディータとエミリアさんが私を突き飛ばしました。
私が立っていた場所を見事通り抜ける一本の矢。
「不意打ちよエディータ! 汚いわね!」
「何の当てつけですか」
矢の先に立っていたのは蛮族の方々と公国の騎士服を着た男。どこかで見たことがあるかもしれません。
「レティシア様の婚約者。ベルトラーゾ侯爵」
「クヒヒィ。ご明察クヒヒヒヒ」
ああ、この人こういう濃い方なんですよね。この方がここにいらっしゃると言うことは、ユリエの言っていたことは真実で間違いないのでしょうね。
「何が目的ですか」
「さぁ? オリヴィエロもレティシアも自分が楽しいって思うことに尽力を尽くしているだけさ。私もねクヒヒヒヒ」
「麻薬ですよね?」
「さあ? 使ってみたらわかるんじゃないか?」
「最低」
ベルトラーゾは剣を抜くと、ヨハンネスとマリアとメルヒオール様が前に出ます。
「相手は賊とはいえ、第二騎士団騎士団長だ! 全力で行くぞ!」
「いいや、あいつは私の獲物です!」
三人が駆け出す前にエディータがとびかかる。不意打ちが気に入らなかったのかしら。
エディータの大剣をひらりと躱すベルトラーゾ。そしてカウンターの刺突をしかけるが、エディータもしゃがんで躱す。
三人は周囲に集まった蛮族たちの方に駆け出し、そこにエミリアさんも加わる。
周囲が激しい戦いに包まれる中、族長と私とグレイ様だけが残ります。
グレイ様は倉庫をチラッと確認し、火の用意を始めました。
「ホロビロ。アルデマグラ。ショクリョウ。ヨコサヌモノ。コノチニオイヤッタモノ」
以前、公国の歴史を学んだことがあります。北方の民族は昔、アルデマグラ建国前にはアルデマグラ公国の東部に住んでいたのですよね。
「確かに私たちの先祖のせいで今は苦しい生活を送っているのかもしれません。ですが、それは戦が起きた時点でお互い様。私達に恨みをぶつけても意味などありませんわ」
「??」
言葉通じていませんね。
族長が持っていた杖を振りかざしました。私はミセリコルデをとっさに手に取り、一歩前に足を出し、その足に自ら引っ掛かり杖の軌道から回避。
「!?」
族長は私の変則的な動きに驚いているうちに、足を思いっきり踏み込み転倒しない様にし、そのままミセリコルデを族長の手の甲に刺しました。
「これでもう握れませんね。言葉は通じていませんけど」
族長は痛がり悲鳴をあげています。その隙にグレイ様が大量に保管されていた麻薬に火をつけました。
「これでいいんだよねルー。ごめんごめん、まさか族長が襲い掛かるだなんて思ってなくてね」
周囲の争いは倉庫が燃えてもお構いなし。どうやら蛮族の方々はお怒りの様子。
そして私に向かってまた矢が飛んできました。いち早く動いたグレイ様は、私を突き飛ばしますが、私はそのままグレイ様の腕をとっさに掴んでしまいました。
そして私たちは丘から落ちてしまいました。幸い、そこには深い川がありましたが、その川は流れも速く私とグレイ様は、一気に下流まで流されてしまいました。
川を流されている私とグレイ様は、小さな舟を見つけ、そこにひとまず乗り込みましたが、それこそ失敗。
崖に引っかかっていた船は、グレイ様が乗り次に私が乗った拍子に、川の流れに乗って流されてしまいました。
流れの勢いは損なわれることなく、一気に進んで行ってしまいました。
「漕ぐ道具さえあれば何とかなったんだけどね」
「そうね」
手で漕いでも方向転換は難しそうです。流れに任せて安全に上陸できるまで待機しましょう。
「ねえグレイ様。ここはどこかしら?」
「見ての通り海の真ん中だね」
私とグレイ様は、遭難してしまいました。
正確には、ユリエの為に働いていた天啓を実現していた影の立役者のような方々が既に突き止めていました。
「北方の地ですか」
アルデマグラ公国より北方にある大地。あちらには国と言う概念がなく言葉の通じない蛮族たちが狩猟をしながら生活をしています。
「そんな所にあったんだね。とにかく北方に行って麻薬をすべて焼き払おう」
グレイ様の提案に皆が納得しましたが、私が精神崩壊している間にご懐妊したお義姉様とお義姉様と一緒にいることと、ヘロニモの同行の監視としてエリオットお兄様は帰国されることになりました。
デークルーガ帝国から馬車を借りることになり、内装を確かめています。座り午後地の良い椅子に満足していましたが、辺りを見渡しても仕掛けらしきものはなし。
残念ながら、ギミックはありません。いえ、期待する方がおかしいのよね。
「……そういえば何か忘れているような……?」
私が精神崩壊している間に、お義姉様がご懐妊?
待ってください。今何日ですか?
「ヨハンネス、今は何日かしら?」
「今日は十一月三日ですよ?」
「なんですって?」
つまり……つまり……あとえっと六十三日で生誕祭?
北方に行ってたら、私戻ってくる頃に婚約なんて無理なんじゃない?
いえ、大丈夫。問題ありません。なんとかします。今までもそうしてきましたし、私の幸せの為に行動するなら、戦った先の未来の方がよっぽど幸せだと思います。
「まあいいわ。間に会わなかったら間に合わなかっとよ」
「それは僕と結婚してくれるってことかな?」
すぐそばにいらっしゃるグレイ様が、にっこりとした表情で私にそう言いました。
「いいえ、逃げます!」
「あはは、それはひどい。けど楽しそうだ。追いかけるからね」
全然ひどいと思っていなさそうな表情は、上手く読み取れませんが、楽しそうだとさえ感じました。
「あなたというお方は……まあ、良いですわ。それがあなたのワガママなのでしょう」
「そうだよ」
そういったグレイ様は、私に一歩近づき、ぎゅっと抱きしめてきました。
抱きしめられた感触が、少しだけ心地よく感じてしまったことになぜか敗北感を感じ突き飛ばしてしまおうとしましたが、やはり私。全然動けません。
そしてグレイ様が耳元で呟きました。
「本当はね、とっとと婚約しなきゃいけないのは僕の方だったんだ。僕は君以外考えられなかった。でも、君には自分で選んだ人と結婚して欲しくて、そしてできれば僕を選んで欲しかったから。逃げるなんて言われて本当はすっごく傷ついたな」
「え!? えと、ごめんなさい」
私が困惑気味に返事をしますと、グレイ様と目があい、一瞬で蹴っ飛ばしてやろうかと思いました。ニヤついてるではありませんか。
「困り顔はどうでした?」
「最高だね」「最低ね」
そして私たちは北方に向かうことになりました。北方に向かうのに丸々十日もかかってしまい生誕祭まで残り五十三日となってしまいました。
北方では蛮族なだけあり、本当に言葉が通じない方々が、武器を持ってうろうろしています。
「ユリエさんの部下の方々曰く、この先の蛮族の族長が言葉が通じるそうですね。彼の所まで攻め入りましょう」
エディータが、大きめの剣を持って前に出ようとします。
「あの、蛮族の方ってもしかしたら悪い方々とは……」
しかし、私が引き留める前にエディータが突き進み、蛮族たちを次々と気絶させてしまいました。
「では私から行きましょう」
メルヒオール様がドアをノックしますと、内側からよくわからない言語が返ってきました。メルヒオール様はその後、何やら不思議な言葉を操り、今度は向こうから扉が開かれました。
「今のお言葉は?」
「クエンカ領は北方に近く、蛮族との戦いも経験済みです。ですので言語は軽くですが習得しています」
そして開かれた扉からはおじいちゃんらしき方が出てきました。
「アルデマグラ。タミ。イカヨウ」
その後、メルヒオール様が主体となり、族長の方とお話をすることになりました。
最初こそ、族長はだんまりを決め込もうとしていましたが、私達の後ろの光景。つまりエディータの暴れた後を見た族長は私達に対し抵抗せずにお話を聞いてくださいました。
「ルクレシア様。確かに北方の地には、食料品と引き換えに出入りを許可しているアルデマグラの人間と、倉庫を貸し出しているようです」
その倉庫に案内して頂くことになり、山を登った先には広い丘。その真ん中にある大きな木製の小屋。これが倉庫ね。
我々は倉庫の戸を開きました。
「なんて数だ」
グレイ様は一面の緑を目の当たりにして目を見開いています。他の方々も同様です。
すべてが麻薬。こんなにあるなんて思いもしませんでした。
「メルヒオール様、族長にこれの焼き払いの許可を」
「わかりました」
メルヒオール様が族長に対してそれを伝えますと、族長は怒り始めました。どうやら彼は今食糧難でもあり、たまにやってくるこの倉庫の維持をしている方の食料はとても重要なものらしいです。
だからといいましても、アルデマグラ公国側が彼らに食料を普及し続ける訳にも行きません。
「なんとかここを燃やす方法……」
そう考えていますと、突然エディータとエミリアさんが私を突き飛ばしました。
私が立っていた場所を見事通り抜ける一本の矢。
「不意打ちよエディータ! 汚いわね!」
「何の当てつけですか」
矢の先に立っていたのは蛮族の方々と公国の騎士服を着た男。どこかで見たことがあるかもしれません。
「レティシア様の婚約者。ベルトラーゾ侯爵」
「クヒヒィ。ご明察クヒヒヒヒ」
ああ、この人こういう濃い方なんですよね。この方がここにいらっしゃると言うことは、ユリエの言っていたことは真実で間違いないのでしょうね。
「何が目的ですか」
「さぁ? オリヴィエロもレティシアも自分が楽しいって思うことに尽力を尽くしているだけさ。私もねクヒヒヒヒ」
「麻薬ですよね?」
「さあ? 使ってみたらわかるんじゃないか?」
「最低」
ベルトラーゾは剣を抜くと、ヨハンネスとマリアとメルヒオール様が前に出ます。
「相手は賊とはいえ、第二騎士団騎士団長だ! 全力で行くぞ!」
「いいや、あいつは私の獲物です!」
三人が駆け出す前にエディータがとびかかる。不意打ちが気に入らなかったのかしら。
エディータの大剣をひらりと躱すベルトラーゾ。そしてカウンターの刺突をしかけるが、エディータもしゃがんで躱す。
三人は周囲に集まった蛮族たちの方に駆け出し、そこにエミリアさんも加わる。
周囲が激しい戦いに包まれる中、族長と私とグレイ様だけが残ります。
グレイ様は倉庫をチラッと確認し、火の用意を始めました。
「ホロビロ。アルデマグラ。ショクリョウ。ヨコサヌモノ。コノチニオイヤッタモノ」
以前、公国の歴史を学んだことがあります。北方の民族は昔、アルデマグラ建国前にはアルデマグラ公国の東部に住んでいたのですよね。
「確かに私たちの先祖のせいで今は苦しい生活を送っているのかもしれません。ですが、それは戦が起きた時点でお互い様。私達に恨みをぶつけても意味などありませんわ」
「??」
言葉通じていませんね。
族長が持っていた杖を振りかざしました。私はミセリコルデをとっさに手に取り、一歩前に足を出し、その足に自ら引っ掛かり杖の軌道から回避。
「!?」
族長は私の変則的な動きに驚いているうちに、足を思いっきり踏み込み転倒しない様にし、そのままミセリコルデを族長の手の甲に刺しました。
「これでもう握れませんね。言葉は通じていませんけど」
族長は痛がり悲鳴をあげています。その隙にグレイ様が大量に保管されていた麻薬に火をつけました。
「これでいいんだよねルー。ごめんごめん、まさか族長が襲い掛かるだなんて思ってなくてね」
周囲の争いは倉庫が燃えてもお構いなし。どうやら蛮族の方々はお怒りの様子。
そして私に向かってまた矢が飛んできました。いち早く動いたグレイ様は、私を突き飛ばしますが、私はそのままグレイ様の腕をとっさに掴んでしまいました。
そして私たちは丘から落ちてしまいました。幸い、そこには深い川がありましたが、その川は流れも速く私とグレイ様は、一気に下流まで流されてしまいました。
川を流されている私とグレイ様は、小さな舟を見つけ、そこにひとまず乗り込みましたが、それこそ失敗。
崖に引っかかっていた船は、グレイ様が乗り次に私が乗った拍子に、川の流れに乗って流されてしまいました。
流れの勢いは損なわれることなく、一気に進んで行ってしまいました。
「漕ぐ道具さえあれば何とかなったんだけどね」
「そうね」
手で漕いでも方向転換は難しそうです。流れに任せて安全に上陸できるまで待機しましょう。
「ねえグレイ様。ここはどこかしら?」
「見ての通り海の真ん中だね」
私とグレイ様は、遭難してしまいました。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~
桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。
そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。
頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります!
エメルロ一族には重大な秘密があり……。
そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。
後悔するのはあなたの方です。紛い物と言われた獣人クォーターは番の本音を受け入れられない
堀 和三盆
恋愛
「ああ、ラジョーネ! 僕はなんて幸せなのだろう! 愛する恋人の君が運命の番と判明したときの喜びと言ったらもう……!!」
「うふふ。私も幸せよ、アンスタン。そして私も貴方と同じ気持ちだわ。恋人の貴方が私の運命の番で本当に良かった」
私、ラジョーネ・ジュジュマンは狼獣人のクォーター。恋人で犬獣人のアンスタンとはつい先日、お互いが運命の番だと判明したばかり。恋人がたまたま番だったという奇跡に私は幸せの絶頂にいた。
『いつかアンスタンの番が現れて愛する彼を奪われてしまうかもしれない』……と、ずっと心配をしていたからだ。
その日もいつものように番で恋人のアンスタンと愛を語らっていたのだけれど。
「……実はね、本当は私ずっと心配だったの。だからアンスタンが番で安心したわ」
「僕もだよ、ラジョーネ。もし君が番じゃなかったら、愛する君を冷たく突き放して捨てなきゃいけないと思うと辛くて辛くて」
「え?」
「ん?」
彼の口から出てきた言葉に、私はふとした引っ掛かりを覚えてしまった。アンスタンは番が現れたら私を捨てるつもりだった? 私の方は番云々にかかわらず彼と結婚したいと思っていたのだけれど……。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
妹の婚約者自慢がウザいので、私の婚約者を紹介したいと思います~妹はただ私から大切な人を奪っただけ~
マルローネ
恋愛
侯爵令嬢のアメリア・リンバークは妹のカリファに婚約者のラニッツ・ポドールイ公爵を奪われた。
だが、アメリアはその後に第一王子殿下のゼラスト・ファーブセンと婚約することになる。
しかし、その事実を知らなかったカリファはアメリアに対して、ラニッツを自慢するようになり──。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる