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終章 有史以前から人々が紡いできたこと
4話 天啓のヒント
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教会につきユリエの天啓で負けたと噂される司祭がいるという住居を探し当てました。
お義姉様はデークルーガ帝国側にもパイプがあるのですね。
「ここですのね」
司祭なだけあり、立地だけはよい安そうな住居。清貧というに相応しい住居でした。
私はドアを軽くノックしますと、ドアは控えめに開き、内側から覗き込むように私の顔を確認する男性。
「桜色の瞳!?」
「安心してユリエじゃないわ。お話いいかしら?」
「金髪? 桜色の瞳? あなたは!?」
「静かに」
司祭は私が誰か気付いた上で室内に私達を招き入れてくださいました。
「なぜあなたがデークルーガ帝国にいらっしゃるのですか?」
当然よね。本来、私はこの国にいないだろうし、戦争も続いている。であればここにいること自体がおかしいのである。
司祭に事情と経緯。それから、ここに来た理由を簡単に説明しました。
「なるほど、姫様の天啓を暴くと。やはりインチキなのですよね?」
「当然よ。ただどんなことを考えても天啓の正体が暴けないのよね」
「まだ根拠はないのですね」
「あるわ。だってユリエの天啓が本物なら、今ほとんど無防備な私達を捕えないはずがないもの」
私の返事に、司祭様はまだ苦い表情。そして私は自らの考えを司祭様にお話すると、司祭様はまだ納得してくれていませんが、実際に見たとされるユリエの奇跡を話してくださいました。
「千里眼みたいだね」
お義姉様がぽつりとつぶやく。センリガン?
どうやらまた東方の言葉らしく、意味を説明して頂くと、遠方を見る異能のようです。
実際にそんなことが可能なのでしょうか。どこまでの距離が見れるのでしょうか。
どうやら司祭様と勝負をし、遠方で司祭様が書いた意味の持たない文字の羅列をそっくりそのまま転写し、なおかつ遠方での呟いた言葉まで一言一句あてられてしまったようです。
「やっぱり司祭様の言葉を誰かがユリエに伝達したんだわ。遠方にいる人間に何かを伝える手段があるはず」
ユリエの天啓。共犯者を探し出せば見つけられるのじゃないかしら?
私達の考えではどう考えても天啓は一人ではなしえない。協力者込みの広範囲の諜報と伝達が彼女の天啓を構成している。ならば、ユリエの天啓をしている人間達を捕まえることができれば、天啓が崩れる。
「もし天啓の伝達手段を行っている方を捕まえられたらどうなるかしら?」
「うーん、僕なら捕まった人間は消すね。国規模の欺きなんだ。徹底する必要がある」
お義姉様が物騒な発言をした際、マリアが深刻な表情をしていました。
「どうしたのマリア」
「いえ、今は関係ないことですので、ですがお嬢様も関係ある話です。近いうちにお話します」
「そう」
今の話題から私に関係する言葉なんてあったかしら?
深く考えることはやめましょう。
司祭様からお話を聞き、やはりユリエのそれは天啓ではないと確信しました。
なぜなら、天啓の奇跡は、リアルタイムで情報収集する必要があると感じたからです。
おそらく彼女に過去の情報を見てくれといったら、天啓は自由に使えないと答えるでしょう。しかし、司祭様相手には自由に使えていました。
これは意図的に見ると決めていたものに対して、しっかりと準備していたからできたことと考えられます。
「司祭様。打倒ユリエ教。協力してくださいますよね?」
「勿論です」
私達はひとまずこの司祭様のおうちに潜伏させて頂くことになり、司祭様にお金を渡し、買い出しをお願いしました。
「マリア。あなたは外回りをお願いしますね。できればグレイ様達がこちらに合流できるようにお願いします。グレイ様達は順調にこちらにむかっていらっしゃいましたら、ロアネの大広場の初代帝王像のところに向かうそうです」
「わかりましたわ。といっても、二日後ですよね? とりあえず場所だけ確認に行ってまいります」
マリアもひとまず指定の広場の様子見。グレイ様は有名人でもありますからね。見た目こそ銀髪の碧眼と普遍的なところもありますが、見る人が見れば気付かれてしまうかもしれません。
ヨハンネスも心配ですね。オーロフ。いえ、ヴィクトーリアは自分の弟なのですからすぐ気づくでしょう。
あとの皆様はなんとなく大丈夫な気がしてきましたので割愛。
私とお義姉様は本の知識や、実体験から様々な意見を出し合い、天啓とは何なのかと議論し始めました。
最初こそ突拍子のないことばかり出てきましたが、議論が長引くにつれ、お互い考えも出尽くしてしまい、今は黙り込んでいます。
「僕ら二人だけじゃ中々結論に至らないね」
「そうですね。しかし、マリアや司祭様がいても結果は同じでしょう。もっとこう奇抜な発想の方がいらっしゃれば」
いえ、お義姉様を超える人ってそうそういらっしゃいませんでしたね。
二日後に合流するメンバーはグレイ様、エリオットお兄様、メルヒオール様の三名。見た目女性チームは更に半日遅れての合流予定ですので、天啓のヒント探りには使えませんね。
窓の外を眺めますと、夕日が照り付けてきました。もうすぐ星の光が見える時間帯。
数日続いた野宿では、何度空を見上げたか事でしょうか。星空はデークルーガ帝国でもジバジデオ王国でも、アルデマグラ公国と変わらない。
どんなに遠くても、見えるものが変わらないのですね。その日は、まだから見える星の光を眺めながら眠りにつくことにしました。
いつの間にか戻ってきていたマリアの司祭様のことに気付くことなく眠った私は、夕食を食べそびれることよりも、疲労による眠気が勝っていたようでした。
そして朝を迎えました。一日の経過とは早いものですね。
この生活が始まって以来、麻はマリアが起こしてくださります。エレナを失ったのは大きな痛手……違います!
失っていません。長期休暇を与えたにすぎません。失言失言。
「お嬢様、司祭様が朝食を用意していかれました」
「あら? どこかにでかけられたのかしら」
「司祭様は一応この国で働いていらっしゃる方ですので」
司祭の仕事を続けているのでしょうか。実は奇跡を目の当たりにしてユリエに陶酔なんてことはないですよね?
不安になりましたが、素人が即興で演技をこなせる訳がありません。あの司祭様の様子は本物の感情だったと思います。
用意して頂いた朝食を口にして、お義姉様とまた二人で議論。マリアは念のため早くついていないか集合場所の見回りをしてから戻ってくるそうです。
ついでに軽い買い出しもお願いしました。
「しかし、この瞳の色何とかならないかしら・ろくに出歩けないわ」
「まあ、そうかもね。僕の深紅の目を交換してあげたいくらいだよ」
何気に恐ろしい交換を想像してしまいましたが、お義姉様はそういう意味では言っていないでしょうし軽く愛想笑いをしてしまいました。
「ルクレシアは天啓を暴けたらどうするんだい?」
「決まっているじゃない。革命を起こされたのだからやることは一つ。革命返しよ」
そしてついにグレイ様達と合流する日を迎え、その日のうちにエミリアさん達とも合流しました。
清貧な司祭様の家。造りはたいしたものではありませんが、さすがに広く、なんとか全員泊まることができました。
「それでは明日。予定通りデークルーガ城に潜入し、ユリエと決着をつけようと思います。何か意見はありますか?」
この場にいる誰もが無言のまま。決定と言うことで良いのでしょう。
「ねえルー。もしユリエがいなかったらどうするんだい?」
「そうね。その場合は他の王族がどうなっているか確かめるわ」
もしかしたら軟禁もあり得るのよね。ユリエの両親。現帝王と王妃は健在のはず。それにユリエにも一応姉と弟もいらっしゃるはず。無事だと良いのですけど。
お義姉様はデークルーガ帝国側にもパイプがあるのですね。
「ここですのね」
司祭なだけあり、立地だけはよい安そうな住居。清貧というに相応しい住居でした。
私はドアを軽くノックしますと、ドアは控えめに開き、内側から覗き込むように私の顔を確認する男性。
「桜色の瞳!?」
「安心してユリエじゃないわ。お話いいかしら?」
「金髪? 桜色の瞳? あなたは!?」
「静かに」
司祭は私が誰か気付いた上で室内に私達を招き入れてくださいました。
「なぜあなたがデークルーガ帝国にいらっしゃるのですか?」
当然よね。本来、私はこの国にいないだろうし、戦争も続いている。であればここにいること自体がおかしいのである。
司祭に事情と経緯。それから、ここに来た理由を簡単に説明しました。
「なるほど、姫様の天啓を暴くと。やはりインチキなのですよね?」
「当然よ。ただどんなことを考えても天啓の正体が暴けないのよね」
「まだ根拠はないのですね」
「あるわ。だってユリエの天啓が本物なら、今ほとんど無防備な私達を捕えないはずがないもの」
私の返事に、司祭様はまだ苦い表情。そして私は自らの考えを司祭様にお話すると、司祭様はまだ納得してくれていませんが、実際に見たとされるユリエの奇跡を話してくださいました。
「千里眼みたいだね」
お義姉様がぽつりとつぶやく。センリガン?
どうやらまた東方の言葉らしく、意味を説明して頂くと、遠方を見る異能のようです。
実際にそんなことが可能なのでしょうか。どこまでの距離が見れるのでしょうか。
どうやら司祭様と勝負をし、遠方で司祭様が書いた意味の持たない文字の羅列をそっくりそのまま転写し、なおかつ遠方での呟いた言葉まで一言一句あてられてしまったようです。
「やっぱり司祭様の言葉を誰かがユリエに伝達したんだわ。遠方にいる人間に何かを伝える手段があるはず」
ユリエの天啓。共犯者を探し出せば見つけられるのじゃないかしら?
私達の考えではどう考えても天啓は一人ではなしえない。協力者込みの広範囲の諜報と伝達が彼女の天啓を構成している。ならば、ユリエの天啓をしている人間達を捕まえることができれば、天啓が崩れる。
「もし天啓の伝達手段を行っている方を捕まえられたらどうなるかしら?」
「うーん、僕なら捕まった人間は消すね。国規模の欺きなんだ。徹底する必要がある」
お義姉様が物騒な発言をした際、マリアが深刻な表情をしていました。
「どうしたのマリア」
「いえ、今は関係ないことですので、ですがお嬢様も関係ある話です。近いうちにお話します」
「そう」
今の話題から私に関係する言葉なんてあったかしら?
深く考えることはやめましょう。
司祭様からお話を聞き、やはりユリエのそれは天啓ではないと確信しました。
なぜなら、天啓の奇跡は、リアルタイムで情報収集する必要があると感じたからです。
おそらく彼女に過去の情報を見てくれといったら、天啓は自由に使えないと答えるでしょう。しかし、司祭様相手には自由に使えていました。
これは意図的に見ると決めていたものに対して、しっかりと準備していたからできたことと考えられます。
「司祭様。打倒ユリエ教。協力してくださいますよね?」
「勿論です」
私達はひとまずこの司祭様のおうちに潜伏させて頂くことになり、司祭様にお金を渡し、買い出しをお願いしました。
「マリア。あなたは外回りをお願いしますね。できればグレイ様達がこちらに合流できるようにお願いします。グレイ様達は順調にこちらにむかっていらっしゃいましたら、ロアネの大広場の初代帝王像のところに向かうそうです」
「わかりましたわ。といっても、二日後ですよね? とりあえず場所だけ確認に行ってまいります」
マリアもひとまず指定の広場の様子見。グレイ様は有名人でもありますからね。見た目こそ銀髪の碧眼と普遍的なところもありますが、見る人が見れば気付かれてしまうかもしれません。
ヨハンネスも心配ですね。オーロフ。いえ、ヴィクトーリアは自分の弟なのですからすぐ気づくでしょう。
あとの皆様はなんとなく大丈夫な気がしてきましたので割愛。
私とお義姉様は本の知識や、実体験から様々な意見を出し合い、天啓とは何なのかと議論し始めました。
最初こそ突拍子のないことばかり出てきましたが、議論が長引くにつれ、お互い考えも出尽くしてしまい、今は黙り込んでいます。
「僕ら二人だけじゃ中々結論に至らないね」
「そうですね。しかし、マリアや司祭様がいても結果は同じでしょう。もっとこう奇抜な発想の方がいらっしゃれば」
いえ、お義姉様を超える人ってそうそういらっしゃいませんでしたね。
二日後に合流するメンバーはグレイ様、エリオットお兄様、メルヒオール様の三名。見た目女性チームは更に半日遅れての合流予定ですので、天啓のヒント探りには使えませんね。
窓の外を眺めますと、夕日が照り付けてきました。もうすぐ星の光が見える時間帯。
数日続いた野宿では、何度空を見上げたか事でしょうか。星空はデークルーガ帝国でもジバジデオ王国でも、アルデマグラ公国と変わらない。
どんなに遠くても、見えるものが変わらないのですね。その日は、まだから見える星の光を眺めながら眠りにつくことにしました。
いつの間にか戻ってきていたマリアの司祭様のことに気付くことなく眠った私は、夕食を食べそびれることよりも、疲労による眠気が勝っていたようでした。
そして朝を迎えました。一日の経過とは早いものですね。
この生活が始まって以来、麻はマリアが起こしてくださります。エレナを失ったのは大きな痛手……違います!
失っていません。長期休暇を与えたにすぎません。失言失言。
「お嬢様、司祭様が朝食を用意していかれました」
「あら? どこかにでかけられたのかしら」
「司祭様は一応この国で働いていらっしゃる方ですので」
司祭の仕事を続けているのでしょうか。実は奇跡を目の当たりにしてユリエに陶酔なんてことはないですよね?
不安になりましたが、素人が即興で演技をこなせる訳がありません。あの司祭様の様子は本物の感情だったと思います。
用意して頂いた朝食を口にして、お義姉様とまた二人で議論。マリアは念のため早くついていないか集合場所の見回りをしてから戻ってくるそうです。
ついでに軽い買い出しもお願いしました。
「しかし、この瞳の色何とかならないかしら・ろくに出歩けないわ」
「まあ、そうかもね。僕の深紅の目を交換してあげたいくらいだよ」
何気に恐ろしい交換を想像してしまいましたが、お義姉様はそういう意味では言っていないでしょうし軽く愛想笑いをしてしまいました。
「ルクレシアは天啓を暴けたらどうするんだい?」
「決まっているじゃない。革命を起こされたのだからやることは一つ。革命返しよ」
そしてついにグレイ様達と合流する日を迎え、その日のうちにエミリアさん達とも合流しました。
清貧な司祭様の家。造りはたいしたものではありませんが、さすがに広く、なんとか全員泊まることができました。
「それでは明日。予定通りデークルーガ城に潜入し、ユリエと決着をつけようと思います。何か意見はありますか?」
この場にいる誰もが無言のまま。決定と言うことで良いのでしょう。
「ねえルー。もしユリエがいなかったらどうするんだい?」
「そうね。その場合は他の王族がどうなっているか確かめるわ」
もしかしたら軟禁もあり得るのよね。ユリエの両親。現帝王と王妃は健在のはず。それにユリエにも一応姉と弟もいらっしゃるはず。無事だと良いのですけど。
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