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第3章 ポンコツしかできないこと
33話 失いたくない! それが私のワガママだから!!
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一面に広がる大きな猿園。兄の姿は見当たらないものの、ここにいる全員を解放するのであれば問題ありませんね。
「グレイ様、この柵はどうやって壊せばいいのかしら?」
「そう簡単に壊れないだろうね。敵兵を制圧して従わせよう」
「え?」
メンバーは私とグレイ様と珍獣さんの三人。もちろん私は何もしません。
私とグレイ様はひとまず二人で物陰に隠れ、珍獣さんがわずかなレンガの継ぎ目に指をかけ中庭の城壁を登り始める。
人じゃなくてクモでしたね?
「彼女は一体どんな厳しい訓練を?」
「私の為だと思えばどんな厳しい修行も気持ちいと言っていたわ」
「わからないな。ルーはいじめてこそ楽しいのに」
「ねえ、いまこの状況で大きな声で叫びたくなるようなこと言うのやめません?」
壁を登り切った珍獣さんは、服の中からロープを取り出している。片手で全体重支えているのね。
珍獣さんは全体的に小柄なためそこまで負担ではないと思いますが、当然その腕も細い。
ロープを猿園の鉄柵の上部にあるとがった所にひっかけ、そのまま城壁を蹴り、柵に飛び移る。クモ兼猿。
あなたエミリア・スパイダー・モンキー・ディートリヒに改名したらどうですか?
「なんかセンスのないことを考えていそうな表情をしているうちにディートリヒ嬢が柵の中に入ったね」
「この鉄柵。大きな屋敷くらいの高さありませんか」
「……そうだね」
いとも簡単に侵入した珍獣。裸の人々の中に一人服を着た女性が現れ、皆が注目している。
まあ、当然よね。そもそも上から女性が降りてきただけでも注目の的よ。
「初めまして、私エミリア・ディートリヒと申します。アルデマグラ公国ディートリヒ伯爵家の長女に生まれたものです。皆様を救出する為に馳せ参じました」
「伯爵令嬢?」「ディートリヒ?」「令嬢に何ができる」「だが今、上から現れたぞ」「若い女」「一体なにごとだ?」
鉄柵の中にいた皆が、珍獣さんに注目を集めている。まだジバジデオ王国の兵に見つかっていないのは、兵力が南門に集まっているからでしょう。
南門。ジェスカとエレナ。ジェスカがいるから大丈夫だと思いますし、エレナもしっかりしています。
「あんた一体俺たちをどうやって助けるというんだ?」
当然の意見よね。わざわざ牢獄に入るなんて何を考えているのでしょうか。
「まあ見ててください」
そう言った珍獣さんは、私達の隠れていた物陰から少し離れた場所の鉄柵付近まで近づき、服の中から投てき用の石を取り出すと、その石で鉄柵を殴り始めた。
ちょっ!? いくら珍獣さんでもそんな方法では鉄柵は壊せませんよ!?
鉄柵と石がぶつかる音が夜の王宮に鳴り響く。
何度も何度も響き渡る。
「嬢ちゃん、期待させておいてそれはないんじゃないか?」
捕まっていた男性の発言はもっともなことよ珍獣さん。どうするの?
「あと少しだけご辛抱を」
珍獣さんは、再び石を叩き付け始めると、何やら騒がしくなってきてまいりました。
中庭に衛兵がやってきたのです。人数は少数。二名。
「貴様何をしている!?」
「何故服を着ている人間が猿園に?」
外見は完全に少女の珍獣さんを衛兵たちは何も警戒することなく猿園の入り口を開けて対応しようとした時でした。
いつの間にか彼らの背後まで移動していたグレイ様が一人を切り付け、正面にいた珍獣さんがロープでもう一人を鉄柵に固定しつつ、締め上げる。
「珍獣さん、徐々にエミリア度があがっていらっしゃいません?」
「あのお姉様。ついに名前と勲章が逆転しています」
? 私今珍獣さんにツッコまれた!?
「あれ? それは勲章と呼べないのでは?」
「お姉様からの罵倒はみな勲章です」
手遅れなエミリアさんをよそに空いた鉄柵の入り口からぞろぞろと出てくる全裸の人々。
「服、どうしましょうか?」
「そうだね、まあ、しばらく耐えてもらうしかないかな。この人数の服はさすがにちょっとね」
ひとまず猿園から皆様を誘導しようとした時でした。
エミリアさんが何かを察知して私を突き飛ばすと、突然何かが珍獣さんに向かって衝突し、そのまま鉄柵に押し付けられてエミリアさんがダウンしてしまいました。
「何事?」
本来なら私に衝突していたであろう何か。黒い髪をはやした東洋人。え?
「ジェ……スカ?」
エミリアさんに向かって投げ飛ばされたのは、南門から向かってきていたはずのジェスカでした。
「ジェスカ!! 大丈夫なの?」
エミリアさんは珍獣なので大丈夫だと思いますが、ジェスカは人間ですし多少は心配になります。
ジェスカは完全に気を失っています。ジェスカってそんなに強くないのかしら?
そしてジェスカを吹き飛ばした方に目を向けると、白い髪を長く伸ばしたドレスを着た女性が一人。
彼女はもう一人掴んでいる。金髪のメイド服の女性。間違いありません。あれはエレナです。
「彼女を放しなさい」
「んぁ? ああ、そういえばもっていたでごぜぇますね」
白い髪の女は、軽々しくエレナを持ち上げ、勢いよく私目掛けて投げつけてきました。
グレイ様が間に入り、エレナを受け止めます。人間一人の重さを受け止めるのは、例えそれが女性でも重く、グレイ様も受け止めるので精いっぱいな様子でした。
「本当に化け物ですね。アンジェリカ女王陛下」
「この女が」
噂に聞く怪力の女性。六十九歳のご老体とは思えない最強の人類。ジバジデオ王国女王陛下アンジェリカ・アウグスタ・ジバジデオ。
この猿園を作り上げ、アルデマグラ公国民を愛玩奴隷として飼育していた最低最悪の女王。
「グレイ様、この後はどうなさるのですか?」
「うーん、僕とルーの二人だけかぁ。せめてもう一人欲しい所なんだよなぁ」
やはり、女王相手の場合に限り、グレイ様は私を戦力としてカウントするのですね。
「ですが、本当にアレで女王を何とかできるというのですか?」
「まあ、多分ね」
多分って大丈夫なのですか?
「時間を稼ぐ。猿園の中にエリオットはいないのかい?」
「お兄様ですか? 探してみます」
これだけの騒ぎが起きていてなお、お兄様が出てきていない。確かに不思議ですね。
「ん? ああ、こないだ来た騎士でごぜぇますか? あれなら中庭でない方の猿園に入れたでごぜぇますよ。最初は中庭にいれたでごぜぇますが、」
「なんですって?」
つまり、今この女王を退けても、お兄様救出にはならない?
「随分正直に教えてくれるじゃないか」
「隠す理由がないでごぜぇますよ。私が負けたらどうせ教えることでごぜぇます」
決して過信せず、己が勝つと言わない女王。しかし、その強さは本物でしょう。
成人男性より少し体格の良いジェスカを、石を投げるように投げ飛ばす筋力。引きずっている大剣で一方的に蹂躙する強さは、その汚れていない服と乱れていない髪から理解できます。
「やっぱり逃げません? せめて他の方々が到着してからでも…………」
「? 他の方々でごぜぇますか?」
私の言葉を聞いた女王が、その大剣を振り上げ、地面にたたきつけますと、縛り上げれた方々が連れて困れました。
「冗談きついねこれは」
「嘘よね?」
お義姉様、マリア、オーロフ、バルトローメス。他の騎士の方やお義姉様が連れてきた方々。皆同様に縛り上げられています。
「全員とても弱かったでごぜぇますよ」
何よこれ。みんな私のせい?
なんで?
いつから?
どこから?
え?
嫌。
認めない。
私とグレイ様二人。
ついこないだ二人での共闘は、最後に勇猛な騎士の協力により終結した。
二度目、リベンジ?
それとも、例えここで女王に打ち勝てても、また誰かを失う?
今までの人生から幼い頃から一緒にいた御者《ヤーコフ》を失った。
ワガママと勘違いされている私と仲良くしてくださった親友《ルーツィア》を失った。
新しくついた豪快で気のいい護衛《マルッティ》を失った。
もう、何も失いたくない。
「グレイ様、やりましょう」
私の声掛けに対し、グレイ様は一瞬だけ驚いたような表情をされましたが、すぐにいつもの余裕そうな表情に戻りました。
「ポンコツしかできないことを」
「その気になったんだねルー。始めようか君の演奏会を」
失いたくない! それが私のワガママだから!!
「グレイ様、この柵はどうやって壊せばいいのかしら?」
「そう簡単に壊れないだろうね。敵兵を制圧して従わせよう」
「え?」
メンバーは私とグレイ様と珍獣さんの三人。もちろん私は何もしません。
私とグレイ様はひとまず二人で物陰に隠れ、珍獣さんがわずかなレンガの継ぎ目に指をかけ中庭の城壁を登り始める。
人じゃなくてクモでしたね?
「彼女は一体どんな厳しい訓練を?」
「私の為だと思えばどんな厳しい修行も気持ちいと言っていたわ」
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「ねえ、いまこの状況で大きな声で叫びたくなるようなこと言うのやめません?」
壁を登り切った珍獣さんは、服の中からロープを取り出している。片手で全体重支えているのね。
珍獣さんは全体的に小柄なためそこまで負担ではないと思いますが、当然その腕も細い。
ロープを猿園の鉄柵の上部にあるとがった所にひっかけ、そのまま城壁を蹴り、柵に飛び移る。クモ兼猿。
あなたエミリア・スパイダー・モンキー・ディートリヒに改名したらどうですか?
「なんかセンスのないことを考えていそうな表情をしているうちにディートリヒ嬢が柵の中に入ったね」
「この鉄柵。大きな屋敷くらいの高さありませんか」
「……そうだね」
いとも簡単に侵入した珍獣。裸の人々の中に一人服を着た女性が現れ、皆が注目している。
まあ、当然よね。そもそも上から女性が降りてきただけでも注目の的よ。
「初めまして、私エミリア・ディートリヒと申します。アルデマグラ公国ディートリヒ伯爵家の長女に生まれたものです。皆様を救出する為に馳せ参じました」
「伯爵令嬢?」「ディートリヒ?」「令嬢に何ができる」「だが今、上から現れたぞ」「若い女」「一体なにごとだ?」
鉄柵の中にいた皆が、珍獣さんに注目を集めている。まだジバジデオ王国の兵に見つかっていないのは、兵力が南門に集まっているからでしょう。
南門。ジェスカとエレナ。ジェスカがいるから大丈夫だと思いますし、エレナもしっかりしています。
「あんた一体俺たちをどうやって助けるというんだ?」
当然の意見よね。わざわざ牢獄に入るなんて何を考えているのでしょうか。
「まあ見ててください」
そう言った珍獣さんは、私達の隠れていた物陰から少し離れた場所の鉄柵付近まで近づき、服の中から投てき用の石を取り出すと、その石で鉄柵を殴り始めた。
ちょっ!? いくら珍獣さんでもそんな方法では鉄柵は壊せませんよ!?
鉄柵と石がぶつかる音が夜の王宮に鳴り響く。
何度も何度も響き渡る。
「嬢ちゃん、期待させておいてそれはないんじゃないか?」
捕まっていた男性の発言はもっともなことよ珍獣さん。どうするの?
「あと少しだけご辛抱を」
珍獣さんは、再び石を叩き付け始めると、何やら騒がしくなってきてまいりました。
中庭に衛兵がやってきたのです。人数は少数。二名。
「貴様何をしている!?」
「何故服を着ている人間が猿園に?」
外見は完全に少女の珍獣さんを衛兵たちは何も警戒することなく猿園の入り口を開けて対応しようとした時でした。
いつの間にか彼らの背後まで移動していたグレイ様が一人を切り付け、正面にいた珍獣さんがロープでもう一人を鉄柵に固定しつつ、締め上げる。
「珍獣さん、徐々にエミリア度があがっていらっしゃいません?」
「あのお姉様。ついに名前と勲章が逆転しています」
? 私今珍獣さんにツッコまれた!?
「あれ? それは勲章と呼べないのでは?」
「お姉様からの罵倒はみな勲章です」
手遅れなエミリアさんをよそに空いた鉄柵の入り口からぞろぞろと出てくる全裸の人々。
「服、どうしましょうか?」
「そうだね、まあ、しばらく耐えてもらうしかないかな。この人数の服はさすがにちょっとね」
ひとまず猿園から皆様を誘導しようとした時でした。
エミリアさんが何かを察知して私を突き飛ばすと、突然何かが珍獣さんに向かって衝突し、そのまま鉄柵に押し付けられてエミリアさんがダウンしてしまいました。
「何事?」
本来なら私に衝突していたであろう何か。黒い髪をはやした東洋人。え?
「ジェ……スカ?」
エミリアさんに向かって投げ飛ばされたのは、南門から向かってきていたはずのジェスカでした。
「ジェスカ!! 大丈夫なの?」
エミリアさんは珍獣なので大丈夫だと思いますが、ジェスカは人間ですし多少は心配になります。
ジェスカは完全に気を失っています。ジェスカってそんなに強くないのかしら?
そしてジェスカを吹き飛ばした方に目を向けると、白い髪を長く伸ばしたドレスを着た女性が一人。
彼女はもう一人掴んでいる。金髪のメイド服の女性。間違いありません。あれはエレナです。
「彼女を放しなさい」
「んぁ? ああ、そういえばもっていたでごぜぇますね」
白い髪の女は、軽々しくエレナを持ち上げ、勢いよく私目掛けて投げつけてきました。
グレイ様が間に入り、エレナを受け止めます。人間一人の重さを受け止めるのは、例えそれが女性でも重く、グレイ様も受け止めるので精いっぱいな様子でした。
「本当に化け物ですね。アンジェリカ女王陛下」
「この女が」
噂に聞く怪力の女性。六十九歳のご老体とは思えない最強の人類。ジバジデオ王国女王陛下アンジェリカ・アウグスタ・ジバジデオ。
この猿園を作り上げ、アルデマグラ公国民を愛玩奴隷として飼育していた最低最悪の女王。
「グレイ様、この後はどうなさるのですか?」
「うーん、僕とルーの二人だけかぁ。せめてもう一人欲しい所なんだよなぁ」
やはり、女王相手の場合に限り、グレイ様は私を戦力としてカウントするのですね。
「ですが、本当にアレで女王を何とかできるというのですか?」
「まあ、多分ね」
多分って大丈夫なのですか?
「時間を稼ぐ。猿園の中にエリオットはいないのかい?」
「お兄様ですか? 探してみます」
これだけの騒ぎが起きていてなお、お兄様が出てきていない。確かに不思議ですね。
「ん? ああ、こないだ来た騎士でごぜぇますか? あれなら中庭でない方の猿園に入れたでごぜぇますよ。最初は中庭にいれたでごぜぇますが、」
「なんですって?」
つまり、今この女王を退けても、お兄様救出にはならない?
「随分正直に教えてくれるじゃないか」
「隠す理由がないでごぜぇますよ。私が負けたらどうせ教えることでごぜぇます」
決して過信せず、己が勝つと言わない女王。しかし、その強さは本物でしょう。
成人男性より少し体格の良いジェスカを、石を投げるように投げ飛ばす筋力。引きずっている大剣で一方的に蹂躙する強さは、その汚れていない服と乱れていない髪から理解できます。
「やっぱり逃げません? せめて他の方々が到着してからでも…………」
「? 他の方々でごぜぇますか?」
私の言葉を聞いた女王が、その大剣を振り上げ、地面にたたきつけますと、縛り上げれた方々が連れて困れました。
「冗談きついねこれは」
「嘘よね?」
お義姉様、マリア、オーロフ、バルトローメス。他の騎士の方やお義姉様が連れてきた方々。皆同様に縛り上げられています。
「全員とても弱かったでごぜぇますよ」
何よこれ。みんな私のせい?
なんで?
いつから?
どこから?
え?
嫌。
認めない。
私とグレイ様二人。
ついこないだ二人での共闘は、最後に勇猛な騎士の協力により終結した。
二度目、リベンジ?
それとも、例えここで女王に打ち勝てても、また誰かを失う?
今までの人生から幼い頃から一緒にいた御者《ヤーコフ》を失った。
ワガママと勘違いされている私と仲良くしてくださった親友《ルーツィア》を失った。
新しくついた豪快で気のいい護衛《マルッティ》を失った。
もう、何も失いたくない。
「グレイ様、やりましょう」
私の声掛けに対し、グレイ様は一瞬だけ驚いたような表情をされましたが、すぐにいつもの余裕そうな表情に戻りました。
「ポンコツしかできないことを」
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