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第3章 ポンコツしかできないこと
29話 ジバジデオ王国入国
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目が覚めますと、当然エミリアさんが……侵入できていない!? 嘘でしょ?
「何かあったのかしら?」
「賊、もとい珍しい敷物でしたら見事罠に捉えることに成功しました」
「エレナ、あのえ? すごい」
窓には縄でぐるぐる巻きにされているエミリアさん。すごいけど、外から不審に見えないかしら?
面倒な人は、お金で黙らせましょう。
さて、珍しい窓の飾りは仕方ないので回収して他の皆様が起きているか確認しなくてはいけませんね。
「まあ、グレイ様もジェスカも早起きですからどうせ待たせているのでしょう?」
「はい、ぐっすり眠るのはお嬢様だけです」
「悪かったわね」
さて、でしたらエレナのことですしすべての準備が整っているのでしょう。朝食を頂いてからすぐに馬車に乗りました。
防衛都市グルヴィーラはすぐに出発できそうですね。なんかこの見た目ですし、嫌な予感ってうっすら思っていたのですよね。
こう戦えと言われているような街に訪れますと、こういったおあつらえ向きな場所に立ち寄ったら戦うのが定石のようなあれです。
小説の読みすぎね。でも、ジバジデオ王国が攻めてきたらここも戦場になるのですよね。
本当にそうならない内に逃げてしまいましょうか。ええ、本当に。
グルヴィーラの街にある門を潜り抜け、ジバジデオ王国に向かう道のりを真っすぐ目指しましたわ。
ジェスカもグレイ様も終始無言。発言は最低限のみ。何かあったのかしら?
まあ、この二人に何かあろうと正直どうでもいいですわ。
「ジバジデオ王国に入るまではどれくらいかしら?」
「すぐだよ。もうすぐ関所がある。まあ、あまり気分のいい場所じゃないんだけどね」
私の疑問にグレイ様がすぐに答えてくださりましたわ。ですが、どうやら関所には何かしら問題があるのか、あまりいい表現ではなさそうな言い方をしていました。
「まあ、いいわ。自分の目で確かめてから批判しましょう」
「批判はするのですね」
「一応うちの変態王子の感性を信じているだけです。ほら、一応臣下ですし?」
まあ、付き従おうだなんて微塵も考えていませんけどね。私、偏見通りワガママですから。
しばらくしない内に本当に関所に到着致しましたわ。関所にはアルデマグラ公国の騎士とジバジデオ王国の騎士がお互いをにらみ合うように警備していらっしゃいます。
ああ、本当にいい雰囲気ではありませんのね。
「とにかく通りましょう? このような場所はとっととおさらばです」
「そうだね、通行料も身分証明もできるし難なく通り抜けられる。行こうか」
公国側の騎士に先に声をかけ、王国側の兵と会話。入国料を支払いジバジデオ王国に突入しましたわ。
「僕はさすがに何度も行き来しているけど、みんなは初めてかな?」
「ええ、そうよ」
その後、エレナもエミリアさんも初めてであると口にしましたけど、ジェスカは違いました。
「俺はあるぜ? 何度もな」
そうでしたね。ジェスカたちが野盗時代。奴隷を入手した場合は法的に問題のないジバジデオ王国で売買していたのですから、入国回数が多いのは、想定の範囲内よね。
ジェスカの罪の清算は、私が責任を持つこととして従属して頂いてます。責任と言いましても、傍に置いて従属してもらう以外に今の所何かをしてもらったことはありませんけどね。
ですが、ここはジバジデオ王国。きっとジェスカたちに売られた公国民の奴隷もいるはず。
「ジェスカ、この国にはきっとあなたを恨んでいる人たちがたくさんいらっしゃいます。覚悟はできていますよね?」
「ああ、わかってるよ姫さん。俺たちが生きながらえるためとはいえ、一度は踏み外した道だ。けじめをつける時くらいちゃんとするさ」
本当にわかっているのかしら? 貴方のことだから無駄な責任感を感じて死んでしまいそうなのですけど? まさかね。
もう、誰かが死ぬのを近くで見たくないわよ。ヤーコフさんもマルッティも私の為に…………
貴方は死にませんよねジェスカ。いつしか大切な仲間になっていたことは黙っておきましょう。それは当然ヨハンネスもマリアもメルヒオール様やお義姉様だって死なせたくない。
ルイーセ様は元からのご友人ですので思わなかっただけで、省いたつもりはありません。
「そういえば同じジバジデオ王国方面にヨハンネス様とオルガ様も捜索されていらっしゃいますので見つかるのは時間の問題かと思います」
「なんですって!? 急ぎましょう」
お義姉様!? エレナの爆弾発言はもっと早く教えて頂きたかったですわ。急がなければ、絶対に見つかります。
「お義姉様のことです。もう捕捉されていることも視野に入れて急ぎましょう」
ジバジデオ王国にはお義姉様も来たことがあるはずです。つまり、お知り合いやツテもあるはず。とっとと、出ていきましょう。
そう思い馬車を走らせますと、エレナの時同様、突然馬車が止まりましたわ。
もう見つかりましたの!?
「姫さん! 王子さんよぉ! 公国の騎士が倒れてやがる!」
「何ですって!」
横たわっている騎士に駆け寄りますと、そこで倒れていらっしゃったのは第一騎士団団員バルトロメーウス・グラシアン。グラシアン辺境伯の子息。
お兄様の部下の一人で何度かお顔を拝見したことがある方であると同時にルイーセ様の婚約者です。
「バルトローメスしっかりしろ! エレナ君、水を!」
「こちらに」
エレナは倒れている騎士の話を聞き、既に用意していた給水袋をグレイ様にお渡しします。
グレイ様はそれをバルトローメスに飲ませ、バルトローメスが回復するまで近くで休憩することになりました。
「申し訳ありません、王子殿下。それからルクレシア様。命からがらジバジデオ王国にある王都ジョウイから逃げてきました」
「逃げてきた? 待て、君と一緒にジバジデオの王宮に向かったエリオットとベネディクトゥスはどうした?」
お兄様とご同行していらしたのに、彼一人逃げ延びた? どういうこと?
「ご説明します。ジバジデオ王国はアルデマグラ公国とデークルーガ帝国の戦争に対する不干渉を断り、デークルーガ帝国に加担すると宣言されました」
最悪の時代ですわね。ジバジデオ王国が動き出す前に戦争を終わらせないと被害が大きくなりすぎてしまいます。
特に南に面しているベルトラーゾ領、クラヴィウス領は、これを機に侵略されかねない領地ですわ。
友人の領地以前に自国の領土。そのようなことは許せません。それも問題ですがもう一つ、お兄様は?
「一緒にジバジデオ王国に向かった際、女王アンジェリカは宣戦布告と共にエリオット様と一騎打ちになりましたが、トドメの瞬間にベネディクトゥスが盾になりまして。そして私は恐怖に怯え、恥と知りながら一人逃げ延びました」
そういわれてしまってはどうしよもない。きっとお兄様でなければ全員捕まっていたか殺されていたのでしょうね。
バルトローメスの行動は騎士としては恥だったかもしれません。ですが、その恥のおかげで今私たちに状況を伝えることができました。何も知らないままでしたら、きっと大きな被害をもたらしたでしょう。
「よく生き延びましたわバルトローメス。貴方はこのまま公国に戻り、このことを伝えなさい」
「君が命令するのかいルー? まあ、いいけどね。そうしてくれるかな?」
「了解です。これからもっと恥を伝えることになりますが、それで国民が一人でも多く救えるのでしたら、私はより多くの泥をかぶるつもりです」」
「期待しているわ」
わずかながらの水と食糧。それからジバジデオ王国とアルデマグラ公国の関所を通り抜けられる交通料を渡し、バルトローメスは帰国しましたわ。
バルトローメスは一度帰国しようと帰路に向かおうとしましたが、ちらりとこちらを振り向きました。
「そうでした。フランスワ家の人間だけはジバジデオ王国に近づけないでください。特に女王アンジェリカは今でもフランスワ家を恨んでいます」
それだけ言い残し、また歩き始めましたわ。
「なあ姫さん。騎士ってのはなんで生き延びることを恥じるんだ?」
「そういう生き物なのよ」
「生理現象か」
「…………そうよ」
全然違いますけどね。さてと、お兄様の安否が気になりますね。だとしたらお義姉様と合流すべきよね。婚約者であるお義姉様だってご心配のはず。
「それから…………ヨハンネスだけはどこか遠くに追いやる必要があるのね」
きっと話を聞けば貴方はこちらに駆けつけてくるのでしょう? 本当に面倒ごとのパレードね。
「何かあったのかしら?」
「賊、もとい珍しい敷物でしたら見事罠に捉えることに成功しました」
「エレナ、あのえ? すごい」
窓には縄でぐるぐる巻きにされているエミリアさん。すごいけど、外から不審に見えないかしら?
面倒な人は、お金で黙らせましょう。
さて、珍しい窓の飾りは仕方ないので回収して他の皆様が起きているか確認しなくてはいけませんね。
「まあ、グレイ様もジェスカも早起きですからどうせ待たせているのでしょう?」
「はい、ぐっすり眠るのはお嬢様だけです」
「悪かったわね」
さて、でしたらエレナのことですしすべての準備が整っているのでしょう。朝食を頂いてからすぐに馬車に乗りました。
防衛都市グルヴィーラはすぐに出発できそうですね。なんかこの見た目ですし、嫌な予感ってうっすら思っていたのですよね。
こう戦えと言われているような街に訪れますと、こういったおあつらえ向きな場所に立ち寄ったら戦うのが定石のようなあれです。
小説の読みすぎね。でも、ジバジデオ王国が攻めてきたらここも戦場になるのですよね。
本当にそうならない内に逃げてしまいましょうか。ええ、本当に。
グルヴィーラの街にある門を潜り抜け、ジバジデオ王国に向かう道のりを真っすぐ目指しましたわ。
ジェスカもグレイ様も終始無言。発言は最低限のみ。何かあったのかしら?
まあ、この二人に何かあろうと正直どうでもいいですわ。
「ジバジデオ王国に入るまではどれくらいかしら?」
「すぐだよ。もうすぐ関所がある。まあ、あまり気分のいい場所じゃないんだけどね」
私の疑問にグレイ様がすぐに答えてくださりましたわ。ですが、どうやら関所には何かしら問題があるのか、あまりいい表現ではなさそうな言い方をしていました。
「まあ、いいわ。自分の目で確かめてから批判しましょう」
「批判はするのですね」
「一応うちの変態王子の感性を信じているだけです。ほら、一応臣下ですし?」
まあ、付き従おうだなんて微塵も考えていませんけどね。私、偏見通りワガママですから。
しばらくしない内に本当に関所に到着致しましたわ。関所にはアルデマグラ公国の騎士とジバジデオ王国の騎士がお互いをにらみ合うように警備していらっしゃいます。
ああ、本当にいい雰囲気ではありませんのね。
「とにかく通りましょう? このような場所はとっととおさらばです」
「そうだね、通行料も身分証明もできるし難なく通り抜けられる。行こうか」
公国側の騎士に先に声をかけ、王国側の兵と会話。入国料を支払いジバジデオ王国に突入しましたわ。
「僕はさすがに何度も行き来しているけど、みんなは初めてかな?」
「ええ、そうよ」
その後、エレナもエミリアさんも初めてであると口にしましたけど、ジェスカは違いました。
「俺はあるぜ? 何度もな」
そうでしたね。ジェスカたちが野盗時代。奴隷を入手した場合は法的に問題のないジバジデオ王国で売買していたのですから、入国回数が多いのは、想定の範囲内よね。
ジェスカの罪の清算は、私が責任を持つこととして従属して頂いてます。責任と言いましても、傍に置いて従属してもらう以外に今の所何かをしてもらったことはありませんけどね。
ですが、ここはジバジデオ王国。きっとジェスカたちに売られた公国民の奴隷もいるはず。
「ジェスカ、この国にはきっとあなたを恨んでいる人たちがたくさんいらっしゃいます。覚悟はできていますよね?」
「ああ、わかってるよ姫さん。俺たちが生きながらえるためとはいえ、一度は踏み外した道だ。けじめをつける時くらいちゃんとするさ」
本当にわかっているのかしら? 貴方のことだから無駄な責任感を感じて死んでしまいそうなのですけど? まさかね。
もう、誰かが死ぬのを近くで見たくないわよ。ヤーコフさんもマルッティも私の為に…………
貴方は死にませんよねジェスカ。いつしか大切な仲間になっていたことは黙っておきましょう。それは当然ヨハンネスもマリアもメルヒオール様やお義姉様だって死なせたくない。
ルイーセ様は元からのご友人ですので思わなかっただけで、省いたつもりはありません。
「そういえば同じジバジデオ王国方面にヨハンネス様とオルガ様も捜索されていらっしゃいますので見つかるのは時間の問題かと思います」
「なんですって!? 急ぎましょう」
お義姉様!? エレナの爆弾発言はもっと早く教えて頂きたかったですわ。急がなければ、絶対に見つかります。
「お義姉様のことです。もう捕捉されていることも視野に入れて急ぎましょう」
ジバジデオ王国にはお義姉様も来たことがあるはずです。つまり、お知り合いやツテもあるはず。とっとと、出ていきましょう。
そう思い馬車を走らせますと、エレナの時同様、突然馬車が止まりましたわ。
もう見つかりましたの!?
「姫さん! 王子さんよぉ! 公国の騎士が倒れてやがる!」
「何ですって!」
横たわっている騎士に駆け寄りますと、そこで倒れていらっしゃったのは第一騎士団団員バルトロメーウス・グラシアン。グラシアン辺境伯の子息。
お兄様の部下の一人で何度かお顔を拝見したことがある方であると同時にルイーセ様の婚約者です。
「バルトローメスしっかりしろ! エレナ君、水を!」
「こちらに」
エレナは倒れている騎士の話を聞き、既に用意していた給水袋をグレイ様にお渡しします。
グレイ様はそれをバルトローメスに飲ませ、バルトローメスが回復するまで近くで休憩することになりました。
「申し訳ありません、王子殿下。それからルクレシア様。命からがらジバジデオ王国にある王都ジョウイから逃げてきました」
「逃げてきた? 待て、君と一緒にジバジデオの王宮に向かったエリオットとベネディクトゥスはどうした?」
お兄様とご同行していらしたのに、彼一人逃げ延びた? どういうこと?
「ご説明します。ジバジデオ王国はアルデマグラ公国とデークルーガ帝国の戦争に対する不干渉を断り、デークルーガ帝国に加担すると宣言されました」
最悪の時代ですわね。ジバジデオ王国が動き出す前に戦争を終わらせないと被害が大きくなりすぎてしまいます。
特に南に面しているベルトラーゾ領、クラヴィウス領は、これを機に侵略されかねない領地ですわ。
友人の領地以前に自国の領土。そのようなことは許せません。それも問題ですがもう一つ、お兄様は?
「一緒にジバジデオ王国に向かった際、女王アンジェリカは宣戦布告と共にエリオット様と一騎打ちになりましたが、トドメの瞬間にベネディクトゥスが盾になりまして。そして私は恐怖に怯え、恥と知りながら一人逃げ延びました」
そういわれてしまってはどうしよもない。きっとお兄様でなければ全員捕まっていたか殺されていたのでしょうね。
バルトローメスの行動は騎士としては恥だったかもしれません。ですが、その恥のおかげで今私たちに状況を伝えることができました。何も知らないままでしたら、きっと大きな被害をもたらしたでしょう。
「よく生き延びましたわバルトローメス。貴方はこのまま公国に戻り、このことを伝えなさい」
「君が命令するのかいルー? まあ、いいけどね。そうしてくれるかな?」
「了解です。これからもっと恥を伝えることになりますが、それで国民が一人でも多く救えるのでしたら、私はより多くの泥をかぶるつもりです」」
「期待しているわ」
わずかながらの水と食糧。それからジバジデオ王国とアルデマグラ公国の関所を通り抜けられる交通料を渡し、バルトローメスは帰国しましたわ。
バルトローメスは一度帰国しようと帰路に向かおうとしましたが、ちらりとこちらを振り向きました。
「そうでした。フランスワ家の人間だけはジバジデオ王国に近づけないでください。特に女王アンジェリカは今でもフランスワ家を恨んでいます」
それだけ言い残し、また歩き始めましたわ。
「なあ姫さん。騎士ってのはなんで生き延びることを恥じるんだ?」
「そういう生き物なのよ」
「生理現象か」
「…………そうよ」
全然違いますけどね。さてと、お兄様の安否が気になりますね。だとしたらお義姉様と合流すべきよね。婚約者であるお義姉様だってご心配のはず。
「それから…………ヨハンネスだけはどこか遠くに追いやる必要があるのね」
きっと話を聞けば貴方はこちらに駆けつけてくるのでしょう? 本当に面倒ごとのパレードね。
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