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第2章 公爵令嬢でもできること
20話 燃えるのは情熱だけで結構です
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私が二週間領地に帰ることになりましたので、友人方を招いてお茶会を一度だけ開きました。あとはほぼお義姉様に拘束された状態の日々でしたので何もありませんでした。
本当は誰とも合わせて貰えないはずでしたが、おそらく私を襲った方は、対立派閥の貴族だろうということになり、レティシア様、ルイーセ様、ルーツィア様は問題なしと判断されました。
お三方に領地に戻ることをお話すると皆、悲しんでくださりましたが、さすがに命が狙われていることだけはお話しませんでした。ご心配をおかけする訳には行きませんものね。
本日出発することもお話してありますので、お見送りに来てくださるそうです。
「ルクレシア様!」
「皆様、わざわざお見送りに来ていただきありがとうございます」
「いえ、私たちもルクレシア様からお離れになるのはとても寂しいので」
お三方は何やらお見送りと一緒に手土産まで持参してくださりました。レティシア様からはドライフルーツを、ルイーセ様からは燻製肉を、ルーツィア様からはワインをひと箱ずつ頂きました。少々長旅になるため、助かりますわ。ワインだけ少々多い気がしますが……まあ、マルッティが飲むでしょう。
「皆様ありがとうございます。ベッケンシュタイン領までは馬車で3日かかりますので、こちらは道中に頂きますね」
素敵な友人方がいらして私は幸せ者ですね。私とエレナとマリアが馬車に乗り込み、御者の席に今日はヨハンネスとマルッティが座られています。どうやらマルッティも御者の仕事ができるようですね。ヨハンネスは勉強中だそうです。
そして馬車は走り出しましたわ。小さくなる家族と友人方にベッケンシュタイン家のお屋敷。いえ、二週間後には戻れますのであまり寂しがる必要はありませんね。本当に戻れますよね?
馬車の中ではエレナとマリアの三人。この三人で話すことも多くなり、年の近さか会話がはずみます。
マルッティとヨハンネスは勤務中ということもあり、特に会話をする様子もありませんね。
王都を出ますとしばらくは麦畑や牧場。羊飼いが大量の羊を連れて歩いています。この時期になりますと日差しも強く温かいというよりは少々暑いですね。ですが風が気持ちいいです。辺り一面の緑も秋ごろには模様替えしてしまうのですね。
「そういえばマリアはどちら出身なのかしら?」
私はこれから向かうベッケンシュタイン領ですし、エレナはナダル領。ですが、マリアがどちらの出身かなどは聞いたことがありませんでしたね。
「実は私ベッケンシュタイン領出身なのですよ」
意外も意外。我が領民でしたのね! 領主の娘より先に結婚させませんからね!
「本当ですか! どのあたりなのです?」
「レークアという地区になります。ほらレークア劇場と言えばお嬢様の為だけに建てられた劇場があるじゃないですか」
「レークア! ええ! あの町の雰囲気は大変気に入っています。勿論、白い石造りの我がサクリアも素敵ですが、レークアの町はとても趣のある建築物が多いのですよね!」
「お嬢様って本当に建築物がお好きですね」
そうですわ。マリアのご実家もあることですし、レークアに少しだけ滞在するのも良いですわね。せっかくですし、妹のミシェーラも連れて行ってあげましょう。たまにガス抜きさせてあげませんと面倒ですからね。それに私がミシェーラをだっこしたい。
馬車で走って領地に向かう道中には、大きめの町が一つと小さめの村が二つほどあります。
大きめの町で一泊。片方の村で一泊。そして三日目にはベッケンシュタイン領最大の都サクリアに到着致します。
一泊する予定の村はダンマーク男爵領となっており、そちらはルーツィア様のご実家の領地となっています。小さいながらもブドウが名産の領地となっています。手土産として受け取りましたのもワインでしたし、よほど自慢なのでしょう。
馬車の中では当然何か起きることもなく、特に野盗に襲われることもありませんでした。安全であることに越したことはありません。そのまま一つ目の町まで向かいましょう。
一つ目の町の宿にたどり着き、エレナが手続きを行いますと四部屋とり、私とマリアが同室。それ以外の方々が一室ずつという部屋割になりましたわ。
「エレナも一緒で良かったのよ? あなたも辺境伯令嬢でしょう?」
「いえ、お嬢様の足枷になる訳には行きません」
彼女も一応高位の貴族ですのに、メイドとしての職務を徹底しています。そういえば最近二人きりになる時間がだんだん短くなっていますね。
さすがは騎士様と言った所なのでしょうか。私とマリアは二人で部屋に入りますと、すぐにマリアは部屋中を調べまわりました。窓を開け、窓から地面までの距離や屋根上から窓を侵入経路にされないかしっかり確認しています。
きっと他の部屋でも似たようなことがされていますのでしょう。この護衛部隊とご一緒ですと安心して眠れそうですね。
旅の疲れもあり、私はベッドに入ると、ぐっすりと眠ってしまいました。心地よく眠ろうとしますと突然の轟音と火事だぁ! という叫び声。
当然私は飛び起きましたし、マリアはすぐに状況確認を行いました。エレナ達もすぐに私の部屋に集合。
「おい嬢ちゃん! どうやらこの宿が燃えちまっているらしい。避難するぞ!」
マルッティがすでに火事の確認を済ませており、私たちは火元や煙からなるべく遠いルートを選んで避難しましたわ。
「火元はどちらだったのでしょうか?」
「正確には宿と隣接している馬車の停泊所だそうだ」
「何ですって?」
馬車の停泊所ってそちらには私の馬車もあるはずです。ここで燃えてしまいましたらどうしろ言うのですか。と、言いますか停泊所が火元?
幸か不幸か、馬たちは勝手に逃げ出していたようで、人も馬も死亡者なし。停泊していた馬車のほとんどが燃え上がり、宿も一部燃え移りましたが、すぐに沈下。被害はそこまで大きくなりませんでした。
「エレナとマルッティはすぐに代用の馬車を用意なさい。ヨハンネスとマリアは引き続き私から離れない様に」
「「「「畏まりましたお嬢様」」」」
この火は偶然なのでしょうか? それとも必然? そもそも馬車が燃え始めるってどういうことなのでしょうか。深く考えない方が良いかしら?
「二人は出火原因をどう思いました?」
「どうでしょうね。馬車の停泊所が突然燃え始めるなんて聞いたことがありません」
「私も前例を聞いたことがありません」
「そうですよね」
さすがにヨハンネスもマリアもこのような事態は初めてでしたか。それに馬車のほとんどが燃えたことも気になります。何か燃えやすいものにでも引火してしまったのでしょうか。
「推測になりますが今回の出火原因は、放火ではないでしょうか?」
「放火? ……あり得るわね」
もし原因が放火であるなら、おそらく次の村でも私たちが泊まった宿が燃える可能性がありますね。きっとこれは私を殺すためにやったこと。であれば、次は野営にしましょう。きっと危険ですが、関係ない方々を巻き込むわけにはいきませんし、次に宿泊する予定でした村はダンマーク男爵領。ルーツィア様のご実家にも迷惑をかけてしまいます。
「お嬢様、代わりの馬車の用意ができました」
「ついでに燃えちまった食料の代わりも買っておいたぞ」
ああ、そうですね。積み荷はそのままでした。お三方から頂いた手土産を燃やしてしまったのですね。これはもう許すことができませんね。
いえ、そもそも私の命を狙った時点で許すもなにもありませんけど。
「エレナ、ルート変更よ。一番安全な道を考えてそれをマルッティに伝えて欲しいの」
「畏まりました」
今度は馬車の中に私とヨハンネスとマリア。御者の席にマルッティとエレナが座り、馬車を走らせました。
「でもよく野営を許可してくださりましたね」
「我々がいればなんとかなると思ったからというのも事実ですね。少し奢っていますが、お嬢様のことは必ずお守りしますよ」
「え? ええ! 当然ですわ!」
不覚にもダンゴムシ相手にドキッとしてしまいましたわ。本当に性別をはっきりさせて欲しい方ですわね。
本当は誰とも合わせて貰えないはずでしたが、おそらく私を襲った方は、対立派閥の貴族だろうということになり、レティシア様、ルイーセ様、ルーツィア様は問題なしと判断されました。
お三方に領地に戻ることをお話すると皆、悲しんでくださりましたが、さすがに命が狙われていることだけはお話しませんでした。ご心配をおかけする訳には行きませんものね。
本日出発することもお話してありますので、お見送りに来てくださるそうです。
「ルクレシア様!」
「皆様、わざわざお見送りに来ていただきありがとうございます」
「いえ、私たちもルクレシア様からお離れになるのはとても寂しいので」
お三方は何やらお見送りと一緒に手土産まで持参してくださりました。レティシア様からはドライフルーツを、ルイーセ様からは燻製肉を、ルーツィア様からはワインをひと箱ずつ頂きました。少々長旅になるため、助かりますわ。ワインだけ少々多い気がしますが……まあ、マルッティが飲むでしょう。
「皆様ありがとうございます。ベッケンシュタイン領までは馬車で3日かかりますので、こちらは道中に頂きますね」
素敵な友人方がいらして私は幸せ者ですね。私とエレナとマリアが馬車に乗り込み、御者の席に今日はヨハンネスとマルッティが座られています。どうやらマルッティも御者の仕事ができるようですね。ヨハンネスは勉強中だそうです。
そして馬車は走り出しましたわ。小さくなる家族と友人方にベッケンシュタイン家のお屋敷。いえ、二週間後には戻れますのであまり寂しがる必要はありませんね。本当に戻れますよね?
馬車の中ではエレナとマリアの三人。この三人で話すことも多くなり、年の近さか会話がはずみます。
マルッティとヨハンネスは勤務中ということもあり、特に会話をする様子もありませんね。
王都を出ますとしばらくは麦畑や牧場。羊飼いが大量の羊を連れて歩いています。この時期になりますと日差しも強く温かいというよりは少々暑いですね。ですが風が気持ちいいです。辺り一面の緑も秋ごろには模様替えしてしまうのですね。
「そういえばマリアはどちら出身なのかしら?」
私はこれから向かうベッケンシュタイン領ですし、エレナはナダル領。ですが、マリアがどちらの出身かなどは聞いたことがありませんでしたね。
「実は私ベッケンシュタイン領出身なのですよ」
意外も意外。我が領民でしたのね! 領主の娘より先に結婚させませんからね!
「本当ですか! どのあたりなのです?」
「レークアという地区になります。ほらレークア劇場と言えばお嬢様の為だけに建てられた劇場があるじゃないですか」
「レークア! ええ! あの町の雰囲気は大変気に入っています。勿論、白い石造りの我がサクリアも素敵ですが、レークアの町はとても趣のある建築物が多いのですよね!」
「お嬢様って本当に建築物がお好きですね」
そうですわ。マリアのご実家もあることですし、レークアに少しだけ滞在するのも良いですわね。せっかくですし、妹のミシェーラも連れて行ってあげましょう。たまにガス抜きさせてあげませんと面倒ですからね。それに私がミシェーラをだっこしたい。
馬車で走って領地に向かう道中には、大きめの町が一つと小さめの村が二つほどあります。
大きめの町で一泊。片方の村で一泊。そして三日目にはベッケンシュタイン領最大の都サクリアに到着致します。
一泊する予定の村はダンマーク男爵領となっており、そちらはルーツィア様のご実家の領地となっています。小さいながらもブドウが名産の領地となっています。手土産として受け取りましたのもワインでしたし、よほど自慢なのでしょう。
馬車の中では当然何か起きることもなく、特に野盗に襲われることもありませんでした。安全であることに越したことはありません。そのまま一つ目の町まで向かいましょう。
一つ目の町の宿にたどり着き、エレナが手続きを行いますと四部屋とり、私とマリアが同室。それ以外の方々が一室ずつという部屋割になりましたわ。
「エレナも一緒で良かったのよ? あなたも辺境伯令嬢でしょう?」
「いえ、お嬢様の足枷になる訳には行きません」
彼女も一応高位の貴族ですのに、メイドとしての職務を徹底しています。そういえば最近二人きりになる時間がだんだん短くなっていますね。
さすがは騎士様と言った所なのでしょうか。私とマリアは二人で部屋に入りますと、すぐにマリアは部屋中を調べまわりました。窓を開け、窓から地面までの距離や屋根上から窓を侵入経路にされないかしっかり確認しています。
きっと他の部屋でも似たようなことがされていますのでしょう。この護衛部隊とご一緒ですと安心して眠れそうですね。
旅の疲れもあり、私はベッドに入ると、ぐっすりと眠ってしまいました。心地よく眠ろうとしますと突然の轟音と火事だぁ! という叫び声。
当然私は飛び起きましたし、マリアはすぐに状況確認を行いました。エレナ達もすぐに私の部屋に集合。
「おい嬢ちゃん! どうやらこの宿が燃えちまっているらしい。避難するぞ!」
マルッティがすでに火事の確認を済ませており、私たちは火元や煙からなるべく遠いルートを選んで避難しましたわ。
「火元はどちらだったのでしょうか?」
「正確には宿と隣接している馬車の停泊所だそうだ」
「何ですって?」
馬車の停泊所ってそちらには私の馬車もあるはずです。ここで燃えてしまいましたらどうしろ言うのですか。と、言いますか停泊所が火元?
幸か不幸か、馬たちは勝手に逃げ出していたようで、人も馬も死亡者なし。停泊していた馬車のほとんどが燃え上がり、宿も一部燃え移りましたが、すぐに沈下。被害はそこまで大きくなりませんでした。
「エレナとマルッティはすぐに代用の馬車を用意なさい。ヨハンネスとマリアは引き続き私から離れない様に」
「「「「畏まりましたお嬢様」」」」
この火は偶然なのでしょうか? それとも必然? そもそも馬車が燃え始めるってどういうことなのでしょうか。深く考えない方が良いかしら?
「二人は出火原因をどう思いました?」
「どうでしょうね。馬車の停泊所が突然燃え始めるなんて聞いたことがありません」
「私も前例を聞いたことがありません」
「そうですよね」
さすがにヨハンネスもマリアもこのような事態は初めてでしたか。それに馬車のほとんどが燃えたことも気になります。何か燃えやすいものにでも引火してしまったのでしょうか。
「推測になりますが今回の出火原因は、放火ではないでしょうか?」
「放火? ……あり得るわね」
もし原因が放火であるなら、おそらく次の村でも私たちが泊まった宿が燃える可能性がありますね。きっとこれは私を殺すためにやったこと。であれば、次は野営にしましょう。きっと危険ですが、関係ない方々を巻き込むわけにはいきませんし、次に宿泊する予定でした村はダンマーク男爵領。ルーツィア様のご実家にも迷惑をかけてしまいます。
「お嬢様、代わりの馬車の用意ができました」
「ついでに燃えちまった食料の代わりも買っておいたぞ」
ああ、そうですね。積み荷はそのままでした。お三方から頂いた手土産を燃やしてしまったのですね。これはもう許すことができませんね。
いえ、そもそも私の命を狙った時点で許すもなにもありませんけど。
「エレナ、ルート変更よ。一番安全な道を考えてそれをマルッティに伝えて欲しいの」
「畏まりました」
今度は馬車の中に私とヨハンネスとマリア。御者の席にマルッティとエレナが座り、馬車を走らせました。
「でもよく野営を許可してくださりましたね」
「我々がいればなんとかなると思ったからというのも事実ですね。少し奢っていますが、お嬢様のことは必ずお守りしますよ」
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