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46話 ずっと見られてたと思うと恥ずかしいんだけどなぁ

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 ギルへのプレゼント捜しを継続しつつ、私達はルアさん捜索も再開することにしました。

 貴族街と違い、舗装の行き届いていない道ですが、ヒールの高い靴を選ばなくて正解でした。

 長時間歩いていたから気付きましたが、王都でもこういう田舎みたいな道があるのですね。

「疲れただろう? そこで一休みしよう」

 近くにあった公園のベンチ。ギルがそこにハンカチを敷くと、私に座るようにと促す。

「ギルは?」

「俺は直で問題ない」

「ですが」

「お前が早く座らないと、俺も座らないぞ?」

 そう言われ、しぶしぶ彼が敷いてくれたハンカチの上に腰をおろします。身分でいえば、むしろ私が直に座るべきだというのに。全くこの人は、顔に似合わず、本当に優しい人だ。

 しばらく二人でのんびりとしながら、今まで聞くことができなかったギルの好きなものや、行ってみたいところ。寝る前は何をしているかなど、質問攻めにしてあげました。

「海ですか?」

「ああ、幼い頃にとある話を聞いてな。その時は何とも思わなかったが、最近は少しだけそういうのもいいなと思えたんだ」

 海、実物は見たことありませんので、どんな場所か全くわからないんですよね。絵画で見た時はただの湖としか思いませんでしたし。あまり行きたいとは思えませんね。

 でも……ギルが行きたいっていうのでしたら。うーむ、やっぱり行きたいかもなぁ。どういう反応するか見てみたいし。

 ギルと二人なら、どこへでも。

「そろそろ良いだろう。俺も十分楽しんだし」

「そうですね! 早くしないと夕暮れに!」

 そう思い空を見上げると、時すでに遅し。青かったそれは、徐々にオレンジ色に染まりつつ、もうじき日暮れであることを教えてくれた。

「ああ、心配するな。そろそろ出てきたらどうですか?」

 そう言ってギルが私達の後ろの茂みに向かって声をかけると、そこからがさがさと音を立てて、リアと綺麗な金髪の女性が現れました。

「マリーちゃん、昨日ぶりかしら?」

「ルアさん!?」

 そこから出てきた金髪の女性は、ルアさんで間違いなさそうです。

「あ! あの、何故?」

「貴女のメイド。私の昔馴染みなのよね。それで見かけたから声をかけてみたら、私のことを探していたみたいだったから、面白かったので付け回すことにしました」

 ええ、こっちは何も面白くないんですけど。てゆうか、全部見られていたと言うことでしょうか。確かに護衛としてリアには少し離れた位置にいて貰いましたが。

「それで? 私に用があるのでしょう? 貴女のことを付け回しておいて難ですが、私仕事から抜け出してここにいるの」

 なにやっているんですかルアさん。しかし、お忙しいというのであればなるべく簡潔に済ませましょう。

「お願いがあります!」

「却下よ!」

「へ?」

「貴女のメイドから既に話は聞いているわ。元々私が動くつもりだった件だから貴女にお願いされてするつもりはないわ。むしろこちらからの要請よ。貴女に策があるというなら、協力なさい。私はお願いされる立場じゃなくて、命令する立場の人間よ」

 そう言ったルアさんは不敵に笑った。ですが、私には未だに彼女が何者かはっきりと聞いていなかった。

 しかし、ここまでの出来事や話を組み立ててやっと理解した。

 ベッケンシュタイン家の夜会に参加し、公爵家どころかミシェーラ様とご一緒にいた公子や公女を差し置いて一番身分の高い人。

 そんなの公妃様ルクレシア様以外ありえない。いくら顔を見たことないとはいえ、さすがに名前くらいなら知っている。ルアという偽名も本名からとったのだろう。

「どうやら気付いたみたいね。でもルアさんのままでいいわ。だって貴女が想像した人は、今頃お城にいるはずですもの」

 私は自分の考えをルアさんにお話し、ルアさんも納得してくださりました。

「ああ、そうそう。それともう一つ貴女にアドバイス。ギルベルト、貴方は少し席を外しなさいな。貴女も」

「はい」

 そう言われ、ギルとリアの二人は少し遠くまで移動してしまいました。

「あの? アドバイスとは?」

「私が帰ったら、ギルベルトに…………」

 そこから先のお言葉は、何を言っているか理解できず…………いえ、理解こそしましたが、とてもじゃありませんが、実行できるものではありませんでした。

「あの? それは喜んで下さるのでしょうか?」

「あんな女にデレデレのギルベルトなんて、初めて見たわ。貴女なら余裕よ」

 ルアさんのアドバイスは、実践するかどうかはおいておいて、もしギルが喜ぶというのなら、いつかしてあげなくもないです。
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