上 下
4 / 5

4話

しおりを挟む
入学式が終わり、教室に戻って、桜田先生のちょっとした話を聞いて僕たちの高校初日が終わったのだった。




僕は帰宅の準備をしていた。




『希望~』




『えっ?』




ガシャーーーン




急に呼ばれて振り返っていたせいでカバンの中身を全部落としてしまった。みんなの視線が痛い。。。




『うわーーっ!!ごめん』




『希望なにしているの?』




僕の名前を呼んだ張本人がなにか言っているんですが、この人一発殴っていいですか?誰か教えてください




『瑞樹が急に大きな声で呼んだからびっくりして落としたんでしょうが、みんなの視線が痛くて恥ずかしいよ僕は』




『あ~。なるほどなるほど。ごめんごめん。』




『そう思うなら、手伝ってよ』




『いや~それは無理ですね』




『いやなんでよ』




『だってもう手伝ってくれている人がいるから』




『えっ?』




ふと自分が落としたものに視線を落としてみると、隣の席の女の子が僕の落とした教科書を拾ってくれていた。




『あーー。ごめんね。拾ってもらって』




『大丈夫だよ。これで全部かな?』




『うんっ。ありがとう。水谷さん』




先ほどの自己紹介などで隣の女の子の苗字は把握していた。




『いえいえ。私は水谷蛍っていいます。二人仲良しだね』




『あ~。こいつのもう一人、あそこに立っている尾上仁は小学校から一緒なんだよ。だから仲良しっていうか腐れ縁みたいなもんだね』




『そっか。そうゆうの憧れるな』




『水谷さんは中学校はどこなの?』




『私はひっこしてきたから、いってもわからないよ』




『そうなんだね。ならこれからよろしくね』




『こちらこそ。仲良くしてください』




水谷さんはいい人だ、一見静かそうで話しかけんなオーラが出ているような感じがしていたけど、話してみたら全然だったな。これから仲良くできるといいな。




『それで、瑞樹はなんの用事があって僕を呼んだの?』




『あーそうだった。久しぶりに希望の家に行こうかなって仁と』




『いいけど、夜ごはんの買い物をしにスーパー寄らないといけないけど大丈夫?』




『全然大丈夫。むしろ今日の夜ごはん加藤家で食べさせて、仁もいいでしょ』




『いいよ』




『いきなりだな。なら帰ろうか。水谷さんまた明日ね』




『うん。バイバイ』




なにかの行事やイベントのたんびに仁と瑞樹はうちにご飯を食べにくるといってくる。でも僕はわかっている。瑞樹と仁がそういってくるようになったのはお母さんが亡くなってからだ。多分二人なりに僕が寂しい思いをしないように気を使ってくれているのだろう。わかっているけど僕はそれがとてもありがたいんだよね。って思っているのは二人には言わないけど。




『美春と優人に会うの楽しみだな』




『あの二人も仁と瑞樹に会えてうれしいと思うよ』




そうして、僕たちはいつも通りお祝いのご飯ををお父さん、双子、僕、瑞樹、仁の6人でご飯を食べました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。

ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。 実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。

夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。

window
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。 三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。 だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。 レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。 イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。 子供の親権も放棄しろと言われてイリスは戸惑うことばかりでどうすればいいのか分からなくて混乱した。

恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜

k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」 そう婚約者のグレイに言われたエミリア。 はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。 「恋より友情よね!」 そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。 本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。

形だけの正妃

杉本凪咲
恋愛
第二王子の正妃に選ばれた伯爵令嬢ローズ。 しかし数日後、側妃として王宮にやってきたオレンダに、王子は夢中になってしまう。 ローズは形だけの正妃となるが……

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

どうぞご勝手になさってくださいまし

志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。 辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。 やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。 アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。 風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。 しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。 ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。 ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。 ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。 果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか…… 他サイトでも公開しています。 R15は保険です。 表紙は写真ACより転載しています。

お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

処理中です...