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3話

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『は~。入学式めんどくさいって思うのは僕だけかな』




『いやめんどくさいな』




僕たちはこれから高校の入学式が始まる。入学式、新入生の最初の行事であり、幼稚園の入園式、小学校の入学式、中学校の入学式、高校の入学式、それぞれ人生に一度しかない大イベントって考えてもいいぐらいのイベントなのに、卒園式、卒業式に比べたらどうしても気持ちのノリが違ってくる。『僕たちの青春が今日から始まるんだ』って目をキラキラさせているのはきっと漫画・アニメの中だけだろう。




『私の青春が今日から始まるんだ』




そう思った直後、隣にいた女の子が僕が絶対に言わないであろうセリフを口にしていたから、僕の心の声がもえれていたんだろうかと思ったが、そんなわけない。正真正銘、隣にいた子が言ったんだろう。




『あれ、希望、仁、おはよう』




『えっ』




『誰?』




僕たちの名前を呼んで挨拶してきた女の子は髪の毛は茶髪で、スカートの丈は膝上で階段を上っていたら、下着が見えてしまうんではないかという絶妙な長さで、ほんのり薄く化粧もしていて、これが今どきの高校生かって思わせるぐらいの女の子だった。




『はっ、なにいってんのあんたら』




『てかその声、お前瑞樹みずきか』




『えっ本当に瑞樹なの?』




『だからあんたらはなにを言っているの?どっからどう見ても私は瑞樹ちゃんじゃない』




自分んことを瑞樹ちゃんといっているこいつは、倉橋瑞樹、僕たちの幼馴染である。小学校のときから一緒で明るい性格だけど、少し自分のこととなると臆病になってしまうという可愛げのある子だったけど、まさか卒業して1カ月弱でこんなに今どきの高校生に変化してしまうとは、女の子おそるべし。




『いや、変わりすぎだろ』




『この学校って髪染めていいの?』




『こんなの普通だよ』




あとから聞いた話だが、僕たちが通う高校は今どきでは珍しい、身なりに関してはゆるゆるの学校で、部活動をしている子たちは部活動の決まりにそって髪の毛などの規則があるものの、それ以外の生徒は基本的に自由に生徒に学園生活を遅らせることをコンセプトにやっているそうだ。公立高校なんて、どこも前髪は眉の上、横は耳にかからない、襟足は襟につかないなどこんな感じを想像していた分、逆に僕たちが浮いてしまうんではないかって思ってしまったが、学校の子たちを見渡したら、みんな同じような感じで、最初は遠慮気味にっていう感じがでていたので安心だ。逆に瑞樹を見た子たちがざわついていてる。




『希望、仁、私たちクラス一緒だよ』




『そっか、よかったね』




『そうだな』




僕たちの高校は科でクラスがわかれており、それぞれの科で2クラスずつの別れ方になっており、僕と仁と瑞樹は普通科で同じクラスになる可能性は高いと思っていたけど、一緒のクラスになれたのは素直に嬉しい。




『はい、おはよう~。君たちの担任になる桜田梅といいます。私の個人的な話にはなるんですが、私は梅という名前が好きではありません。だっておばあちゃんっぽいから、キラキラネームが流行っている中、なんで私だけ昭和の名前なのって思うんですが、なんでですか?』




初めましての話が初めましての話ではないと思ったのは僕だけではないだろう。




『それは先生の年が。。。。』




その先の言葉を言わせる前に先生はチョークを男子生徒の額に飛ばし、男子生徒は一瞬気を失ったようで、なにが起こったのか理解していないようだった




『綺麗な顔しているのに、先生こえぇぇぇぇぇぇ』




『それで先生の年がなんて?』




『いえ、なんでもありません』




男子生徒も先生の圧に気づいたのだろう。これで僕たちのクラスは先生に歯向かうものがいなくなったのだった。




『さて、冗談は置いといて、君たちは今日から高校生です。高校は小学校、中学校という義務教育を終わった後に来るところです。なので、もちろん留年もあります。ひどい人は退学になる人もいます。世の中にはルールがあり、学校にもルールがあり、それを守っておけばなにも問題になることはないです。そして高校は大人になる第一歩と私は考えています。この3年間で進路を決めたり、就職先を決めたりと人生にかかわってくることがたくさん出てきます。でもそれ以上に高校はいっぱい遊んで、いっぱい恋をして、いっぱい挫折して、たくさんの経験ができる場所でもあると私は思います。君たちはこの3年間思いっきり青春してください。それを私たち教師は精一杯サポートしていきます』




『入学式にいきますか』




先生かっけーっす。僕たちの最初のホームルームが終わって入学式に向かうのだった。
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