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あの日僕は死ぬはずだった




僕の目の前には横断歩道に転がっているボールを追いかける妹とその目の前に迫っている車だった。とっさに僕は妹を助けないといけないと思って妹を追いかけた。でも、妹に追いついて、妹だけでもと思い歩道に妹を突き飛ばした時には車は目の前まで迫っていて『死んだ』と思ったその時、横から優しい声が聞こえた




『希望のぞみみんなのことをお願いね』




時間としてはほんの一瞬だったが、僕の体感時間はもっともっと長いものだった。




『えっ』




そこから先は大きな音とともにお母さんは車が過ぎると同時に僕の目の前からいなくなっていた。




『おかあさーーーん』




これは僕が13歳の時の出来事であり、今から3年前の出来事である。あの時の僕はたくさん悲しんで、たくさん泣いた。まだ5歳だった双子たちはなにが起こったのか理解もできないまま、お母さんが死んだという現実を双子なりに受け入れて泣いていた。あ父さんはお父さんで、僕たちに泣き顔を見せないように必死で歯を食いしばって涙をこらえていた。でも僕は知っていた、お葬式が終わって少し落ち着いたある日




『佐紀。。。』




お母さんの仏壇の前でお父さんはお母さんの名前を呼びながら泣いていた。それを知っているのは僕だけだが、それはお父さんには言わないようにしている。




『希望、みんなのことお願い』




お母さんが最後に言ったこの言葉が僕は鮮明に耳に残っている、これがどうゆう意味なのかは正直わからないけど、あのお葬式の日、泣いている双子を見た時も、お父さんが夜に一人で泣いているところをみたときに自分の心の中で決めたことがある




『この家族は僕が守る』




守るということがどうゆうことかは僕にはまだわからないけど、急遽シングルファザーになってしまったお父さんの負担を減らすこと、双子の面倒をしっかりみること。他にもたくさん家ではやらないといけないことが多かった、その時に改めて実感したことだが、自分たち家族がお母さんにどれだけまかせっきりになっていたのか、たくさんのすることがあるのに嫌な顔をせずにこなしていたことなど、お母さんが亡くなってお母さんのすごさを実感することがたくさんあった。




『美春、優人、早く準備せろよ~。遅刻するぞ』




あの時5歳だった双子も今年から2年生になった。幼稚園の卒園式、小学校の入学式はお父さんと僕も参列して、お父さんと一緒に少し泣いてしまった。そして僕は今日から高校一年生になる。




『お兄ちゃんいってくるね』




『今日も二人とも元気だね。車に気を付けるんだよ』




『わかってるって』




『うん。。。』




『いってらっしゃい』




『いってきます』




『さて、僕もいくか』




僕らの新学期が始まったのだった。
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