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内緒のお願いです。

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「でぃーさま。わたしは、でぃーさま……てんてーさんに、ほんとにかんしゃしてましゅ」
「アイルが僕と一緒にこの世界に転生したきたことを、後悔していなくて良かった」
「だかりゃ、でぃーさまのおねがいは、わたしにできりゅことなら、かにゃえたいとおもってましゅ」
「ありがとう。その気持ちがとても嬉しい」

 ディー様はとても優しい目で私を見て、頭をゆっくり撫でてくれる。
 …もしかしたら、私が言いたいこと、わかっているのかもしれない。


 ディー様の優しさに甘えて無理を言うのは、とても心苦しい。こんな勝手な奴だとは思わなかったって幻滅されて、嫌われるかもしれない。
 もう、嫌われて一人になるのは嫌だ。
 だけどどうしても譲れないのだ。


「……もうしゅこしだけ、かじょくといっしょにいたいんでしゅ。…それがだめにゃら、しゅぐもどってくりゅので、しゃいごのおわかれだけ、ちょくせちゅ、いいたいんでしゅ。……わがままいって、ごめんなしゃい…。でも、……きゅうにおわかりぇすりゅのは、いやなんでしゅ……」



 私は、天帝さんの『オトモ』としてこの世界に転生した。
 だから、本当はこんなことを言ってはいけないのだとわかっている。私が優先するべきは天帝さんの希望であり、天帝さんが一緒に過ごしたいと望むならすぐ頷くべきだと。
 領地と王都はとても遠いから、ディー様のそばにいる為には王宮に滞在しなくてはいけないことも、…頭では理解しているのだ。


 けれど、今の家族が大切だ。
 大好きだ。


 転生してからの2年間がとても幸せだったから、家族に情を持ちすぎてしまったんだろう。
 このまま別れて、もう2度と会えなくなったら……また自分だけ残されたら……と、心が納得してくれない。


 だからもう少しだけでいい。一時だけでもいい。
 大事な人たちと一緒に過ごさせてほしい。



 
 
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