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 彼らの視線の先、そう広くもない道場の中央では門下生である柏木助之進と、道場破りの巨漢の男が木剣を手に向かい合っていた。助之進の齢は十四歳、相手は年の頃三〇には達していそうでほぼ倍の年齢の開きがある。
 まさかに立ち合わされるとは、という驚きが助之進の心から抜けきらずにいる。
 道場破りが現れたとき、当然、年配の者が相手をするのだと門下生は誰もが思ったはずだ。
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