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170・了

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「どうだ、将棋でも一勝負」
「おまえと将棋で戦って試しなどないではないか」
「永遠不変のものなどないではないか。今日がそちの初勝利の日となるやもしれぬぞ」
 渋面になる広純に久脩は快活に笑いながら告げた。考えてみれば、広純も随分と感情豊かになったものだ――。
 まこと、変わらぬものなどないの、久脩は胸のうちで独語する。

 久脩は泰重の他に家女房の腹に泰吉をもうけた。泰吉は慶長十七年、別家を許され倉橋氏を名乗り百五十石を給せられる。また、泰重の子孫は土御門をついで代々陰陽頭に任じられ、泰吉の子孫は倉橋家を継いで陰陽助となることとなった。
 天和二年五月、諸国陰陽道支配を土御門家に仰せつけられる旨の霊元天皇の綸旨がくだり、これより土御門は全国の陰陽師を統括し免許を与える権限を有することとなる。
                                                   了
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