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 残るは計十七人。しかも、宰領を討たれたために片方の反応は遅かった。残りの側が突出する形で斜面を駆け昇ってくる。
 連射は利かない、その判断のもとでだろう。確かに“それ”はただしい。猛然と距離を詰めるや、炎を物ともせず忍びたちがふたり跳躍した。
 煙の幕をくぐる。や、その姿勢が崩れ着地は果たせなかった。
表情を歪めて地面で悶える。毒にやられたのだ。これを目の当たりにし、後続の忍びの動きが止まった。刹那、空気を裂く音が連続する。矢が、煙の向こうの忍びたちに向かってばらまかれた。遅まきながら突貫を始めた、もう一本の忍群にも飛電は襲いかかる。
忍びとしての性か、悲鳴はあがらない。だが、確実に複数の忍びが深手を負った。この状況を生んだのは連弩(れんど)という連射の利く弩だ。
次の瞬間、狙いも定めずに五つの物体が宙を飛んでくる。
 対処しろという意を込めて久脩は叫んだ。「焙烙火ッ」
 転瞬、屋根を固い物が打つ音が聞こえる。命がかかっている、素早く久脩は反応した。側に来た焙烙火を足で楯の間から蹴り落とした。こうなることを予測して、あらかじめ楯は間隔を開けて並べてある。余の者、広純やその手下たちも右に倣った。
 が、失敗った、という声が鋭くあがる。久脩もその状況は視野の端に捉えていた。屋根の割れた部分に挟まって瞬時に取り出すことは叶わなかったのだ。久脩の恐怖心は総身を張り裂けさせそうなほどに膨れ上がる。
 爆発、一個を除いて屋根の下で焙烙火は炸裂した。しかし、例外となった一個は。
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